家電レビュー

炊飯と本格調理の1台2役! パナ「ライス&クッカー」のほったらかし料理が美味しい

パナソニック「ライス&クッカー SR-UNX101」。炊飯と調理ができ、スマホ連携も可能

日々の食事作りに時間をかけたくないという人のニーズを受け、ここ数年、「ほったらかし調理」が可能な電気調理鍋が大ブームとなっています。とはいえ、電気調理鍋を使うにはある程度の置き場所が必要だったり、そのためだけに調理家電を買う必要があったりするのも事実。

そんな悩みを抱えた人におすすめしたいのが、パナソニックの「ライス&クッカー SR-UNX101」というIH炊飯器です。多くの電気調理鍋も炊飯が可能ですが、あくまでもプラスαの機能として炊飯モードを搭載しています。

しかし、ライス&クッカーは、炊飯器と調理鍋どちらもメイン機能として備えた製品なので、炊飯モードもかなり本格的なんです。今回は実際にライス&クッカーを使用し、その実力をチェックしてみました。

スマホとWi-Fiの利用が必須

ライス&クッカーは、一見するとシンプルな炊飯器です。5.5合炊きで、サイズは25×32.1×20.1cm(幅×奥行き×高さ)、重さは5kg。一般的な炊飯器とサイズはほぼ同じで、カラーはホワイトのみとなっています。

2021年度のグッドデザイン賞を受賞しており、凹凸の少ない本体にはボタンもほとんど見当たりません。必要なときに必要な表示だけが光る仕様で、「ボタンと説明がありすぎて使い方がわからない」といったことはなさそうです。

逆に、何もボタンがなくて戸惑う人もいるはず。かくいう筆者もその一人で、正直、最初はどう操作すればいいのか悩みました。とくにごはんを炊く際にはそれが顕著で、通常の炊飯器のように米の種類や炊飯コースをどう選択すればいいのかがわからなかったのです。

タッチキーを採用するので、物理ボタンはほとんどない

それもそのはず、この炊飯器は専用のスマホアプリ「キッチンポケット」で各種設定を行なうことが前提になっているのです。

もちろん、本体をWi-Fiに接続しなくても使えますが、その場合は「白米 銀シャリ(ふつう)」と「エコ炊飯」の2つのコースしか使えません。スマホと連携させることで、米の種類や炊き方といった詳細な設定が行なえるのです。

「コース」ボタンを押すと、「コース1/コース2/コース3」の切り替えが行える。各コースはスマホで設定する必要がある

設定を行なうには、スマホに「キッチンポケット」アプリをインストールします。アプリを起動したら、連携したい家電を選択し、無線LANの設定を行ないましょう。そう、この炊飯器を使いこなすには自宅にWi-Fiが必要なのです。

アプリを起動して「炊飯器」を選択し、品番を選択(写真=左)。続いて無線LANの設定に進む。スマホをWi-Fiに接続した状態で、アプリの説明に従って炊飯器を無線LANに接続しよう(写真=右)

スマホに慣れていない人だと少し不安があるかもしれませんが、アプリの説明に沿って操作すればスムーズに接続できるので、その点はあまり気にする必要はないはず。まずは設定前に自宅のWi-FiのSSIDとパスワードを確認しておきましょう。

25通りの炊飯コースで自分好みなごはんが炊ける

ライス&クッカーは炊飯に特化していると言いましたが、なんと全25通りのコースを搭載しています。白米/無洗米だけでも各11コースあり、さらに玄米、雑穀米、金芽ロウカット玄米用のコースもあるのです。

その中から、お気に入りの炊飯コースを3つ設定でき、よく使うコースを登録すれば毎回設定する手間が省けます。

「キッチン家電」タブで「ライス&クッカー」を選択すると、お気に入りコースや予約時刻を設定できる。コースを変更するには「編集する」をタップ(写真=左)。炊飯コースを選んだら、「設定を送信する」をタップして炊飯器に設定を反映する(写真=右)

なかでも、「冷凍用ごはん」コースは、ごはんをまとめ炊きする家庭におすすめ。通常の炊き方では、再加熱した際にベタついたり、ごはんが硬くなってパサパサした食感になりやすかったりします。冷凍用ごはんコースは、通常よりもハリや柔らかさがアップし、再加熱したときも美味しさを保てるので安心です。

