家電レビュー

ティファール初の炊飯器はシャッキリ粒立ちごはんが炊ける!

ティファール「ザ・ライス 遠赤外線IH炊飯器 5.5合 RK8808JP」

今年10月、グループセブ ジャパンの「ティファール」はブランド初となる炊飯器「ザ・ライス 遠赤外線IH炊飯器 5.5合」を発売した。実売価格は52,460円で、価格帯としては5万円前後のミドルレンジに当たる。ボディカラーはブラック(RK8808JP)とメタリック(RK880CJP)の2色を用意。長く本国から日本市場での炊飯器の展開を求められていた中での満を持しての発売だ。

製品をお借りすることができたので、詳細をチェックするとともに実際に炊飯して食べてみることにした。

IH加熱と上部からの遠赤外線で炊飯

まずは、基本仕様をチェックしてみよう。炊飯容量は5.5合で、加熱方式としてはIHを採用。釜底を包み込む高火力IH層がしっかりと熱を伝える仕組みだ。定格消費電力は1,150Wでしっかりとしたパワーでご飯を炊く。本体サイズは約312×258×232mm(幅×奥行き×高さ)、質量は約5.1kgだ。

比較的スクエアなボディを採用。やや横幅が大きめだ。ふたの天面にディスプレイと操作パネルを配置する

内釜は底が約55度の角度で丸みを帯びた独自の形状。発熱効率の高い鉄と熱伝導率の高いアルミによる2層構造で約3mmの厚釜となっている。一般的な炊飯器の内釜と比べると幅広で背が低い形状だ。

幅広で浅いフォルムの内釜。口と底が55度で角度がついていて熱を逃さず対流を促す仕組み
パナソニックの内釜と比べたところ。形状の違いが分かる

「ザ・ライス」の最大の特徴はふたに遠赤外線を照射するヒーターを搭載することにある。ティファールによると炊飯時に放出される遠赤外線によりお米の表面にハリが出て、甘みを閉じ込め、粒立ちの良いごはんに炊き上げられるそうだ。

ふたに配置されている遠赤外線ヒーター。お米に直接熱を与えてハリを出す効果がある。

シャッキリした粒立ちのいいごはんが炊ける

では、実際に炊飯してみよう。用意されているメニューはお米の種類が5種類、炊飯メニューが5種類、炊き具合がやわらか、ふつう、かための3種類。そして炊飯モードとして、通常炊飯の他、早炊き、エコ炊飯がある。機能は5万円クラスの炊飯器としては平均的だ。

蓋の上のディスプレイと前方の操作ボタン。お米の種類とメニューなどが設定できる

ただ、初めて操作するとき、ふたに配置された操作部がやや分かりづらかった。お米の種類は「通常炊飯」を、炊飯メニューは「メニュー」をタッチすることで順番にランプが移動して設定できるのだが、「炊き具合」は白米と無洗米のときのみ設定でき、他のお米を選んでいるときは無反応になる。

また、早炊きはタッチすることでモードがオンになるが、オフにするためには「取消」を長押しする必要がある。また、「エコ炊飯」も白米と無洗米のみで設定可能。ただし、こちらはタッチでオンオフができた。初代モデルということもあり、まだ操作体系がこなれていない印象を受けた。

工場出荷時はエコ炊飯がオンになっているため、タッチしてオフにしよう
早炊きにも対応。約26分で炊ける

初回は白米(ふつう)で炊飯してみた。使ったお米は新潟産のコシヒカリだ。付属の計量カップでお米の量を測り、内釜の水位線に合わせて水を計って入れる。あとは「炊飯」ボタンを長くタッチするだけでいい。炊飯がスタートし、ディスプレイには55分と表示された。

そして実際に炊きあがったごはんは、非常につややかで、粒がくっきりとした状態だった。実際にひとかたまりを箸にとり、食べてみると、口の中でほろっとほどけていくのがわかる。粘りや甘みはそれほど強くなく、優しい口当たりだった。

白米普通で炊いたコシヒカリ。粒感がしっかりしていて、キラキラとみずみずしい
お箸を入れるとほろっとほどける。粘りは弱めだ

このあと、北海道産のゆめぴりかも同じモードで炊飯してみた。低アミロース米のゆめぴりかの場合、甘みともっちり感が引き出されており、白米は銘柄ごとの個性を生かした炊きあがりになった。

見た目はあまり変わらないがゆめぴりかの場合、もっちり感と甘みも出ていた。甘くて弾力のあるごはんが好きなら低アミロース米を選ぶといいだろう

保温はやや苦手な印象

2週間ほど、「ザ・ライス」をメインの炊飯器として活用してみた。そこで気づいたのが長時間の保温はやや苦手だということだ。「ザ・ライス」では、釜底のヒーターに加えて、側面加熱ベルト、そしてふたの遠赤外線を利用してご飯を保温する。6時間ぐらいまでは問題なく、美味しく保温できるのだが、10時間を越えたあたりから、側面の釜に触れている部分のご飯の乾燥が始まる。

保温のまま12時間経過したごはんは縁の部分で黄ばみ、乾燥が始まっていた

ご飯の保温は6時間ぐらいまでを目処とするのが良さそうだ(編集部注:炊飯器によって異なるが、一般的に保温を7~8時間以上するなら、2回に分けて炊いた方が省エネと考えられている)。「ザ・ライス」には冷凍ごはんコースが搭載されているので、すぐにご飯を食べない場合は冷凍ごはんコースで炊飯し、凍らせるのが良さそう。

長時間保存する場合、最初から冷凍ごはんコースで炊くのがおすすめだ

実際に冷凍ごはんコースで炊いたところ、通常モードよりも水分の多い炊き上がりとなった。これは冷凍による乾燥を加味したもの。実際、一度凍らせたご飯をレンジで解凍して食べてみたところ、通常モードより、やや柔らかめ(水分多め)ではあったが美味しくいただけた。冷凍期間が2日程度と短かったため、より長期間冷凍すると、適度に水分が乾燥してバランスがよくなりそうだ。

冷凍ごはんコースで炊いたごはんは、通常コースと比べると水分が明らかに多い炊き上がり
冷凍ごはんを解凍したところ。炊きたてにかなり近い状態で食べられる
玄米を炊いた。かなりしゃっきりしていて白米以上に粒感が強い。玄米デビューだとやや食べにくいかも知れない
ささみを入れて一緒に炊いた中華粥。マニュアルにはこういったメニューも複数掲載されていた。

白米、冷凍ごはんのほか、早炊きや玄米、そしておかゆコースなども試してみた。白米同様、どれも強い甘さや弾力感など、わかりやすい派手な美味しさこそないものの、どれもバランスの良い炊きあがりだった。

食味の好みとしては、東日本エリアに多い、粒立ちとシャッキリ感を重視したごはんが好きな家庭に向く印象だ。また、長粒米やおかゆコースを活かした、エスニック、中華メニューが好きな家庭にも合うのではないだろうか。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter: @takh0120