第4回:東芝ライテック「E-COREシリーズ」

~LED電球の先駆者による“明るいLED電球”
by 藤原 大蔵


LED電球の先駆け:東芝ライテック「E-COREシリーズ」


東芝ライテック「E-CORE(イーコア) 一般電球形 6.9W LEL-AW6L/2」。直下部で白熱電球60W相当の明るさがあるという
 他の大手メーカーに先駆けてLED電球に力を注いできたのが、東芝ライテックだ。2008年には、E26口金に付けられるビームランプ・ダウンライトを発売し、この3月には40Wタイプの白熱電球と置き換えられるLED電球を、業界に先駆けて発表。当初は実売価格が8千円以上と高価だったが、シャープが低価格なLEDを発売した後は、実売価格を抑えた新モデルをすぐさま投入してきた。言ってみれば、“LED電球の先駆者”とも言える存在である。

 今回は、調光器に対応しない「E-CORE(イーコア) 一般電球形6.9W LEL-AW6L/2」と、定格消費電力が4.1Wの「LEL-AW4L/2」、調光器対応で定格消費電力が7.1Wの「LEL-AW7L/D」という、電球色3製品について取り上げる。価格面では、6.9Wが3,750円、7.1Wが5,282円。4.1Wがは3,553円だった。(価格はAmazon.co.jp、非調光モデルが10月5日、調光モデルが11月27日時点のもの)。

 なおパッケージには、「6.9W」「4.1W」など、消費電力が大きく記されているが、どれがどれほどの明るさを備えているかわかりにくい。そこで本稿では、6.9Wを「東芝LED:60W」、7.1Wを「東芝LED:60W(調光器対応)」、4.1Wを「東芝LED:40W」と記す。

 電球色ではこのほかにも、直下部で白熱電球100W相当の明るさという「8.7W」があるが、これはまた別の機会に紹介しよう。

「E-CORE 一般電球形 7.1W LEL-AW7L/D」は、調光器に対応した60Wタイプ「E-CORE 一般電球形 4.1W LEL-AW4L/2」は、直下部で白熱電球40Wタイプに相当

シリーズ名E-CORE 一般電球形
定格消費電力6.9W7.1W4.1W
品番LEL-AW6L/2LEL-AW7L/DLEL-AW4L/2
実売価格
(Amazon.co.jp)
3,750円5,282 円3,553 円
口金タイプE26
全光束380lm330lm240lm
色温度2,800K
定格寿命40,000時間
※平均演色評価数Ra80
調光器対応--
密閉形器具--

※色彩の再現度を示す値。100に近いほど再現度が高い
※電球色ではこのほか、40Wの調光器対応モデル「LEL-AW4L/D」もある


【基本スペック編】

サイズ比較


 サイズは全製品が109×60mm(高さ×直径)。白熱電球よりも背が高いが、直径はわずかに大きい程度で、LED電球の中ではコンパクトな部類になる。光源部は樹脂製のためLED電球の中では軽め。半透明のため白熱電球のような印象を受ける。白熱電球のような“くびれ”が他社よりも細く、少しでも白熱電球の形に近づけようとする同社のこだわりがうかがえる。

【東芝LED:60W】
高さは109mm(右)で、60Wタイプ白熱電球と比べると15mm高い。見た目はヒートシンク部が小さく光源部分の割合が大きいのが特徴。重さは120g
【東芝LED:60W】
直径は60mm(右)。60Wタイプの白熱電球の直径は55mm(左)なので、やや大きめだ。光源部分は樹脂製
【東芝LED:60W 調光器対応】
高さは109mm(右)。60Wタイプのものと同じだが、重さは138gと18g重い
【東芝LED:60W調光器対応】
60Wタイプとまったく同じ直径、同じ材質だ
【東芝LED:40W】
高さは109mm(右)と、LED60Wタイプとまったく同じ。白熱電球との高さも同じで、その差は15mm
【東芝LED:40W】
60Wタイプと全く同じ直径、同じ材質だ

光の広がりかた

 光源部を中心にほぼ球形に拡散している。光源部が大きいため、ソケット方向にも直接光が届いている。光の広がりは十分に期待できる。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【東芝LED:60W】
光はほぼ球形に拡散している。ヒートシンクの最下部の直径はソケット同じなので、床面にも直接光が届いている
【東芝LED:60W 調光器対応】
60Wタイプと全く同じ光だ
【白熱電球:40W】
光の広がり方は60Wのものと同じ
【東芝LED:40W】
60Wタイプのものと同様、球形に光が拡散している

