ニュース

本体30杯分のゴミを格納できる紙パック式ステーション、マップと清掃状況を学習して次回はもっと賢く掃除できる新「ルンバi7」

 アイロボットジャパンは、ルンバ900シリーズの後継となる最上位モデルのロボット掃除機「ルンバi7」を2月22日に、「ルンバi7+」を3月8日に発売する。価格は順に、99,880円、129,880円(ともに税抜、アイロボットストア価格)。両モデルとも2月19日より予約を開始する。

「ルンバi7」(写真左)、「ルンバi7+」(写真右)

マップを作成して記憶、清掃状況を学習して次回はもっと賢く掃除

 ルンバ900シリーズの後継となる最上位モデルのロボット掃除機。いずれもロボット掃除機本体の性能は同じで、「ルンバi7+」には掃除機が吸引したゴミを自動で収集する「クリーンベース」が付属する。

 特徴である、iAdapt3.0ビジュアルローカリゼーションとImprintスマートマッピングにより、搭載するカメラとフロアトラッキングセンサーなどから、ルンバ自体の自己位置を把握するとともに、フロア全体のマップを作成。マップと清掃状況を記憶して、次回の清掃に反映できる学習機能を持つという。

 ルンバ900シリーズでは、作成したマップは掃除の度に消去していたというが、本機では、例えば前回の清掃で家具にぶつかった場合は、次回の清掃ではその場所を避けて移動するという。また前回の清掃で把握した部屋の家具の配置を元に、次回は最も効率の良い清掃経路を判断して掃除するなどの行動をとれるとしている。

 また最大で10個の間取り図を作成でき、その間取り図についても、例えば前回の清掃時と比べてダイニングのイスが移動しているなどの家具位置の補正も自動で行なえるという。そのほか、掃除を終えた場所としていない場所を正確に記憶できるため、1回の掃除も、より効率的な経路で行なうことができるいう。

 作成した複数の間取り図を記憶できるだけでなく、それらの部屋をリビングやキッチン、寝室といった部屋の種類で記憶できるため、掃除したい部屋だけを指定した清掃も可能となる。

 この進化の前提には、ロボット掃除機自体の処理能力の向上がある。例えば、ルンバe5は32MIPS、ルンバ980は293MIPS、ルンバi7は9,880MIPSとなっており、処理性能の向上によりiAdaptを3.0に進化できたとする。

ここから4コマで清掃効率の差を見ていく。各画面とも左がiAdapt2.0を搭載するルンバ980、右がルンバi7での清掃
ルンバi7では、効率的に清掃できるよう、経路が計算されていることが分かる
ロボット掃除機の処理能力の違い、左からルンバe5は32MIPS、ルンバ980は293MIPS、ルンバi7は9,880MIPS

ダスト容器30杯分のゴミを格納できる、紙パック式充電ステーション

 クリーンベースは、ダスト容器30杯分のゴミを格納できる充電ステーション。モーターを搭載しており、充電のために帰還した本体からゴミを吸引して、内部の紙パックへ密閉する。紙パックの開口部にはスライド式のシャッターがついており、これを開け閉めすることで、紙パックからゴミが舞うのを防いでいる。

 紙パックの取り出し時には、このシャッターの端を手で引き上げることになるのだが、引き上げることでシャッターが閉まる仕組みになっており、ゴミが舞い散らずに捨てられるようにも設計されている。

 また「ルンバi7+」のダストカップには、クリーンベースと接続してゴミが吸い出されるための吸引口が設けられている。吸引口は、ゴム製の緑色のフタで閉じられており、ゴミを吸引されるときだけ開く仕組み。

 本体からクリーンベースへゴミが吸引されるときは、クリーンベースの本体下側、向かって右側の穴からゴミを吸引して、紙パックへ運ばれる。

本体がクリーンベースに帰還すると、ゴミの吸引が始まる
「ルンバi7+」
クリーンベースを上部から見る
クリーンベースの上部フタを開ける
紙パック上部を引っ張り上げる
シャッターがしまった状態で紙パックが密閉されて出てくる
紙パックのシャッターを開けたところ

吸引力はルンバe5の2倍、5GHz Wi-Fiを新搭載

 デュアルアクションブラシは、ルンバe5同様のものを採用。デュアルアクションブラシの1本目がゴミを浮き上がらせ、2本目が逆回転することで、床にピッタリと密着し、ハイパワーモーターで強力に吸引する「AeroForce(エアロフォース)3段階クリーニングシステム」も搭載。

