長期レビュー

東芝「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100」その4

~アクティブサスペンションでドラム式の弱点を克服!
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



今日もエラーなしで洗濯~乾燥をしてくれたザブーン。その秘密は、アクティブサスペンションという機構にあるらしい

 東芝のドラム式洗濯乾燥機「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100」について、これまでの連載では、洗い時に使う水はたったの10Lという経済性から、乾燥の素早さ、ガンコな泥汚れを真っ白にしてしまう洗浄力などを紹介してきた。運転音の大きさも、タイマーを活用すれば近所迷惑になることもない。

 そしてタイマー運転でも確実に洗濯物が仕上がることを可能にしているのが、ザブーンの“エラーフリー運転”だ。すでに2カ月ほど使っているザブーンだが、洗濯物が多かろうと、少なかろうとエラーを起こしたことは1回もないのだ。

 そこで4回目では、ザブーンに搭載されているテクノロジーをテーマに取り上げよう。そこには、スポーツカーや新幹線の走りを支えている「アクティブサスペンション」や、ハイテク素材として注目されている「磁性流体」といった、洗濯機では世界ではじめて搭載したというテクノロジーがある。これがサブーンの性能やエラーフリー運転に大きくかかわっているのだ。

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洗濯機では世界初となる「アクティブサスペンション」を搭載……って、何?

ザブーンのWebページに掲載されていた内部構造図。左右に配された2本のサスペンションでドラムの重量を支えつつ、振動を抑えるようにしている

 まず紹介したいのが、ドラム式洗濯乾燥機では世界で初めて搭載されたという「アクティブサスペンション」だ。これはすすぎや脱水時の振動の抑制、そして洗浄力の向上にも一役買っているという。

 サスペンションとは、揺れを押さえる装置のこと。車好きの人ならお馴染みの装置だ。例えば、車のボンネットをグッっと押さえ込むと、少し車体が沈むが、手を離せば元に戻る。これがサスペンションの効果だ。単純なバネだけの動きとは少し違って、急に手を離しても揺れることはなく、すばやく元の位置に戻って止まる点が特徴。ドラム式洗濯乾燥機でも、揺れを抑えるために、ドラム下部にサスペンションを搭載している。

 サブーンのサスペンションは「アクティブ」な点が特徴だ。普通のサスペンションならほとんどの乗用車に使われているが、アクティブサスペンションを使っているいるのは、スポーツカーや高級車だけ。しかも、コンピュータで制御する「アクティブ」ではなく、重力や遠心力などの自然の原理を利用する「セミアクティブ」が主流となっている。

 このアクティブサスペンションをカンタンに言いうと“賢いサスペンション”。例えば車だと、街乗りではサスペンションをやわらかくして乗り心地よく走り、高速道路ではサスペンションを硬くしてタイヤが路面をしっかり捉えるようにする。硬さを“アクティブ”に変え、変化する状況に積極的に対応するというものだ。

 サブーンのアクティブサスペンションも、基本的には車とほぼ同じ機能をする。洗い中はドラムを左右に回転させるので揺れが生じるが、ここではサスペンションを柔らかくして、ドラムの振動を押さえつつ、強力にドラムを回す。一方、ドラムを高速で回転させるすすぎや脱水運転では、サスペンションを硬くして、高速回転するドラムをしっかり支持するようになっている。

 アクティブサスペンションは、言わばザブーンの「縁の下の力持ち」のような存在。しかし悲しいかな、決して表に出ることはない。“磁性流体”というハイテクな素材も使っているのだが、最新技術ということもあって、さらに理解されにくい(磁性流体については後述)。これが注目の機能としてスポットライトを浴びることは、ほとんどないのが現状だ。

 しかし、その境遇が筆者の触手を激しく刺激した! アクティブサスペンションについて、ここからさらに詳しく解説していこう。

これは自動車のサスペンション。「高級外車はサスがいい」なんて言われており、乗り心地を左右する要の部品だ。バネと衝撃を緩めるショックアブソーバ(緩衝装置)でできている新幹線には走行性と乗り心地を改善するために、グリーン車や先頭車両などの台車にアクティブサスペンション(残念ながら外からは見えない)を搭載。車両間の隙間には、加減速時にガタつきを抑えるショックアブソーバ(写真)を搭載して、営業最高時速300km/hという運転をしている