「冷凍用ごはん」コースは、「白米銀シャリ ふつう」コースで炊いたときよりもハリと柔らかさがアップする

ライス&クッカーは、おどり炊き(大火力IH)を搭載しているのも大きな特徴です。底と底側面にIHコイルを張り巡らせており、内対流と外対流を繰り返すことで、均一に加熱し、ムラなくふっくら炊き上げてくれます。

ダイヤモンド竈釜は、羽釜の発熱性と竈の蓄熱性を追求した釜。そのまま洗米にも使える

実際にライス&クッカーで炊いたごはんは、高級炊飯器で炊いたのと遜色のない仕上がりで、普段自宅で使っている2万円台の炊飯器で炊くよりも、お米のツヤがまったく違うのに驚きました。また、ごはんの甘みもしっかり引き出されています。

炊きあがりのごはんのツヤが違い、香りの良さも際立っている

筆者は甘めのごはんが好きなので、銀シャリモードだけでなく「白米 甘み早炊き」でも炊いてみたのですが、早炊きとは思えないほどふっくら仕上がっていて、毎日使う炊飯器として大満足でした。

早炊きは少しベチャッとするイメージがあったが、ライス&クッカーで炊くとほとんど遜色なかった

ほったらかし調理にもしっかり使える

ライス&クッカーでは、カレーや肉じゃが、ロールキャベツなどの煮込み料理から、ケーキなどのスイーツまで作ることもできます。

今回は定番のカレー、肉じゃがに加え、食のセレクトショップ「DEAN&DELUCA」監修のパナソニック調理家電を使ったレシピでも作ってみました。

「炊飯器調理」モードは「自動」と「手動」を選択可能(写真=左)。自動調理にはライス&クッカーで作れるレシピが掲載されている

いずれもアプリで作り方を確認して、調理の設定をライス&クッカーに送信する仕様。レシピは4人分か2人分を選べるので、少人数の家庭でも使いやすいのがうれしいポイントです。

また、調理工程は写真付きで紹介されていて、初めて作る料理でもスムーズに取りかかれます。

アプリ上で必要な材料や調理工程などを確認できる(写真=左)。内容を確認したら「炊飯器へ送信」をタップ(写真=右)

言われたとおりに材料を用意して調理を開始すること約40分でカレーが完成。火の番をしなくていいので、今のような暑い季節には重宝しそうです。

また、カレーのようにごはんがマストなときには、先述の「冷凍用ごはん」コースで炊いたごはんを用意しておけばOK!

食材の加熱が終了したら、カレールウを溶かしてフタを閉め、5分ほど置けば完成

ほったらかし調理で作ったカレーは、とことんラクでおいしく仕上がるのがいいところ。じゃがいもとにんじんはしっかり加熱されており、一切見張ることなくここまでできるのは忙しいときにヘビロテしたくなること必至です。

冷凍していたごはんとできたてのカレーであっという間にひと品が完成

残った食材で作った肉じゃがは、煮崩れすることもなく、それでいてホクホクにできていたので、これからはライス&クッカーに任せたいというのが本音。万が一、加熱が足りない場合は手動で加熱時間を追加できます。

筆者の場合は煮崩れするのがデフォルトだった肉じゃがが、じゃがいもの形を残したままおいしく作れたことに満足した

自動調理鍋があると、普段自分では作らないような料理にも挑戦しやすくなります。今回は「さばのトマト味噌煮込み」という小洒落たメニューを作ったのですが、これは家族にも好評でした。

トマト味でさっぱりしているのですが、味噌のコクもあって、意外にもごはんが進むひと品です。

さばのトマト味噌煮込みは30分ほどで完成。魚が焦げ付く心配もないのが自動調理鍋のいいところ

調理後にごはんを炊いても匂いや味は残らないので、炊飯にも調理にもフルに使えます。その反面、やはりホットクックなどの自動調理鍋と比較すると、作れるメニュー数が少ないなというのが正直なところ。標準搭載されたメニューは10種類で、ライス&クッカーの場合はDEAN&DELUCAコラボレシピが10種類出ています。

しかし、日常使いということを考えれば、これで十分事足りる人も多いはず。また、レシピは随時追加されるので、今後の展開にも期待したいところです。

肝心の価格は38,000円前後となっており、炊飯器としては中価格帯です。むしろ“炊飯+自動調理”ができてこの値段なら、コスパに優れた一台だといえるでしょう。わざわざ自動調理鍋を買うのを躊躇していた人も、一石二鳥なライス&クッカーなら自動調理の良さを体感できると思います。

今西 絢美