家電レビュー

冷蔵庫の中が見えるとストレスは減る!? カメラが付いたアイリスオーヤマの冷蔵庫を使ってみました

冷蔵庫の中に何が残っているか、スマホでも確認できるように!

「夕飯は回鍋肉にするつもりだったけど、冷蔵庫にあると思っていたキャベツがなかった」
「お豆腐を買ってきたら、冷蔵庫に賞味期限ギリギリのが2つも残っていた」
「上段の奥から、カピカピに乾燥した“何か”が出てきた……」

これが何十年と続く筆者の日常ですが、読者の皆さんの中にも「あるある」と共感していただけるところがあるのではないでしょうか。冷蔵庫のストック管理は多くの人にとって長年の課題。そして、それを解決しようとユーザー側もメーカー側も試行錯誤を繰り返しているのです。

ユーザーが昔から行なっている方法としては、冷蔵庫に入っているものをメモした紙を冷蔵庫の扉に貼っておき、使ったら線で消す、またはストックがなくなったものを買い物メモに残す、というものがあります。ただしこの方法は、まめな人でないと続かず、ズボラな筆者は3日でリタイア。

庫内を上手に整理しておくことも、在庫が把握しやすくなるという意味で有効です。筆者も以前、本誌の企画で整理収納アドバイザーの丸マイさんから、冷蔵庫の上手な整理方法をアドバイスしてもらったことがあり、結果的に買い忘れ、賞味期限切れを大幅に減らすことができました。半年経った今でも庫内はスッキリしていて、「モノの指定席」を決めることがいかに重要かを実感しているところです。

モノの指定席を作ると同時に、掃除のしやすさも実現した冷蔵庫収納の一例。詳しくは過去の記事をご参照ください

一方のメーカー側もこれまで、庫内を整理しやすいレイアウトにしたり、奥まで手が届きやすくしたり、上記のメモがスマホアプリや冷蔵庫本体に記録できるようにしたり、重量センサーで増減をチェックできる機能を搭載したり……と、実に多角的なアプローチで在庫管理を試みてきました。

そして最近注目されているのが「カメラで冷蔵庫の中身がチェックできる」という冷蔵庫。今年2月に日立グローバルライフソリューションズ、アイリスオーヤマから立て続けに発売されました。

そこで今回は、アイリスオーヤマのカメラ付き冷凍冷蔵庫「ストックアイ IRSN-IC30A」を試してみました。生活がどのように変わったかお伝えします。

カメラで庫内が見えるとどう便利になるのか、チェックしてみました

広角カメラが庫内をワイドに撮影

ストックアイは、庫内にカメラを搭載し、庫内を見ることで在庫を管理する冷蔵庫。定格内容積は296Lなので、ファミリー世帯というより1~2人暮らしの少人数世帯向けです。公式通販サイト・アイリスプラザでの価格は119,800円。

「ストックアイ IRSN-IC30A」定格内容積は296L。本体サイズは595×600×1,890mm(幅×奥行き×高さ)で、内容積のわりに背が高い

肝心のカメラは、扉の上部についていました。冷蔵庫をWi-Fiに接続し、スマートフォンに専用アプリ「HomeLink」をダウンロードすれば、カメラで撮影され、クラウド上に保存された庫内画像がスマートフォンで確認できるというものです。

扉部分に搭載されたカメラは、少し下を向いています

スマートフォンとの接続は、意外とスムーズでした。スマートフォン上に表示したQRコードをカメラに読み込ませる、という方法で、アプリ連携時の面倒な工程が少し省略されたような……。アイリスオーヤマのこういうユーザーフレンドリーなところが結構好きです(笑)。

QRコードを読み込ませるとセットアップが完了

さて設定が完了したので、さっそくスマートフォンで庫内を確認したいところですが、庫内の撮影は、扉を開閉して約8分経過後に行なわれるそう。というのも買い物後などは、何度も開け閉めする可能性があるため、開閉後しばらく経てば「もう追加はないだろう」という判断のようです。確かに。

ということで待つこと8分。画面を見ると、見事に庫内が写っていました。それも全段! 正直いうと試す前は「さすがに全部は写らないだろう」と思っていましたが、予想以上です。

両端は少し欠けていますが、上段から下段まで、しっかり写っていました

ちなみに冷凍室は当然、撮影対象外。内容積は91Lで、300L未満の冷蔵庫には珍しく自動製氷機能が搭載されています。

買い物カゴ1.7個分の容量が入る冷凍室。全体の内容積に対して、大きめのスペースが確保されています

2段の引き出し式で、すっきり並べて収納しやすい

実際に食品を入れてみました

さっそく物を入れてみました。まだ食材は少ないですが、とりあえず扉を含む全段に入れてみました。

扉には飲み物と調味料、各棚板と野菜室にも分散させてみました

さあ、これがどのように見えるのか、約8分経ってアプリを見ると、意外と鮮明! 俯瞰するような視点なので、パッケージの天面がよく見えます。しかも画像の下のほうに写っているのは、扉収納の下段部分。思ったより広範囲をカバーしていました。