固まったり柔らかくなる不思議な液体「MR流体」が、ドラムの衝撃を緩和

 ここからはザブーンのアクティブサスペンションにより詳しく迫っていこう。

 まず、普通のサスペンションがどのような機構になっているかというと、ショックアブソーバ(緩衝装置のこと。ダンパーとも言う)、バネといったパーツで構成されている。

 ショックアブソーバの中にはピストンが入っていて、ちょうど注射器のピストンに穴を開けたような構造だ。一方、注射器の中(シリンダ)には、ショックを和らげるオイルなどの液体が入っている。

 ここでピストンを押し込むと、小さい穴から徐々にオイルが漏れ、衝撃を和らげるわけだ。この穴から漏れるオイルの感触は、車でカンタンに実験できる。ボンネットをグーッっと徐々に押し込んだ場合と、小刻みにグッ! グッ! と何回か押した場合の、車の沈み具合さがそれ。ゆっくり押し込むとオイルが徐々に漏れるので深く沈み、小刻みに押すとオイルの抵抗であまり車は沈まないのがわかるはず。つまりサスペンションは、オイルが穴を通るときの抵抗を利用してクッションをつけているわけだ。

 したがってピストンの穴が大きければ大きいほど、抵抗が減りピストンは軽く動くので、バネのクッションは柔らかくなり、逆に、小さければ小さいほど硬くなる。なので、サスペンションは穴の大きさを変化させることで硬さを調節するものがスタンダードだ。

 が! 東芝の採用しているアクティブサスペンションは、アプローチが正反対。穴の大きさは同じまま、オイルの硬さを変えようという方法だ。穴が同じ大きさでも、中に入っているオイルが“サラサラ”なら柔らかくなり、“ドロドロ”なら硬くなる。水鉄砲で例えるなら、前者は水、後者はマヨネーズのような感じだ。

サスペンションは、注射器のようなピストンとシリンダでできたショックアブソーバ(緩衝装置)、バネで構成されている。オイルが通るピストン内部の穴が小さいと硬くなり、穴が大きいと柔らかくなる東芝のアクティブサスペンションのアプローチは、穴の大きさは一定で、オイルの硬さを変えることで、硬くしたり柔らかくしたりする

 でも、硬さの異なるオイルをイチイチ入れ替えるなんてのは、洗濯機には無理な話。そこで東芝が目を付けたのが、オイルの硬さを簡単に変えられてしまうハイテク素材「磁性流体」なのだ。

 この磁性流体については、メーカーであるシグマハイケミカルさんにお邪魔して実験・インタビューした内容とあわせて紹介しよう。

 磁性流体とは、普段は使い古したサラサラのオイルのような見た目だが、ビーカーの下に磁石を置くとトゲトゲになる。非常に奇妙な液体だが、このオイルは磁石にくっつく性質があるためだ。

写真が磁性流体。磁石がなければ、普通のオイルにしか見えないビーカーの下に磁石を置くと、液体が磁石にくっついてトゲトゲになる! これが磁性流体だ筆者が誤ってビーカーの中に磁石を落としてしまったら、磁性流体はすべて磁石にくっついてしまい大変なコトに。ごめんなさい!シグマハイケミカルさん!

 シグマハイケミカル取締役の大野さんによれば「トゲトゲの方向は砂鉄と磁石でおなじみの磁力線(N極からS極に向かう磁石の力)の向きになっています」という。写真で分かるとおり、磁石の中央部ではトゲが天を向き、外周では横向きになっているのが分かるだろう。

 「実はこの液体の中には、ものすごく細かくて球体になった砂鉄(酸化鉄)の仲間が溶けているんです。どのぐらい小さいかというと、0.00001mm(1mmの10万分の1)。あまりにも微細なのでオイルに均一に混ざり分離することがないんです」(大野さん)

 この磁性流体は、テレビの科学番組などで見たことがある読者もいると思う。しかしこれだと、磁石に近づけてもそれほど硬くならず、見た目も液体のままで、サスペンションには使えない。で、より硬くなる磁性流体が、次に紹介する「MR流体」だ。こんなねずみ色の磁性流体を見たヒトはおそらく少ないだろう。

