長期レビュー

東芝「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100」その1

~待望のドラム式洗乾は、しっかり乾いて運転コストも安い
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



誤動作を繰り返すボロ縦型洗乾に奥さんがキレた!

東芝「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100L」。間取りに合わせて右開きと左開きが選べる。またカラーも2種類用意されている。今回は左開きで、プラチナベージュを購入した

 我が家のオンボロ縦型洗濯乾燥機が、最近どうもおかしい。7年前に買って、何度も修理しながら使っていたのだが、このところはすすぎを10回以上も繰り返したり、延々と脱水をするという症状を繰り返すようになった。原因はおそらくマイコンユニットなので、これまで通り部品交換すれば延命できるはすなのだが、奥さんの怒りは頂点に達している。

 「もう(ピー)製の洗濯機は絶対買わないっ!」

 そう叫ぶ奥さんの頭からは湯気が立ち昇っており、「部品交換で済むよ……」なんてことを口に出せる雰囲気じゃない。しかもダイニングテーブルの上には、これ見よがしに最新式のドラム式洗濯機のカタログが積まれている。どうやら故障の一件で、縦型洗濯乾燥機にも愛想をつかした様子だ。いつもは奥さんが髪を切ったことすら気づかない筆者だが、さすがにこの“ドラムの最新式を買え! 買え!”シグナルは察知できた。

 ということで、新しいドラム式洗濯機を買うことになったのだが、そこで白羽の矢を立てたのが、昨年秋に発売されたばかりの、東芝ホームアプライアンスの洗濯乾燥機「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100L」だ。機種を選定したのは奥さん。筆者がアドバイスしたのは、モーターを作っている東芝か日立、三菱あたりじゃないの? というぐらいだ(ちなみに三菱は洗濯機事業を撤退しています)。

 サブーンは写真を見て分かるとおり、洗濯槽が横向きに配置されたドラム式。パンフレットによれば、今まで使っていた縦型洗濯乾燥機に比べると、使う水の量は1/3と経済的という。もちろん燥機能も付いており、乾燥方式は消費電力の少ない「ヒートポンプ式」。乾燥運転にかかる電気代もかなり安いという。また、洗濯物の取り出し口が低いため、ウチの小学3年生の娘でも洗濯のお手伝いができるというのも魅力だ。

 それではこれからおよそ1カ月に渡って、ザブーンの性能や魅力をレポートしていこう。


メーカー東芝ホームアプライアンス
製品名ドラム式洗濯乾燥機 ZABOON(ザブーン)
品番TW-Z9100
希望小売価格オープンプライス
購入店舗ヨドバシカメラ
購入価格298,000円


購入前に搬入スペースを要チェック。ドラム式洗濯乾燥機は置き場所を選ぶ

 洗濯機のレポートなのだから、まず洗濯してみてのレポートをお届けしたいところだが、その前に搬入の話から入ろう。なぜかというと、ドラム式の洗濯機は、置き場所をかなり選ぶという難問があるからだ。

 特に縦型洗濯機からの買い替えだと、買ってはみたものの、洗濯機置き場に収まらないなんてことが頻繁に起こりうることが、以下に挙げる事項から簡単に予想される。通販で買うヒトは、十分に注意して欲しい。

(1)縦型に比べると、手前に大きく迫り出す点に注意

 縦型洗濯機からの買い替えで一番注意したいのが、本体に奥行きがあり、手間側に迫り出しているところだ。

 幅は縦型洗濯機とほぼ同等サイズ、高さは2割減といった感じなので、この2点は問題ない。しかし実は、奥行きが1.2~1.5倍もあるものが多い。浴室に洗濯機置き場がある間取りでは、浴室側に開くタイプのドアだと、ドアがつっかえてしまう場合がある。

一般的な縦型洗濯機の奥行きは、突起部を含んで56cm程度。ザブーンは底の奥行きは60cmと、縦型洗濯機と大差ない。しかし、ドア部分が迫り出しているため、突起部を含んだ奥行きは75cmほど脱衣所と廊下を仕切るドアは、あまりにギリギリで使いにくそうだったため、取り外してしまった(笑)

 またドラム式は、冷蔵庫と同様に手前に開くため、置き場所によってはヒトの動線を邪魔することになるので注意したい。朝の洗濯の時間は、トイレや洗面所、玄関と居間でヒトの行き来が多くなるので、洗濯物を取り出している最中にヒトが通ると、いちいちドアを開け閉めしなければならないのは面倒だ。

