家電の使い方、これで合ってますか?

シーズンオフに加湿器を掃除しよう! 方式ごとに異なるお手入れポイントを各メーカーに聞いた

家電や使い方に関する素朴な疑問について、各メーカーの製品担当者に質問し、集まった回答をまとめてご紹介するコーナーです。

 そろそろ利用シーズンが終了する加湿器。収納する前のお手入れはお済みだろうか。タンクやフィルターは洗浄しておかないと、来シーズン使う際にカビだらけ……なんてこともあり得る。毎年気持ちよく使えるように、各社にお手入れポイントを聞いた。

 加湿器はスチーム式や超音波式など方式がさまざまで、加湿機能付き空気清浄機もあるためラインナップが幅広い。今回は、7メーカー10機種のお手入れポイントをまとめたので、方式ごとに紹介しよう。各社から回答を集めた結果、共通していたポイントは以下のとおり。

共通ポイント

・よく洗い、よく乾かす
・汚れ具合によっては、クエン酸や重曹などを使う

 いずれも基本的なことなので、早めに終わらせて気持ちよく来シーズンに備えたい。なお方式が同じでもお手入れ方法がすべて同じという訳ではないので、お持ちの加湿器を洗浄する際は必ず、取扱説明書を確認してから行なってほしい。

加湿器は方式によって手入れ方法が異なる

加熱スチーム式

代表機種:象印マホービン「スチーム式加湿器 EE-DA50」

ポイント:クエン酸洗浄モードを使用後、十分に乾燥

担当者回答:スチーム式加湿器の内部には、水に含まれるミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)や鉄分が残り、白い汚れや赤茶色の汚れがつきます。衛生上問題はありませんが、運転音が大きくなったり、蒸気がにおう原因になるので、クエン酸洗浄をお願いしています。

 象印の加湿器にはクエン酸洗浄モードがあるので、クエン酸約30gをぬるま湯で溶かし、本体に水と一緒に満水表示まで入れて運転してください。汚れが落ちにくい場合は、クエン酸洗浄モードで繰り返し運転してください。1~2カ月に1回を目安に洗浄することをおすすめしています。

 洗浄にはクエン酸100%のものをご使用ください。象印から1回分ずつ小分けで使いやすい「ピカポット 加湿器用」を発売していますし、100円ショップなどでも入手可能です。

 その後、本体が冷めてから残り湯を捨てて、各部のお手入れをしてください。容器やふたは水で流し洗いし、外観部分については柔らかい布で汚れを拭き取ります。十分に乾燥させてから保管してください。

【参考】

「スチーム式加湿器 EE-DA50」取扱説明書(PDF)
https://www.zojirushi.co.jp/toiawase/TR_PDF/EEDA.pdf

代表機種:三菱重工「スチームファン蒸発式加湿器 SHE60SD」

ポイント:重曹で蒸発布と加熱筒を掃除。汚れ防止にはイオンフィルターの使用もおすすめ

担当者回答:ビーバースチームファン蒸発式加湿器の場合は、蒸発布と加熱筒にスケール(水に含まれるミネラル等)がたまります。

 シーズンオフ前には蒸発布と加熱筒についたスケールを完全に落としてください。特に加熱筒の汚れがひどい場合は、重曹を使って掃除いただくと汚れが落ちやすいです。

 来シーズンまでそのままにしておくと、スケールが固まってしまいます。また交換用のイオンフィルターをお使いいただくことでスケールの発生を抑制できます。

新品の状態
清掃しないで使用を続けた場合。蒸発布と加熱筒にスケールがたまる

【参考】

加湿器のスケールの取り方について - 三菱重工
https://www.mhiair.co.jp/contents/05-house/kasitu_info02.html

気化×ヒーターのハイブリッド式(温風気化式)

代表機種:ダイニチ工業「ハイブリッド加湿器 LXシリーズ / RXシリーズ」
ハイブリッド加湿器LXシリーズ(左)、RXシリーズ(右)。湿度が低いときはヒーターを使った「温風気化式」、設定湿度に近づいたときやecoモード設定時は「気化式」に切り替わるハイブリッド式

