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最新ロボット掃除機4モデルをガチ比較! アナタにお勧めな機種はどれ?

最新ロボット掃除機4モデルをガチ比較! アナタにお勧めな機種はどれ?

 ここ1年ほど膠着状態にあったロボット掃除機に、大きな動きが見られた2018年秋。ロボット掃除機の代名詞的存在であるiRobot社のRoomba(ルンバ)が、シリーズラインナップを一新。最高峰モデルのルンバ980シリーズの普及版として位置づけられていた、800シリーズを「ルンバe5」として統合した。しかも価格は約5万円という破格値だ。

iRobot「ルンバe5」

 一方で最高峰モデルの戦いも見逃せない。まずはパナソニックが同時期に発売したRULO(ルーロ)の新型モデル。前方にレーザーを利用したセンサーを搭載して、より家具に優しく、小さく細い障害物にもぶつからずに検知できるようになったほか、静かさやスマホとの連携機能が強化された。

パナソニック「RULO」

 また、女性に人気のスティック掃除機「エルゴラピード」でおなじみのエレクトロラックスも台頭。「PUREi9(ピュア・アイ・ナイン)」は、おしゃれなデザインだけでなく、前方にカメラを備え、家具や障害物、人やペットにもぶつからずに、キレイに掃除してくれると好評を博している。

エレクトロラックス「PUREi9」

 一般的なロボット掃除機は直径約35cmというところに、10cmも小さい「minimaru(ミニマル)」を投入する日立は、第2世代をリリース。直径25cmの小型を踏襲し、より賢く便利に、またスマートフォンとの連携も強化された。

日立「minimaru」

 今回は2018年に発売されたロボット掃除機を、独自のテストを元に比較して、それぞれの性格を見極める。そしてどんな人に、どのロボット掃除機がオススメかをご紹介しよう。

まずはエントリーした4機種を簡単に紹介

iRobot「ルンバe5」
最新機種「ルンバe5」。最高峰モデルのルンバ900シリーズの次に位置づけられる標準モデルだが、価格は税抜きで5万円を切るという安さ
メーカー名iRobot
製品名ルンバe5
価格(編集部調べ)53,870円

 お掃除ロボットの代名詞的存在の「ルンバ」。10月末に発売された「e5(イーファイブ)」は、最上位モデルの後継機ではないが、高い機能を備えたモデルだ。ルンバはこれまで3桁の型番を使っており、900番台が最上位モデル、800と700番台は標準モデル、600番台がお手ごろモデルという位置づけになっていた。

 今回登場した「e5」は、ルンバ800/700番台に置き換わるモデルで、標準モデルにもかかわらず価格も魅力的という位置づけになっている。したがって、これまで販売されていた800/700番台は、すべて「e5」に統合されることとなる。

 特徴はコストパフォーマンスのよさ。最上位モデルの「980」は、カメラ搭載で部屋を素早くほぼパーフェクトに掃除してくれるが、価格が約13万円と高額。しかし「e5」は、カメラがないためランダム走行(一見ランダムだが内部で間取りを覚えている)で清掃時間がやや長くなるが、合格点のレベルまで十分キレイに掃除してくれる。

 それにも関わらず、税抜き価格49,880円と、最上位機種の6割引きという価格設定だ。カード支払いなら、分割手数料は2回分までタダであることが多いと考えると、月々2万円ちょっとの2回払いで買えてしまう。お手ごろ感がハンパない。

洗練されたデザインでボタンは3つだけ。スマホと連携させて使うことが前提となっている
ルンバの特徴とも言える取っ手。実はコレがあると非常に便利
これまで「水洗いできない!」と不評だったダストボックスは、e5で初めて水洗いできるようになった
「デュアルアクションブラシ」という2本のローラーで、ゴミをかき出して吸い込む。繊維ごみが絡まない革新的なブラシ
パナソニック「ルーロ」
3世代目となるルーロは、レーザーセンサーを搭載し、より小さく細い障害物でも検知。障害物との距離も高精度に調べられるようになった
メーカー名パナソニック
製品名ルーロ MC-RS810
価格(編集部調べ)150,300円