 合わせて確認しておきたいのが搬入経路だ。玄関まではなんとか搬入できるとしても、洗濯機置き場は、とかく狭い場所にありがち。“途中に洗濯機の幅より狭いドアがないか?“、“またモノが置いてないか“など、巻き尺を使ってチェックしたい。

 逆にいえば、ドラム式洗濯機からの買い替えであれば、これらの点はさほど気にする必要はないだろう。

本体のドアを開けると、洗濯機正面からさらに50cmほどのドア開閉スペースが必要になる。脱衣所のドアを取り払ったのは、コレが原因だ。脱衣所のドアは、てっきり規格物の一間(90cm)と思っていたが、実際には少し小さめの67cm。サブーンの幅65.5cmが通るギリギリのサイズだった。危ねー!アブネー!
排水口と蛇口の位置、設置スペースを購入前に巻き尺で必ず計ること。重いため設置後の移動は縦型洗濯乾燥機よりも難しくなる

(2)排水口の位置を確認

 排水口の位置確認は、縦型洗濯機の購入でも重要なチェックポイント。しかしドラム式洗濯機で、特に乾燥方式がヒートポンプ式となると、本体は非常に重くなり、移動させるのは難しい。とりあえず仮設置だけしてもらい、あとで位置をちょこちょこ動かし、自分で排水口への接続工事をする――なんてことは、縦型洗濯機なら可能だが、今回購入したザブーンにいたっては80kgもある。一発で設置を決めないと、後で後悔することになるだろう。

 ちなみに、我が家に昔あった29型のブラウン管式テレビでも50kg。ザブーンはそれより30kgも重いのだ。

 また、床の強度も重要だ。なにせ空重量で80kgもあるのだから、洗濯物と水を入れた運転重量は100kg近くに及ぶ。しかもこれにドラムの振動も加わることになる。湿気の多い洗濯機置き場だけに、床が痛んでいないかを確認したい。

(3)水道栓の取り替え工事が発生する場合も

 これまでの洗濯機であれば、水道栓に樹脂製のジョイントをネジで固定するだけでよかった。しかし、これだけでは水漏れなどの原因になるおそれがあるため、水道栓そのものを金属製のジョイントに交換しなければならない場合がある。工事の方に話を伺ったところ、メーカーによっては金属製のジョイントになっている水道栓を使わなかった場合メーカー保証外になる場合もあるという。

 とはいえ、この工事は簡単で、部品込みの工事費も3,000円程度で済む。もっと安上がりにしたいという場合は、自分で蛇口にの取り替えをすれば半額程度で済んでしまうだろう。

 また、これは使い続けて分かったことだが、搬入日までにお風呂の足拭きマットを1枚用意しておくと便利だ。運転直後のドアには水滴がついていて、ドアを手前に開くとそれがポタポタと落ちてくる。洗濯機のドア下には、ぜひお風呂マットを敷くことをおすすめしよう。

従来型の洗濯機は、洗濯機の同梱されている樹脂製のジョイントを蛇口つけるだけでよかった新しい洗濯機では、このような蛇口でないとメーカー保証外になることもあるという。付け替えたのは曲がった先の部分だけ。蛇口を閉めておけば元栓を閉じなくても交換できるドア前は水滴が落ちるので、お風呂マットを敷いておくと良い

はじめて使うけど音声ガイドでカンタン操作。お気に入りの洗剤の投入量を覚えよう

操作パネルは上部に集約されている。中央には大型液晶と大きなダイヤル、右側には電源と洗濯機の基本運転を決めるボタンがある

 さて、我が家への搬入も完了し、使用する準備が整った。いよいよザブーンを使いはじめてみよう。

 操作パネルには、大型の液晶とダイヤル、そしてボタン類にLEDが並んでおり、見るからに使いやすそうに見える。今まで使っていたメーカーと異なるので、洗濯コース名や操作手順などにやや不安もあったが、ボタンを押すのに時間がかかったり、何かのボタンを押すと、音声ガイダンスが流れる。これなら買ったばかりでもマニュアルレスで使えるだろう。洗濯が終わったときや、ドアロックが解除された場合などにも、声でお知らせしてくれる。

 初運転は、フルオートの洗濯→乾燥運転をしてみることにした。「洗乾」ボタンを押して、スタートボタンを押すだけだ。押したボタンは、「電源」と「洗乾」と「スタート」の3つだけ。これはチョーカンタンだ!

