年末特別企画

今年買った中で一番トガってた「カノプス壺ショルダーバッグ」を見てほしい【私の2025】

これが「カノプス壺ショルダーバッグ」です

2025年に買ったモノの中で、「いちばん説明が必要なものは何か?」と聞かれたら、迷わずこれを挙げます。「カノプス壺ショルダーバッグ」。

今年、六本木ヒルズで開催された古代エジプト展「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」の取材に行ったときに購入した、お土産のミニショルダーです。

もしかしたらご存じない方もいるかもしれないので、簡単にご説明しましょう。まず「カノプス壺」とは、古代エジプトにおけるミイラ作りの工程で使われた臓物の保存容器のこと。

本物の「カノプス壺」(「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」で展示されていたもの)

古代エジプト人は、ミイラの腐敗防止のために遺体から取り出した内臓のうち、重要と考えられていた肝臓・肺・胃・腸をそれぞれ防腐処理し、ホルス神の4人の息子を象徴する形状の壺に収めて保管していました。その壺こそがカノプス壺です。死後の復活を信じて、遺体と臓器を保存した当時の死生観を象徴するアイテムとも言えますね。

そんな由緒正しきカノプス壺を、展覧会オリジナルグッズとしてショルダーバッグにしてしまったのがこの「カノプス壺ショルダーバッグ」なわけです。

もうそのセンスが神すぎて、グッズ売り場で見つけた瞬間に即買いでした。胃を守るドゥアムトエフがモチーフの「ジャッカル」のカノプス壺を採用するというキャッチーさも良い。ちなみに価格は4,400円です。

ファスナーが付いていて、本物のカノプス壺と同じように頭部がフタになっている

なお、筆者と同じように感動した人が多かったらしく、このアイテム、イベント期間前半で完売したほどの人気ぶりだったそうです。わかります、展示を観終えたあとのテンションでグッズ売り場に入ったとき、私も理性より先に「これを買わなかったら一生後悔する気がする」という感情が勝ちましたからね。

カノプス壺に合わせるコーデ激ムズ問題

しかしこのショルダーバッグ、40代の筆者が身につけようとすると、合わせる服装が激ムズです。というか、これまでの人生で「カノプス壺に合うコーデ」なんて考えたことない。ざっくり見積もっても今から3000年以上前の造形ですよ……?

実際に提げてみると、まあまあの存在感なのがまた……

あと、大きさが絶妙すぎて、そもそも「バッグとして何を入れるか?」という基本が地味に難しかったりします。スマホとかリップ、目薬、イヤホン、ペットボトルは250mlサイズなら入るかな……。まあ一応イケるか、うん。

スマートフォンは入る。あと2本入のカロリーメイトも一箱入りました

実際、2025年1月の購入から1年近く経過しますが、これまで出番は1回しかありませんでした。しかもその1回も、他のエジプト展の取材に行くときに「自分、エジプトガチ勢です感」を演出するために無理やり提げていったという……。でも、おかげで解説者の先生に話しかけてもらえたんですよ。カノプス壺ってやっぱスゴい!

そう、色々言ってますが、結論としては「買って後悔は全くない」です。古代エジプト人にとって、死は終わりではなく「続き」でした。そんな壮大な死生観の一片が、現代では「ちょっとした小物入れ」になっているわけで、このギャップこそが最高にステキです。

「それ、何?」と聞かれて、3000年分の文明の話ができるショルダーバッグなんて、そうそうないでしょ?

というわけで、今のところ1年で1回しか出番のないショルダーバッグですが、2025年に買った雑貨の中で、間違いなくいちばんトガっていて、いちばん愛着のある一品です。

いつかこれを、何の違和感もなくコーデに組み込める日が来たら……それはたぶん、私のファッション感覚が古代エジプトに追いつくときなのでしょう。

杉浦みな子

オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀……と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハーです。 執筆履歴はhttps://sugiuraminako.edire.co/から。