 国産ロボット掃除機の最高峰として、ルンバを追従するパナソニックのルーロ。その独特のおにぎり型は初代から受け継がれ、このモデルは3世代目となる。

 一般的なロボット掃除機は丸型だが、ルーロはゴミが溜まりやすい部屋の角までキレイにできるよう、独特な三角型となっている。しかもこの三角形は、数学的な意味を持ち、丸型と同様に一度進入した細い道でも、引っかからずにUターンできるという特徴にもなっている。その三角こそ、機械工学者「ルーロー」の三角形なのだ。

 上部にカメラを搭載し、部屋のどこにいるかを把握。さらに前方にはレーザーを採用。赤外線センサーや超音波では検知できない、細い椅子の脚を的確に見分け、高精度に距離を測る。また、家具への体当たりも少なく、掃除中も非常に静かなのも特徴だ。ルンバe5相当の廉価版も用意されているが、ここで紹介しているのは、ルンバでは「980」に相当する最高峰モデルの「ルーロ MC-RS810」だ。

 特徴は圧倒的な掃除の早さと、スマホとの連携。近所のコンビニで夕食を買って、今週のジャンプの気になる1本をサクッと読んで帰るおよそ20分で、16畳程度のLDKを掃除。部屋のどこが汚れていたか、どこに物が置いてあり掃除できなかったかを、マップ形式でスマホに表示する機能を持つ。

ふたを閉じるとスタートボタンのみ見えるようになっている。またダストボックスもふたの中に隠しているシンプルなデザイン
本体のボタンだけでも基本的な操作はほぼできるようになっている。もちろんスマホと連携させたほうが、はるかに高機能で使いやすくなる
ダストボックスは小さいので、ごみ捨ては頻繁にしたほうがいい
前方の集塵ブラシは左右にある。ただ回転が速いのか、ごみをはじいてしまう場合がある
日立「minimaru」
日立のminimaruは2世代目。圧倒的な小ささで小回りが効くのがオンリーワン機能
メーカー名日立
製品名minimaru RV-EX20
価格(編集部調べ)111,423円

 他のロボット掃除機と比べて、断然に小さいのが日立のminimaru。一般的なロボット掃除機は、だいたい直径35cm程度だが、minimaruは直径25cmと10cmも小さい。このサイズで決定的な差が出るのは、ダイニングテーブルの下の掃除だ。IKEAのような海外製家具なら一般的な掃除機でも掃除できるのだが、国産のニトリなどの家具は日本の家庭に合わせてあるので、一般的なロボット掃除機だと椅子の下に入れない、ということが結構ある!(コレ、ホント)

 また、古い日本家屋の場合は、メートル単位ではなく、尺(1尺=30.3cm)や寸(1寸=3cm)、間(6尺=182cm)を使っているところが多々あるので、直径35cmの掃除機だとギリギリ通れないところがある(「ツーバイフォー住宅」と謳っている家は、インチ基準でもたいていメートルで設計されている。でも天井高は2.45mで100インチだったりする)。

 大きな部屋を掃除するには時間がかかるが、小さいので一人暮らしや個人の部屋向けにピッタリ。また、時間をかけて丁寧に掃除してくれるのもminimaruの特徴と言っていいだろう。

ご覧の通り、圧倒的に小さい
ほとんどの操作は本体のみでできる。付属のリモコンもあり、スマホ連携させなくても活用できるのが便利
前方の集塵ブラシを左右に装備。ごみをかき集め吸い込む回転ブラシの後方には、床を磨く赤いブラシも付いている
エレクトロラックス「PUREi9」
キレイに掃除してくれると評判のPUREi9。前方にカメラを搭載し、ほとんど家具にぶつかることなく掃除をしてくれる
メーカー名エレクトロラックス
製品名PUREi9
価格(編集部調べ)115,527円

