ニュース

空間浄化で新型コロナウイルス除去と不活性化。三菱重工と北里大学が実証

三菱重工サーマルシステムズは10日、室内空調システムに応用可能なウイルス除去/不活性化の研究として「酵素・尿素製剤処理」や「UV-C LED(紫外線発光ダイオード)照射」を使った実証結果を発表。北里大学 大村智記念研究所の片山和彦教授らとの共同研究によるもので、「現在から“アフターコロナ”時代にも有用」としている。

独自の空間浄化技術として、酵素・尿素製剤と微生物対策に応用したUV-C LEDにより、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活性化するというもの。「空間に漂うウイルスの除去とエアフィルターに捕捉したウイルスの不活性化は、空間の浄化を通じたウイルス感染制御実現の可能性を示す新しい技術」としている。

今回使われた酵素・尿素製剤は、抗菌/抗ウイルス/抗アレルゲン(アレル物質)機能を持ち、インフルエンザウイルスやポリオウイルスなどといった既知のウイルスに対する有効性が確認されているという。

共同研究により、数万個のSARS-CoV-2粒子が、集塵用エアフィルターに含まれるウイルス不活性化剤(尿素と酵素)により、反応時間60分間でほぼ完全に不活性化できることが確認された。

また、“微生物汚れ対策”の機能を持つというUV-C LEDを使った実験では、樹脂製のプレート上に数万個のSARS-CoV-2粒子が含まれる液体を塗り広げ、3cmの距離から UV-C LED単体でライトを照射。ウイルス塗布面が乾燥しないように、密閉した装置内で照射を行なった。その後、照射面のウイルスを回収し、酵素・尿素製剤と同様に不活性化効率を測定した結果「10分の照射で、ほぼ完全に不活性化できることが明らかになった」という。

新型コロナウイルスに対する技術の有効性が確認されたことから、同社は今後、片山教授らの研究グループと協力して、密閉チャンバー型実験装置を開発する予定。空間からのウイルス除去・不活性化についても引き続き検証を行なう。