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光触媒が新型コロナウイルス感染力抑制に効果。カルテックと理研、日大が実証
2020年10月16日 11:32
カルテックは15日、光触媒技術による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染力抑制効果について、理化学研究所の協力を受け、日本大学医学部と共同で有効性を確認したと発表。光触媒を搭載した除菌脱臭機を用いた実験結果を公表した。
液体やエアロゾル中のウイルスに光触媒が効果
光触媒は、光を当てることで触媒として作用する(化学反応を速める)もの。その代表的なものが酸化チタン(TiO2)で、カルテックの光触媒技術は、可視光LEDで反応する酸化チタンを用いたフィルターに空気を触れさせることで、ウイルスや細菌、悪臭成分などを酸化分解、水とCO2に分解されるのが基本的な仕組み。
今回の実験では、液体中や、浮遊する(エアロゾル中の)新型コロナウイルスに対する有効性を検証。日本大学医学部内科学系血液膠原病内科学分野 上席客員研究員で理化学研究所の間 陽子氏が実験の方法と結果について説明した。
2018年の創業から、光触媒技術を用いた除菌脱臭機を展開しているカルテックが、試験用の光触媒や、同技術搭載の除菌脱臭機を提供。新型コロナウイルスに対する光触媒の有効性実験が、日本大学内にある施設(バイオセーフティレベル3)において行なわれた。なお、実験は一定空間内のものであり、実使用環境での効果を示すものではないという。
液体中にある新型コロナウイルスの不活化を確認する実験では、3cm角の光触媒に新型コロナウイルス液を2ml滴下して、光触媒反応の励起光となるLEDを照射。照射時間ごとにウイルス力価を測定し、不活化の有効性と時間依存性を調べた。
その結果、光触媒反応によってウイルスの感染性が減少。90分の照射で99.9%、120分で検出限界以下まで、ウイルスの不活化を確認したという。
浮遊する同ウイルスへの有効性を評価する実験では、120L(60×40×50cm)の密閉型チャンバー内にエアロゾル化した新型コロナウイルスを噴霧。チャンバー内に設置した光触媒搭載の除菌脱臭機を稼働させて、ウイルス感染価を確認した。
除菌脱臭機の稼働時間約13分で同ウイルスが99%不活化、20分で検出限界以下になった。これにより、浮遊する同ウイルスに対し、一定の空間内に設置した光触媒を搭載した機器による抑制効果の有効性が確認できたとしている。
カルテックは独自技術で光触媒の効果を向上、医療機器認定取得の意向も
光触媒技術技術自体はカルテック以外の製品でも採用されている。染井潤一社長は、同社ならではの技術として「ローンコーティング技術」と「サイドフロー構造」の2つを説明。
ローンコーティング技術は、従来の方法に比べて広い表面積を持たせることで、分解力を高めるもの。フィルター部分を数カ月に一度、汚れを水やお湯で洗い流すと繰り返し効果を発揮。光触媒ではなく機器側の限界が予想される約10年間、使い続けられるという。
サイドフロー構造は、フィルター表面に対して空気が長時間触れるようにして、光触媒の反応効率を向上させる、光と風のコントロール技術。光触媒の効果がより早く表れるという。
これらの技術を搭載した製品として、カルテックは2019年より除菌脱臭機の壁掛け型「KL-W01」を販売しているほか、2020年1月には電球タイプの「KL-B01」、同10月から首掛けタイプの「KL-P01」を展開。さらに、12月には約60畳用のフラッグシップモデル「KL-F01」を発売予定。
今回発表された実験結果は前述の通り、実使用環境での効果を示すものではないが、染井社長は今後の取り組みとして、光触媒技術を搭載した製品の医療機器認定を取得したいとの考えを示した。
光触媒以外の方式について日本大学の間氏は「UVC(紫外線)は、床や衣類など“人がいないところ”でウイルスを殺傷するには有効。光触媒は現在のところ人体に悪影響がなく、人がいるところでメリットがある」として、両方を使い分けることが有効だとした。