ぷーこの家電日記

第606回

地鶏で作る鶏がらラーメンが最高だった

我々夫婦は自他共に認める食いしん坊である。常に脳みその8割は食べるもので占められているような食い意地の持ち主だ。

世の中に、そんなに食べることに興味がない人や、食べ物に頓着しない人がいるということを知ったのは、かなり大人になってからである。とはいっても、美食家とは程遠く、ただの健啖家だ。全然性格の違う私と夫だけど、同じ食いしん坊で、出身地も同じなので、味付けの趣向も合っている。

食事は毎日のことだから、食の好みが合うというのは共通の趣味みたいなもので、なかなか相性がいいのかもしれない。

だが、たとえ同じように見えても、細分化されているのが趣味というものである。例えば鉄道。鉄道好きとひと言でいっても、「乗り鉄」「撮り鉄」「音鉄」などなど多種多様だ。それは食いしん坊にもいえる。

「美味しく食べること」に幸せを感じる私と、「たくさん食べること」に幸せを感じる夫。そして、大切にしているものが「素材」である私に対して、夫は「価格」。同じ「食べることが大好き」でも、大事にしているポイントが全然違うのである。

小さな違いは、時に大きな摩擦を起こす。「ご飯を食べに行こう」となった時、「安くて量が多くてめっちゃお得」みたいなお店をイメージする夫と、「美味しいものをちょこちょこ色々食べたい」と思う私が合うわけがないのである(笑)。

メニューを見ながら迷っている時も、「こっちの方がお得じゃない?」とか、「これ頼むのもったいなくない?」などと、自分の価値観で言ってくる。

もったいないなどと言われると選びづらいし、気持ちも軽く萎える。何度かそういうことが続いて、「うるせー! 好きなもの食べさせろ! 私は食べたいものを食べたいんだ!」と、大暴れする勢いでキレた。食べ物の恨みは怖いのだ(笑)。

夫も決して悪気があるわけじゃなく、自分の価値観の中で一番良い体験を私に提案して、共有したかったのだと分かるのだけど、私は私で価値観というものがある。

そして私も、自分の価値観を押し付けている。「大盛り無料」「おかわり自由」なんてものに目を輝かせる夫に、「限界に挑戦する必要ないんだし、いい歳なんだし、腹八分という概念とか、バランスなんてものも少しは考えてほしい」と思ってしまう。

そんな摩擦を繰り返しながら、10数年、数千回の食事を共にするうちに、何となくお互い歩み寄るというか、融合されて似たもの夫婦になってきた。

「安いものをたくさん」「美味しいものを程よく」が魔改造で融合された結果、「美味しいものをたくさんお腹いっぱい」食べる夫婦になってしまったのだ。

おかげでエンゲル係数も体重も急上昇。50歳目前で、さすがにちょっと生活を見直さなきゃなぁと思うものの、脂の多いお肉が食べられなくなったり、量が食べられなくなってきたりと、加齢の波をひしひしと感じ始めた私は、「これだけ食べられるのも、内臓が強くて元気だからかもしれない」と、無理に我慢させることもやめた。

その分、栄養バランスを考えたりは、今以上に気をつけていかなければいけないと、炊事担当として思っている。

お互いの趣味嗜好が融合された今、私が時々お取り寄せする食材にも、「今週届くよ」なぁんて言うと、「おー! あの美味しいやつ!楽しみ!」と喜び、「じゃあ日本酒買ってくるわ」などと、美味しい素材に合わせたお酒を率先して買ってきたりする夫。

「美味しい! これ誰が作ったもの?」なぁんて、素材の生産者などに目を向けたりもして、食育なのか洗脳なのか分からないけれど、随分趣味が合う2人になったものだ(笑)。

その中で、年に1度か2度程度買う、最高に大好きで満足している食材がある。これが地鶏の1羽買いである。

元々、鶏肉は大好き。何せ我々夫婦は、鶏肉大量消費県の福岡県出身だ(ここ数年は1位ではないようだけど、ずっと一番鶏肉を消費している県だった)。そして西日本には、親鶏を食べる文化がある。

親鶏とは、産卵時期を終えた2年以上飼育された鶏で、若鶏よりも格段に濃厚な旨味と、強い歯応えがある鶏だ。これが美味しくて、東京に引っ越してきた時に、うどんの出汁の違いよりも、「親鶏がどこにも売ってない」ことが、一番ショックな出来事だったかもしれない(笑)。

歯応えがあって旨味の強い鶏肉が大好きなので、美味しく育てられた地鶏の中でも、飼育日数が通常の地鶏よりもかなり長めのお肉が一番の好物かもしれない。広島の小さな養鶏所で育てられている長期飼育地鶏の大ファンで、買うたびに1週間近く、毎晩ご馳走続きになる。

鶏1羽といっても、クリスマスに食べるような中抜きの丸鶏ではない。すべて食べやすいように捌いてくれる。

ももや胸などのお肉と共に内臓もパッキングしてあるし、鶏ガラも、何ならモミジ(足)や頭まで届く。夫が見たら卒倒しちゃうかもしれないので、頭などは見せないが、複雑な旨味がある良い出汁が取れるので、ガラやモミジと共に鶏ガラ出汁を取る。

もも肉はたたきにしてわさび醤油で食べ、内臓は豆腐でかさ増ししながら鶏もつ煮。この2つは好きすぎて、他にも色々料理したいと思いつつも外せなくてワンパターン。

そのほかの部分も色々な料理にして数日かけて食べるのだけど、今回届いた雄鶏がすごく大きくて、肉だけじゃなく骨格まで太くボリューミーだったので、欲張って寸胴でたくさんの鶏ガラスープを取った。

夫に「おつかいお願いしていい?」と頼んだ先は、上野にある「なまめん直売所」。ずっと気になっていて行ったことがないお店なのだけど、かなりの種類の生麺が揃っているお店らしいのだ。麺だけじゃなく、ラーメンスープやトッピングの具材も色々売っているらしい。

おつかいから帰ってきた夫は、「めちゃくちゃ楽しい店だった!」と、鶏ガラ醤油ラーメンにはこれ、という麺を買ってきてくれた。

その麺を使って、贅沢な鶏ガラ醤油ラーメン。煮卵は鶏肉と同じ養鶏場の卵を使い、鶏チャーシューはもちろん1羽買いの地鶏。「これ行列できるね」「1杯1,500円でも安いよ」なぁんて、自画自賛の大絶賛をしながら麺を啜ったのであります。

昨年12月頃、ちょっとダイエットしていたはずなのに、年末年始で少し制限を解除したら、全然再開できない。そりゃもう、痩せられるわけないわ。と、諦めて今年も食いしん坊道を邁進していこうと、どこまでも自分に甘い我々なのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。