このねずみ色の液がMR流体だ。普段はサラサラ。プラモデル用のラッカーのようだ(分かりにくいか……)磁石を近づけると、びしっ! と固まり、半固形状になる。トゲも先の磁性流体よりとがっているのが特徴的

 このMR流体、磁石を近づけないときはペンキほどのサラサラの液体だが、磁石つけるとビシッ! と固まる。しかも、お皿を逆さまにしてもこぼれないから不思議。指で触った感触を例えるなら、10分ほど部屋に出しておいたマーガリン、もしくは自動車用の半練りワックスのようだ。でも磁石を離すと再びサラサラに。大野氏曰く「これは先ほどの磁性流体の酸化鉄とは違って、“鉄の微粒子”なんです。だから色も鉄のようなメタリックグレーをしてるんですよ。粒子の大きさもちょっと大きくて2~3μm(0.002~3mm)なんです」とのこと。

 このMR流体を、小さな穴を開けた注射器(ピストン)に入れてやれば、簡易版アクティブサスペンションのできあがり。磁石をつけないときは液体なので、ピストンは軽く押し込めやわらかいサスペンションになり、磁石をつけると半固体になるので、ピストンは硬く押し込めないぐらい硬いサスペンションになる。

 MR流体の色でピストンの位置が分かりにくいので、注射器を連結した実験も行なった。何もしない状態では、片方のピストンを押すと、もう片方のピストンが動くが、連結部分に磁石を近づけるとピストンはビクともしなくなる。この磁石を電磁石に変えてやれば、コンピュータで硬くしたり柔らかくするのも自由自在というわけだ。

磁石が離れているときは、ピストンは軽く押し込める磁石を近づけるとMR流体が固まり、ピストンが押し込めない
注射器の先をチューブで連結したもの。片方を押せば、もう片方のピストンは押し出されるチューブに磁石を近づけるとMR流体は固まり、ピストンを押し込めなくなる

 このように磁性流体の中でも珍しいMR流体を使ったのが東芝のアクティブサスペンションであり、サブーンの心臓部となっている。

 なおこの面白く不思議な液体は、取材先のシグマハイケミカル社から通販で個人購入もできる。メカや科学好きの読者は、ぜひ遊んでみてもらいたい。そこから応用品のアイディアが思いついて、一攫千金になるかも!

取材先:株式会社シグマハイケミカル
サンプル販売ページはこちらから

 

実際どれだけ揺れる? 脱水時の本体と床の振動を見る

 これらのハイテクノロジーを取り入れた効果について、実際の運転のようすで見てみよう。まずは、振動だ。

 洗い運転などドラムを低回転で動作させているときには、まったく床が揺れることはない。しかし、ドラムを高速回転する脱水やすすぎの一部工程では、床に振動が伝わってしまう。理由としては、サスペンションが硬くなっていることや、洗濯物の偏り、高回転型モーターなどの影響が考えられる。

 連載第1回でも、初めて使った感想として「脱水時に床が小刻みに揺れる」と紹介したが、水を張ったコップを床に置いたくらいでは、波打つことはなかった。なんともビミョーなところだが、これはいったいどのくらいの揺れなのだろうか?

 それを調べるべく、秋葉原に行って3次元加速度センサー(前後左右、上下の揺れを電子の目で見る部品)を買って、家にあるオシロスコープと合わせて、測定器を自作してみた。やりだしたらトコトンやるのが筆者だ(笑)。

振動の測定風景。筆者からすると、まず買い換えたいのは洗濯機よりオシロスコープなのだが、編集部にバレるとアレなので黙っておこう床にガムテープでつけてあるのがセンサー部分で、手前は付属回路。ここでは床の上下の振動を測定しているところ

 まずは、サブーン本体がどれだけ揺れるのかを、上下/左右/前後の3方向で計測してみよう。結果は以下の写真の通りだ。

 なお、これらはすべて脱水時のものだが、洗濯時に関しては、ほとんど揺れが発生しないため、計測不能だった。洗濯時に限っては、本体にしろ床にしろ、揺れを心配する必要はほとんどないと言って良いだろう。

