家電製品ミニレビュー

東芝ライテック「E-CORE 一般電球形 8.7W」

~明るい! LED電球の大本命
by 藤原 大蔵

白熱電球と遜色ない明るさのLED電球


東芝ライテック「E-CORE(イー・コア) 一般電球形 8.7W」
 一言で表せば「明るい!」

 ついに、60Wタイプの白熱電球と肩を並べられる明るさを備えた、電球色のLED電球が登場した。東芝の「E-CORE(イー・コア) 一般電球形 8.7W LEL-AW8L」(以下、8.7W型)だ。

 LED電球といえば、白熱電球や電球形蛍光灯と比べ、「長寿命」「電気代が安い」というメリットがあった。以前は「価格が高い」というデメリットもあったが、今年は低価格化が進行したため、手が出せる値段にもなった。しかしどの製品も、「白熱電球と比べれば暗い」という呪縛からは逃れられられなかった。

 しかしこの8.7W型は、その暗いイメージを払拭されてしまう程、力強い明るさが得られる。何しろ、器具全体の明るさ(全光束)は、最大で白熱電球60W相当の明るさ、ダウンライト器具使用時では、ライト直下部は100Wに相当するとのこと。既発売の「6.9W LEL-AW6L」(以下、6.9W型)が器具全体で最大40Wの明るさに相当、直下部で60W相当なので、スペック値だけでも明るい、ということがわかる。

 今回は8.7W型を、60Wタイプの白熱電球と比較しつつ、生活空間に使用しながら、その実力を紹介したい。

メーカー東芝ライテック
製品名E-CORE 一般電球形 8.7W
(電球色相当)
品番LEL-AW8L
希望小売価格9,135円
購入店舗ヨドバシカメラ
購入価格6,980円




直下照度は白熱電球と全く同じ800lx。そのほかは6.9W型と大差なし

 8.7W型の最大のウリは、なんと言ってもその明るさ。まずは照度を計って、その明るさを見てみたい。

 アーム型の照明器具に取り付けて点灯した瞬間の感想は、「うわッ!明るいッ!」。照度計で実測してみると、その明るさはなんと800lx。60Wタイプ白熱電球と全く同じ明るさが得られた。数値で言えば、同社の6.9W型の明るさの約1.7倍。計測に使用したZライトは、特殊な反射板も構造も無いごく普通の器具にもかかわらずだ。これは期待できそうだ。

【60W白熱電球 : 800 lx】【東芝 8.7W型 : 800 lx】
60Wタイプの白熱電球と全く同じ明るさが得られた
【電球形蛍光灯60W型 : 382lx】
パナソニックの電球形蛍光灯「パルックボールプレミアクイック」とも比較してみたが、かなり暗い数値が出た。なお、数値は点灯時から10分後のもので、点灯直後は120lxだった

 一方で、形状や大きさは6.9W型とほぼ同じで、電球らしい形にこだわった“くびれ”のある東芝らしい形状。器具に取り付けたようすも8.7W型とほぼ同じで、白熱電球と比べても特に違和感は感じられなかった。光源部を中心に、ほぼ球形に拡散する光も同じだ。

 細かいことをいえば、高さは6.9W型よりもプラス10mmの119mm(直径は変わらず60mm)。重さはLED電球では重い部類に入る156gとなってしまう。ただし、器具に取り付けた外見はあまり変わらず、また器具が勝手に傾くほど重くはなかったので、大した問題ではないだろう。

左から順に、8.7W型、6.9W型、白熱電球8.7W型の高さは119mm(右)。白熱電球との差は25mmにもなる直径は60mm(右)で、白熱電球よりも5mm太い。光源部分は樹脂製

【白熱電球:60W】【東芝 8.7W型】 
ヒートシンク部が確認できるが、器具とのバランスは良好だ
【東芝 8.7W型】 
器具の真横から見ても電球ははみ出していない。器具内部にも光はまわっている

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい
【東芝 8.7W型】
ほぼ球形に光が拡散しており、床面にもある程度光が回っている

リビングや食卓で特にお勧め。玄関やトイレでは逆に明るすぎか

 それではさっそく、実際の生活シーンに8.7W型をとりつけ、60Wタイプの白熱電球とその違いを比較してゆこう。玄関とトイレ、リビングルームの様子を比較してみる。密閉器具には対応していないため、浴室では使用していない。