 汚れが多い場所をセンサーで感知して、集中的に清掃する「ダートディテクトテクノロジー」も搭載。ルンバ600シリーズの吸引力を1とした場合の吸引力は、約10倍となるという。なおルンバ600シリーズを、ルンバe5やルンバ960と比べた場合は約5倍。

 フィルターを取り外せば、水洗いが可能なダスト容器も引き続き採用される。ホームベースヘ自動で帰還する「自動充電」、清掃途中の充電切れ時に充電後の「自動再開」や、エラーメッセージ、ソフトタッチバンパー機能なども引き続き搭載される。

 2.4GHzに加え、5GHzの無線LAN(802.11a/b/g/n/ac)に対応。専用スマートフォンアプリ「iRobot HOME」と連携することで、外出先から部屋を選択しての清掃や、清掃完了通知とレポート受信、スケジュールによる清掃も行なえる。

 Amazon AlexaとGoogleアシスタントを搭載するスマートスピーカーでの音声操作も可能。

 本体サイズは、351×92mm(最大幅×高さ)で、重量は約4.0kg。充電式リチウムイオン電池を搭載し、稼働時間は最大約75分、充電所要時間は約3時間。ホームベースまたはクリーンベース、デュアルバーチャルウォール1個、電源コード、交換用フィルター1個、交換用エッジクリーニングブラシ1個が付属する。

「ルンバi7+」
本体の後方にダスト容器がある
引き出したダスト容器
ダスト容器をオープン。左下の緑色部分が、クリーンベースからの吸引口
クリーンベースからの吸引口を拡大
吸引時は、吸引口のゴムがめくれてゴミが吸い込まれる
クリーンベースの本体が乗る部分を拡大。右手前の四角い穴が吸引口
吸引口を前から見る
吸引口を拡大
デュアルアクションブラシは、ルンバe5同様のものを採用
本体上部中央に、カメラを搭載する
カメラを拡大

アイロボット創設者も登壇、マップを通じて他製品との連携も

 新製品発表会には、アイロボットコーポレーション 会長/CEO/創設者であるコリン・アングル氏も登壇。

アイロボットコーポレーション 会長/CEO/創設者 コリン・アングル氏

 「私は2002年に、人間が全く触る必要がなく、きちんと掃除してくれる掃除機を考えました。今回のルンバi7は、それを実現すべく、掃除のことを忘れさせてくれる掃除機と言えるでしょう。新しいインテリジェンスを搭載し、購入後も様々な機能をダウンロードして取り込むこともできます。

 さらに、作成したマップや家具などの環境データを、ユーザーの許可の上で他社製のデバイスに共有することも可能になります。そのための研究や協業も始めています。

 現在マップは、クラウド上に暗号化されて作られています。他社とのパートナーシップにより、ヒーターなどの家電製品やキッチン、音楽会社などとの連携の可能性があると考えています」と語った。

 またアイロボットジャパン 代表執行役員社長・挽野 元氏が、2018年のアイロボット グローバルでの実績と、アイロボット・ジャパンのビジネス戦略についても説明した。

 2018年のアイロボット グローバルは、史上初となる年間売上10億ドルの達成、売上の前年比24%増、ロボットの累計販売台数2,500万台を達成し、2018年のアイロボット・ジャパンは、過去最高の売上を達成し、売上の前年比25%増、ロボットの累計販売台数300万台を達成したという。

 「ルンバe5」は、"ルンバ史上最高の価格性能バランスを誇る戦略モデル"として2018年9月に発表された。同社はその発表時に「ロボット掃除機1家に1台」宣言を出していたが、GFK調査によれば、ルンバe5は2018年12月の販売数量のシェアでトップ、また同社は2018年下半期では量販店におけるロボット掃除機の販売数量シェアで67%を達成したという。

 また「ルンバi7」「ルンバi7+」の発表に伴い、2019年春から、ルンバ960の価格が89,880円から69,880円に、ルンバ643の価格が39,880円から29,880円(すべて税抜、アイロボットストア価格)に値下げされた。

アイロボットジャパン 代表執行役員社長・挽野 元氏
2018年のアイロボット グローバル実績
2018年のアイロボット・ジャパン実績
GFKによる2018年下期、ルンバe5とアイロボット・ジャパンの実績
2019年春から、ルンバ960とルンバ643が値下げされた
新製品とコリン・アングル氏、挽野 元氏