ザブーン本体の左右の揺れを表わしたオシロスコープの画面。縦に伸びるほど揺れの力が強くなる。ちなみにGは揺れの力、Secは1秒、mSecは1/1,000秒のこと。「回」は揺れの回数を表す

 オシロスコープで本体左右の振動を計測した結果は、左の写真の通りだ。とはいっても、オシロスコープを見慣れている読者は少ないと思うので、ここで少し見方の説明をしておこう。まず横軸は、時間を示していて1マスが20mSec(ミリ秒)を示している。1mSecは1秒の1/1000なので、20mSecは0.02秒となり、左端から右端までは0.2秒の揺れをが示されている。

 一方縦軸は、ゼロGを中心に上に向かうほど右側への大きな揺れとなり、下に向かうと左側への大きな揺れとなる。つまりグラフの山と谷の高さがあればあるほど激しい揺れということだ。なおGは重力や揺れ(加速度)、衝撃の強さを示す単位で、電車が加減速すると体が進行方向などに持って行かれたり、カーブで左右に振られたりする力を示す。ゼロGは無重力を示すが、ここでは宇宙空間というワケではなく、右にも左にもまったく揺れていない状態を表す。

 こんな予備知識を頭の隅に置いて先のグラフを見直すと、最大で右に0.32G程度、左に0.4Gの揺れがあり、0.065秒ごとのサイクルで繰り返されていると読み取れる。飛行機が離陸するとき、体が座席に押し付けられるあの感覚がおおよそ0.2~0.5Gなので、それが毎秒15回繰り返されていると思えば、振動の激しさが分かりやすいだろう(ただし、洗濯機は衝撃のGに近いので、離陸時の加速のGとは厳密には異なる)。

 前後と上下の揺れについては、以下の写真の通り。運転中の洗濯機は、端から見ていると、左右と上下にしか振動していないように思えるが、実は前後にもにも揺れているらしい。筆者もはじめて知った豆知識だ(笑)。

 

次は前後の揺れ。左右と同様、1秒間に揺れが15回発生している最後は上下の揺れ。こちらは1秒間に20回の揺れが発生

 ここまでは本体の揺れを計測したが、ザブーン本体自体が揺れるのは言ってみれば当たり前。それが床に伝わっているか否かが問題だ。次に、少量の洗濯物を入れた場合における、脱水時の床の揺れを計測した。

 結果は下のグラフの通り。先ほど紹介したグラフとは、スケールが違っている点に注意して欲しい。洗濯機自体は、先のグラフは上下に0.3Gで揺れていたが、床に伝わる振動は、およそ1/10の0.04Gにまで抑えられている。アクティブサスペンションのおかげだろう。

 0.04Gという衝撃は、床を軽くノックする程度の軽いものだが、0.045秒ごとに1回(1秒当たり約22回の揺れ)という速さで揺れているので、体感できるほどになるのだろう。なおグラフの頂点(ピーク)と頂点の間は0.045秒(=45mSec)となっているが、これはドラムがちょうど1回転したことを示している。したがってドラムは毎分1,333回転していることも、このグラフから読み取れるのだ。

まずは洗濯物が少ない場合の揺れを計測してみる高性能モーターは毎分1,333回転と高速。軽く床をノックする程度の振動が続く

 次に、ドラム式の洗濯機が苦手とする「お風呂マット1枚」の脱水における、床の振動をチェックしよう。吸水性がよいので重くなり、1枚だけだと偏ってしまうので、よく偏りエラーで洗濯機が止まってしまったりする。

 しかしサブーンは、まったくエラーを起こすことなく脱水を終える。途中2回ほど偏りを直す動作を見せたが、アクティブサスペンションを硬くして、しっかりドラムを支えていることもあって、ドラムを高速回転させてもエラーが起きないのだろう。凄いぞサブーン! スゲーよアクティブサスペンション!