 スウェーデン生まれのロボット掃除機。ハンディ&スティック掃除機のエルゴラピードシリーズでも有名なエレクトロラックス製だ。特徴的なのはやはりデザインで、とくに女性人気が高い。技術的には、前方カメラの搭載が高機能化に一役買っている。

 本機はルンバ980に相当する製品なので、高額だが部屋を矩形に雑巾がけするように素早く掃除する。しかも前方のカメラは、パナソニックのレーザーのように細い椅子の脚なども検知。最大の特徴は、とにかく家具にぶつからないことだ。床に置いてあるペットの食器はもちろん、ゴミ箱などにも「まったく」というほどぶつからない。だから掃除する前と後で家具が1cmたりとも動いていない。これは長年ロボット掃除機を見ている筆者にとっても驚異的!

 部屋の探索も非常に賢く、砂ゴミから食べこぼしのような大きなゴミ、髪の毛のような繊維ゴミからペットの毛まで、ブラシにそれほど絡まず吸い込んでくれる。また、部屋の形状をしっかり把握して、隅々まで掃除してくれるので、掃除モレがほとんどない。そのモレのなさを、スマホにお掃除マップとして報告してくれるのもうれしい。

 ただし唯一の弱点は、段差と毛足の長いラグが苦手という点。これらには無理に進入せずに、障害物として扱うので、まったく手をつけない状態になる。ここは好みにもよるが、無理に乗り上げて途中で止まってしまうよりは、賢い選択と言えるだろう。

本体の大部分がダストボックスになっているので、ごみ捨ての手間が少ない
前方にカメラを備え障害物の有無や距離、障害物の高さを測定する。その精度はかなり高く、家具にぶつかることがない
回転ブラシは他の機種に比べると非常に少ないが、ごみをよく吸い込む。また前方の集塵ブラシは1つしかないが、毛がたくさんあるためか、他に比べてゴミをはじき飛ばさないのが特徴

各ロボット掃除機の動きをチェック

 全自動で掃除ができても、しっかりゴミが取れていなければ、「ちょっと男子ぃ~! マジメに掃除しなさいよっ!」な状態。

 ここからの実験では、筆者の家で実際にゴミを撒いて、4機種にそれぞれ掃除をさせてみた。リビングダイニングは12畳、加えてキッチンと廊下が4畳ほどあるので、合計16畳を掃除した結果だ。部屋の間取り図は、次の通り。

 まずは、砂ゴミ2g×5カ所、ハムスターのエサ(食べこぼしを想定)5g×4カ所、繊維ゴミ1.5g×1カ所、花粉の微粒子と同じサイズのピンクの粉0.5g×1カ所、猫の毛(計測不可、ひとつかみ)×1カ所の擬似ゴミを撒いてチェック。

このような間取りに、あちこちに置いたゴミを掃除させる実験をした
砂はハムスターのトイレ用なのでかなり細かい。粒状のゴミは、これもハムスターのエサ。いろんな大きさや重さがある上に、ちょうど食べこぼしに似ていたのでこれを選定
先の間取り図の部屋。じゅうたんの上に猫の抜け毛、ピンクの粉は花粉の粒子と同じサイズの微粒子。そして手前に障害物の毛足の長いラグを設置
繊維状のゴミも散布。トラベル用の裁縫セットの糸を1巻き使った。ポールはイスの脚などの周りを、どのように掃除するかを見るための障害

 各ロボット掃除機の動きは以下のとおり。いずれもしっかりゴミを吸い取っていたが、ルンバは脚周りはじめ細かい部分も念入りに、ルーロは部屋の輪郭をトレースしてから中を塗りつぶすように掃除していた。ミニマルはコンパクトな本体で細かく掃除しており、PUREi9はじゅうたんを障害物とみなし繊細な掃除が特徴的だ。

ルンバe5の動き。イスの脚周りもしっかり掃除
ルーロの動き。まず部屋の輪郭をトレースしてから、中を塗りつぶすように掃除をする
minimaruの動き。他のロボット掃除機よりも小さいので細かく掃除をしていた
PUREi9の動き。じゅうたんや、毛足の長いラグは障害物とみなしていた

掃除スピードで手際のよさは?

