家電レビュー

新LGスタイラーで、ダウンジャケットをカラッとフワッと生き返らせてみた

スチームウォッシュ&ドライ「LG styler S3CW」

過去に何度か使ったことがあったホームクリーニング機の「LG styler(エルジー・スタイラー)」に、価格を抑えたシンプルモデル「S3CW」が発売された。店頭予想価格は140,000円前後。

同シリーズは、見た目は超スリムな冷蔵庫といった雰囲気の家電製品。洗濯機などで洗いづらいスーツや学生用の制服などをホームクリーニングできる。具体的には、高温スチームを機内に充満させたうえで、衣類を振動させて、最後に低温で乾燥し、シワ伸ばしや脱臭・除菌するというものだ。

高温スチームを機内に巡らせる
扉を開けたところ
専用ハンガー
振動ハンガーラックにハンガーを掛けたところ。この振動ハンガーラックが左右に揺れる
空気吹出口。飛び出ているのはアロマフィルター(撮影用に引き出した)
空気取入口
給水タンクと排水タンク
タンクを取り出したところ

新製品が発売されたうえに、衣替えの季節でもあるので、改めて試してみた。ただ、狭い我が家に設置するためにはレイアウト変更が必要なため、今回は知人の仕事場に置かせてもらった。

ダウンジャケットを試して大満足!

以前使ったときに、とても好印象だったのが、ダウンジャケットだった。そこで今回も、これから着る機会が増すだろうダウンジャケットを、まずはリフレッシュさせたいと思った。

数年前に購入した当時は、そのモフモフ感に感動したダウンジャケット。軽くて温かいため、シーズンにもよるが11月から3月まで着ることがある。毎年、春になるとクリーニングに出して、シーズン中は預かっておいてもらうサービスを使っている。だが今年は諸事情により、同サービスを使わず、クローゼットの中にしまい込んでいた。

クローゼットから取り出したダウンジャケットは、やはり購入時のようなモフモフ感が感じられない。おそらく、ヘビーユースした後に、きちんと乾かすこともなくクローゼットの中で保管していたのが、あまり良くなかった気がする。衣類に鼻を近づけてみると、少しニオイも気になる。

せっかくダウンジャケットをリフレッシュするならと、もう一つ、今は使っていないさらに年季の入ったダウンジャケットを一緒に入れてみた。

ダウンジャケットをセット。いま思うのは、かさばるダウンジャケットは2着同時ではなく、1着ずつ入れた方が効果的なのかもしれない

使用前に、まずは本体内の下部にある給水タンクと排水タンクをチェックする。給水タンクには、水を満たしておき、排水タンク内の汚水は捨てておく。両タンクを改めてセットしたら、専用ハンガーに衣類を掛けて、機内の指定の場所(振動ハンガーラック)に掛ける。

コース設定などは、扉の外側のタッチパネルで行なう。

今回は、年季の入ったダウンジャケットを入れるので、「しっかり」と「除菌/衛生」してもらうことにした。

まずは電源ボタンを長押し気味にタッチしてオンにしたら、「除菌/衛生」ボタンを何度かタッチして「しっかり 133分」に合わせる。あとは右端にある「スタート/一時停止」ボタンをタッチする(ちなみに「除菌/衛生」コースには「標準 88分」もある)。

すると庫内下部から「シュルシュルシュル〜」と、こもった音がする。近くにいても、気になるような騒音は出てこなかった。しばらく側にいたが、様子が変わらないので、隣室で終わるのを待つことにした。

隣室といっても、狭い部屋なので、本体とは5〜6mしか離れてはいなかった。ドアを閉めていたこともあるだろうが、隣室で知人と話をしている間、「LG styler」の音が気になることは全くなかった。2人で黙り込み、耳をすませば、かすかに動作音が聞こえてくるという程度。むしろ「あれ? 動いてる?」と、何度も確認しに行ったほどだ。

ほぼ2時間が経った頃に、終わったことを知らせるメロディが鳴り始めた。本体に近づき、ドアを開けると、かすかにモワッとした湿気が溢れてきた。だが、入れておいた衣類に触れると、カラッとしている。

