家電製品レビュー
プラズマクラスターNEXT搭載の「除菌脱臭機」は、ペットや焼肉のニオイが素早く消え、カビ菌の繁殖も抑える実力派だった!
2019年11月5日 00:00
今回は、次世代のプラズマクラスターNEXTを搭載した「プラズマクラスター除菌脱臭機 DY-S01」を試してみた。プラズマクラスターといえば、これまで主に空気清浄機やエアコンなどに搭載されてきたイオン発生機。しかし、今回発売されたものは、除菌と消臭に特化したプラズマクラスター発生装置だ。まず「空気清浄機」ではない点に注意してほしい。
しかもこれまでのプラズマクラスターに比べ、濃度が2倍に高まった「プラズマクラスターNEXT」で、より早く、より強く浮遊菌などの作用を抑えたり、消臭ができるという。
メーカー名 | シャープ |
---|---|
製品名 | プラズマクラスター除菌脱臭機 DY-S01 |
適用畳数 | ~15畳 |
実売価格 | 33,735円(税込) |
これまで数々のプラズマクラスター搭載製品をレビューしてきたので、今回もまずはこれまでと同様の実験を行ない、プラズマクラスターNEXTの効果を検証していきたい。さらにプラズマクラスターNEXTが謳う除菌効果についても、カビを使って検証していくことにしよう。
ペットのおしっこやウンチ臭がほとんど臭わない!
まず最初にテストするのは、プラズマクラスターNEXTになって初めて謳われている「排泄物臭」と「ペット臭」の消臭だ。うちにはペットが2匹いる。1匹は、犬のマルチーズの定吉君。コイツは、それほどウンチ臭がしない。犬はフードによってかなりニオイが抑えられるようだ。
もう1匹は猫のメインクーンのドミちゃんだ。この子、ニオイがかなりキツイ。ダイニングキッチンから4~5m離れた脱衣所に猫用トイレを置いてあるものの、ウンチをすると「プーン」と……。ネコはフードを変えてもニオイが抑えられないようだ。
そこで今回はネコのドミちゃんに協力してもらった。トイレのある脱衣所に、プラズマクラスター除菌脱臭機を設置して、ウンチをした後のニオイを調べてみた。
猫のトイレなので、脱衣所のドアは常に半開き、お風呂場のドアと換気用の小窓も開けた状態で使っている。なのでお店で実演しているような、狭い閉空間ではなく、脱衣所とお風呂場を合わせて6畳程度かつ、換気している空間だ。
結果は、驚くほどの消臭効果にビックリ。これまでウンチをするとすぐにリビングに臭ってきたが、それがほとんどなくなった。逆に言うと、いつウンチをしたか分からないので、時々トイレを覗いて、汚れているときにお掃除してあげるというように、掃除のスタイルまで変わったのである。
本機の風量は「強」「中」「おやすみ」を切り替えられるが、「強」は結構うるさかったので、今回の実験では「中」を使っている。実測したそれぞれの運転音(本機から1m離れた平均値)は以下の通りだ。
風量 | 強 | 中 | おやすみ |
---|---|---|---|
運転音 | 48dB | 34dB | 24dB |
「強」は脱衣所では大きな音に聞こえるが、静かなオフィス程度の音。テレビがついているリビングなら、やや運転音が気になる程度だろう。「中」は夜の住宅地程度の音。勉強部屋などに置いても集中力を削がれない程度だ。「おやすみ」はほぼ無音と言っていいほど。エアコンをつけていると、完全にエアコンの音に消されてしまうほど静かだ。
試しに「強」でも同様の実験をしてみたが、消臭効果は「中」とそれほど変わらない。通常利用は「中」でもいいようだ。
またペットの消臭なので、1日24時間運転しっぱなしにしておいた。このときの電気代は、次のようになっている。
風量 | 強 | 中 | おやすみ |
---|---|---|---|
1時間あたりの電気代 | 0.3円 | 0.14円 | 0.06円 |
1日あたりの電気代 | 7.2円 | 3.36円 | 1.44円 |
これなら1日つけっぱなしにしても数円足らずで済む。「中」で十分消臭効果を発揮していたので、1カ月の電気代に換算しても100円程度だ。電気代を気にせず、気兼ねなく1日中運転できる。
カビにプラズマクラスターを当てて除菌効果を検証したが……マジか!