 今度は、掃除スピードの違いをチェック。実験場所は単純な四角い部屋ではなく、実際の間取りなので、部屋を探索する賢さも問われるというわけだ。

 結果はルーロが19分、そして5分遅れること24分でPUREi9が2位になった。

掃除の早さはルーロが1位で、PUREi9が2位。ともに10万円オーバーの製品だ

 この2台の特徴は、それぞれのメーカーのフラッグシップモデル。つまり最上位機種で、価格は10万オーバーの高級機となる。どちらも一般的な掃除機のセンサーに加え、パナソニックは上部に、エレクトロラックスは前部にカメラを備えている。

ルーロの天井カメラと前方レーザーセンサー
RUPREi9の前方カメラ

 エレクトロラックスはこのカメラで、通常のセンサーでは見分けられない細い椅子の脚を認識するだけでなく、進む方向や部屋の位置補正を行なうためにも利用しているらしい。パナソニックは、天井のシーリングライトやエッジの状態を調べ、向きや位置補正などを行なっているようだ。

 このようなロボット掃除機は、自分の位置と向きをしっかり把握できるため、部屋全体を雑巾がけするように、まっすぐ往復するため掃除の時間が非常に早い。そしてどちらも、まず部屋の壁際を走行し、部屋の形を記憶。その中を塗りつぶしていくように、手際よく掃除するのが特徴だ。

 カメラ非搭載のルンバe5は45分で3位、日立のminimaruはほぼ1時間という結果になった。日立が遅い理由は簡単。本体が他より10cmも小さいので、必然的に内蔵ブラシも短い。そのため部屋をより多く走る必要があるからだ。

minimaruは、ブラシが13cmと短い
PUREi9は、20cmのブラシを持つ。かなり大型だ
ルンバe5は、特殊なゴムローラー式で17cm
ルーロは18cmのV字型のブラシ

ラグやじゅうたんの段差は何cmまで乗り越えられるか

 ロボット掃除機にとって、段差や毛足の長いラグやじゅうたんの走行は非常に難しい。ロボット掃除機にしてみれば「ない」ほうがベストだが、そこに住むのはあくまでボクら人間だ。

PUREi9は前方カメラで障害物の高さを測定しているようで、5mmでも障害物とみなす場合がある

 まず段差に強いのは、ルンバe5とルーロ。ともに2cmの段差をラクラクと乗り越えた。引き戸のレールや部屋に敷いたマット類は余裕で乗り越えられるだろう。

 逆に2.5cm以上のものは障害物とみなすので、ロボット掃除機が引っかかりやすいもの、例えば棒状のものや扇風機の土台のように板状のものは、何かをテープで貼って高さを2.5cm以上にしてやると、確実に障害物として避けるようになる。

ルンバもルーロも2cmまでの高さなら余裕で乗り越える
2.5cmになると障害物とみなし進路をかえる
このようなイスの脚は、ロボット掃除機が乗り上げて立ち往生する原因となるので、木などを貼り付けて高さを出してやるといい。ロボット掃除機と共存するためには、人間側も掃除機に合わせる必要がある

 続いて3位はminimaruで、1.5cmまで乗り越えられる。段差に一番弱かったのはPUREi9。1cmの段差がギリギリという感じだ。それ以上は障害物として進入しない。

 毛足の長いラグやじゅうたんは、2cmの段差を越えられるルンバやルーロなら、フローリングの床と同じように走行して掃除をしてくれる。

minimaruは果敢にも乗り上げるが、タイヤを滑らせながらなんとか進む。しかもじゅうたんなので、吸引力を強くするという健気さ

 ちょっと問題なのはPUREi9。今回テストしたラグは障害物として認識され、一切進入しなかった。また5mmのじゅうたんも乗り越えるのをためらっていたフシがあり、完全に掃除できていなかった。

