ニュース

三菱電機と科学大が「人工光合成」CO2からエネルギー物質生成

可視光利用の光触媒パネル

三菱電機と東京科学大学(Science Tokyo)の前田和彦教授らは、可視光を利用する光触媒パネルによって、CO2からエネルギー物質であるギ酸を生成する人工光合成技術を確立したことを7月28日に発表した。

光触媒を用いて太陽光エネルギーを化学物質に変える人工光合成は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた有効な手段として期待されている。また、人工光合成により得られる物質のうち、液体で運搬や貯蔵が容易であるという特徴を持つギ酸は、太陽光のエネルギーを蓄える再生可能エネルギーの1つとして注目されているという。

本開発では、ガラス平板上に酸化チタン層を堆積させ、その上に有機半導体である窒化炭素を載せて固定化することに成功。これにより、パネル状にした光触媒にCO2の還元活性点となるルテニウム錯体(RuP)を吸着させ、可視光を当てることで、CO2を原料としてギ酸が生成されることを確認したという。

光触媒パネルの構造

人工光触媒のパネル化により、反応液からのろ過といった従来方式の工程が不要となるため、ギ酸の回収が容易になり、回収コストの削減にも寄与。ギ酸の選択率は85%に達し、従来方式(約80%)と同等の効率を維持できる点も特徴とする。

ギ酸生成の原理
実験の様子

三菱電機は本技術を他の人工光合成技術と組み合わせることで、より高効率なエネルギー変換システムの実現とギ酸の大量生成を目指し、再生可能エネルギーの利用拡大、カーボンニュートラル社会の早期実現に貢献していくという。