ポイント:最新のLXシリーズは使い捨てトレイの交換を。抗菌気化フィルターはクエン酸を使ってつけ置き洗浄

担当者回答:しっかりお手入れをして片付けないと次シーズンのトラブルのもと。次も快適にお使いいただくために、正しいお片づけをお願いいたします。

 LXシリーズもRXシリーズも、シーズン終わりのお手入れの基本は同じで、「しっかり洗ってしっかり乾かす」が肝要です。

 タンクとトレイは、やわらかいスポンジで内部を水洗いしてください。新モデルのLXシリーズに備えられている、使い捨て方式のトレイカバーは1シーズンが交換の目安。シーズン終わりに交換していただくことがおすすめです。

LXシリーズは、使い捨てトレイカバーが備えられているので、シーズン終わりに交換すればOK
RXシリーズのトレイ内部はしっかり洗浄する

 抗菌気化フィルターは、クエン酸を使って水垢を落としましょう。水洗いでは1シーズンほどでフィルターの交換が必要となる場合がありますが、クエン酸を使うと最大5シーズン使い続けていただくことができます。

 40℃以下のぬるま湯にクエン酸を溶かし、30分~2時間ほどフィルターをつけ置きしてください。浸け置きの後は、水道水で2分以上すすぎ、クエン酸の成分を落としてください。

 タンク、トレイ、気化フィルターを洗い終えたら、それぞれを完全に乾かすことが大切です。湿ったまま片付けると雑菌やカビの繁殖原因となります。

 お手入れ後は、包装箱かポリ袋に製品を入れ、湿気の少ない場所で保管してください。保管の際は、製品を傾けたり横倒しにしたりしないでください。

抗菌気化フィルターの水垢は、クエン酸を溶かしたぬるま湯で浸け置き

【参考】

日常のお手入れ 加湿器 - ダイニチ工業
https://www.dainichi-net.co.jp/support/maintenance/humidifier/
保管・廃棄のしかた - ダイニチ工業
https://www.dainichi-net.co.jp/support/putting/humidifier/

代表機種:シャープ「プラズマクラスター加湿機 HV-J75」

ポイント:汚れ具合によってクエン酸、台所用合成洗剤(粉末)、重曹を使用

担当者回答:シーズンオフに入る前に、カビや雑菌の繁殖を防ぐため、特に「加湿フィルター」「トレー」のお手入れを行なうことをおすすめします。白い固まりが取れにくい場合はクエン酸で約2時間浸け置きしてください。

 水垢が取れにくくニオイが気になる場合は、台所用合成洗剤(粉末)か、重曹で約30分のつけ置き洗いが効果的です。お手入れ後は水分をよく拭き取り、陰干しをして充分に乾かしてください。

 なお、加湿機には「フィルター乾燥」運転を搭載しているので、温風でしっかり乾燥させてから収納することができます。また、本体内部にタオルを通して水分や汚れをしっかり拭き取ったり、水と風の通り道となるパーツを手軽に取り外して、きれいにお手入れできる清潔設計を採用しています。

 ヌメリやニオイの原因となる菌を抑えるAg+イオンカートリッジは、来シーズン用に買い足しておかれることをおすすめします。

「HV-J75」は本体内部にタオルを通せ、水分や汚れをしっかり拭き取れる清潔設計を採用

【参考】

「プラズマクラスター加湿機 HV-J75」取扱説明書(PDF)
https://jp.sharp/support/air_purifier/doc/hvj55_75_mn.pdf

超音波×加熱ハイブリッド式

代表機種:アイリスオーヤマ「サーキュレーター加湿器 RCK-5519」
サーキュレーター加湿器 RCK-5519。加熱した水を超音波で震わせ、ミスト(霧)のようにして加湿する

ポイント:タンク下にある排水カップや加湿筒などを外して乾燥

担当者回答:本体、各部品をしっかり乾燥させることが一番のポイントです。本体に水が残らないよう内部に溜まった水を抜き、各部品は本体から取り外してしっかり乾燥させてから、再度取り付けます。

