家電製品レビュー
ダイキン「リソラ」レビュー、心躍る“空色のエアコン”で酷暑の夏も快適&快眠!
2018年8月31日 06:30
昨年の9月に大阪で開催された発表会で「これは私のために生まれたエアコンだ!」と心を射抜かれ、しばしその前で立ち尽くしてしまったのが、ダイキン工業のスタイリッシュなエアコン「risora(リソラ)」のソライロだ。何を隠そうブルーという色が好きで、中でも少しくすんだブルーグレーは一番のお気に入り。広尾にある家電アトリエの冷蔵庫だってブルーグレーに塗ってもらったほどなのだ。そのリソラのソライロがわが家の寝室(兼書斎)に設置されてから約2カ月。果たして機能的にはどうだったのか、お手入れなどはどうなのか、空前の酷暑の中、ひたすら使った様子をレビューします!
メーカー名 | ダイキン工業 |
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製品名 | risora ソライロ |
タイプ | 容量2.5kW 8畳用 S25VTSXS-A |
価格(編集部調べ) | 320,000円(税抜) |
寝室にリソラの「ソライロ」がやってきた
7つのラインナップを持つリソラの中でも、このソライロは受注生産品。うっかり発注が遅れ、待ち望んだリソラがわが家の寝室にやってきたのは6月中旬のこと。まだ梅雨真っ盛りで気温も高くはなく「間に合ってよかったー!」と思ったのも束の間、6月末には関東地方は梅雨明けをしてしまい、暑い夏が始まったのだから、本当にギリギリセーフだった。
欲しいエアコンがなかなか見つからず、思案しているうちに10数年も経過していたが、これまで寝室で使っていたエアコンはそんなに厚みがなかったものの、すでに買い替え済みのリビングその他の部屋のエアコンは最近の省エネモデルのため、とにかく室内機が大きく、前に突き出しているのがどうしても気になっていた。
今回、実際にリソラが壁に設置されたのを見てみて、薄さというのはこんなにもインテリア性の面で重要なのだと改めて感じた。奥行わずか185mm、運転時はパネルがやや前に出て浮き上がり、フラップが開くが、その状態でも決して厚みを感じさせない。
ただ、自分の頭の中では前面のパネルだけでなく、本体そのものもブルーだったように勝手にイメージしていたので、最初は濃いグレーの本体部のカラーに少し違和感を覚えたのも事実。だが、すぐに馴染んでしまった。ホワイトでもいいのではと思ったが、この色だからこそ、より引き締まって見えるのだろう。
さてこのリソラ、スタイリッシュな薄型であることや、インモールド成型技術などを採用した7つのカラーと質感といったデザイン性にスポットが当たりがちだが、取材時の説明では「うるさら7」で培った、からだに直接あたりにくい「天井気流」「垂直気流」のほか、冷房時の除湿力を高めた「プレミアム冷房」や、清潔機能である「ストリーマ内部クリーン」なども備え、エアコンそのものの機能も充実していることをアピールしている。
また薄型構造であるがゆえに、ファンと熱交換器が近接するために耳障りな風切音が発生してしまうという問題も、多連結ソウエッジクロスフローファンの採用によって解決するなど、使用時の心地よさもウリだ。その実力のほどはどうなのか。梅雨明けと同時にいよいよ運転を開始した。
昼も夜も「快適自動」運転ボタン1つでOK
リソラのリモコンはシンプルな操作が特徴。他のモデルと兼用ではなくリソラ専用となっている。スライド式のカバーを閉じた状態では、真ん中に運転/停止ボタンがあるほか、グリーンの「快適自動」ボタン、風量調節ボタン、温度調節ボタンがあるだけ。
つまり、この「快適自動運転」を選びさえすれば、基本的にOKということなのだろう。取扱説明書によるとこの運転モードでは「室内・屋外温度に応じて自動で最適な温度と運転モード(=冷房・除湿・暖房)を選んで運転する」らしい。
実際にこの「快適自動」で運転すると、自分で温度設定などしていないにも関わらず、ちょうどいい加減の空調になる。部屋の2箇所にある温室時計で計測してみると、部屋の入り口付近の室温は28.7℃、湿度は59%。部屋の奥の壁(リソラの風が当たる方向)に設置した温湿度計では、室温が26.7度、湿度は58%となっている。
