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パナの「スマートクローゼット」見てきた! 静かに自動で除菌消臭&シワのばし
2023年7月12日 16:05
パナソニックが8月1日に発売する「スマートクローゼット HCC-R600A」。衣類を掛けて収納すると除菌や消臭、シワ伸ばしができるという新製品を一足先に見てきた。
こうしたクローゼット型のスチーマーとしては「LG Styler」が知られているが、パナソニックとしては初の製品となる。パナソニックは動作音が静かな点などをアピールしているが、LG Stylerとはどんな部分が違うのか、スマートクローゼットを実際に使ってみた。
手持ちで使う衣類スチーマーとの違いや、洗濯物の部屋干しにも使えるのかどうかなど、気になる質問への回答も紹介したい。
ハンガーに掛けたら自動でシワのばし
同社の調査によると、コロナ禍の「行動制限」緩和後に「外食が増えた」と回答した人は48%、「ショッピングへ出かける機会が増えた」とした人は44.8%いたという(n=904)。さらにコロナ禍と比べて着用機会が増えた衣類として、デリケート素材のおしゃれ着やシャツ、ブラウス、ジャケットなどが挙げられたそうだ。
このように外出、そしておしゃれ着を着る機会が増え、衣類ケアへの意識が高まっていることに着目して開発されたのが、スマートクローゼットだ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は33万円前後。ドアが右開きのHCC-R600ARと、左開きのHCC-R600ALを用意する。
運転モードは、庫内にナノイーXを充満させ、除菌や消臭、花粉抑制、ウイルス抑制を行なう「除菌消臭」コース、スチームで衣類のシワをのばす「シワのばしコース」、雨でぬれた衣類や洗濯物を乾かす「乾燥コース」の3種類で、同時にケアできる衣類は3着まで。
さらに庫内の棚を使えば、帽子やぬいぐるみなどハンガーに掛けられないもの、セーターなどの型崩れが気になるものもケアできる。またシワのばしコース運転時の熱を利用して、スラックスなどのセンタープレスができるパンツプレス「HCC-PA1」も別売で用意(店頭予想価格:22,000円)。
なお、除菌消臭コースは基本的にほとんどの衣類に使用できるが、シワのばしコースは「家庭洗濯NG」の洗濯表示がある衣類には使用不可。また、和服や毛皮、皮革などの高級品は傷む原因となるため、すべてのコースが使用できない。
本体サイズは45×61.3×173.4cm(幅×奥行き×高さ)。重量は69kg。定格消費電力は1,160W(シワのばし)。設置に給排水の工事は不要。アースや転倒防止金具は必要となる。
静音性にこだわり。アイロンやドラム式洗濯機を応用
従来の衣類ケア家電といえば、アイロンと洗濯機が代表的だろう。スマートクローゼットはこれらの技術を応用して誕生したと、パナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 商品企画部の松原克さんは解説する。
スマートクローゼットは、アイロンに搭載されているスチームジェネレーターや、ドラム式洗濯乾燥機のヒートポンプの応用により、しっかりとシワがのばせるうえ、衣類に優しい低温乾燥(約65℃)も実現した。
松原さんによると、寝室やマンションの室内、ホテルの客室に設置することも想定し、静音性には特にこだわったという。冒頭で触れたLG Stylerは、衣類を振動させて花粉やホコリを落としシワをのばす仕様だが、本機は振動機能を搭載せず、花粉はナノイーXの力で抑制する。
加えて、乾燥時の風量や風向を最適化することで、静音性と乾燥効率を向上。ルーバーの稼働により、衣類に効果的かつ均一に風を当てられるようにした。ルーバーなしの場合と比べて、乾燥時間を20%短くすることもできたという。
LG Stylerとはどう違う? 比べてみた
ライバルと思われるLG Stylerとの違いで、最も特徴的なのは振動機能の有無。さらにLG Stylerはドアを開けて除湿運転することで部屋全体の除湿もできるが、パナソニックのスマートクローゼットは同様の機能は搭載しないといった違いもある。乾燥方式はいずれもヒートポンプ式。
LG Stylerの運転をスタートした時は、ハンガーラックを振動させているため、やはりカタカタとある程度の音量を感じた。ハンガーラックの振動を受けて本体も少し揺れるのだが、筆者としては音よりもこの揺れが気になっていた。
対してパナソニックのスマートクローゼットを体験したところ、周囲が少し騒がしかったこともあるが、本体に耳を近づけないとわからないほど静か。稼働音は浴室乾燥機と似ていると感じた。
振動の有無がシワのばしにどの程度影響を与えるのかまでは比較できていないが、マンションの一室や、寝室で就寝中に使用することを考えれば、使いやすいのはスマートクローゼットと言えるだろう。
使い方、お手入れは? 気になる質問への回答も
スマートクローゼットの使い方やメンテナンス性もチェックしてきた。
シワのばしコースは、あらかじめ給水タンクに水を入れて運転する。標準使用水量は約217ml。また乾燥時の排水を溜める排水タンクは、満水時には取り外して水を捨てる必要がある。庫内の吸気フィルターもホコリが溜まれば取り除く必要があるが、ドラム式洗濯乾燥機と比べるとホコリはかなり少ないそうだ。
ところで、パナソニックからも販売されている「衣類スチーマー」には脱臭効果がある。同様にスチームを使用するスマートクローゼットのシワのばしコースで脱臭もできるのだろうか? 松原さんに聞いてみると「できる」との回答だった。
しかし、「シワのばし・脱臭コース」などとしなかったのは、使う人がどのコースを使えばいいか迷ってしまうことを防ぐ目的がある。シワのばしコースは家庭で洗濯できない衣類には使えない。そのため除菌消臭に関しては、あらゆる衣類に対応するナノイーXのコースを利用するよう案内することで、誤使用を防ぎ、直感的にコースを選択できるようにした。
またナノイーXのコースでは除菌消臭ができるが、汗や皮脂などの汚れが落とせるわけではないため、汚れた衣類に関しては洗濯やクリーニングを推奨している。
このほか、主に雨に濡れた衣類を乾かす乾燥コースは、洗濯が終わったばかりの衣類も時間はかかるが乾かせるという。30分の「お急ぎ」モードのほか、手動で2時間までのタイマー設定も可能なため、衣類の濡れ具合に合わせて使用できる。
本体は部屋を広く見せる効果もあるミラーデザインを採用。ドアを開けると電源がオンになり、操作部が点灯する。普段は消灯しているため、寝室やリビングなどに設置してもノイズが少なそうだ。
筆者はいつも、着た後のおしゃれ着には消臭スプレーをして、しばらくカーテンレールなどに掛けて乾燥させていた。この“しばらく”は1日であったり、面倒なときは1週間であったりとまちまち。その間はずっとリビングなどに服が出しっぱなしとなるため、見た目にもよくなかった。
スマートクローゼットがあれば、カーテンレールに掛けていたのを脱いですぐ庫内にしまえるし、消臭スプレーも不要だ。消臭やシワのばしが終わったあとはそのまま収納しておけるため、片付ける必要もない。服を大切にしたい人にはもちろん、筆者のような「ズボラだけどきちんとしたい」人にもよさそうだなと妄想が広がった。
また、体験会場で「スリッパにもおすすめ」と聞いて、目からウロコ。ズボラなくせして神経質なため、いつも「きれいじゃないんだろうな」と思いながらスリッパを履いていたのだが、定期的にスマートクローゼットで除菌をすれば、気持ちよく履けるようになりそうだ。