 ところで、白熱電球だけではなく、電球形蛍光灯との比較も見せたいところだが、前項でチェックした通り、電球形蛍光灯は8.7W型よりも白熱電球よりも暗いのは明白。しかも、電球形蛍光灯は点滅に弱いため、玄関やトイレなど、頻繁にON/OFFを繰り返す場所には適しているとは言いがたい。そのため、電球形蛍光灯との比較画像はリビングのみとなっている。食事シーンについては、昨年末に公開した電球形蛍光灯の特集を参考にしていただきたい。

 まず、玄関とトイレだが、光色は若干変わるものの、60Wタイプの白熱電球と変わらない明るさが感じられた。どちらも狭い空間なので、明るさは十分に感じられる。逆に、明るすぎると感じる人もいるかもしれない。ちなみに、どちらも頻繁に点けたり消したりを繰り返す場所なので、点滅回数を気にする事なく使用できるLED電球はピッタリ。電球形蛍光灯よりも確実に向くだろう。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【東芝 8.7W型】
白熱電球と全く遜色ない明るさが得られた。とても快適だ
【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【東芝 8.7W型】
白熱電球と全く遜色ない明るさが得られるが、トイレには明るすぎるかもしれない

 次にリビングルームのペンダントに取りつけたが、どちらの器具も、直下では白熱電球と変わらない明るさが得られる。棚などにも十分な光が届いており、実生活ではまったく問題なく使用できるだろう。

 細かいことを言えば、側面とソケット方向へは強い光が望めないので、部屋の上半分がそれほど明るくならない。こんなところに、LED電球ならではの性質が出てしまっている。とはいっても、実生活では器具の下で過ごす事がほとんどなので、この違いは大したことではない。むしろ、空間に明るさの緩急が得られ、白熱電球とは一味違う、落ち着いた雰囲気があるので、かえって良いかもしれない。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている
【東芝 8.7W型×2 透過タイプのシェード
部屋の上半分は白熱電球のような明るさにはならないが、真下にあるテーブルは同じ明るさが得られている。むしろ、明るさに緩急がつき、落ち着いた雰囲気になっている
【電球形蛍光灯:60W型×2 透過タイプのシェード
ここではパナソニックのパルックボールプレミアクイックを試してみた。天井は明るいが、テーブル面は8.7W型の方が明るい
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている。シェードの上部に穴が開いていることもあって、天井面が一番明るい印象
【東芝 8.7W型×2 非透過タイプのシェード
天井面は白熱電球のような明るさにはならないが、その分灯りのバランスは良く、白熱電球よりも好印象。テーブル面はしっかりと明るく、棚にも十分な明るさが届いている
【電球形蛍光灯:60W型×2 非透過タイプのシェード
こちらもパルックボールプレミアクイックを使用。天井面は明るいが、テーブル面は透過タイプよりも暗く映ってしまう

 色味を気にする食卓でも、料理の色が出てしっかりとおいしそうに見え、問題なく使用できる。60Wタイプの白熱電球と変わらず、とても明るい食卓になった。白熱電球よりも若干黄色っぽい光色になるものの、嫌味な印象ではなく、むしろ朝日のようなさわやかな色だ。

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【東芝 8.7W型】
多少黄色っぽい印象はあるが、食べ物の色は良く出ており、とても明るい食卓になった。問題なく使用できるだろう

消費電力はスペック値よりも低い7W

 光色も良く、電球形LED電球の中では今までに無い明るさが得られる8.7W型であるが、明るくなった分、消費電力も大きくはね上がってしまっていては面白くない。カタログ上では8.7Wだが、実測値は一体どのぐらいになるのだろうか。

 測定の結果、8.7W型の消費電力の実測値は7W。消費電力が6Wの6.9W型よりもかなり明るいにも関わらず、その差はわずか1Wしかない。つまり、非常に効率が良いLED電球と言えるだろう。

 もちろん、白熱電球よりもはるかに省エネで、消費電力は1/8。寿命の長さは40,000時間なので、1日8時間の使用なら13年8カ月も使い続けられる。

【白熱電球:60W 56W】
【東芝 8.7W型 7W】
【東芝 6.9W型 6W】【電球形蛍光灯:60W型 8W】

コスト面では、白熱電球との取り替えは○、電球形蛍光灯は△

 しかし、問題はその初期購入費の高さだ。1個7千円という購入価格は、LED電球の中では群を抜いて高い。リビング用に2個購入しようものなら、1万円を軽く超えてしまう。