PUREi9は毛足の長いじゅうたんに興味を示すものの、じっくり観察した結果、フチのみを掃除して障害物とみなしてしまう

じゅうたんでのゴミ回収率

 次に試したのは、じゅうたんでのゴミ回収率。毛足の短いじゅうたんの上に、直径約30cmに撒いた砂ゴミ(ハムスターのトイレ砂)を掃除させてみた。また、お掃除モードは、各社が備えているスポットモードを利用。範囲は各社異なるが、およそ1mの範囲内をキレイにするというモードだ。

 ゴミ回収率が最も高かったのは、PUREi9。しかしPUREi9は、先にも説明したとおり、部屋全部がじゅうたん敷きの場合はこの回収率が出るかもしれないが、部屋の一部がじゅうたんだった場合、じゅうたん敷きの領域を障害物とみなし、まったく回収されない可能性もある点を考慮していただきたい。

 続いてゴミ回収率84%のルンバe5、80%のminimaru、78%のルーロという結果に。

じゅうたんでのゴミ回収率

ペットの抜け毛や髪の毛などの繊維ゴミに強いルンバe5

 ペットがいるご家庭で問題になるのが抜け毛問題。毛の生え変わる季節になると、毎日掃除しなければならない。女性の多い家庭も同様のお悩みが多いだろう。回転ブラシに毛が絡まると、はさみでカットする必要があり手入れも大変だ。

ワンちゃんやニャンコと一緒に暮らしている家は抜け毛との戦い!

 掃除後のブラシへの毛の絡まり方を見てみると一目瞭然。ルーロは、繊維やネコの毛がブラシに絡みついていた。このままにしていると、ゴミをいつもどおりにかき込めない状態になってしまう。

ルーロ掃除後のブラシの状態を見ると繊維ゴミと猫の毛がブラシ全体に絡みついていた
minimaruのブラシ。繊維ゴミが少しついているくらい
ルンバe5は、繊維ゴミなどなかったかのよう
PUREi9は、ブラシなのになぜか繊維ごみが絡まない

 自宅にあるスティック掃除機や床置きのキャニスター掃除機でこんなお悩みを抱えている方には、ルンバe5がお勧め。他の掃除機はブラシでゴミをかき集めるのに対して、ルンバは2本のゴムローラーを回転させる特殊な吸い込み機構。だから髪の毛やペットの毛がまったく絡まらない。

 この2本のローラーが回転することで、吸引ポンプの働きをしながら、長い繊維状のゴミはコピー機の紙送り機能と同様に、ローラーに絡まらずダストボックスまで送り込んでくれるというわけだ。

 またminimaruも9月のアップデートで「ペット運転」モードを追加。掃除中10分毎にブラシを自動掃除し、ダストカップのごみプレスもその場で行なわれるようになった。ブラシへの毛絡みが低減され、ダストカップスペースの確保もされている。

コピー機の紙送り機構のように、吸い込んだ長い繊維を、ダストカップまで吸い込みつつ送り込んでいく。同時に砂ごみは、ゴムが密着しているので、吸引ポンプとなり協力に吸い込む(iRobot社の原理模型より)
猫の毛もグングン吸い込んで、ブラシに絡まない

家具へのいたわりをチェック

 ロボット掃除機の多くは、赤外線や超音波センサーを使って前方や横の障害物を見極める。しかしこれらのセンサーは、障害物の大きさや色、材質などにより検知できない場合もあり、最終的には掃除機のバンパーにモノが当たったか否かで判断する。

ルンバe5やminimaruなど通常のロボット掃除機は、障害物がバンパーセンサーに当たって検知することがある
場合によっては、家具に体当たりしてイスを動かしちゃったり……

 そのためルンバやminimaruは、ゴミ箱やダイニングテーブルのイスなどにぶつかって、家具を少し動かしてしまったり、夜中に掃除させていると家具にゴンゴン当たる音が聞こえる。