 ドラムが何回か回ると、必要な洗剤の量が表示されるので、指示にしたがって洗剤を投入。手間がかからないのは他の全自動洗濯とまったく同じ。ドラム式の洗濯機は、縦型洗濯機に比べると使う水の量が極端に少ないが、投入する洗剤の量は、縦型とほぼ同じ量と思っていいだろう。

 とはいっても、マニュアルを読んでみると、使う洗剤や柔軟剤によって、洗濯機が指定する「1杯」が0.5杯だったり1.5杯だったりするみたいだ。ザブーンのモニターに表示される“1杯”と、実際に投入する洗剤の量を、以下に写真で紹介するので、参考にしていただきたい。

投入する洗剤量は、標準的な洗剤の場合の量を示している洗剤/柔軟材の投入口は、モニター左のケース内にある
粉末洗剤「アタック」は、表示どおりに入れればOK粉末洗剤「アリエール」は、表示の1杯がスプーン0.8杯分となる。0.5杯と表示されたら、0.5×0.8でスプーン0.4杯入れればOK
高濃縮タイプの「アタックNeo」は、表示どおり。1杯の表示ならキャップ1杯を投入する「トップ クリアリキッド」も、表示通りでOK。

 基本的には、洗剤の場合は大体表示どおりのものが多い。少ない場合でも0.8倍、多い場合でも1.1倍程度だ。しかし柔軟剤となると、0.5倍~1.4倍とかなり幅があるようだ。

 これらはマニュアルに記されているので、一度目を通すことをお勧めする。全部覚える必要はなく、お気に入りの洗剤や柔軟剤の量を把握しておくだけだ。

柔軟剤「ハミング」は、1杯の表示が出たらキャップ0.7杯を入れる「ファーファ」は、1杯の表示でキャップ1.4杯分が必要になる

使用水量は本当に少ない。洗濯パターンは叩き、揉み、押し洗いの3種類

 洗剤の投入が終わると、洗濯槽には水が注がれる。ドラム式洗濯機が縦型洗濯機と大きく違う点は、この注水時間。縦型洗濯機は何分も水を入れ続けるが、ドラムは1分程度で注水を止めてしまう。これには驚きだ。

 ここで試しにポリタンクに水を22L入れて、洗濯機の風呂水ホースで吸わせてみたところ、残ったのは約12L。つまり、洗濯時の使用水量はたったの約10Lというわけだ! もちろん、すすぎ時にはさらに水を使うわけだが(約40L)、ここまで少ないとは驚きだ。

 中を覗き込んでも水はほとんど入っておらず、ドラムの底にある洗濯物が僅かに浸っているほど。上に積まれている洗濯物は乾いたままなのか? と思っていたら、上部から洗剤が溶けた水をシャワー状に吹きかけはじめた。こんな芸当まで持っているとは……ザブーンスゲー! ドラム式洗濯機スゲー!(笑)

22L入れてあった水は12Lまで減ったので、洗濯に使う水は10Lだ。ちなみにすすぎでは、40Lほど使うようだ
洗濯運転を一時中止して、どのぐらいの水が入っているかを確認したところ、たったのコレだけ!上のほうの洗濯物がぜんぜん濡れないじゃん! と思っていたら、上部からシャワーのように洗濯物全体に洗濯洗剤水を噴射しはじめた

 洗濯中の洗い方を観察してみると、3パターンの動きがあることに気づいた。叩き洗い、揉み洗い、押し洗いの3パターンだ。

(1)叩き洗い

 ドラムを180度回転させては、停止を繰り返すのが叩き洗いだ。洗濯物はドラムの動きに合わせて上部まで持ち上がり、ドラムが止まると落下を繰り返す。例えて言うなら、川で洗濯する際に、洗濯物を石に叩きつけるような感じだろうか。もっとも、洗濯機はそれよりもソフトだ。

(2)揉み洗い

 ドラムゆっくりと回転させるパターンが揉み洗いだ。洗濯物はごろごろと左右に転がったり、洗濯物同士が折り重なったりして、それぞれがそれぞれを揉むような感じだ。この運転時間が一番長く、基本の動作らしい。逆に、頑固な汚れを落とす運転モードでは、叩き洗いの回数を増やしているようだ。

(3)押し洗い

 3つめのパターンは、ドラムを早く回して洗濯物を遠心力でドラム側面に押し付ける洗い方だ。おそらく押し洗いに相当するのだろう。

 一方の縦型洗濯機は、水流で洗濯物同士を擦り合わせて洗うのが恐らく基本となっているので、汚れの質による落ち方の違いなどがありそうだ。これについては、実験レポートを後日お届けしよう。


「ドラム式洗濯機はスタートすると洗濯物を追加できない」って本当?

