東芝、“省エネNo.1”のドラム洗濯乾燥機「ZABOON」
TW-Z9000(ピュアホワイト) |
東芝ホームアプライアンスは、ドラム型式洗濯乾燥機の新モデルとして「TW-Z9000」「TW-Z8000」「TW-G500」の3機種を発表した。本シリーズより「ZABOON(ザブーン)」という新しいペットネームが与えられている。
TW-Z9000とTW-Z8000は乾燥機にヒートポンプを、TW-G500は乾燥機にヒーターを用いる。TW-Z9000のみ、ピコイオン除菌機能が内蔵されている。価格はいずれもオープンプライスだが、予想店頭価格は、TW-Z9000が31万円前後、TW-Z8000が27万円前後、TW-G500が21万円前後。発売はTW-Z9000とTW-Z8000が11月中旬で、TW-G500が10月中旬。それぞれ扉の右開き・左開きのモデルが用意される。
TW-Z9000(プラチナベージュ) | TW-Z8000(ピュアホワイト) | TW-G500(ピュアホワイト) |
■ドラム回転に世界初の可変特性のモーターを採用
ACTIVE S-DDモーターのカットモデル |
今回発表された製品には、世界で初めて「ACTIVE S-DDモーター」を搭載している。ACTIVE S-DDモーターとは、ダイレクトドライブモーターの一種で、ローター側48個の永久磁石のうち、6個を磁力が変えられるサマリウムコバルト磁石とすることで、モーターの特性を動的に変えられるようになっている。
洗濯機のドラムを回すモーターは一般的に、ドラムの回転・停止がある「洗い」のときにはトルクが求められ、逆に「脱水」のときにはトルクは必要なく高回転が求められる。本製品のACTIVE S-DDモーターでは、それぞれの運転時にモーターの特性を最適化することで、性能の向上と低消費電力化を図っている。
たとえばACTIVE S-DDモーターにより、低速回転時の最大トルクが従来比で約20%向上するため、「洗い」時のドラムの回転・停止動作が効率的になる。また、脱水時は従来比で約40%向上した毎分約1,700回転で運転しつつも、従来比で最大約16%の節電にもなっている。
洗濯機のドラムを回転するには、洗いと脱水でモーターに必要な特性が異なる | ACTIVE S-DDでは、外側の永久磁石に可変磁石を混ぜる | これにより、洗い/脱水時の効率がアップした |
サマリウムコバルト磁石とネオジム磁石 |
ACTIVE S-DDモーターに使われているサマリウムコバルト磁石は、外部から磁力をかけることで着磁・消磁できる特性を持った永久磁石の一種。原理的にはローター側の永久磁石の半分をサマリウムコバルト磁石にすると、モーター特性の変化を最大にできるが、コストなどの問題から今回は48個中6個のみにサマリウムコバルト磁石が使われているという。ほかの永久磁石には、従来モデル同様にネオジム磁石が使われている。
東芝によると、同モーターのように動的に特性が変えられるダイレクトドライブモーターの商品化は、今回の洗濯乾燥機が世界初としている。他の分野でのACTIVE S-DDモーターの採用は未定だが、このような特性を変えられるモーターが有利な分野としては、家電以外には交通分野などが挙げられるという。
■省エネスペックでナンバーワンとなる「洗濯~乾燥、760Wh」
ヒートポンプユニット部 |
乾燥には、上位機種となるTW-Z9000とTW-Z8000でヒートポンプを採用しており、冷媒の圧力をコントロールする「PMV制御」も備えている。従来は圧力と温度の両方をコンプレッサーだけでコントロールしていたが、圧力をPMV(Pulse Motor Valve)機構で制御することで、コンプレッサーを余分に動かす必要がなくなるという。
PMV制御は前年のモデルから導入されているが、前年のモデルで搭載されていたエアコン機能は省かれ、その分、コンプレッサーなどヒートポンプが小型化され、本体全体も小さくなっている。また、ACTIVE S-DDモーターにより脱水能力が向上したことで、乾燥工程の負担が軽減し、この結果、乾燥工程の省電力化も図られている。
ヒートポンプの冷媒循環路中にPMV制御が備えられている | 消費電力の少ないヒートポンプ除湿乾燥をPMVでさらに省エネに |
ACTIVE S-DDモーターによる洗濯行程の高効率化と乾燥工程の負担軽減により、TW-Z9000では洗濯~乾燥の消費電力量は約760Whとなっていて、東芝では「業界ナンバーワン」としている。ちなみに昨年モデルのTW-5000VFは約980Whで、約20%が削減された。ちなみに約4年前のヒータータイプの機種だと約3,000Wh、一体化されていない7年前の洗濯機と乾燥機では合計約5,540Whで、買い換えの対象となる古い機種からは大幅に省電力化が図られているとしている。
また、電力、水、洗剤のトータルコストで考えると、使用する水の量が多い縦型の洗濯機と比べても有利となっていて、同社の9kgタイプの縦型洗濯機(AW-90GF)が洗濯工程のみで約55円かかるのに対し、TW-Z9000では洗濯と乾燥の両工程を含めて約44円としている。
ただし乾燥にヒーターを使うTW-G500に関しては、定格洗濯乾燥時の消費電力量が約2,150Whと大きくなっている。
■シャワーも強化。本体の小型化で設置性も向上
ダブルシャワーなどにより洗浄力を高めている |
洗濯機能としては、ドラム内に水流シャワーを当てることで洗剤液の浸透を良くする「高圧ダブルシャワー」も引き続き搭載。従来モデルに比べると、循環ポンプの出力が5倍に向上し、シャワーも2本となっている。また、循環ポンプの経路に銀の抗菌ユニットが配置され、洗浄水に抗菌効果のある銀イオンを混ぜている。
同社ではこの洗浄方式を「節水ザブーン洗浄」としている。
ダブルシャワーの様子 | 洗濯時の水には抗菌水を使用 | 高圧化したポンプと抗菌水を作り出す銀配合ビーズ |
TW-Z9000には、微細な水に包まれたOHラジカルを使って消臭・除菌するための「ピコイオン除菌 ウイルスハンター」機能が搭載されている。これはスーツやぬいぐるみ、スニーカーなど、水洗いできないものの除菌・消臭を行うもので、洗濯・乾燥とは別の機能となる。ピコイオン除菌機能により、洗濯槽のカビの繁殖を抑えることもできる。
全モデルともに大型のダイヤルボタンを搭載し、TW-Z9000に関しては、音声ガイドや大型液晶パネルを採用している。
TW-Z9000の操作パネル | TW-Z8000の操作パネル | TW-G500の操作パネル |
ダイレクトドライブモーターによる回転制御とドラムの外側の水槽に2カ所つけられた振動センサー、新開発の「振動吸収本体構造」により、ドラムから本体へ伝わる振動が約20%提言され、低騒音・低振動化を実現している。
昨年モデルに比べると、エアコン機能がなくなり、ヒートポンプユニットが小型化されたことにより、本体重量が約20%軽量化され、幅は1cm、高さは4cm小さくなっている(奥行きは同じ)。さらに前面下のパネルを外すことにより、真下への排水が可能となり、設置性が向上している。
本体のサイズは全モデルが655×714×1040mm(幅×奥行き×高さ)。重さはTW-Z9000が約79kg、TW-Z8000が約78kg、TW-G500が約69kg。カラーはピュアホワイトとプラチナベージュの2種類が用意されるが、右開きモデルはピュアホワイトのみとなる。
■ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/tha/about/press/090928_2.htm
(白根 雅彦)
2009年9月28日 16:50