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【不調の薬膳26】疲れ目・ストレス負け…「肝」の弱りを助ける食材・レシピ

薬膳では、イライラする、ストレスに弱い、お腹のゴロゴロ、目がかすむなど自律神経の乱れで起こる不調を、五臓の「肝」の弱りと考えます。今回は改善レシピをお送りしますので、美味しく食べて力を付けましょう。「五臓」とは、【基本の薬膳11】でご紹介したように「五行説」「陰陽」の考えに基づいて分類した体の働きや臓器のことで、「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」に分かれています。今回から順番に、「五臓」の働きを振り返りながら、機能を助けるレシピをご紹介しますので、まずは「肝」の弱りを助けるレシピから見ていきましょう!

 

脳の活性化でストレス改善「ウナギ」丼、付け合わせアレンジ

即効でストレスを和らげたいときのウナギ丼です。ウナギは蒲焼きになっているものを1口大に切り、丼に盛り付けた酢飯の上に並べて、昆布ダシ、醤油、みりん、食用酒、黒砂糖(【不調の薬膳10】食材紹介)を混ぜたタレを塗ったら出来上がり。タレを塗ったあとに1度焼いても、香ばしさが増して美味しくなりますね!さらにお腹のゴロゴロを緩和したいときは、すりおろしヤマイモを回し掛けるのがおすすめです。お好みで「サンショウ(山椒・花椒)」を振ると、体を温めて冷えからくる腹痛を和らげる作用が。暑い季節は、ウナギ丼を冷やし茶漬けにしても美味しくいただけますよ!

 

晩秋から冬にかけて旬の「ウナギ」は、一般に良く知られる通り滋養強壮に効果的で、薬膳でも活力切れを補う作用が強く、眼精疲労に効いたり視力も良くしてくれますよ。「肝」の弱りとされるストレス疲れを癒し、特に豊富なドコサヘキサエン酸(DHA)が脳の働きを活性化。また「ヤマイモ」は胃腸への作用が優しく、寒い時季を乗り越えるのに適した食材です。季節によっては、刻んだ「ミョウガ」を散らすと、落ちた食欲を回復したり神経痛に効いておすすめですよ!

 

朝ごはんにもおすすめ!「アサリ」の牛乳クラムチャウダー

クラムチャウダーを、あがり症や緊張を和らげる牛乳で作りました。お鍋にバターを溶かして塩、コショウしたら、スライス玉ネギと刻んだニンジンを炒め、水、小麦粉、コンソメを入れて加熱し、少しとろみを出します。剥き身のアサリを加え、少しずつ牛乳(【不調の薬膳10】食材紹介)を加えながら煮込むとあっという間に完成。器によそって、パセリや茹でたブロッコリー(【不調の薬膳3】食材紹介)を添えていただきましょう。殻付きのアサリを使う場合は、コンソメの代わりにアサリのダシが使えますね。五穀クラッカーやマカロニとも好相性なので、朝食やランチにもどうぞ!

 

薬膳で、「肝」の働きが不安定と考えるイライラやストレスには、情緒や自律神経の働きを安定させながら、「水」バランスも調える「アサリ」が力を発揮します。また風邪が流行り始めた時季なので、玉ネギ(【不調の薬膳9】メニュー紹介)に「長ネギ」をプラスして、風邪予防の効果を増強させるのもおすすめです。「苦」味で利尿や解毒の作用があり老廃物を体外に出す「パセリ」や、「春菊」(【不調の薬膳19】レシピ紹介)の酢和え、「セロリ」(【不調の薬膳5】食材紹介)のサラダを添えてもイライラを解消してくれますよ!

 

手に入ったら「ヨモギ」で、ホットケーキ、お団子、お粥も

すり潰したヨモギを使うと、ホットケーキ、お団子、お粥、パン、蒸しケーキ、お餅などの幅広いレシピを簡単に作れます。いずれもヨモギを重曹入りのお湯で下茹でしてアクを抜いてから、包丁で細かく刻むか、ミキサーですり潰したものを使いましょう。一番簡単なおやつは、ホットケーキミックス粉に卵、牛乳、ヨモギペーストを混ぜて焼いたヨモギのホットケーキ。ほかにも、白玉粉を少量の水で溶いてからヨモギペーストを和えて、丸く成形して茹で、水に取って冷ますと手軽にお団子が作れますよ。ペーストは冷凍もできて便利ですね!

 

「ヨモギ(艾葉・ガイヨウ)」は「帰経(きけい)(食材がどの臓腑に入り、効いていくかを示した 経路のこと)」に「肝」をもち、体を温めたり、止血の作用が有名で、東洋医学の治療で使うお灸の原料でもあります。味はややクセがあるので、「ハチミツ」(【不調の薬膳19】まとめ)や小豆(あずき)の餡(あん)で甘さを足したり、「お粥」(【不調の薬膳18】食材紹介)にするなら梅干しやポン酢を加えると食べやすく、消化も促進してくれますよ。またヨモギ自体が頑丈な薬草であちこちに自生していますが、収穫するときは周囲に除草剤が撒かれていないか、安全に食べられるかに注意しましょう。ほかにも、葉を乾燥させたお茶が販売されていたり、自宅で乾燥させたヨモギを入浴剤の代わりに使うと香りが良く、軽い湿疹に効くとされるのでご家族で楽しんでみてくださいね!

 

まとめ

薬膳では「気血水」「五臓」の概念を使って、不調の原因を探ります。例えば「気」「血」「水」は、3要素が体内をうまく巡っている状態を健康=中庸とするので、どれかが不足したり、滞っても体調不良になると考え、診断は東洋医学の四診(ししん)を中心に行われます。今回ご紹介した「肝」は、「気血水」で考えると「血」の領域になり、レシピのなかで取り上げた食材(薬膳)で体調を改善していけますよ!薬膳や東洋医学の概念は関連し合ったり、なかには馴染みのない考え方もあって複雑に思えるかもしれませんが、すべてを1度に理解できなくても大丈夫です。みなさんが健康に過ごせるように願っています!

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。