 話が本題から逸れるが、この前奥さんの友達からこんな話を聞いた。「ドラム式の洗濯機は、スタートすると洗濯が終わるまでドアがロックされるので、あとから靴下1足を入れることができないから不便」という。こんなことから、ドラム式を買い控えしているなんていうヒトも中にはいるみたいだ。

 確かに横やドラム式の洗濯機が出はじめた当初は、いったんスタートすると洗濯が終わるまでドアロックされて、追加の洗濯物を入れられない機種もあったようだ。しかしこのザブーンでは、運転を一時中止して、靴下などを追加投入することは簡単にできるので、安心していただきたい。

ザブーンも洗濯中に一時停止してドアを開け、発掘された洗濯物を追加投入できるようになっている。


すすぎ運転は心地よい電車のモーター音。わずかだが縦揺れを感じる

これがザブーンの心臓部「ACTIVE S-DDモーター」。電車のモーターのような音がする。写真は発表会当時のもの

 洗濯を終えるとすすぎに入るが、これも上部のシャワーと併用してかなり少ない水で行なっている様子だ。東芝のデータによれば、9kgの洗濯で使う水の量は65Lという。これは7年前に買った洗濯機が洗いで注水する水の量とほぼ同じ。これですすぎまでやってのけるとは、何という節水っぷり!

 ここで特長的なのは、すすぎの運転音だ。ドラムを低回転から徐々に高回転にして軽く脱水するが、その音が電車が駅から出発するモーター音そのもの。また、減速時にも電車の音が!

 鉄道ファンにとって心地よいこの音は、ザブーンに搭載された世界初の可変磁力モーター「ACTIVE S-DDモーター」が奏でる音色だ。

 これまでのモーターはトルク(力)重視か回転数重視かで個別モータを使い分けるしかなかったが、ACTIVE S-DDモーターは内蔵されている磁石の力を切り替えることで、1つのモーターで高いトルクと高回転をともにやってのけてしまうというものだ。

 発車時には高トルク、高速運転には高回転が必要な電車のモーターそのものといった感じだ。また回転数の制御には、省エネに最適なインバータ制御を使い、これまた電車と同じしくみ。こんな技術の塊なので、洗濯機から電車の音がしてもおかしくないのだ。 (モーター音は→motor.mp3をクリックしてください)

 このモーターについて詳しく知りたい場合は、「東芝の洗濯機が洗浄力と省エネを両立できる理由」を読んで欲しい。

 すすぎが終わり、脱水運転に切り替わると、縦型洗濯機では体験したことのない揺れを感じた。微妙ではあるが、床が上下に振動している。縦型洗濯機はドラムが立っているので、脱水時にドラムを高速回転させても左右に揺れるだけ。床が上下に震えるのは、ドラム式特有の現象だ。なにせ本体重量だけで80kgもある洗濯機だけに、濡れた洗濯物をドラムで上下に高速回転させれば、細かい揺れが起きてもおかしくはない。

試しにコップに水を入れて脱水運転してみたが、水面が揺れるほどではなかった。後日、“新兵器”を使って揺れを測定してみよう

 とはいえ、コップに水を入れて脱水運転したが、水面が揺れるほどの振動はなかった。もう少し観察する必要があるようなので、次回以降に実験結果を追ってレポートすることにしよう。また今回はフルオートの洗濯を選んだが、夜間に静かに洗うモードも搭載されているので、これで振動が抑えられるかも調査してみたい。


乾燥時間の短さにビックリ! 乾燥後スグ取り出せるのも◎

 乾燥運転だが「ヒートポンプ式の乾燥は電気代が安い」と店頭やカタログでも大々的にうたわれている。しかし従来型の電熱線(ヒーター)方式に比べると、カタログにもうたわれていない長所がたくさんある。

