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【不調の薬膳29】喉の痛み・粉吹肌…「肺」の弱りを助ける食材・レシピ
2016年 12月 17日 06:30
薬膳で五臓の「肺」が弱ると、肌や粘膜・器官が乾燥したり、喉が痛くなったり、声が枯れたりします。この時季こそ、「肺」の機能を高める食材・レシピで、乾燥する冬を乗り切りましょう。薬膳や東洋医学で「五臓」とは、「五行説」や「陰陽」の考えを基にした体の働きや臓器のことで、「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」に分かれ、これまで「肝」(【不調の薬膳26】)、「心」(【不調の薬膳27】)、「脾」(【不調の薬膳28】)の弱りを助ける食材・レシピをお送りしてきました。続いて今回は、「肺」の働きや機能を助ける料理を知って冬の体を過ごしやすくしていきましょう!
喉を潤す!「レンコン」たっぷり、さつま汁
旬野菜で手軽に作るさつま汁です。レンコンは輪切りにして水にさらし、ニンジンと里芋は輪切り、長ネギ(【不調の薬膳9】食材紹介)は斜め切り、お好みの鶏肉を1口大に切って、鶏の茹で汁か鰹(かつお)ダシで煮ましょう。アクを取り弱火にし、煮立たせないようにして味噌を溶いたら出来上がり。長ネギの緑色部分を刻んで乗せていただきましょう。
「レンコン」は喉を潤す作用に優れ、「ニンジン」は美肌への効果を期待できて、どちらも「肺」に働きかけて、消化もしやすい食材です。加える芋類は「ヤマイモ(山芋)」でもよく、レンコンと同じ「帰経(きけい)(食材がどの臓腑に入り、効いていくかを示した 経路のこと)」をもち、パワー食材なので滋養も補ってくれますよ。「里芋」は血流を良くするほか、糖尿病の方もおすすめです。
五臓の「肺」は、肌や粘膜・器官を潤したり、風邪の症状や喉のイガイガ・声枯れ(【旬の薬膳22】レシピ紹介)を和らげます。また「肺」の機能が低下すると、息切れがしたり、風邪を引きやすくなったり、花粉症の一因とも考えられているので「レンコン」レシピを試してみてくださいね。
カツオ(鰹)のタタキ、さっぱり和えと「ユズ」ドリンク
ユズ(柚子)の絞り汁をたっぷり和えたカツオ(鰹)のタタキです。カツオのタタキは切り身を準備するか、自分でカットする場合は1口大に切ってサラダのようにしても手軽です。ユズの絞り汁と和えれば完成。あればカイワレ大根を飾っていただきましょう。ショウガ醤油やお好みのタレで食べても美味しいですね!
<ドリンク>
ユズの実はスプーンで取り出して、ユズの絞り汁、おろしショウガ、お湯、多めのハチミツ(【不調の薬膳19】まとめ)と混ぜるだけで、喉に優しい簡単ドリンクに!さらにユズの皮を加えると、豊富な「ビタミンC」で風邪予防になりますよ。
薬膳や東洋医学で「肺」は「水」を調節するので、粉吹肌(こふきはだ)・ガサガサ肌の症状を和らげたり、粘膜も保護します。「ユズ(柚子)」は喉に優しく、咳止めの作用があるほか、ご紹介したメニューなら「カツオ(鰹)」で「血」を補って疲れを取り、ユズの豊富な「ビタミン類」で美肌も!冬至のユズ湯は、香りが「気」を巡らせるのでリラックス効果抜群で体が温まり、乾燥させた「ミカン」の皮を入れても同じ効果があります。
おやつにも!「マツノミ(松の実)」のバジル風味ピザ
おやつにもなるピザに、松の実をトッピングしました。ピザ生地は全粒粉で作るか、または市販のピザ生地を使います。挽き肉、オリーブオイル、バジル、コショウ、味噌を炒め、ピザ生地に乗せ、松の実をトッピングしてオーブンかトースターで焼きましょう。お好みで白髪ネギを散らしていただきます。おやつには、リンゴやナシ(梨)のコンポートと松の実の組み合わせが疲労やストレスを解消しやすいので、おすすめです。
「松の実」はお粥に入れるのが有名ですが、帰経の1つに空気に関連する「肺」をもつので咳を和らげるほか、便秘にも効きます。味にクセがないのでクッキーやパイに混ぜて使ったり、サラダ、パスタなどにトッピングするだけで食べられてとても便利な食材です。代わりに、「クルミ」を使っても「肺」の働きをサポートできて、クルミなら次回(来週)ご紹介する「腎」も助けるので体に栄養を蓄えられますよ!
忙しいときは簡単、温野菜で!
今回は「肺」の機能を高めるレシピと食材をご紹介しました。特に「レンコン」や「ユズ(柚子)」は喉に優しく、風邪の症状を緩和してくれます。とは言うものの、インフルエンザや感染症が流行しているので、風邪の症状が重かったり、高熱が出た場合は無理せず専門医を受診して体を労りましょう。
また忙しいときは、今回ご紹介したレンコン、ニンジン、山芋を温めてポン酢や酢味噌などで食べるだけでも十分。年末年始は忙しいと思うので、「温野菜」なら箸休め(はしやすめ)にも便利ですよ!そして冬は「肺」に働きかけて乾燥を緩和するだけでなく、低い気温がエネルギーを奪うので、老化を防ぎ成長や発育を助ける「腎」の機能も同時に高めることが大切です。「腎」の弱りを助ける食材・レシピは来週、最後の【不調の薬膳】でお届けしますので、また次回お会いしましょうね!