暮らし
【不調の薬膳13】「ショウガ」は使い方次第で、冷え性改善、免疫力アップ
2016年 8月 27日 06:30
秋、冬はもちろん、夏はエアコンで冷えが気になる方も多いのではないでしょうか?「ショウガ」は、「体を温める」作用がありますので、今回は効果を引き出す使い方をご紹介しますね。お寿司に甘酢漬けショウガを添えるのは、刺身のツマと同じ「殺菌効果」があるから。生のショウガの場合は、体を浄化させる作用が強いので「下痢の改善」、「吐き気止め」、「発汗」に用います。「体を内側から温めたい」場合は、ショウガにもしっかり火が通っていた方が良く、漢方の「ショウキョウ(生姜)」や「カンキョウ(乾姜)」はそれぞれショウガを乾燥させたもので、内臓を温める強さはカンキョウが最も強くなります。
「おろしショウガ」でお腹の調子を調える
加熱しない「おろしショウガ」には、抗菌や整腸作用があるので、下痢や冷えに起因するお腹の痛みに効くほか、胃を温めたり落ちた食欲も取り戻します。「辛」味のショウガは、薬味によく使われますね。例えば、冷奴(ひややっこ)やざるソバへおろしショウガを加えると、「豆腐」や「ソバ」の涼性を調和します。また「帰経(きけい)」(食材がどの臓腑に入り、効いていくかを示した経路のこと)の1つが「肺」なので、咳や喘息を軽減する効果も期待できますよ。
寒気がする風邪を引いてしまったら…?
寒気がする風邪を引いてしまったときや、風邪の初期段階には「おろしショウガ」の発汗作用に頼ると体が楽になります。特に薬膳でおすすめのドリンクが、紅茶に「おろしショウガ」+「ハチミツ(または黒砂糖)」を加えたもの。ショウガで発汗を促し、体の熱や風邪ウイルスを発散させます。ハチミツは「ビタミン群」や「ミネラル」が摂れるので疲れを緩和し、【不調の薬膳10】では「入眠効果」にも触れています(睡眠の質を良くしたい方もご参照ください)。抵抗力を付けて風邪を撃退するなら、「ビタミンC」が豊富な「レモン」や「オレンジ」を輪切りにして加え、実も食べてしまいましょう。さらに、ショウガの発汗作用と似た効果をもつ野菜に「長ネギ」があり、白色部分に熱冷ましの作用がありますが、すでに大量に汗をかいている場合には適しません。また「おろしショウガ紅茶」に「長ネギ」を加えるときは、禁忌の組み合わせとされるのでハチミツは除きます。
「免疫力を上げる」には加熱したショウガで!
ショウガの帰経に「脾」がありますが、「脾」は「腎」の前段階に位置し、口から入った食べ物を消化吸収してエネルギーを創り出す五臓の1つです。加熱したショウガを摂れば、「脾」に働きかけて消化を促し、「血」を補います。また「血」の巡りを良くするので、「気」を体の隅々まで循環させて栄養素を運び、免疫力も高められますよ。加熱するときは、刻んだりスライスして煮るほか、蒸してもいいでしょう。ショウガが柔らかくなるくらい、しっかり熱を通していただきましょう。
「冷え性体質」から脱出して、体を温めたい!
ショウガは「血」を促す作用に優れるので、体(胃腸)を温める効果が有名になりました。体表の発汗を促して不調の「証(しょう・反応や症状のこと)」を取り除く効果をもつ「解表(げひょう)類」の食材で、例えばミョウガもここに分類されます。「熱したショウガ」を適量食べれば体が温まりますが、外側から体を温める工夫も大切。体の冷えに関係なく、足元を温めた方が健康に近づきますよ。また睡眠不足になると「血」を消耗し、「血虚」が進んでしまいます。結果としてバランスが崩れ冷えに繋がるので、時間が許せばグッスリ眠ってしっかり休みましょう。
【プチポイント】
どのような薬膳(食べ物)でもそうですが食べ過ぎは良くないので、「五味調和」で、バランスに気を付けて食材を選んでくださいとご紹介してきました。体調改善も「西洋医学」と「東洋医学」のどちらかが良いというわけではなく、自分に合うかどうかが重要とお伝えしました。キュウリやナスといった「清熱」の野菜は、「タンパク質」と組み合わせて多めに食べることもありますが、「解表類」は趣が異なります。ショウガを食べ過ぎると発汗が進み、体の熱が取れ過ぎてしまうため「適量」を守りましょう。ショウガの味は辛いので、それほど大量に食べられる食材ではないですが、食べ過ぎは注意です!