(1)乾燥運転が終わるとすぐに洗濯物を取り出せる

 ヒーター式の乾燥で厄介なのは、運転が終わったにもかかわらず、取り出し口のドアロックがかかってなかなか取り出せない点。これはドラム内と洗濯物が高温(運転中は一般的に100℃近く)になっているので、やけどをしないようという配慮だ。しかし、別の部屋にある2003年製の縦型洗濯乾燥機(ヒーター式)の場合、乾燥が終わったのに1時間も洗濯物が取り出せないなんてこともあった。また取り出した洗濯物は、ファンヒーターの前に置いてあったようにホカホカに温まっている(むしろ熱い?)ので、夏場は一旦冷ます必要がある。

 でもヒートポンプ式の乾燥なら、乾燥運転が終わったらすぐに洗濯物を取り出せる。しかも、洗濯物はそれほど熱を持っていない。室温と同じとまではいかないが、外で干した洗濯物を取り込んだほんわか暖かいレベルなのだ。

(2)部屋がジメジメしない

 ヒーター式の洗濯乾燥機は、熱を使っているため室内の温度も高くなり、外気との寒暖差で窓が結露してしまう。そのため、最近の洗濯乾燥機は、室内に湿気や熱を排出しないように工夫されているようだ。

 ヒートポンプ式の洗濯乾燥機は、湿気を水分として洗濯機の中で回収し、排水口に流すようにしている。エアコンのような機構なのだ。そのため、部屋がジメジメすることもなく、室温が上がることもない。

 ここで、先に挙げた別の部屋にある縦型洗濯乾燥機と、今回購入したザブーンで、乾燥運転による部屋の温度と湿度を比較してみよう。

別の部屋に縦型洗濯乾燥機があるので、ザブーンとの温度・湿度の変化を見てみよう。メーカーは日立。2003年製で、今年で9年目に突入したことになる。この部屋はザブーンを置いてある部屋よりも少し広いこちらはザブーンの置いてある部屋。生活観みなぎる汚い部屋でございます……
古い縦型洗濯乾燥機と、ザブーンとの温度・湿度の変化。温度差はさほどみられなかったが、湿度に大きな違いがある(筆者調べ)。また、乾燥時間も非常に短い

 このグラフから分かるとおり、ヒーター式の縦型洗濯乾燥機では湿度が大きく変化しているのがわかる。運転開始前は55%だった湿度は、1時間半を過ぎると70%以上と、15%上昇。窓は結露し真っ白に曇ってしまった。

 一方ザブーンは、運転開始の55%に比べると、わずか5%の上昇に過ぎない。もちろん窓が結露することもなかった。

 なにより驚いたのは、乾燥時間の短さだ。今まで使っていたヒーター式洗濯乾燥機は、自動モードで運転するとおよそ3時間ほどかかっていた。生地によっては、それでも生乾きなんてことがあったので、常に「念入り乾燥モード」を使用し、毎回4時間近くもかかっていた。

 しかしザブーンのヒートポンプ式乾燥は、およそ2時間でどんな生地もしっかり乾燥しているのには驚いた。しかも、消費電力も少ないときている。乾燥機能を頻繁に使う場合は、ヒートポンプ式をぜひおすすめしたい。

 細かいことを言うと、「ブーン」という運転音がやや気になった。ザブーンの場合、乾燥中にわずかにブーンというコンプレッサの音が聞こえてくる。エアコンの室外機に比べたらほとんど誤差レベルの音だが、ヒーター式にはコンプレッサなどないので、基本的には無音だ。とはいえ、このブーン音は、まるで時計の針の音のように、だんだんと気にならなくなったので、あまり気にしすぎることはないかもしれない。


実は電気代節約にめちゃくちゃ貢献――乾燥方式でよく聞く「ヒートポンプ式」って何?

 さて、ここまで「ヒートポンプ式の洗濯乾燥機は電気代が安い」ということをたびたび指摘してきたが、なぜ電気代が安いのかについてはスルーしてきた。Webページでヒートポンプを検索してみても、ヒットするのはエアコンや給湯器ぐらいだ。ここからは、言葉ばかりだけが一人歩きしてしまっている洗濯乾燥機のヒートポンプ機構について説明しよう。

 まず一番大切なのが、ヒートポンプは乾燥運転に使われる機能という点。洗濯や脱水工程には一切関係ない。そのため、乾燥機能は一切使わないという場合は、ヒートポンプ式の洗濯乾燥機を購入しても、基本的に電気代は安くならない。「電気代が安くなる」というのは、あくまで乾燥機能を使う場合での比較での話だ。

