家電製品レビュー
高機能ルンバが5万円!? 家中のホコリをごっそり除去する「ルンバe5」はコスパ最強
2018年10月30日 06:00
全自動洗濯乾燥機、食器洗浄乾燥機と並び、“新三種の神器”の1つとされるロボット掃除機。確かに、筆者もママ友から「家事が大変だから、ロボット掃除機が欲しい」なんて話をよく聞いている。しかし実際に、周りで「持っている」「使っている」という人はとても少ない。
欲しいけど買わない理由はいくつかあるが、一言で言えば「価格が安いのは使えなそうだし、使えそうなのは価格が高い」ということのようだ。筆者自身、せっかく買うならある程度の価格のものを買わないと、本当の便利さは実感できないかも、と感じているので、その意見には同意するしかなかった。
そんな中、アイロボット社のルンバから5万円を切るロボット掃除機の新モデル「ルンバe5」が発売される! というニュースが飛び込んできた。しかもこれ、かつてルンバの“ハイエンド”と位置付けられていた800シリーズをさらに進化させたものらしい。これはさっそく使ってみなくては!
メーカー名 | アイロボットジャパン |
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製品名 | ルンバ e5 |
実売価格 | 53,870円 |
そもそも高性能だったルンバ800シリーズ
ルンバ800シリーズといえば、現在の最上位モデル「ルンバ980」(価格:約13万円)が発売されるまで、“ハイエンド”として君臨してきたシリーズだ。筆者も数年前にロボット掃除機の性能テストで何度も使わせてもらったが、毎回ナンバーワンに輝いた。ただし価格は「ルンバ880」で約8万円と、購入を決断するには勇気がいる価格だった。
しかし、今回発売されたルンバe5は、3万円近く安い53,870円。だからといって800シリーズの性能を落としたわけではなく、むしろ清掃性能や使いやすさはアップしている。
ルンバでは初のダストボックス水洗いに対応したほか、Wi-Fi経由によるスマホ連携も可能。価格を下げて購入しやすくすることで、ルンバを“1家に1台”普及させるのがアイロボットの狙いだという。
ルンバ800シリーズから受け継ぐ基本性能として、高速応答プロセス「iAdapt(アイアダプト)」を搭載。数十のセンサーが部屋の状況を正確に把握して、毎秒60回以上状況を判断し、40以上の行動パターンから最適な動作を選択・実行するという。要するに、ただやみくもに走り回っているのではなく、部屋の形や広さ、汚れ具合など、状況に合わせて動きを変えているのだ。
さらに「AeroForce(エアロフォース)3段階クリーニングシステム」も継承。デュアルアクションブラシとパワーリフト吸引により、微細なゴミやカーペットの毛まで逃さず取り除く。ちなみにルンバe5では、デュアルアクションブラシの羽根を改良。羽根を長くしたことで、清掃時に床材とより密着できるようになり、吸引力が向上したとのこと。
掃除してほしくない場所にルンバが入らないようにする、デュアルバーチャルウォールも1個付属している。
人が気づかないゴミも見つけてお掃除
さっそく掃除してみよう。ホームベースで約3時間充電し、満充電になったところで運転をスタートした。まずはリビング・ダイニングを走り回ること30分。動きを観察していると、まっすぐ進んで壁や家具が近づくと、減速して軽く触れる。そこで前に進めるかどうか、確認しているようだ。
壁と判断すると、今度は壁に沿って進んでいく。家具や建具の下のへこんだ部分も、ルンバが入り込める高さであれば、しっかり掃除してくれるからありがたい。こういう見えにくいところは、掃除機をかけていても、つい見逃してしまいがちだからだ。
テーブルや椅子の脚周りの掃除を見ていても、きちんと回り込んで掃除している。ブラシも隈なく届いていて、取りこぼしがない。一度コードがある場所を掃除させてしまい、やばい! と思ったがこれも安心。数秒でコードから脱出し、掃除を再開していた。これは、ルンバがコード類に絡まると、異常を感知してブラシを逆回転させるため。コードがブラシに絡まるのを防いでくれるのだ。
ラグの上に乗ると、フローリングからカーペットへ床材が変わったのを感知したようで、ギュイーンと吸引力を上げてきた。さらに同じ場所を何度も掃除し始めたのは、ゴミが多い場所を念入りに掃除する「ダートディテクト」機能が働いたからだろう。柄のカーペットのため肉眼ではよく見えなかったゴミを見つけてくれたようだ。
ある程度掃除をしたところで、リビング・ダイニングを出ていき廊下へ。洗面所を一通り掃除した後、子ども部屋に入っていった。子ども部屋は全面カーペット敷きのため、やはり吸引力がアップ! すごい勢いで掃除をしてくれている。
ロボット掃除機がありがたいのは、ベッドの下まで入り込んでくれるところだ。最近のキャニスター掃除機やコードレス掃除機も、かなり奥まで掃除できるようになってきているが、そもそも体を屈めて、掃除機を奥まで押し込むのは面倒くさい。なのでつい、入り口あたりをちょこっと掃除するだけになってしまう。
こうして60分ほどたっぷり掃除した後、ルンバは掃除終了と判断してホームベースへ。ホームベースからは結構離れていたところで掃除が終わったが、迷うことなく戻っていく姿に改めて賢さを感じる。
ちなみにルンバ800シリーズの稼働時間は60分だったが、ルンバe5は電力効率を高めることで、最大稼働時間90分と1.5倍も拡大することに成功している。わが家ではリビングダイニングとキッチン、廊下、洋室1部屋の掃除をしたが、一度の充電で掃除完了。もう少し部屋数が多くても、一度ホームベースに戻って再充電、ということにはならなさそうだ。
スマートフォンの専用アプリ「iRobot HOME」と連携させておけば、掃除終了後にレポートが送信される。清掃に掛かった時間やダートディテクトモードを動作させた回数などが確認できる。ほかにもアプリでは、外出先からルンバを稼働させたり、1週間の運転スケジュールを設定したりすることも可能。
Amazon AlexaやGoogle HOMEなどのスマートスピーカーを使えば、声での操作にも対応する。
なおルンバe5には、最上位モデル「ルンバ980」に搭載されている、掃除した場所のマップをスマホでリアルタイムに作成する機能や、ダストボックスのゴミ捨て通知などは非搭載。しかしルンバ980の半額以下という価格を考えると、清掃能力も含め満足度はかなり高い。
ダスト容器から溢れんばかりのゴミが!!
