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ダイソン、カメラ・センサー・学習機能が進化したサイクロン搭載ロボット掃除機「Dyson 360 Heurist」

 ダイソンは、同社独自のサイクロン技術を搭載しながら、カメラ・センサー・学習機能を進化させたロボット掃除機「Dyson 360 Heurist(ヒューリスト) ロボット掃除機」を発売した。価格はオープンプライス。同社オンラインストアでの先行販売の直販価格は118,800円(税込)。

Dyson 360 Heurist(ヒューリスト) ロボット掃除機

 同社独自のサイクロン技術を搭載し、SLAMやセンサー技術、処理能力の向上により、間取り認知能力がアップし、清掃の効率化を学習できるロボット掃除機。同社によれば本機の吸引力は、従来機「Dyson 360 Eye」より20%向上し、また他社製のロボット掃除機の4倍だという。

従来機「Dyson 360 Eye」

 本機の発表を行なった同社フロアケア部門 製品開発 シニア デザイン エンジニアであるジェームス・カーズウェル氏は、「Dyson 360 Heuristは、新しいテクノロジを詰め込んだ、プラットフォームです。ソフトウェア・アップデート機能を搭載していますので、未来に向けて何年も成長できます。また従来機と比較して、センサーを進化させたほか、プロセッサー部分のリエンジニアリングを行なっていますので、ナビゲーションシステムも向上しています。各家庭の環境を理解し、それを掃除に適用できる掃除機です」と本機の特徴を語った。

 また同社シニア プリンシパル エンジニアのマイク・オールドレッド氏は、本機のSLAM処理の特徴について「本機では、処理能力が20倍に向上したことで、従来機より多くの画像を取り込むことや、より多くの処理を行なうことができるようになりました。それにより、現在地を把握するだけでなく、より効率的な清掃を判断する、つまり清掃を学習できるようになっています」とした。

同社フロアケア部門 製品開発 シニア デザイン エンジニアのジェームス・カーズウェル氏
同社シニア プリンシパル エンジニアのマイク・オールドレッド氏

 同社の特許技術「Radial Root Cyclone(ラジアルルートサイクロン)テクノロジー」を採用し、8つのサイクロンを搭載。サイクロンは最大70,000Gの遠心力を発生させるが、この遠心力は従来機から引き続き搭載される「ダイソン デジタルモーター V2」が毎分78,000回転することで実現されるという。さらにポストモーターフィルターを搭載しており、0.3μmの粒子を99.97%捉えながら、キレイな排気を実現したとする。清掃モードは、静音モード/通常モード/強モードの3つを搭載。清掃中の充電切れでは、自動で充電ドックへ戻り、充電後再開する機能も備える。

外したクリアビン(ダストカップ)のフタ(写真左)、容器部分(写真右)
クリアビンのフタ部を、内側からみたところ。8つのサイクロンが分かる
本体のカットモデル。左側がクリアビン
本機では、スモークを吸い込んでも、排気には煙が混じらないという

 またブラシバーが機体幅なため、走行跡に汚れを残さない。ブラシバーには、コードレスクリーナーにも採用される、静電気の発生を抑えながらフローリングから微細な汚れを取り除く「カーボンファイバーブラシ」と、カーペットなどの毛足の奥からゴミを掻き出す「硬いナイロンブラシ」の2種類のブラシを内蔵する。ブラシの回転数は、従来機の1,450回/分から、1,600回/分にパワーアップしており、より強力に清掃できるとした。

清掃跡。本体の幅で掃除されていることが分かる
ブラシバー拡大

 新たな特徴としては、製品名にも表れる「ヒューリスティックラーニング」がある。1.4GHzのクアッドコアプロセッサを搭載、従来機比で8倍の短期メモリ、23倍の長期メモリを搭載することで、従来機の20倍のデータを扱えるようになったという。これによりカメラが捉えた画像を解析し、マップを作成。また複数マップやマップ履歴の保存や、稼動毎のセンサーデータなどをマップへ集約できるようになり、より効率的な清掃を学習できるようになったという。