 しかしPUREi9は前方のカメラで、ルーロは天井カメラと前方のレーザーで、バンパーに当たる前に障害物を検知できるので、家具をほとんど動かさないのが特徴だ。したがって夜に運転をさせても、家具に当たる音もほとんど聞こえない。

PUREi9のイスの脚のすり抜けは、驚くほどの精度。足にまったくぶつからない

 夜中に掃除をさせたり、ペットの食器やゴミ箱などぶつかってほしくない家具がある場合は、この2機種がお勧めだ。ただ繰り返しになってしまうが、PUREi9は障害物と判断するものが多いため、掃除をしない部分が多くなる点に注意したい。ラグやじゅうたんもしっかり掃除したいならば、ルーロがいいだろう。

前方のレーザーで細長い障害物も検知、回避するRURO

進入禁止エリアを指定するならルーロかルンバe5

 たとえばペットの食器置き場やトイレ、作業中で床にものが置きっぱなしなど、ロボット掃除機を進入させたくないエリアがある。そんなときに便利なのが、ルンバに添付されているバーチャルウォールというコーヒー缶程度の発信装置だ。

ルンバe5に1個添付されているデュアルバーチャルウォール。見えない壁を作るモードと、半径60cm以内を進入禁止にするモードを持つ

 この発信装置をドアなど前においてスイッチONにすると、目には見えない赤外線の仮想の壁ができる。そのためルンバがドアを出ようとしても、仮想の壁に当たってドアの外に侵入しなくなるというものだ。

 またモードを切り替えると、発信装置を中心とした半径60cm以内にルンバが進入しないようになるため、ペットのいる家庭などで便利に使える。ただルンバe5には、装置が1個添付されているだけなので複数の進入禁止領域を作るには、1個7,500円で複数用意する必要がある。

見えない壁を作るモードと半径60cm以内を進入禁止エリアにするモードがある。別売で買い足すことも可能

 一方ルーロは、スマホで進入禁止エリアもしくは掃除をするエリアを指定する。ただそれには、一度部屋全体を掃除させて部屋の形状を覚えさせる必要がある。エリアの指定は、一度掃除した部屋のマップを見ながら指定するので、大まかな位置の指定となるが、とくに装置を使ったり装置の電源を入れることもなく、2箇所まで進入禁止エリアを指定できる。

ルーロは、以前に掃除したマップから、掃除をするエリア(1エリア)か、掃除をしないエリア(2エリア)を指定できる

スマホでお掃除マップを表示できるルーロとPUREi9

 今回紹介しているロボット掃除機は、すべてスマホ連携できる。本体だけではできない、もしくは本体のボタンとディスプレイだけだと煩わしい予約運転の設定や掃除モードの指定は、スマホのわかりやすい画面で設定できるので便利だ。

 また、外出先から掃除開始することもできるので、急な来客の前にさっと掃除したりということもできる。かっこよく言うと「IoT」家電。ロボット掃除機はその最先端で最新のIoT家電だ。

ルンバe5「HanaNoKO Roomba(花の子ルンバ)」のスマホ連携。予約運転の設定や、家の中または外出先からのリモコンとしても使える。e5はマップ表示機能がないので注意
ルーロ「おにぎり君」のスマホ連携。状態の確認や運転予約などの設定変更、リモコンとしても利用できる。また毎回のお掃除で、どこを掃除して、どのぐらい汚れていたかをマップで表示する
PUREi9「ふたりはPRE-PUREi9」のスマホ連携。運転予約やリモコンとしても利用できる。また毎回部屋のどこを掃除したかのマップも表示可能
minimaru「桂ミニ丸」のスマホ連携。ラジコンのコントローラのように使ったり、家の内外からのリモコンとしても利用できる。もちろん運転予約の設定もOK

 さらに連携機能を強化させたのは、ルーロとPUREi9。PUREi9は掃除をするたびに、部屋のどこを掃除したかをマップとして記録するので、どの部分を障害物として掃除しなかったのかがひと目でわかるようになっている。

