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【不調の薬膳27】動悸・むくみ・気弱…「心」の弱りを助ける食材・レシピ
2016年 12月 3日 06:30
前回(「肝」の弱り)から、「五臓」の働きを振り返りつつ、体を助けるレシピをご紹介しています。今回は、薬膳レシピでむくみ、動悸、不眠、やる気が出ないといった症状を和らげて、「心」の弱りを改善しましょう。五臓の「心(しん)」は、「血」(血液そのものや体に必要な栄養)を巡らせるだけでなく、気持ちや意識もコントロールするので、弱るとむくみ・動機が出たり、眠りが浅い・やる気が出ないなどの症状を感じることもあります。そんなときこそ、身近な薬膳を使って体バランスを調整していきましょう!
「心」に働きかける「赤」い色の小豆のおこわ
時短もできる、「小豆(アズキ)」の簡単おこわ(お赤飯)です。もち米は長めに水へ浸してから1度ザルに上げ、炊飯器の表示に従って水を入れます。小豆は下茹でしてアクを抜いて再度茹でたら、炊飯器へ、食用酒、塩と一緒に入れて軽く混ぜ、炊き上げましょう。小豆を無糖で調味料無添加の茹で小豆に代えて、炊き上がったごはんへ混ぜて味を整えれば、茹で時間を短縮した時短おこわが完成しますよ。黒ゴマを振り掛けるときは、すりゴマにすると吸収力UP!トッピングは「クリ(栗)」が有名ですが、いとこ煮のイメージで「カボチャ」の煮物を添えても栄養価がアップ。すべて冷凍してストックできるのも便利ですね!
「小豆」(「赤」い食材)は、余分な「水(津液・しんえき)」を体外へ排出してむくみを取る作用が有名ですが、「ミネラル」や「ビタミンB1」を含むので疲労回復にも効果がありますよ。また「小豆」と「カボチャ」の両方に「カリウム」が含まれるので高血圧の予防になります。また「クリ(栗)」は、疲れやだるさを取って体を楽にしてくれますよ。
「五臓」とは、【基本の薬膳11】でご紹介したように「五行説」や「陰陽」の考えに基づいて分類した体の働きや臓器のことです。「五行説」の「火(か)」を見ると、【人体】の五臓に「心」が、【自然】の色彩に「赤」があり、「心」の働きと「赤」い食材に関連があると分かると思います。
体に熱がこもりやすい方に、むくみ改善「柿」の白和え
むくみを改善して腸にも働きかける、手間いらずの白和えです。「豆腐」は電子レンジで加熱し、細かく崩してから布巾などで水気をしっかり拭き取ります。食べやすく切った「柿」と「赤パプリカ」と混ぜ合わせ、味噌、すった白ゴマで味付けたら出来上がり!「とろろ昆布」や「ヒジキ」を加えても美味しくいただけますよ。白和えが苦手な方は、フルーツを多めにすると食べやすく!
「柿」は、冬でも体に熱がこもりやすい方の熱を冷ましたり、利尿作用で老廃物を体外に出す一方、適度に水分を補って咳を鎮めたり喉の乾燥を和らげるため、乾燥する今の時季にぴったり。「赤パプリカ」(「赤」い食材)も「心」に働きかける食材です。また「とろろ昆布やヒジキ等の海藻類」や「味噌」は、腸内環境を良くしたり、「血」を巡らせて解毒作用も促します。胃の疲れを感じる方は、海藻類の代わりに茹でて細かくした「ブロッコリー」を多めに和えてもいいですね!
五臓の「心」は、余分な水分で働きが鈍ると不調を起こすので、老廃物を体外に出すようにします。また「心」の働きが行き過ぎるのは夏が多いので、利尿作用を活発化させて体バランスを調整すると体が楽に(【基本の薬膳19】季節ごとの薬膳にて紹介)。暑い季節になったら、柿に代わって「スイカ」(【不調の薬膳11】まとめで紹介)がおすすめですよ。
気持ちの弱りを和らげる「ウーロン茶」「ジャスミン茶」
暑い季節はお茶を使ったゼリーのフルーツ添えがおすすめですが、寒い時季にはホットの「ウーロン茶」や「ジャスミン茶」を飲んで、リラックスしながら気持ちの弱りやドキドキを和らげましょう。
「心」の働きを助けて、利尿作用もあるお茶のなかで有名なのは、むくみ改善にも役立つ「ウーロン茶」。また「ジャスミン茶」も利尿作用があり、特に気持ちをリラックスさせる作用があります。そのほか、甘く味付けされた「蜜棗(みつなつめ)」(【不調の薬膳10】食材紹介)は精神の安定やドキドキ、イライラに効果的。そして「不老不死(長寿)」の実と呼ばれることもある「クコの実(クコシ)」は、気力を補って気持ちを落ち着かせます。どちらも気持ちを元気にしてくれる食材で、お茶にそのまま入れて食べられるので機会があればお試しくださいね!
動悸、不眠には「ユリ根」、「シイタケ」も
五臓の「心(しん)」は、「血」を巡らせるだけでなく、気持ちや意識もコントロールすると考えらえています。薬膳では、ご紹介したレシピのように利尿作用のある食材(薬膳)を用いて「心」の負荷を和らげたり、また心労を和らげる食材を使って体を楽にしていきます。
動機や不眠を和らげる食材では、【旬の薬膳16】でお送りした「ユリ根」がおすすめで、精神を落ち着けて「心」の働きも手助け。お酢または塩入りの熱湯で下茹でするとアクもえぐみも抑えられ、しっかり茹でるとジャガイモと同じような食感になってとても食べやすくなります。ユリ根と一緒に、眠りを助ける「シイタケ」を細めに切って、バター醤油で和えれば、ジャガバタ風味の炒め物が完成!ユリ根が手に入りやすい地域にお住まいの方やお正月の時季にはぜひお試しくださいね。ホクホクの食感で美味しく、ベーコン、肉類をプラスしても絶品、もちろんお子さんも食べやすいですよ!