 カメラ部分も刷新。灯台用レンズから着想を得たという、6エレメント半球レンズを搭載し、より多くの光を取り込みながら本体周辺360度を視認するという。加えてセンサーが走行中0.02秒ごとに距離測定を行ない、インテリジェント SLAM(Simultaneous Localisation and Mapping) ビジョンシステムで、現在位置や未清掃の場所を常に把握するという。カメラの進化による画質向上や処理能力の向上により、インテリジェント SLAMビジョンシステム自体も進化しており、さらなる効率的な清掃が可能になったとしている。

 また、最大2mまで視認可能でカメラ部分に搭載される長距離センサーのほか、障害物センサー、壁面接近センサー、段差センサーの4つが刷新され、より効率的な清掃を実現するという。これらのセンサーは、30Hzの赤外線パルスを照射し、反射を受信。反射のレイテンシーによって自己位置などを把握するとしている。

 レンズの周囲に8個のLEDライトを新規に搭載。部屋の照度を計測しながら清掃し、清掃箇所の明るさが不足していれば、自動で必要な方向のライトを点灯させて清掃を行なえる。

 操作ボタンを中心にし、周囲には各種インジケーターを備える。真上から時計回りに、バッテリー残量を3段階表示、駆動ベルトのゴミ詰まり表示、ブラシバーのゴミ絡まり表示、Wi-Fi接続表示、清掃完了時や要充電時に点灯する充電ドック表示、詰まりや吸引力低下時に点灯する空気経路表示となっている。

本体の操作ボタンとインジケーター(写真上)と、カメラ(写真下)。カメラの周囲のオレンジ色部分に8つのLEDライトと搭載する
センサーにより、物体に接近してもぶつからない
プロセッサなどを搭載する基板部を中心としたカットモデル
「Dyson 360 Heurist ロボット掃除機」は、各種センサーで障害物にぶつからず清掃できる

 同社製品共通のスマートフォン専用アプリ「Dyson Link」を利用すると、操作やスケジュール機能が利用できるだけでなく、本機が作成したマップに対してユーザーが区切り線を引いて任意に分割でき、また区画毎に清掃モードを指定できる機能も追加。部屋は区画毎に名称を付けることができる。区画分割線は、縦横に引くことができるが、線を交差できないので注意が必要だ。

 また本体のアップデートは、Wi-Fi経由で行われる。アップデートは、アプリ上で「自動/手動」をあらかじめ指定可能。アップデートスパンは特に決まっていないそうだが、同社が何らかの必要性に迫られてアップデートする場合もあり得るとした。

 マップ機能はWi-Fi未接続時も利用可能。また作成されたマップは、無記名データを製品改善のため最低限利用はするものの、他社へ提供するといったことは考えていないという。

アプリで見た部屋のマップ
部屋に清掃モードを指定する
部屋ごとの清掃モード一覧
マップに引く区切り線は縦横に回転したり、削除できる
区切り線同士は交差できない
区切り線を交差させずに、縦横に引いた例

 本体サイズは、230×240×120mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.51kg。クリアビン容量は0.33L。充電所要時間は約2時間45分、稼働時間は最大約75/20~30分(静音モード/強モード)。

「Dyson 360 Heurist ロボット掃除機」が茶葉を清掃する様子を、下側から撮影
iPhoneとサイズを比較
カメラの脇のボタンを押すと、クリアビンが外れる
クリアビンを引き出す
クリアビンのフタは、引っ張って開ける
クリアビンの外れた本体。左側にはポストモーターフィルターがある
左側のポストモーターフィルターを外す
外れたフィルターは丸洗いできる
本体背面のカバーを外すと、水洗い可能な排気フィルターがある
排気フィルターの外側は網目状になっている
排気フィルター内側はジャバラ状
排気フィルターを外した本体