次にテストしたのは、除菌に関するテスト。本機はカビやウイルスを抑制したり、除菌効果もあるというからだ。そこで用意したのが、筆者御用達の子供向け科学実験セット! 今回使うのはAmazon.co.jpで購入した「バクテリア培養キット」だ。
このキットを使って、カビ菌を培養する培養床を作り、そこにカビを付着させて繁殖する様子を観察してみた。ちなみに培養床は、説明書が大絶賛していた、寒天にコンソメスープを混ぜたものとなっている。
培養床を4個作り、本機を設置した部屋としていない部屋にそれぞれ2個置いて、カビの繁殖する様子を4日間調べてみた。培養床を設置した場所は、次の通り。
【プラズマクラスター除菌脱臭機のある部屋】
【プラズマクラスター除菌脱臭機のない部屋】
実験前の培養床は、次のような感じになっている。
それぞれ4日間放置した結果が、次の通りだ。
【プラズマクラスター除菌脱臭機のある場所】
・プラズマクラスターの風が直接当たる場所に置いた試験体は、最初に付着させたカビがついているのみで、繁殖は見られなかった。
・プラズマクラスターの風が直接当たらないものの、同じ閉空間にある試験体は、若干の繁殖が見られたが、プラズマクラスターのない部屋よりは少なかった。
【プラズマクラスター除菌脱臭機のない場所】
・いつも開放しているトイレの窓の近くにおいていた試験体は、気温と湿度の低さが原因してか、ほとんどカビは繁殖しなかった。
・居間の空気がよどみがちな家具の上に置いた試験体は、最も繁殖した。
この結果を見ると、プラズマクラスターの繁殖抑止効果は、吹き出し口の延長線上にある菌に対して高いという結果になった。また直接プラズマクラスターの風が当たらない場所でも、プラズマクラスターのない空間に比べると、効果があるようだ。
今回はネコのトイレがある脱衣所でカビ培養実験をしたので、ドアを半開した状態での空間となる。閉空間で実験した場合は、さらに効果が高まるだろう。
一晩かかる焼肉の消臭もプラズマクラスターNEXTなら2時間で半減
ニオイが気になるといえば焼肉だ。夏場は屋外でやるので気にならないが、肌寒い秋は、部屋に煙を盛大に充満させたインドア焼肉になるため、服も部屋も、カーテンも家具も焼肉のニオイになる。
そこで家族で焼肉パーティーをして、宴のあとのニオイがどう変化するかを調べてみた。空気清浄機能も付いている場合は、換気扇を止めて実験をするところだが、今回は空気清浄機能がないため、キッチンの換気扇を回している。また臭いは、測定器による数値ではなく、実際に嗅いでみた体感だという点に注意してほしい。
結果は2時間後で半減と、強力な脱臭効果が認められた。除菌脱臭機を運転していない廊下や階段は、強烈な臭いが残るも、焼肉会場となったリビングはうっすら臭う程度だった。
一晩明けた12時間後は、カーテンやソファに焼肉臭が少し残る程度で、部屋の空気はほぼ無臭にまでなっていた。プラズマクラスターNEXTは、以前のプラズマクラスターより早く、より強力に消臭してくれるようだ。
コーヒーを使った活性炭フィルター性能テスト
次に行なったのは、レギュラーコーヒーを使った活性炭フィルターの性能テストだ。買ってきたばかりのレギュラーコーヒーのパッケージを開けると、一気に香りが広がる。この香りがどのくらい消えるかを調べるわけだ。本機のフィルターにも採用されている活性炭は、コーヒーの香りを瞬時に吸収するため、本機と空気清浄機を比較してみた。
空気清浄機に搭載されている大量の活性炭が入っているフィルターの下に、封を切ったパッケージを置き、反対側から嗅ぐと香りがしなくなった。では本製品の活性炭フィルターはどこまで消臭効果があるかを見てみよう。
本機のフィルターは円筒形状なので、フィルターを横に倒した状態でコーヒーのパッケージを置き、香りのテストをしてみた。
結果は驚き! なんと活性炭1kgを詰め込んだ空気清浄機のフィルターと同じく、本機の活性炭フィルターも、まったくコーヒーの香りがしなくなるほど強力な脱臭力。小さいうえに「シャカシャカ!」という活性炭の音もしないのに、この脱臭力には驚かされた。
光触媒で活性炭フィルター消臭効果が持続・交換が不要