 そこで、電球代・電気代を含む1年間の維持費を計算してみると、白熱電球を2年使い続けた維持費(7,572円)で、8.7W型の1年目の電球代・電気代とほぼ同額。しかも、今まではすぐに切れていた白熱電球が、約11年以上も取替えずに済むので、手間にもならない。白熱電球と比べれば確かに初期購入費はかさむものの、明るさはほぼ変わりなく、しかも確実に省エネだ。つまり、白熱電球からは、今すぐに変えても損はない。

 一方、電球型蛍光灯と比べると、お得感はない。というのも、電球形蛍光灯の消費電力は8W(パナソニック「パルックボール プレミアQ」の実測値)で、8.7W型は前述の通り7Wと、たった1Wの省エネとなる。そのうえ、電球の初期購入費は4倍以上もする。1年間の維持費の試算も、電球形蛍光灯を100円ほどオーバーしてしまった。コスト面を重視するなら、急いで電球形蛍光灯から置き換える必要は、はっきりいってないだろう。

【省エネ性能比較】

電球ジャンル白熱電球電球形蛍光灯LED電球
製品名三菱オスラム
60W
パナソニック
パルックボール
プレミアクイック 60W型
 東芝 
E-CORE
 8.7W 
東芝
E-CORE
6.9W
品番LW100V57W2PZEFA15EL/10HSLEL-AW8LLEL-AW6L/2
電球1個の値段
(Yodobashi.com 12/10時点)
※71.5円1,480 円6,980 円3,880 円
定格寿命1,000時間13,000時間40,000時間40,000時間
実測消費電力56 W8 W7 W6 W
1日8時間使用した場合の
寿命日数
125 日
(約4カ月)
1,625 日
(約4年5カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日×8時間÷定格寿命)
2.92 個0.22 個0.073 個0.073 個
1年間の電球代
(1年間で必要な電球個数×購入価格)
209 円326 円510 円283 円
1年間の電気代
(365日×8時間使用)
3,597 円514 円450 円385 円
1年当たりの維持費
(1年間の電球代+1年間の電気代)
3,806 円840 円960 円668 円
※白熱電球は2個セット143円でIKEAにて購入

 ただし、電球形蛍光灯は点滅に弱く、あまり点滅をしすぎると定格寿命に達していないのに点灯しなくなることもある。また、冒頭で計測した照度を見ればわかるように、白熱電球と比べると暗い。その点、8.7W型はLEDのため、点滅に強いという特性がある。しかも、明るさは白熱電球と同じ。さらにいえば、電球形蛍光灯よりも約3~4倍ほど寿命も長いため、交換が面倒な場所にも向く。コスト以外の面では、明らかに8.7W型が上回っているので、“スペック重視”派には、交換する価値は十分にある。

 結論を言うと、コスト面では、白熱電球との取替えにはでも十分に推奨できる。電球形蛍光灯と交換する場合は、初期購入費をいかに抑えるか――つまり、安く買うかが重要になるだろう。

 なお、6.9W型と電球形蛍光灯とを比較すると、前者の方が維持費は確実に安くなる。明るさは8.7W型の方が高いが、それよりも初期コストを重視するなら、6.9W型を選ぶという選択肢も十分にアリだろう。


置き換えの大本命、生活の中心部に使いたい

 この8.7W型の素晴らしい点は、なんと言っても期待したとおりの明るさが得られ、光色も良いという点だ。確かに一個の値段はとても高価だが、実際にリビングルームや食卓に使用した時、白熱電球と遜色ない明るさが得られるのは唯一8.7W型だけだ。

 一方で、スペースが狭いトイレや玄関には、むしろ「明るすぎて勿体無い」ぐらい。いずれの場所も長時間過ごす場所ではないので、8.7W型ほど明るくない一般的なLED電球でも十分満足が得られるだろう。使用する場所とその目的に応じて、8.7W型と他のLED電球を使い分ける、というのが賢い購入方法だ。

 リビングルームや食卓のメイン照明や、勉強・仕事用のスタンドなど、「本当に明るさが必要なところ」で実力を発揮してくれる、本格的なLED電球だ。白熱電球との置き換えの大本命として、強くお勧めしたいLED電球である。




2009年12月15日 00:00