「S3CW」《ダウンジャケット編》

まずは、年季の入ったジャケットを取り出してみた。入れる前に、ちょっとカビというかタバコのようなニオイがしたが、そうした不快になるようなニオイはしなくなっていた。ただ、こちらは何年もクローゼットの中に入れたままだったのと、もともと生地が厚いため、あと何度か「LGスタイラー」を使った方が良い気がした。

もう一つのダウンジャケットは、なんだかモフモフ感が戻っているような印象。そのまま羽織ってみると、ポカポカしていることもあり、着心地が良い。明らかに服の中のダウンが復活している! とまではいえないが、確かにケアされていることが分かる。このまま着て寒い外へ出かけたくなるような仕上がりだ。

いずれにしても、効果はバツグン! といえるだろう。ダウンジャケットで、気を良くしたので、その時に着ていたワイシャツを掛けてみた。

使用前
使用後。見た目の違いは感じられないが、触るとフワッとした感じが増している
使用前
使用後。こちらも見た目は変わらないが、軽くなっている。厚手なので何度かLGスタイラーを使うと、もっと効果が出そう

シャツのシワが緩やかになる

着ていたのは、綿100%の生地が厚めのワイシャツ。出かける前にアイロンを掛けていたが、袖をまくって着ていたので、袖にはくっきりとシワがよっている。そのほか、脇の下のシワとかすかなタバコのニオイも気になる……。

専用のハンガーに入れて、「リフレッシュ」の「おいそぎ 20分」に設定してみた。

ワイシャツを入れてみた
けっこうシワが多い
「リフレッシュ」の「おいそぎ 20分」に設定

スタートさせると「除菌/衛生 しっかり133分」の時と同じように、シュルシュルとこもった音が聞こえてきた。その場所を離れて、また隣室で待機することにした。

しばらくすると、かすかに「コトコトコト…」というような音が聞こえてきた。誰かと話していれば気にならないが、静まり返った部屋にいると聞こえてくる……といった程度。「LGスタイラー」に近づいてみると、「カタカタカタ……」と音を立てつつ、じーっと本体を見ると、わずかに揺れている。

目の前まで来ると分かるが「カタカタ」音よりも、隣の部屋に居たときには聞こえてこなかった、冷蔵庫のような「ゔぃ〜〜〜〜〜〜」というような音が気になる。また隣室へ移動すると、「ゔぃ〜〜〜〜〜〜」という音は聞こえなくなり、「カタカタ……」という音がわずかに聞こえる。

そうして20〜30分ほど待っていると、また終了のメロディが聞こえてきた。

「LGスタイラー」のドアを開けると、ダウンジャケットの時と同様に、モヤッとする。それでもワイシャツの生地に触れてみると、カラッとしているから不思議だ。

シワの状態を見ると、クッキリと付いていたシワは、だいぶなだらかになっている。

使用後。シャツ全体のシワが伸びている感じがした
気になっていた、袖のシワもだいぶなくなっている

例えば、スチームアイロンで同程度のシワの状態にしようと思うと、同じくらいの時間が掛かるだろうと思う。それも、絶え間なくワイシャツを手で伸ばしながらスチームを当て続ける必要があるだろう。もちろん、伸ばしにくいワイシャツの強いシワの場合での比較だ。

ニオイをかぐと無臭ではないけれど、例えていうなら、クリーニングに出した後のようなニオイだろうか。とにかくタバコ臭のような悪臭はしなくなっている。

「S3CW」《ワイシャツ/帽子編》

帽子や手袋もリフレッシュ

帽子や手袋もやってみた。筆者は、普段は帽子が必需である。いちおう夏用と冬用とで使い分けている。この帽子がかなりクセモノ。洗濯機で洗うと、ネットに入れておいても、傷ついてしまったことが何度かある。そこで(そもそもそうすべきなのだろうが)、洗うときには湯に浸けてから、手洗いする。そうなのだけど、これがけっこうな面倒。