先に紹介した通り、本機には活性炭フィルターを搭載し、プラズマクラスターとの併用で消臭効果を高めている。活性炭は、冷蔵庫や靴の消臭用として有名。普通の炭と違うところは、表面に無数の細かい穴が開いていて、その穴でニオイの分子を捕らえて消臭できるという点だ。しかしたくさんのニオイ分子を吸着した活性炭は、ニオイを捕らえる穴がすべて埋まってしまい消臭効果がなくなる。そのため活性炭を使った冷蔵庫や靴の消臭剤は、定期的に買い換える必要があるのだ。
さて、プラズマクラスター除菌脱臭機には、光触媒という機能が設けられている。本機が持つ光触媒という機能は、活性炭の穴に詰まったニオイの分子を分解し、活性炭の消臭効果を復活させるというものだ。そのうえ光触媒は、活性炭の穴に捕らえられているニオイの分子構造そのものを分解し、最終的に二酸化炭素と水に変えてしまう。こうして本機の活性炭フィルターは経年劣化を最小限に抑えられるため、通常は交換の必要がないのだという。
この不思議な光触媒に使われるのは、タングステン系酸化物という物質と可視光線。光触媒が「光」たる由縁は、光を使うためだ。本機の電源をONにすると光るようになっているが、これは可視光線を活性炭フィルターに当てているためだ。
ニオイを分解して消臭するプラズマクラスターNEXTの進化
また猫のウンチのニオイなどをほとんど無臭にしてしまう消臭力のひとつが、プラズマクラスターNEXTだ。これまでのプラズマクラスターとの違いは、その濃度が2倍というところ。これにより消臭時間や静電気除去時間が以前より短くなり、除菌・抗菌効果が高まったという。
消臭効果はネコのトイレと焼肉実験の通り、実際に体感できるほど効果があった。除菌に関しては実験できなかったが、カビの抗菌効果は今回の実験で明らかになった。シャープによれば、浮遊・付着しているウイルスの抑制作用や浮遊菌、アレル物質の作用を抑えるのにも有効としている。
さらに、シャープによればプラズマクラスターNEXTだけの効力として、付着したニオイの原因菌の除去や、排泄物臭を消臭できるということだ。
本機は下部360度から空気を吸い込み、活性炭フィルターを通して1次脱臭。その空気に乗せてプラズマクラスターを部屋に放出することで2次脱臭も行なえる。したがってペットのトイレの消臭などに利用する場合は、トイレ近くに置いておくと効果的だ。
一方プラズマクラスターの放出方向は、本体の向きを変えることで360度、吹き出し口のルーバーの角度を変えることで、横からやや上向きまで変えられる。部屋全体の消臭や抗菌に利用する場合は、エアコンやサーキュレーターの風に乗せて室内全体に広げてやるといいだろう。
適応床面積は、およそ15畳まで。しかしプラズマクラスターの濃度が高いほど効果も高くなるので、きついニオイを素早く消臭したいなら、より狭い空間で使うことをオススメする。
またプラズマクラスターの発生ユニットは、24時間つけっぱなしで運転した場合、およそ2年で交換時期となる。本体に交換サインが表示されたら、発生ユニットの交換が必要だ。価格が3,500円なので、実際にはもっと安く手に入るだろう。
加えて、光触媒の作用で通常はほとんど経年劣化しない活性炭フィルターだが、ニオイの強い場所で酷使した場合は、機能が低下する場合がある。メーカーでは価格9,000円で交換部品を用意している。
ペットのニオイでお困りの方、インフルエンザ予防したい子ども部屋に
シャープが謳うすべての機能を検証するのは、しっかりした実験施設がなければできないが、一般家庭で検証できる範囲で、プラズマクラスターNEXT搭載の除菌脱臭機を色々テストしてきた。
結果、ペットのウンチ臭に対して驚くほどの脱臭効果を見せた。加えて焼肉臭もおよそ2時間で半減、12時間でほぼ臭わないという結果になった。
消臭効果の高さと速さを実感できるほど、プラズマクラスターNEXTは進化しているようだ。この点からペットのトイレや、ペットを多頭飼いしているご家庭、介護されているご家庭や施設のスポット的な脱臭にオススメしたい。
またカビを使った除菌実験でも抑制効果が見られたので、脱衣所のカビ臭や、お風呂のカビ発生抑止(脱衣所に置いて、浴室に送風)などにも役立つだろう。
今回は検証できなかったが、受験を控える子どもがいる家庭で、子ども部屋に設置してウイルスの抑制にも活用できるだろう。
【お詫びと訂正】
記事初出時、光触媒の構成要素を「酸化チタンと紫外線」と記述しておりましたが、正しくは「タングステン系酸化物と可視光線」です。お詫びして訂正いたします。