家電トレンドチェッカー

電気代の値上げにびっくり! 今できる家電の賢い節電術まとめ

エアコンなど家電の節電方法をまとめて紹介します

1月の電気料金明細を見て「こんなにかかったの!?」と驚いている人はいないだろうか。燃料費高騰などを背景に、昨年よりも電気料金の値上がりを実感している人もいるかもしれない。昨今の情勢から、今後すぐに値下がりするとは見込めず、来夏にかけても徐々に値上がりしていくとの見方が強い。

高くなった! と実感するのは、電力使用量の値上がりと、電力消費が高まる本格的な冬の到来とが同タイミングだったということもある。

なお、東京電力エナジーパートナー(東電EP)は電気料金の値上げを23日に発表。2023年6月1日から規制料金が平均29.31%の値上げとなる。

冬季は夏季と並んで、電力消費が多くなる季節。そんな冬の、家電製品ごとの電気の使用割合を見ると、エアコンや電気ストーブなどの暖房関連、それに冷蔵庫、照明、給湯で、全体の70%近くを占めていることが分かる。

そこで、生活水準を下げない範囲で、家電製品の電力消費を抑えられる方法について、これまでの記事を紹介しつつ考えていきたい。

家庭での電力の消費割合(出典:経済産業省)

電気使用量が全体の約20%を占めるエアコンの節電術

おそらく誰もが想像している通り、冬季はエアコンの使用割合が多くなる。リモートワークが定着した家庭では、その割合は、さらに増えているかもしれない。ここではエアコンを省エネで使う方法について、おさらいしておきたい。

<即効性のある主なエアコン節電術>
・エアコンのフィルター掃除で年間1万円以上の節約に
・エアコンの「つけっぱなし」と「こまめに消す」は、外気温3℃が分かれ目
・冷気が入り込みやすい窓は、断熱性を上げる工夫を
・サーキュレーターで室内の温度ムラをなくす

気になる「エアコンの『つけっぱなし』と『こまめに消す』のどちらが省エネ?」だけでなく、エアコンを使う前の準備段階の重要性を説いている過去記事が「年間約1万円も節約!? パナソニックが伝授するエアコン節電術」だ。

特に「フィルター掃除」についてなど、今すぐできて、さらに冬季だけでなく、エアコンの使用量が激増する夏季にも役立つ知恵が詰まっているので、ぜひ読み直してほしい。

加湿器を併用する暖房テクニック

よく言われることだが、エアコンの設定温度を1℃下げると、約10%ほどの省エネになる。ただし、寒さで体がぶるぶると震えるほど我慢する必要はない。例えば、設定温度を1℃下げつつ、1枚重ね着する、寒さを感じる間はルーバーを下向きにする、湿度を上げるなど、体感温度を上げる工夫も併用しよう。

その中で、特に“湿度”に注目した暖房テクニックを紹介したのが、過去記事の「冬のエアコンは加湿器やサーキュレーターも使うと節電になる?」や「加湿すると体感温度がアップ? ダイニチが賢い暖房テクニック紹介」だ。

気温(室温)が低くても、湿度が高いと寒さを感じにくい。ダイニチによれば、同じ室温でも湿度が30%と60%の場合、60%の方が体感温度は約1.7℃高いという。実際に同社が行なった検証では、室温が一定の環境下で、湿度30%と60%の場合の人体のサーモグラフィーを比較。湿度30%に比べ、60%の方が温度が高く表示される部分が増えたとする。

こうした記事を読んで、湿度を上げると、なぜ暖かく感じるのかを理解しておくと、より効果を上げられるだろう。

エアコンやストーブ以外に体を温める方法

部屋や家全体を暖めたいならエアコンを上手に使うのが効率的だが、一方で、人がいる一部の場所だけを温めたいなら、こたつや小型ヒーターなども、うまく使えば節電につながる。