見ている限り、きめ細かく掃除してくれている印象だが、実際にゴミを吸ってくれているかは分からない。だがダスト容器を見た瞬間、その疑いも一瞬で吹き飛んだ。ダスト容器からゴミが溢れている~!!
本当に気持ちがいいほど、ゴミを取ってくれている。自分では見えにくいところやベッドの奥まで掃除しないため、溜まりに溜まったゴミを集めてくれたのだろう。いずれにしても、走ったぶんだけちゃんとゴミを吸ってくれていることがよく分かる結果となった。
実際、どれくらいのパワーでゴミを吸っているのか、小麦粉と麦茶の茶葉を撒き、ルンバe5を走らせてみた。
かなりの吸引力! 白い粉が少し残ってしまったものの、90%以上は取り除いてくれたと言ってもいいだろう。しかも今回は一度通っただけだが、ルンバe5は同じ場所を複数回通るため、普通に使用した場合はほぼ100%取り除いてくれるにちがいない。
この実験の後、裏面のブラシを見たら真っ白になってしまっていた。しかし同時に気づいたことがある。濃い緑のブラシの先端に、ビッシリ小麦粉がついているということは、床から小麦粉をしっかりかき取ってくれたということだ。
また先ほど捨てたゴミの種類を見ても、綿ボコリから砂ボコリ、髪の毛まで、あらゆる種類のゴミを吸い取ってくれていることもよく分かった。わが家では犬を飼っているが、犬の毛もしっかり取ってくれている。
ダスト容器が水洗いでき、お手入れがラクに
デュアルアクションブラシのいいところは吸引力だけではない。毛ブラシではなくゴム製のブラシのため、掃除機の手入れで面倒な髪の毛の絡まりを取り除く必要がないのだ。
また2本のブラシは簡単に取り外せ、端にまとまっていた髪の毛はスルンと取れる仕様になっている。これが本当に気持ちよく、毛ブラシではいつもハサミで絡まった毛をカットしていたが、このゴムブラシでは一切絡まない。髪の長い人やペットがいる家庭では、特に便利さを感じられるだろう。
さらにルンバe5から可能になったのが、ダスト容器の水洗い。従来のルンバのダスト容器は、モーターを内蔵していたため、ダスト容器が水洗いできなかった。ゴミを捨てた後に残る細かいホコリが気になって仕方がないが、拭き取ろうにも構造が複雑で、お手入れが難しかった。
しかしルンバe5は、このモーターを本体に内蔵することで、ダスト容器の水洗いが可能に。実はこの仕様、日本から多く寄せられた要望に応える形で実現したという。日本人は世界の中でも特にキレイ好きなようだ(笑)。
忙しい人も、普段からまめに掃除をしている人にも使ってほしい「ルンバe5」
使ってみて感じたのは、やはりルンバは賢かった、ということだ。しかも値段が5万円とくれば、コスパ最強としか言いようがない。
ロボット掃除機については、「自分がやったほうがキレイになるから」という理由で必要ないと言う声もよく聞く。だが、自分で掃除した場合、同じ場所を複数回掃除機がけすることはほとんどないし、ベッドの奥の奥まで掃除機をかけるのも難しい。ルンバe5がある程度掃除してくれていたら、自分の掃除はプラスαということになり、より家はキレイになる。ルンバが掃除している間、自分はルンバが掃除できない家具の隙間や棚の上など、別の場所の掃除に時間を当てることもできるのだ。
筆者は個人的には、自分で掃除する余裕がある人こそ、ロボット掃除機を使ったほうが、より早く、よりキレイに掃除ができるはず、と感じている。
そういう意味でロボット掃除機は、忙しくて掃除の時間が取れない人も、時間に余裕がある人も、今より確実に部屋をきれいにできるアイテムだと感じている。5万円という金額そのものは決して安くはないが、これだけの性能を搭載してこの価格は安い! 迷っている人にぜひオススメしたい1台だ。