PUREi9のマップ機能。部屋中央のラグを障害物として手を付けていない(矢印部)ことがわかるので、そこだけあとでスティックで掃除がけすればOK
ルーロのマップは、掃除した箇所に加えて、どこにどれだけごみがあったかも表示する。このマップを元に、進入禁止エリアを指定したり、汚れの多い場所だけサッと掃除したりができる

 ルーロはさらに進化したマップで、汚れの度合いも同時にマップに表示する。さらにマップを活用して進入禁止エリアを指定したり、過去のごみの量からごみがたまりやすい場所だけを軽く掃除したり、徹底的に掃除をしたりといった、賢いお掃除メニューで部屋を掃除できる。

 なおルンバ900シリーズはマップ表示も可能だが、紹介しているe5はマップ機能がないので注意してほしい。

運転音の静かさはルーロとminimaru!

 基本的に、昼間の誰もいないときに運転するロボット掃除機。とくにカメラを搭載している機種は、画像解析をするので、夜中に真っ暗な部屋を掃除させると、精度が鈍って本来の機能を発揮できなくなる。

 なのでロボット掃除機の運転音はそれほど重く評価しなくてもいいのだが、やはり夜に掃除をしたいというご家庭も多いようなので、「静音モード」を搭載している機種も多くある。

minimaruのマナーモード
ルーロの音ひかえめモード
PUREi9のエコや、(音声)ミュートモード

 そこで「静音モード」がある機種に関しては、それを設定して部屋を掃除させたときの運転音を測定してみた。音は掃除機から1mの値で、吸引モーターの音に加え、ブラシの回転音、走行音も含んでいる。ただし家具との衝突音は含まれていない。なお掃除機を運転していないときの暗騒音(静かな状態の自然の音レベル)は18dbAとなっている。

 結果は、やはり日本勢が優勢。ルーロが35db、続けてminimaruは42dbを記録した。これは昼間の静かな住宅地や図書館なみの静かさとなる。

ルーロとminimaruは図書館の静かさ、PUREi9とルンバe5はテレビの音(1m)の大きさほど

 PUREi9は55dbで3位、一番派手に音をたてて掃除していたのはルンバe5で60dbだ。このレベルは、通常の会話やテレビの音ぐらいある。つまりテレビを見ながら掃除をすると、テレビのボリュームをもう2~3段階上げたくなるという感じだ。運転音が気になる場合は、外出中にロボット掃除機を動かすのもアリだろう。

お手入れの手軽さはルンバe5の圧勝

 これまでダストカップが水洗いできなかったルンバシリーズだが、e5ではじめて水洗いが可能になった。したがってすべての機種はダストカップとブラシを水洗いできる。

 清潔さにおいては、すべての機種が互角と言っていいだろう。分解手順の難易度も低く、どの機種でも誰でも簡単にお手入れできる。

ルンバe5の水洗い可能な部品。e5で初めてダストカップが洗えるようになった
ルーロの水洗い可能な部品
minimaruの水洗い可能な部品
PUREi9の水洗い可能な部品

 また、普段のゴミ捨ても、それほど面倒さを感じさせるものはない。ただminimaruとルーロはダストカップが小さいため、ゴミの多い家庭では、2~3日に一度はゴミ捨てが必要だろう。一番ダストカップが大きいPUREi9は1週間以上、ルンバも1週間程度に一度のゴミ捨てが必要だ。いずれにせよ、どの掃除機もサイクロン方式ではないので、こまめに掃除したほうが吸引力アップにつながる。

ダストカップの容量比較。一番大きいのはPUREi9、次がルンバe5だ。ルーロとminimaruは同サイズ

 お手入れについてはどんぐりの背比べという感じに思えるかもしれないが、筆者が思うにルンバが一足抜きん出ている感じだ。

 なぜならルンバ以外は、ブラシを使っているのでこれを水洗いすると、乾くまで作動できない。しかしルンバはゴム製のローラーなので、水洗いしたらダストカップ同様にサッと水気をふき取れば、乾くまで長時間待つ必要がない。

 これまでダストカップが洗えないという苦渋を飲まされてきたルンバだが、e5に進化して一気にお手入れのしやすさナンバーワンになった。

ルンバe5のブラシはゴムローラーなので、水洗いしてタオルで拭けばすぐに掃除を再開できるというオンリーワンの特徴がある

あなたにピッタリのロボット掃除機はコレ!

