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ネスレ、コーヒーとチョコの次は「抹茶」を柱に。高岡CEO「やらなければならないのは、日本の健康寿命を伸ばすこと」
2017年3月7日 18:39
ネスレ日本が2017年の事業戦略発表会を行なった。今後の戦略に先だち、昨年の業績が語られた。オーガニックグロース(為替変動や買収売却等の影響を除いた売上額の伸び率)は+4.1%、営業利益額は+5.0%、営業利益率は+17bps(いずれも対前年同期比)となった。
発表会で登壇した同社CEO 高岡浩三氏は、現在のグローバルでの経済状況を考えれば、オーガニックグロースが+4.1%という結果は「とても高い業績」とした。
さらに、先進市場の中で「この突出すべき伸び」を示している要因として、「ネスレ日本が、新たな現実が呼び込む、顧客の新しい問題をいかに解決していくか、ということに常に集中していること」にあると続けた。
高岡氏は、そうした現実の一例として、過去何十年かに急速に進行した核家族化を挙げた。都内では8割、全国平均でも6割が1〜2人世帯という現実だ。
「もう家族4人や5人でコーヒーを一緒に楽しむ、ということがなくなりました。すると、ネスカフェも1人分、少量のお湯を沸かさなければならなくなった。
これまでのレギュラーコーヒー用のコーヒーメーカーは、3杯4杯をいっぺんに作るのには便利だけれど、1杯を美味しく作るのには不向きです。そうした問題を解決したのが、ボタンを1回押すごとにコーヒーが1杯ずつでてくる、ネスカフェ バリスタやドルチェ グストなどです」
この6年間は増益と増益率を続け、昨年は、2000年以来はじめて、最高益を達成できたという。それくらい売上と利益を改善してきたが、同じペースで今後も成長し続けなければいけないと高岡氏は語る。
「そんな中で、むこう3〜5年間は、栄養と健康とウェルネスに貢献する企業を目指します。残念ながら、単なるコーヒーとチョコレートの会社ということでは、最もそこからほど遠い。そこで我々が目をつけたのが、抹茶なんです」
既に同社は、2004年にはキットカット初の「宇治抹茶味」を期間限定で発売。その後もキットカットの京都土産や空港免税店向けの商品をラインナップしてきた。さらに2011年にはネスカフェ ドルチェ グストの専用カプセルとして「宇治抹茶ラテ」を、昨年10月にも「宇治抹茶」を発売している。
高岡氏は、「抹茶は、すごく小さなマーケットです。その本格抹茶市場が大きく伸びている。それは健康志向の現れ」だとする。また抹茶は家庭でも道具などが必要で気軽に飲めるものではなかったし、高価なためカフェでも飲めなかった。
「ところがネスカフェ ドルチェ グストの抹茶カプセルは1つ55円くらいです。結果、爆発的に売れました。宇治抹茶のカプセルを販売してから、それまで一番売れていたコーヒーのカプセルよりも、売れるようになっています」
ドルチェ グスト向けの宇治抹茶が発売されてから3〜4カ月で、抹茶市場の35%を占めるまでに成長したという。
やらなければならないのは、日本人の健康寿命を伸ばすこと
高岡氏は、これまでの話を踏まえた上で、今後同社がやらなければならないことは1点だとする。それは、日本人の健康寿命を伸ばすこと。
「医学、薬や治療の進歩によって、寿命は伸び続けている。だが、健康寿命は、寿命が伸びるスピードに追いついていません。ここ10年で寿命が1.5歳は増えているのに対し、健康寿命は1歳しか伸びていない。このギャップを我々が埋めたい」
健康寿命が伸びないという現実と問題に対して、同社が提示するのが3月から始まった「ネスレ ウェルネス アンバサダー」だという。
「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は、家庭でも職場でも、自分に不足しがちな栄養を、抹茶で美味しく補えるというサービス。
まず、Webサイトで食生活や生活習慣に関する、簡単なアンケートに答える。すると、自分に不足したビタミンやミネラルなどの栄養素が入った「ウェルネス抹茶」が分かり、指定したカプセルを使って抹茶を楽しむことで、健康習慣を確立できるというもの。
同サービスでは、専用カプセル「ネスレ ウェルネス 抹茶」の定期購入など、一定の条件を満たすと、コーヒーマシン「ネスカフェ ドルチェ グスト」を無料で使用できる。
専用カプセル「ネスレ ウェルネス 抹茶」は、7種類が用意されている。それぞれ抹茶のほかに、植物繊維やカリウム、カルシウム、ビタミン、グルコサミン、イチョウ葉エキス、植物ステロールなどの栄養素が含まれている。価格は、1,350円〜1,620円(15カプセル)。「ネスレ ウェルネス アンバサダー」の専用サイトから購入できる。
同サービスでは、科学的に照明された世界トップクラスの脳トレーニングで情報処理能力や記憶力を鍛え、脳の健康をサポートするサービス「ブレイン HQ」も無料で使えるとする。
高岡氏は、「ネスレ ウェルネス アンバサダー」の問題として、ドルチェ グストが置いてある場所でしか飲めないことを挙げた。これを解決するために、今後はキットカットの抹茶味に、栄養素を含ませて提供できるように開発を進めているという。
また、栄養と健康とウェルネスに貢献する企業を目指しつつ、「今後も、抹茶=ネスレというイメージが定着するようにしていきたい」と締めくくった。