 なので、もっと正確に言えば「ヒートポンプ式乾燥は、ヒーター式乾燥に比べ、電気代が安い」ということになる。

 じゃあ、なぜヒートポンプ式は電気代が安く済むのかというと、それは効率良く衣類を乾燥しているからだ。

 暖房に例えると、従来のヒーター式は電気ストーブを使った暖房、ヒートポンプ式はエアコンとなる。従来のヒーター式では、熱で洗濯物を加熱し乾燥させるというやり方。しかしヒートポンプ式は、乾燥した温風を洗濯物に当て、湿った空気を除湿することで、再び乾燥した空気を送り込む、というやり方なのだ。

ザブーンの熱交換器の仕組み(東芝のWebページの画像に、筆者が一部を加筆した)。熱くなった熱交換器から、温風がドラム内に送り込まれ、湿った洗濯物から水分を奪い取る。湿った空気は、冷たい熱交換器に送られ、熱交換器の表面で結露が起こり、水滴が発生。水滴は排水口に流れ、除湿された空気はカラカラに乾燥する。乾燥した空気は、熱くなった熱交換器に送られ、乾燥した温風となりドラム内に送られる。以降、これが繰り返される

 ヒートポンプ式洗濯乾燥機の中には、エアコンに搭載されているような熱交換器が搭載されている。熱交換器とは熱を上げたり下げたりするための装置のこと。本体内には、空気を冷却し除湿をするための熱交換器と、空気を温めるための熱交換器が並んで収められている。ドラムから送られた空気は、最初の熱交換器で冷却・除湿され、次の熱交換器で温められる。乾いた温風は再びドラムへと送られ、洗濯物の乾燥に使用される。その後、湿気を含んだ空気は、再び最初の熱交換器へ送られる。これを循環することで、ヒーターを使わなくても、効率よく洗濯物を乾かせるのだ。

 もしかすると、片方の熱交換器を加熱し、片方を冷却するなら、ドライヤーの倍のエネルギーが必要じゃないの? と思う人もいるかもしれない。しかし、このヒートポンプシステムで電気が必要なのは、本体内のコンプレッサ(圧縮機)という装置を動かすためのモーターだけ。コンプレッサは、熱交換器を温めたり冷やしたりするガス「冷媒」を循環するための装置で、これを動かせば、片方の熱交換器が冷たく、もう片方が熱くなる。コンプレッサーのモーターは数百Wで回せるので、ドライヤーのように千数Wの電力も必要がないのである。

 また、洗濯物に与えるダメージも少ないのもヒートポンプ式の特長となる。ヒートポンプ式の乾燥は、乾いた温風に水分を吸収させるというアプローチなので、言ってみればベランダに洗濯物を干すのと同じ。熱に頼らない乾燥なので、運転終了と同時に洗濯物が取り出せるというわけだ。温風もおよそ70℃と比較的低いため、生地の傷みも少ない。

 一方のヒーター式は、水分を熱で蒸発させるアプローチだ。言ってみれば、ドライヤーで乾かすのと一緒。そのため消費電力は高く、またドラムが高温となるため、これを冷却するために運転後になかなかドアロックが解除されない原因となる。さらに、熱を使うため、衣服のプリントやゴム、生地を痛めてしまう要因にもなるのだ。


ランニングコストの安さはとにかく魅力。5~6年もすれば元は取れちゃう

 今回は縦型洗濯機からドラム式への買い替えのポイントと、ザブーンの大まかな特長、それにヒートポンプ式の乾燥についてをまとめた。ここまでで言えることは、10年近く縦型洗濯乾燥機を使っているなら、ザブーンのようなドラム洗濯機をおすすめしたい。ランニングコストが安く済むからだ。

 以前使っていた縦型洗濯洗濯機が1年間に使う水の量と電気代を計算すると、およそ6万円。ザブーンに乗り換えれば、1年間のコストは1万6,000円となり、その差なんと4万4,000円。ザブーンの現在の実売価格はおよそ20万円台なので、5~6年も使えば十分に元が取れるというものだ。

 こんなことなら、古い洗濯機を延命させて使うんじゃなかった……。今回の買い物は奥さんに感謝!である。


 次回は、色んな布に頑固な汚れを付けて、縦型洗濯機とサブーンの汚れ落とし対決をさせてみよう。また洗濯時の音についても調べてみたい。そして技術嗜好の読者には、3次元加速度センサーを使った床の振動データをオシロスコープのグラフでお届けしよう!



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2011年1月12日 00:00