 さて、さまざまなテストを行なってきたが、大事なのは使い勝手が自分に合うかということ。最後は、4機種をがっつり試した筆者が、シーンに応じた機種を紹介しよう。

コストパフォーマンス重視で誰が使っても納得の「ルンバe5」
iRobot「ルンバe5」の評価グラフ

 さすが先駆者のiRobot社製という印象で、グラフ右側の掃除機としての機能はほぼ満点に近い。掃除時間も早く、毎回お掃除マップを記録してくれるルンバ980はちょっと高くて手が出ないという場合は、迷わずe5をお勧めしたい。

 また長毛のワンちゃんやニャンコと一緒に暮らす家庭や、ロングヘアの女性が多い家庭は、ブラシに毛が絡まらないというオンリーワンの機能で本機をお勧め。

 誰がどんな部屋で使っても合格点を出せる。そんな失敗のないロボット掃除機だ。

静かで高機能! 毎日掃除をさせるなら賢く楽しい「ルーロ」
パナソニック「ルーロ」の評価グラフ

 さすが国産のパナソニックという印象。静かさや家具への衝撃の少なさ、長年使える電池の寿命に進入禁止エリアのスマホでの設定など、かゆいところに手が届くさまざまな機能が魅力。その分値段に跳ね返ってきているが、毎日使ってその労力を金額に換算すれば、安い買い物になるだろう。

 毎回自動作成されるお掃除マップは、ちょっとしたエンターテインメント気分にさせてくれるので、部屋を掃除させることに楽しみを見出すことができる頼もしい相棒になる。弱点はペットの毛や髪の毛などの繊維系のゴミが苦手なところ。ペットと一緒に暮らしている家庭などには向いていない。

コンパクトさと静かさが魅力! 古き日本家屋にも最適な「minimaru」
日立「minimaru」の評価グラフ

 時間はかかるけれど、部屋の隅々まで入り込んでしっかりごみを回収してくれるminimaru。その静かさは、夜中にも掃除できるというのが魅力のひとつだ。

 狭い部屋を掃除しやすいのもポイント。どうしても物があふれてしまう部屋でも、25cmの隙間があればminimaruがしっかりお掃除してくれる。掃除に時間がかかるとしても、学校や会社に行っている間に掃除させればいいだけのこと。

 また尺や寸を使って設計された、昔ながらの日本家屋にもお勧めしたい。35cmの一般的なお掃除ロボットが入れない1尺(約30cm)の隙間もminimaruならスイスイ入り込んで、しっかりお掃除してくれる。椅子の下に入れない! なんてこともなく、コンパクトな本体が健気に掃除をしてくれる様子は愛着もわくだろう。

女性やペット、家具にも優しい、丁寧なお掃除ロボ「PUREi9」
エレクトロラックス「PUREi9」の評価グラフ

 前方カメラ搭載で家具に優しいだけでなく、ペットの水飲み場や人がいればぶつかることなく回避してくれる賢さ。しかもメイドさんが掃除したかのように(笑)、ゴミをはじき飛ばすことなく確実に吸い込み、丁寧にダストボックスに回収。ダストカップも大容量なので、ごみ捨ての回数も少なく便利だ。

 難点は部屋の一部にラグやじゅうたんを敷いてあると、それを障害物としてしまいがちなところ。とはいえ逆に考えれば、途中で立ち往生することなくしっかり掃除をしてくれる慎重派。手付かずな場所は、同社のエルゴラピードでサッと掃除。フローリングの部屋でニャンコを一緒に暮らしている女性にオススメしたい。

藤山 哲人