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シャープ、プラズマクラスター技術が水虫菌に抑制効果を発揮することを実証
2019年7月22日 13:30
シャープは、カビ研究の専門家である千葉大学・真菌医学研究センター・矢口 貴志准教授の監修の下、プラズマクラスター技術が、水虫菌(白癬菌)に対して抑制効果を発揮することを実証したと発表した。今後は、実使用相当空間での検証を行なうとともに、住空間での効果的な活用方法を検討していくという。
プラズマクラスター技術とは
プラズマクラスターは、水素のプラスイオンと酸素のマイナスのイオンで空気を浄化する、シャープの独自技術。
室内にプラズマクラスターを放出することで、ドアノブや壁についたニオイなどを含む、空間全体を浄化できる点が特徴。プラズマクラスター放出による空気浄化は、すでに除菌・消臭効果、静電気除去効果、肌保湿効果が実証されている。
またカビに対しては、これまで付着カビ菌や浮遊カビのアレルゲンの抑制効果、5種類のカビの生育ステージ別の抑制効果、ヒトにも感染するペットの皮膚糸状菌の抑制効果が実証されているという。
水虫とは
今回実証したのは、ヒトに感染する代表的なカビ菌(皮膚糸状菌)である水虫の原因菌(白癬菌)に対する抑制効果。
水虫とは、皮膚糸状菌(カビ)である白癬菌によって生じる感染症のことで、足白癬とも言われる。
「白癬菌という皮膚糸状菌(カビ)は、皮膚の角質層に感染して発症します。白癬菌はヒトの髪や角質、ペットの毛などに含まれるケラチンというタンパク質を栄養源にしています」(矢口准教授)
また国内では、水虫が増え始める5月には、5人に1人は水虫があるという調査結果があるという。さらに年齢が上がるに従って、頻度が増える傾向があるため、高齢化が進む日本では、感染者数が増える可能性があるとする。なお、男女による感染率は変わらないという調査結果もある。
「カビは、胞子と菌糸で成立しています。まず胞子が発芽し、菌糸を伸ばします。さらにその菌糸の先に胞子を形成します。この胞子が飛散して、さらにその胞子から菌糸が発芽する…というサイクルをもっています。
今回の試験では、胞子が発芽するところと、菌糸が伸長するところ、この2つの段階で試験を実施しました」(矢口准教授)
試験概要と結果
白癬菌の種類は世界で40種類。日本では、そのうち10種類が確認されているという。そして国内で流行する水虫は2菌種で90%以上を占めている。そのため今回の試験では、その2菌種、トリコフィトン・ルブルムとトリコフィトン・メンタグロフィテスで試験したという。
試験の概要は以下の通り。
試験1 2菌種の白癬菌に対する抑制効果を検証
試験2 胞子が発芽する段階における抑制効果を検証
試験3 菌糸の伸長段階における抑制効果を検証
試験4 照射するイオン濃度の差による抑制効果を検証
試験は、千葉大学の真菌医学研究センターで行なわれた。試験空間は内寸285×275×485mm(幅×奥行き×高さ)の容器内。検証装置は、プラズマクラスターイオン発生素子。プラズマクラスターイオン濃度は、試験容器内に約20万〜90万個/cm3。
いずれの試験でも、プラズマクラスター技術により、白癬菌の抑制効果が認められたという。試験の詳細については下の通り。
試験1 2菌種の白癬菌に対する抑制効果を検証
試験では、2菌種を寒天培地にて培養。プラズマクラスターイオン発生素子を備えた装置と、しない装置にそれぞれ24時間設置。その後に3〜4日間培養し、生育したコロニー数をカウントした。
トリコフィトン・ルブルムとトリコフィトン・メンタグロフィテスのどちらも、プラズマクラスターイオンを照射した方に関しては、検出されなかったという。これにより、抑制率は99.9%以上と言えるという。
なお、プラズマクラスターイオンを照射しなかった方に関しては、どちらの菌も生育が認められた。
試験2 胞子が発芽する段階における抑制効果を検証
試験2では、胞子の段階の白癬菌に、プラズマクラスターイオンを24時間照射。照射した胞子と、照射していない胞子とを比較し、発芽の状況を観察した。
結果は、イオンを照射したものは、菌糸の発芽が認められなかったが、イオンを照射していないものは、発芽が認められた(発育していた)。
試験3 菌糸の伸長段階における抑制効果を検証
試験3では、胞子が菌糸を形成した後の白癬菌を使用。まず、胞子の懸濁液を寒天シャーレに置き、1日間培養。培養したものを、試験装置の中に24時間設置後に、改めて1日間培養した後の状態を観察した。
結果は、プラズマクラスターイオンを24時間照射したものは、ほとんど菌糸が伸長していなかった。一方で、照射しなかった方は、菌糸の伸長があった。
これにより、プラズマクラスターイオンは、菌糸の伸長を抑制する効果が認められるとしている。
試験4 照射するイオン濃度の差による抑制効果を検証
試験1〜3により、プラズマクラスターイオンが、白癬菌に抑制効果を発揮することが分かった。では、プラズマクラスターイオンをどれだけ照射するか、濃度によって抑制効果に違いがあるのか、を検証したのが試験4。
試験4では、白癬菌の胞子を3つの寒天シャーレに入れ、これまでと同じ試験装置に設置。設置する際に、3つの寒天シャーレを、プラズマクラスターイオン発生素子から、それぞれ違う距離に置いたという。12cm離した場合は、プラズマクラスターイオンの濃度が約90万個/cm3となり、18cm離した場合は、同様に約42万個/cm3、24cm離した場合は、約20万個/cm3となるという。
こうして異なる位置で3時間照射したものを比較した結果、プラズマクラスターイオンの濃度が約90万個/cm3の場合は、その抑制率が95%となり、約42万個/cm3では76%、20万個/cm3では約63%となった。
これにより、プラズマクラスターイオンの濃度が高い方が抑制率が高く、イオン濃度に依存することが分かったという。