 このときの振動は、少量の洗濯ものより0.1G高い0.5Gをマーク。先のグラフより山がとがっているのは、それだけ偏っていることを示しているためと思われる。

ドラム式が苦手とするバスマット1枚の脱水。途中で2回ほど偏りを直す動作を見せたが、エラーになることなく脱水が完了した振動は少量の洗濯物より0.1G高いほどで、それほどバタ付かない。アクティブサスペンションってスゴイな――

 最後に、洗濯物を限界の6kgまで詰め込んでみたら、0.07~0.08Gまで揺れた(脱水時)。この揺れは、床を強くノックするのと同じ。目安は電車が発車するときに体を持っていかれる力と同程度だろう。ただ今までと違うのは、回転数をかなり下げている点。グラフのピークからピークまでは0.068秒(1秒当たり15回の揺れ)となり、計算上ドラムは毎分882回転ということになる。

限界の6kgまで洗濯物を詰め込んでトライ最高で0.7Gをマークしたほか、回転数を下げて運転していることが分かった

 比較対象として、パナソニックのななめドラム式洗濯乾燥機(2005年製の「NA-VR1000」)の揺れを測ってみると、ザブーンよりも揺れないようだ。

 まず本体自体の揺れで比較てみよう。グラフの比較で注意して欲しいのは、サブーンのグラフは最大値が±0.5Gだったが、このグラフはその半分の±0.25Gになっている点だ。山の高さが同じに見えても、Gは半分になっている。

 グラフから読み取れるのは、左右に0.2G、前後と上下には0.1G(洗濯物は少量)と、サブーンに比べると揺れが少ないことが分かる。

パナソニックの2005年製ななめドラム式洗濯乾燥機でも、揺れを計測してみた。写真は本体における、左右の揺れのグラフ。ザブーンと比べると少ない本体前後の揺れ本体上下の揺れ
こちらは脱水運転した場合の床の揺れ具合。ピークでも0.3Gほどこちらはザブーンの床の揺れ具合。左のグラフとスケールは同じ。やはり揺れが大きいようだ。なお、グラフ中の「RPM」とは、1分間のドラムの回転数を表している

 ……と調査したところで言うのもなんだが、揺れ具合は設置状況によって変わるため、単純に比較できそうにないことが後で分かった。というのも、パナソニック製の洗濯乾燥機は、近所のお宅のマンションに設置されているもので、洗濯機置き場の床がコンクリートだったのだ。かたやサブーンを設置している我が家の床は、梁にALC(発泡コンクリート材)を渡した床なので、コンクリートと比べると、揺れが発生しやすい状況にあるといえる。

 ドラム式洗濯乾燥機の場合は、本体自体が重いため、振動の強弱は床の構造に大きく左右されるようだ。とにかく振動を抑えたい場合は、洗濯機本体に加えて、設置場所の構造にも目を向けるのが良いだろう。

まとめ:ザブーンのエラーフリー運転の陰には、アクティブサスペンションあり!

  今回は、ザブーンに搭載されるも、外から見えないために謎が多かったアクティブサスペンションとそれを支えるMR流体にフォーカスして、実際の運転でどのよに縁の下の力持ちを演じているかを調べてみた。

 一般的なドラム洗濯乾燥機と大きく異なるのは、バスマット1枚といった偏りやすい洗濯物でも、アクティブサスペンションがしっかりドラムを支えるため、ほとんどエラーを起こさないという点だ。これはサスペンションの硬さを変えられない一般的なドラム式洗濯乾燥機にはできない芸当だろう。かたや洗い運転ではサスペンションをやわらかくするため、より強力にドラムを動かしても揺れはまったく感じられない。

 難点はサスペンションを硬くする脱水時には、高速回転する高性能モーターの影響もあり、床に伝わる振動が大きいという点がある。しかし振動は、住宅の構造にも大きく左右されるようなので、設置場所で改善できる場合もあるようだ。

 鉄筋コンクリート製のマンションやアパート、一戸建て住宅にお住まいであれば、揺れ以上にエラーフリー運転が重宝する洗濯乾燥機としておすすめしたい。

次回予告

 4回も続いたこの連載だが、まだまだ紹介しきれない部分が多いので、次の第5回目を最終回とさせていただく。今度は「ニオイまで洗濯してしまう」というザブーンの除菌・脱臭機能を紹介し、さらにメンテナンス性やエコ性能、子供でもお手伝いできる使い易さという点にも焦点を当てよう。



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2011年2月2日 00:00