明らかに汗が染み付くのが分かる、夏用の帽子は、頻度高く手洗いするのだが……冬用の帽子は生地が厚いこともあり、汗をかいても目立たない。そこで、定期的に洗うことを怠ってしまう。そのままシーズンが終わり、たんすにしまい込んでしまうと……ひどいときにはカビが発生したりする(その時は、もちろん手洗いします)。

こまめなケアをしてこなかった帽子を「LGスタイラー」で、どれだけリフレッシュしてくれるかを試したくなった。

入れる前に帽子の生地に触れてみると、カビは発生していないが、不快な湿っぽさがある。ニオイも、なかなかのものだ。

手袋も同様だ。筆者は自転車移動が多いため、おそらく手袋の生地が汗を吸っているはず。生地に触れると、フレッシュでは“ない”、いやな手触り。購入時の、フワッとした雰囲気が微塵もない。

期待でワクワクしながら、そんな帽子と手袋をセットして、「リフレッシュ」の「おいそぎ 20分」に設定。

帽子を吊るしてみた(1つは間違えて、付属ハンガーではないものを使ってしまった)

「カタカタ」した後に、取り出すと、これらが良い感じで「リフレッシュ」していることが実感できた。あのなんともいえない不快なニオイは消えているし、手触りもカラッとしていて気持ちが良い。嫌な湿気が消えて、生地の奥というか繊維の中まで、しっかりと乾燥している感じがする。

帽子をかぶると、特に額に当たる部分の生地が気持ちよい。手袋も、気持ちフワッとした感じが戻った気がする。

ダウンジャケットはもちろん帽子や手袋も、実際に水などで洗うわけではないので、シミが落ちたり目立たなくなったりするわけではない。そうした点では「洗いたてのよう」にはならない。だが、生地が生き生きとリフレッシュしているように感じる。その点では「洗いたてのよう」だといえる結果となった。

右手用がLGスタイラーに入れたもので、左手は入れなかった。見た目には分からないが、触ってみると、すぐに分かるほどだった

上位機との違いは「ズボン折り目ケア」がないこと

帽子や手袋に関しては、今回はハンガーの洗濯バサミに吊るした(ズボンなどを吊るすようの洗濯バサミ)。だが、帽子を洗濯バサミで挟むのは、特にブリム(つば)に取り付けるのは、生地を痛める原因になるのでおすすめしない。

上位機であれば、こうした帽子や手袋、それにニット地の衣類などのために、棚が用意されているが、「LG styler S3CW」の場合は別売だ。

上位機には、帽子やマフラー用の棚が用意されている

ちなみに上位機との大きな違いは、「S3CW」には「ズボン折り目ケア」が無いことが挙げられる。これは、スーツや制服などのズボンのプレッサー。筆者はスーツを着ることがほとんどないので不要だが、もし毎日のように着る人であれば、ズボンプレッサー付きのモデルをおすすめしたい。

使用感は大満足。あとは設置スペースが問題

「LGスタイラー」を何度か使ってみて、さっそく欲しいと思ったが、気になるのが設置スペースの問題。ただし、実際に知人の狭い部屋に置いてみたところを見ると、我が家にも置けなくはないなと感じた。まぁ、どんな家にも置ける、とまではいえないが……。

意外と狭い場所にも置ける
今回設置した部屋も、決して広くない

今回はダウンジャケット、ワイシャツ、帽子と手袋で試した。そのほかスーツも「リフレッシュ」させてみたが、やはり消臭効果をはじめ、シワが伸ばせるなどメリットは大きい。

例えば雨で濡れたスーツやコート、学生服やダウンジャケットも、帰宅後すぐにカラッと乾燥させて、ケアできるのはうれしい。いつもパリッとした服で出かけられて気分が良いのはもちろん、生地の劣化も防げるはずだ。

また、今回は試せなかったが、キャンプで使う寝袋なども有効だろう。特に寝袋は、ダウンジャケット以上に汗を吸っているのに、自宅で洗うのが難しい。使うたびに手洗いして干すのは無理だが、「LGスタイラー」で手軽にケアしておくと、次回使う際の快適度がグンッと上がるはず。

「LG styler S3CW」は、自宅に無理なく置けるスペースが確保できれば、ぜひおすすめしたい製品だ。

河原塚 英信