老犬がいるため、部屋のドアは常に開けてあるので、どうしても入口付近の温度は高めになるが、数字で確認してみても冷やし過ぎることもなく、快適なことがわかる。
ただ暑がりや寒がりなど、体感温度は人それぞれだし、体調によっても感じ方が変わるものだ。そういう時には温度設定ボタンで−5.0℃から+5.0℃まで、0.5℃刻みで調節できるのがいい。帰宅したばかりで体に熱がこもっているような時には、−2.0℃というように感覚的に調節できる。
設定温度を28℃にするのか26℃にするのか、さらには冷房なのか除湿がいいのかで悩むよりは、全部おまかせであとは標準をベースに温度を微調整するだけのほうが断然使いやすい。最初は設定温度が表示されないので面食らったし、今まで使ったエアコンにはなかった考え方だが、これはいいなと感心した。
また、風向の上下を「自動」にしておくと、運転開始時はフラップが上を向いて天井に沿うように冷気を送り、室内にまんべんなく冷気を行き渡らせるようにしているのだが、室温が安定してくると、たまに不規則にフラップが動いて冷気が上下する時がある。これが室内にかすかな風の流れを起こして、まるで自然の中にいるような心地よさを感じさせるのだ。ダイキンは常々「気流コントロール」をうたっているが、こういうことなのだろう。
就寝時のベストな設定は「快適自動+2.0℃/風量しずか」
就寝時のおすすめとして「おやすみ運転」モードもある。これは冷房(暖房)運転中に「おやすみ」ボタンを押して設定するもので、風向・風量を調整して体に風を直接当てないように気流制御する運転だ。冷房28℃の設定で何度かおやすみ運転を試したのだが、私はよくても一緒に寝ている夫には暑いらしく、どうも合わないようだった。以前のエアコンの時のような「設定温度をどうするか問題」が勃発し、安らかに眠れない。
結局、落ち着いたのは「快適自動+2.0℃/風量しずか」の設定だ。これだと、室内・屋外温度に応じて自動で最適な温度と運転モードにしてくれるうえ、+2.0℃にすることで冷やし過ぎないようになる。風量は最弱の「しずか」にしておいても、先に説明したように温度が安定してくると、たまに不規則なフラップの動きで風が起きるので、夫も暑さを感じにくいようなのだ。まるで扇風機で微風を送っているような体感と言ったらわかりやすいだろうか。この設定を発見してから、安心して眠れるようになった。
1つ失敗したのは、使い始めのころ夜中に気温が下がったようだったので、就寝中にエアコンの運転を止めたところ、内部クリーン運転が始まってしまい、大慌てしたこと。
これは運転停止後に送風運転をして室内機内部を乾燥させる機能で、大風量の風が約2時間も出続けるのだ。音は気になるし、何より涼しいからエアコンを消したのに、風が出てきて寒い。眠い目をこすりながら、トリセツを取り出して確認したところ、運転/停止ボタンを2回押せば送風が止まることがわかって事なきを得たのだった。
以後、熱帯夜が続いていることもあり、就寝中にエアコンを停止することはなく朝まで使うようにしている。ちなみにわが家では使っていないがタイマー設定で停止した際には、停止後に内部クリーンの送風運転は行なわないようだ。購入時には自動内部クリーン運転の設定はオフになっているのだが、カビ・ニオイなどの対策のためによかれと思って設定をオンにしてしまったが、寝室で使うエアコンの場合は注意が必要かもしれない。
無線LANアダプター搭載でアプリでの操作も
このほかにも、体に冷気が当たらないようにする「風ないス」運転モードがあり、パソコンで仕事中の時などに使っている。また、基本は快適自動でOKだが、そんなに暑くないけれど湿気が多くて蒸し蒸しする時には、除湿運転をあえて選んで使ってみたりもしている。除湿に設定したときには、現在の室温をベースに−3.0まで0.5℃刻みで好みの温度を設定できるため、「温度は変えずに湿度だけ下げたい」「ちょっとだけ暑い。湿度も下げたい」など好みの空気状態を作れるのが便利だ。
また、設置時にオプションで無線LAN接続アダプターをエアコン内部に取り付けてもらったので、スマホでの操作も可能だ。アダプターは室内機の内側に付けるタイプなのでインテリア性を損なわないのがうれしい。