パッケージまでくっきり! ただし冷蔵室の端と、当たり前ですが扉の上段は写っていません

見たい食材が写るよう、入れる時の工夫も必要

画像を確認しているうちに、いくつか工夫しなければいけないことがわかりました。まずは扉の上段は写らないので、ストック管理したいものはこの場所を避ける必要があります。またカメラは庫内を見下ろす位置に設置されているため、棚板にびっちり物を置いてしまうと、その下は見えにくくなってしまいます。

ここまでいっぱいになると、一番下の野菜室はまったく見えません

また野菜室のすぐ上も、上段に比べて見えにくくなる可能性があるため、ここには在庫を切らしたくないものや傷みやすいものは置かないほうがよさそう。わが家では鶏肉をよく使うため、カメラに写りやすい場所に移動させました。

下から2段目にあり、見えにくかった鶏肉(左写真)を、上から2段目に移動させれば(右写真)ハッキリ見えます

一方、頻繁に使わないものやストックが切れても支障がないものは、カメラに写らない扉上部に移動することで、棚板部分のスペースにゆとりが生まれました。

なくなったら困るほどではないものは、カメラに写らない場所へ

最初はパズルをやっているような感覚ですが、こうしてストックアイのクセをつかんでいけば、上手に使いこなせそう。整理収納アドバイザーさんからも学んだように、やはり最初にシステムを作ることが大事なのだと思います。

入力が面倒そうなアプリメモが意外と便利

ところでアプリには、冷蔵庫に入れたモノの名前と賞味(消費)期限を登録できる機能も搭載されています。さすがに買い物するたびにいちいち入力するのは面倒なので、「私は使わなくなりそう……」と思いつつ、いちおう入力してみました。

登録では、賞味期限を入れる方法と入れない方法があり、入れると「あと◯日」と表示され、入れないと「◯日経過」と表示されます。

賞味期限が記載されているものは、賞味期限を入力します
アプリ上で、残り個数と賞味期限までの日数が表示されました
消費期限や賞味期限を入力しなければ、入力日からの経過日数が表示されます

買い物するたびに入力するかはともかく、入力自体は非常にシンプル。食材名と個数、必要に応じて期限を入力するだけです。そして意外にも筆者にとっては、この「◯日経過」表示が野菜のストック管理に役立ちました。

というのもレタスやほうれん草などの葉物野菜は、新鮮なうちに食べたいですが、うっかりしているとあっという間に日数が経ってしまいます。一方、経過日数がわかれば、献立を考えるときも「この野菜を優先して食べよう」と考えることができます。

見た目は新鮮そうでも、やっぱり野菜は早めに食べたほうがいいですよね

欲を言えば野菜の名前を入力したとき、その野菜なら何日以内に食べたほうがいい、といった目安が表示されると参考になると思いました。根菜類は結構長持ちしますが、野菜によっては1~2日しか持たないものもあり、気づいたら傷んでいた、なんてこともあるので。

さらに、この賞味期限を管理する機能は、調味料の管理に役立ちそう。前述の冷蔵庫整理の記事中にも記載がありますが、一度開栓した調味料は使用期限が意外と短く、マヨネーズやケチャップは1カ月程度。でも実際は、いつ開けたかすら覚えていないことが多いのです。

なので使用期限に気をつけたい調味料は、開栓日に使用期限を登録する、といった使い方が便利だと思います。

可視化できると家事がスムーズに

買い物前の冷蔵庫チェックが習慣になる?

実をいうと筆者は当初、このストックアイが暮らしの中でどれくらい役立つのか、ピンときていない部分がありました。確かに外出先で「冷蔵庫にあれ、まだあったかな」という場面は多々あるため、冷蔵庫の中身が見えるのは便利だと思いますが、それがどれくらい暮らしを便利にするのか、かえって面倒にならないか、という心配もあったのです。

実際に使ってみた結果、最初は戸惑うこともありますが、慣れてくると上手に使いこなせるようになり、ストック管理が楽になってきました。まず冷蔵庫を開けずに食材がチェックできるので、ソファで寝転がったままじっくり献立が考えられる(笑)。また仕事帰りに献立を考えると、冷蔵庫に何があるか思い出せないので、一から材料を購入してしまうことも多々ありました。

その点、「どうだったかな」という疑問がすぐに解決できるのは、実にストレスフリー。やはり頭で考えるより、可視化されたほうが判断しやすくなると感じました。一方で気になるのは、価格です。内容積300L以下で10万円前後は、ターゲットとなる少人数世帯には高く感じられないかしら。フードロスを減らしたり、在庫管理のストレスから解放してくれることと天秤にかけて考えたいところです。

田中 真紀子

家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行なう白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子(中学生)、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。