※光の広がり方を見るため、撮影時同じ明るさに見えるよう補正している


器具に取り付けたようす

 白熱電球よりも背が高いが、ヒートシンク部は覗き込まない限りほとんど見えない。“大きめの白熱電球”を取り付けたような印象で、器具とのバランスも良い。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影
【東芝LED:60W】
背は高いが、ヒートシンク部は短いため、この角度からはヒートシンクはほとんど見えない。樹脂製の光源部は、白熱電球ととても似ている
【東芝LED:60W 調光器対応】
LED60Wタイプと高さが同じなので、見え方は変わらない

【白熱電球:40W】
見え方は60Wタイプとほぼ同じだ
【東芝LED:40W】
高さは60Wタイプと同じなので、見え方も変わらない

明るさ(55cm直下の照度)

 60Wタイプはかなり明るい。他社のLED電球では、60Wタイプのほとんどが白熱電球の40Wの明るさよりも劣るものが多いが、472lxと、それを上回る明るさが得られた。調光器対応モデルでは430lxと数値上での差はあるが、肉眼ではそう変わらない。

 一方40Wタイプのものは、LED電球の中では平均的な明るさとなった。

 

【白熱電球:60W 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【東芝LED:60W 472lx】【東芝LED:60W 調光器対応 430lx】
【白熱電球:40W 437lx】【東芝LED:40W 226lx】

調光器対応モデルの調光のようす

 調光器対応モデルでは、調光器の目盛りに同調した、スムーズな調光ができた。調光器をかなり絞り込んだ状態(12.5%付近)でも灯っているので、快適な調光が可能だろう。

調光対応型での調光のようす。写真は100%(全灯)87.5%75%62.5%ちょうど50%
32.5%25%でもまだまだ点灯しているのがわかる写真ではわかりにくいが12.5%でもほんのり光っていた12%~1%で完全に消えている

省エネ性能

 60Wタイプは白熱電球に比べて消費電力を1/9以上、40Wタイプは1/12と、消費電力を大幅に抑制できる。もちろん調光器対応モデルは、明るさを抑えれば抑えた分だけ消費電力も少なくなる。

 

【白熱電球:60W 56W】【東芝LED:60W  6W】【東芝LED:60W 調光器対応  6W】調光時の消費電力の変化は下記の表を参考されたい

【白熱電球:40W 38W】【東芝LED:40W 3W】

【60Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱電機オスラム製)
E-CORE
一般電球形
6.9W
E-CORE
一般電球形
7.1W(調光器対応)
品番LW100V57W2PZ
(2個パック)
LEL-AW6L/2LEL-AW7L/D
定格寿命1,000時間40,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,750 円5,282 円
実測消費電力56W6 W6 W(全灯の場合)
1日の電気代9.8 円1 円1 円
1年間の電気代の目安3,577 円365 円365 円
1年間の電球代の目安209 円274 円386 円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
3,786 円639円751 円


【40Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱電機オスラム製)
E-CORE
一般電球形 4.1W
品番LW100V38WW2PZ
(2個パック)
LEL-AW4L/2
定格寿命1,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,553 円
実測消費電力38W3 W
1日の電気代6.6円0.5 円
1年間の電気代の目安2,409円182.5 円
1年間の電球代の目安209円259 円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
2,618円442 円


【60Wタイプ 調光器による消費電力の変化】
調光レベル全灯時75%時62.5%時50%時32.5%~1%時
消費電力(実測値)6W5W3W1W測定不能(0W表示)

※消費電力はすべてワットチェッカーで測定


 印象に残ったのは「明るさ」。60Wタイプで直下部の照度が472lxと、LED電球の中では最も明るい部類に入る。また、電球のヒートシンク部分が普通の電球のように細くなっているため、ソケット方向にも光が回る点はうれしい。さらに、調光器対応タイプは、白熱電球と同様、微妙な明るさまで絞り込め、スムーズな調光が可能。全体的にかなりレベルの高い製品と言える。



【実使用編】


  ここからは実使用を想定して、玄関やリビングなど、家庭のさまざまな場所でLED電球を使ったようすを、写真を中心に紹介していきたい。なお、40Wタイプは密閉器具に対応しているため、風呂場、密閉型のインテリアライトでも使用している。


玄関

 60Wタイプの場合、LED電球の中では特に明るいため、とても印象が良い。また、温かみのある光色も良く、白熱電球から取り替えても大きな違和感はないだろう。40Wタイプは、光色が良いためそれほど寂しい雰囲気にならないが、さすがに暗すぎるかもしれない。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【東芝LED:60W】
白熱電球に比べて少し暗くなるが、十分な明るさを備えている。使用に値するだろう
【白熱電球:40W】
玄関としてはもうすこし明るさが欲しい
【東芝LED:40W】
色味は良いものの、玄関には少々暗すぎるかもしれない