専用のアプリ「DaikinAPP」をダウンロードすることで、スマホがリモコンになったり、室内・屋外の温度や消費電力などが確認できる。外出先でのオンオフや運転状況の確認も可能だが、寝室で使う際にはそんなに必要性を感じないので、あまり使っていないのが実情だ。便利なのは屋外の温度を確認できることだろうか。外気温が下がってきたのに気づいて、エアコンを消して窓を開ける、ということもできる。
リソラ専用のアロマアタッチメントで部屋中いい香りに
今年3月、幕張メッセで開催されたHVAC&R JAPAN(冷凍・空調・暖房展)の取材の際に、ダイキンブースのリソラのコーナーで、実験的な試みとして、専用のアタッチメントをフラップにつけてエアコンの気流にアロマの香りを乗せるというものを体感してきた。@aromaによるリソラの7つのカラーをイメージしたアロマも展示されていて、これが実際に製品化されればいいのにと思っていたところ、7月20日からうれしいキャンペーンが始まった。
リソラを購入のうえ「CLUB DAIKIN」に登録すると、リソラ専用のアロマアタッチメントとオリジナルアロマを無料でプレゼントしてもらえるというのだ。10月30日までと知って、さっそく登録したところ可愛らしいパッケージが届いた。
オリジナルアロマ「AIR COMFORT」はラベンダーやオレンジ、ベルガモットにユーカリやホワイトサイプレスがブレンドされたソフトな香りで、明るさや清涼感もある。
片面が磁石になっているシートをフラップに付け、アロマを数滴たらしたアタッチメントを磁石部に装着して使う。冷気とともに部屋の中にほんのりアロマの香りが漂って幸せな気分になる。HVAC&R JAPANで見た7つのアロマもウェブで購入できるようなので、「AIR COMFORT」を使い終わったら、ぜひ「ソライロ」の香りを購入したいと思っている。最近のエアコンでは「送風」ボタンがない機種も増えているが、リソラには「送風」があるので、春秋でも送風運転をしてアロマを香らせることができるのがうれしい。
フィルターのお掃除は自分で
さて、レビューの最後はお手入れのこと。リソラは機能性が高いものの、唯一ないのがフィルターの自動おそうじ機能だ。ここまで薄型にしたのだから仕方ないだろう。
従来のエアコン同様、パネルを開けてフィルターを取り出し、掃除機で吸い取ればOKだ。リソラの場合、パネルを開ける時に、リモコンの「お手入れ(開/閉)」ボタンを2秒ほど長押しするとパネルが運転時の位置まで上がるので、それを待って電源プラグを抜いてお手入れを開始するのが注意点だろうか。
右のエアフィルターには黒いフィルターが付いてついているのを発見し、取説を見てみると、カビやアレル物質、ニオイを吸着する集じん・脱臭フィルターとのこと。こんなところにも抜かりない仕掛けがあって頼もしい。
老犬のためにエアコンをつけっ放しにしていたこともあり、お手入れをするタイミングがつかめず、使い始めてから3週間後くらいに初めてお手入れをしたら、あまりにホコリの量が多くて愕然としてしまった。寝室のためホコリの舞い上がりが多いのと、犬が出入りすることが多いからなのだろう。それからは2週間に1度のペースでまじめにお手入れをしている。
理想の空間がかなう“うふふエアコン”がリソラ
発表会の時に配布されたリソラのパンフレットには最初のページにこう書かれている。「理想の空間、それはすみずみまであなた好みの空間であること。空気の質にこだわるのはもちろん、空間に溶け込んだり、色や質感で表情をつけることで理想の空間の一部になれるエアコン、つくりました」。
実は今回、エアコンに合わせて部屋のカーテンもブルーグレーのものに新調。まさに“わたし好み”の理想の空間になった。しかも夏になると夫とリモコンの争奪戦をしていたのに、それもなくなり朝まで快適に眠れる。珍しく気温が下がった日にエアコンを運転していなくとも、ふとリソラが目に入るとうれしくなってしまうから不思議だ。大好きなブルーグレーのエアコンがただそこにあるだけで、眺めていたくなるのだ。
私は「使っている時もそうでない時も、置いてあるだけで心躍る家電」を“うふふ家電”と呼んでいるが、まさにそのとおり。リソラは“うふふエアコン”だ。エアコンは空調が快適なだけではやはり片手落ち。家具と同じようにデザインやカラーが大切なのだと思う。センサー制御で床面全体をムラなく温める垂直気流の暖房を使える冬も楽しみにしている。