例えば都内の筆者宅では、こたつを常用しているが、下半身を温めると体全体が温められ、エアコンを使う頻度が減る。

さらに一人暮らしであれば、例えばサンコーの一人用こたつ「こたむき」なども有用だろうし、エアコンをつけるほどでもないという日中は、足元だけを温める暖房器具も、テレワークなどに役立ちそうだ。

特に降雪時は、エアコン室外機も要チェック

いつもよりもエアコンの効きが悪い? と思った時には、室外機にも注目したい。注目と言っても、室外機の周りに障害物などがないかを確認するだけ。もし障害物があれば取り除こう。

今週は、寒波が到来していることもあり、めったに雪の降らない地域にも、雪が降り積もっている。そうした雪が、室外機の周囲に積もっていないかも確認しておこう。

以下の記事「大雪でエアコンが止まることも!? 知っておきたい積雪対策」では、エアコンの室外機でチェックしたいポイントを紹介している。

冷蔵庫の節電術

家庭の電力消費で、エアコンに次ぐ消費をしているのが「冷蔵庫」。それほど対策の多くない冷蔵庫だが、冷蔵設定の「強弱」を、下げて「弱」にしておくことが挙げられる。

ライターの藤山哲人さんが、2011年に「冷蔵庫の節電法、実際どれだけの効果がある?」の記事で実験していて、確かな効果があると分かった(実証として、当時の料金では1カ月で850円ほど安くなっていた)。

ただし、各メーカーがほぼ全モデルに搭載している「エコモード」や「省電力モード」を利用するのが、基本的な賢い使い方と言えるだろう。

同記事では、そのほかにも「冷蔵庫の両側面や天井、背面が熱くなる機種では掃除も効果がある」ことを紹介している。

あとは、冷蔵庫の開閉頻度を減らす、または庫内の不要なものを取り出しておく。例えば、ふりかけや調味料なども冷蔵庫にしまうなど、冷蔵庫が収納ボックス化している家庭も多いだろう。常温保存でも良いものは外に出しておくと、冷蔵庫の開閉頻度を減らせて、ひいては電力消費を節約できるはずだ。

ドアの開閉頻度を減らして節電できる“庫内が見える”冷蔵庫

もし冷蔵庫を買い換えるタイミングであれば、冷蔵庫の中を“外からでも見える化”したモデルがあることも知っておきたい。

冷蔵庫のドアを開けずに庫内が見られれば、小腹が空いた時や買い物前などに“なんとなく”ドアを開いて、庫内を確認する頻度も減らせるだろう。

例えば日立グローバルライフソリューションズやアイリスオーヤマのようにカメラで庫内を撮影するタイプや、ツインバードのようにドア部分にハーフミラーガラスの透明な小窓を設けたタイプが販売されている。

スマート家電化で照明を楽にオンオフする方法

前述の「家庭における家電製品の1日での電力消費割合」を見て、筆者が驚いたのは、照明に約10%も使っていること。この照明を減らせないものか?

単純に、できるだけ暗い中で生活すれば、電力消費も抑えられるだろうが……家中の明かりを暗くしてしまっては、気持ちも塞ぎそうだ。そこで当たり前だが、「その場に居ない時には消灯する」のが、照明における節電の基本になる。

そこでおすすめしたいのが、スマホでオンオフが可能なシーリングライトや、人感センサー搭載の電球など。

特に「あぁ……リビングの電気を消し忘れちゃった」などと、ベッドに入ってから悶々として眠りについてしまうような人や、玄関やトイレの照明を頻繁に消し忘れる人におすすめだ。

節電する方法はいくつもあるものの、これさえすれば格段に電力使用量を減らせる! といったものはあまりない。コツコツと節電していき、塵も積もれば山となる方式で、毎月または毎年の使用量と使用料金を減らしていく、地味な取り組みだ。ただし、知識として頭の中に入れておけば、無意識に節電していた、ということが増えるだろう。ここで紹介した記事も参考に、そうした使い方を少しずつでも定着させていってほしい。

河原塚 英信