浴室

 40Wタイプのものは、密閉型器具への取り付けが可能。しかし浴室ほどの広さではさすがに暗く、あまり実用的とは言えない。

【白熱電球:40W】
浴室全体に光行き渡るものの、すこし物足りない明るさだ
【東芝LED:40W】
さすがに浴室に40Wタイプでは力不足

トイレ

 トイレのような狭い空間の場合、60Wタイプのものは十分な明るさが感じられる。色味が良いので、40Wタイプでも十分に利用できそうだ。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【東芝LED:60W】
白熱電球よりも暗めだが、明るさは十分に感じられる
【白熱電球:40W】
少し暗いが狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる
【東芝LED:40W】
暗めだが、色が良いためくすんだ印象はない。この明るさで十分と思う人もいるだろう

リビングルーム (全体照明)

 透過タイプのシェードでは、器具全体がくまなく光り、器具の持つ印象がほとんど変わらない。全体的に白熱電球より暗くなる事は確かだが、白熱電球から取り替えても大きな違和感がなく、とても良い印象だった。温かみのある光色がリビングルームにとても良く馴染む。

 非透過タイプも好印象。器具の上部から天井に光りが届き、白熱電球と同じような印象が得られる。LED電球の中で明るく色味も良いので、多少暗くなっても部屋の印象が大きく変わらない。

 

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている
【東芝LED:60W×2 透過タイプのシェード】
比較すると暗く感じるが、光色の印象が白熱電球に近いためあまり気にならない。問題なく使用できる

【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【東芝LED:60W×2 非透過タイプのシェード】
シェードの上部から、天井面に光が届いている。コンパクトなヒートシンク、大きめな光源部のおかげだろう。光のコントラスト、光色とも好印象だ

リビングルーム (間接照明)

 60WタイプのものはLED電球の中でも特に明るいので、壁面からの間接光が部屋全体に柔らかく広がる。40Wタイプでも間接光として使用するなら十分だろう。LED電球の中でも、赤みが感じられる暖かな光色が特徴なため、とても落ち着いた良い雰囲気が得られる。

 調光器対応タイプでは、光を絞り込んでも明るさは感じられる。好みや過ごし方にあわせて、さまざまな雰囲気が演出しやすいだろう。

【白熱電球:60W】
テレビの後ろに設置した例。間接照明としては少し明るすぎかもしれない
【東芝LED:60W】
壁面は、いかにも白熱電球で照らしだされたような印象になる。明るさもちょうど良い
【白熱電球:40W】
テレビの画面の明るさとちょうど良いぐらいの明るさだ
【東芝LED:40W】
40Wタイプの明るさでも、間接照明ならまだまだ十分な明るさが得られている
【東芝LED:60W 調光100%】
60Wタイプのものと全く同じ雰囲気
【東芝LED:60W 調光75%】
LED40Wよりもまだまだ明るい
【東芝LED:60W 調光50%】
リビングで音楽をじっくり聴いたり、リラックスするにも良い明るさ
【東芝LED:60W 調光32.5%】
かなり光を絞り込んだが、肉眼ではしっかりと光が確認できる


リビングルーム(インテリア照明)

 40Wタイプのものは密閉型器具の取り付けが可能。明るさのムラもなく、光色も問題ない。部屋に広がりを与えるアクセント照明にも十分活用できる。

 

【白熱電球:40W】
アクセント照明として使用するには明るすぎるか
【東芝LED:40W】
かなり落ち着いた雰囲気で、グローブ内の明るさのムラもない。光色も良い感じ

食事の風景

 光色は白熱電球よりも若干赤みが強いが、色被りがほとんど気にならない暖かな色味。演色性、色の再現性も良く、食べ物がおいしそうに見える。照明器具とテーブルの距離が近ければ近いほど、十分な明るさが得られる。

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【東芝LED:60W】
食事をするのに十分な明るさが得られるうえ、目に映る食べ物の色の分離性が良い。若干の色被りはあるものの、食事は十分においしそうに見える。色を気にするシーンでも十分活用できるだろう




一言で表わすと“明るいLED電球”、食卓など家庭のあらゆる場面でお勧め

 LED電球の中でも明るく、光りの広がりも期待できる。一言で表わすと“明るいLED電球”だ。また、「電球色相当」というイメージどおりの暖かみのある光色は、演色性も良く、食卓など色味にこだわる場面での使用にも十分に利用できる。それだけに、密閉器具に対応しているのが40Wタイプのみというのが惜しいが、リビングはもちろん家庭のさまざまなシーンで活躍してくれることだろう。

 調光器タイプは1個5,282 円と値段は高め。しかし、こちらもまた電球色らしい光色。演色性が良く、その上調光ができるというのはやはり魅力的だ。間接照明にとどまらず、調光器のついた食卓の上のペンダントにもお勧めしたい。



2009年12月1日 00:00