 サーキュレーター加湿器の場合は、タンク下に排水カップやフロントパネル、加湿筒などがありますので、すべて取り外ししっかり乾燥させます。

 また、サーキュレーターを搭載しておりますので、サーキュレーターの表面パネル、プロペラ、吸気部のほこりやゴミをしっかり取り除くことも重要です。

【参考】

「サーキュレーター加湿器 RCK-5519」取扱説明書(PDF)
https://www.irisohyama.co.jp/products/manual/pdf/281017.pdf

気化式

代表機種:パナソニック「ヒーターレス気化式加湿機 FE-KXS07 / 加湿空気清浄機 F-VXS90」

ポイント:しっかり洗浄にはクエン酸、加湿機用洗剤。手入れをしてもニオイが気になるときは酸素系漂白剤

担当者回答:オフシーズンに向けて長期間使わなくなる時は、まず電源を抜いてすべてのお手入れを行なうことが基本です。

 その上で、サビやカビなどの発生を防ぐため、内部をよく乾かし、加湿フィルターは十分に陰干ししてください。ホコリが内部に入らないように、本体にポリ袋などをかけて湿気の少ないところで保管しましょう。

 汚れが気になるとき、しっかり洗浄したいときは、クエン酸もしくは加湿機用の洗剤を使ってください。その際に濃度が高いと破損の原因になりますので、正しい濃度に薄めることを忘れないでください。クエン酸や洗剤を使った後は、新しい水で2~3回すすいでください。

加湿空気清浄機のトレイと加湿フィルター
同社の加湿機用洗剤

 加湿フィルターのにおいがお手入れしても気になる場合は酸素系漂白剤でつけ置きすることもおすすめです。

 当社の加湿機は、加湿フィルターの交換は約10年に1回となりますが、お手入れしてもにおいがとれない、傷みがひどいなどありましたら、交換の目安となります。

【参考】

「ヒーターレス気化式加湿機 FE-KXS07」取扱説明書(PDF)
https://panasonic.jp/kashitsu/p-db/FE-KXS07_manualdl.html
「加湿空気清浄機 F-VXS90」取扱説明書(PDF)
https://panasonic.jp/airrich/p-db/F-VXS90_manualdl.html

代表機種:シャープ「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-LP100」

担当者回答:お手入れ方法は、上記の気化×ヒーターハイブリッド式「HV-J75」と共通です。

 「加湿フィルター」「トレー」のお手入れで、白い固まりが取れにくい場合はクエン酸で約2時間つけ置き。水垢が取れにくくニオイが気になる場合は、台所用合成洗剤(粉末)か、重曹で約30分のつけ置き洗いです。お手入れ後は水分をよく拭き取り、陰干しをして充分に乾かしましょう。

 プラズマクラスター加湿空気清浄機はカビやニオイなどの空気ケアができるので、加湿を使わない季節でも、24時間365日つけっぱなしがおすすめです。

【参考】

「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-LP100」取扱説明書(PDF)
https://jp.sharp/support/air_purifier/doc/kilp100_mn.pdf

超音波式

代表機種:アピックスインターナショナル「超音波式アロマ加湿器 Humidifier AHD-019」

ポイント:分解できる部分は外し、ブラシでこすり洗い

担当者回答:加湿器タンク内の水を捨て、分解できる部分は外して付属のお手入れブラシで軽くこすります。柔らかい布等で拭いたあと、陰干しでしっかりと自然乾燥させてください。拭き上げの際に水分が残っていると、カビの発生・悪臭の原因となる可能性があるのでしっかりと拭き上げることが重要です。

 抗菌カートリッジは陰干ししてしっかり乾燥させてください。全体がしっかり乾燥したら元通りに組み立てて、直射日光の当たらない湿気の少ない場所で保管をお願いします。

【参考】

「超音波式アロマ加湿器 Humidifier AHD-019」取扱説明書(PDF)
https://www.apix-intl.co.jp/product/media/manual_20190920131623.pdf

西村 夢音