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【基本の薬膳7】水は不足も余ってもNG!「水毒」「津液虚」を抜けだそう
2016年 7月 17日 06:30
体のだるさが抜けなかったり、胃のむかつきが続いていたら、体内の水分バランスが崩れているかもしれません。「気」「血」「水」の調和が乱れると不調が起こるので、今回は「水」について学んでみませんか。東洋医学や薬膳での「水(すい)」は、「津液(しんえき)」とも呼ばれます。飲料や食材から吸収され、「脾(ひ)」から「腸」を経て老廃物を除いた「水」となると考えますが、体内に余って滞ったり、不足してもバランスが取れないので、薬膳の対処法を知って不快な症状を軽減し、快適に過ごせるようにしていきましょう。
体内の水分が多く、「水」が滞る「水毒」
【不調の薬膳2】で「水毒(すいどく)」に少し触れましたが、「水」は汗や唾液になったり、皮膚や粘膜を潤します。全身に栄養や潤いを届ける「血」は血管の中で機能しますが、「水」は自由に動くため体内の老廃物と結びついて、体のだるさや胃のむかつきを引き起こす場合があります。こういった「水」の滞りを「水毒」、「痰湿(たんしつ)」と呼び、湿度の高い日本では代謝が悪くなりやすいので注意が必要です。
「津液虚」水の不足で起こる症状と原因
「水(津液)」は、皮膚、筋肉、髪、細胞に至るまで、体全身を潤す役割を担います。「津液虚(しんえききょ)」は、体に必要な「水」が不足した状態で、皮膚や粘膜が乾燥します。原因はストレスや過労、ダイエットによる食生活の乱れ、不規則なライフスタル、加齢による代謝の悪化、脱水症状など複数あり、「津液虚」 が進むと体にだるさや火照り(ほてり)を感じるようになり、時間がたつにつれ「水」が不足するため、1日のうちでも就寝時に火照りを感じる人が多いです。
「水毒」「津液虚」の症状と傾向
「気虚」や「気滞」はイライラや不安など、特徴的な感情があります。それらほど顕著ではありませんが、「水毒」「津液虚」の傾向として行動が消極的で依存傾向に偏る場合が多く見られます。そうした傾向は、だるさを感じたり、体のあちこちに痛みや不快感があるので、不調も影響していると考えられます。
「水毒」の症状
むくみ、体・手足に重みを感じる、だるさがある、関節に水が溜まる、乗り物酔いしやすい、胃に不快感がある、胃内停水の感覚がある(ポチャポチャ音がする)、下痢、便が柔らかい、冷え性、鼻水が出る、痰がからむ、唾液が多い、頭痛、動悸、雨の日の体調不良 など
「津液虚」の症状
肌の乾燥、肌の肌理が粗い、口や喉、舌の渇き、声の枯れ、ドライアイ、風邪のあとに咳が続く、空咳が出る、微熱、水分をよく摂る(飲み過ぎ)、尿量が少ない(尿の色は濃い)、便が硬め(小さい)、寝汗をかく、手のひら・足の裏が火照る、手足が熱いように感じる など
「水毒」が進むと関節の痛み、リュウマチの症状、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎に繋がる場合があります。
「水毒」「津液虚」に効果のある食べ物
「水毒」や「津液虚」の状態を感じても、食べ物(薬膳)で対処していけるので過度に心配しなくて大丈夫です。
「水毒」におすすめする食材
玄米、ハトムギ、小豆(あずき)、ソバ、キノコ類、アスパラガス、カボチャ、ゴボウ、ナス、キュウリ、ほうじ茶、ウーロン茶、プーアール茶(色が茶系のお茶)などと、【不調の薬膳6】梅雨のだるさ改善メニューでご紹介した、コンニャク、ジャガイモ、タケノコ、海藻類
「津液虚」におすすめする食材
豆乳、豆腐などの大豆製品、豚・鶏肉、白キクラゲ、ハマグリ、アワビ、レンコン、ピーマン、ヤマイモ、トマト、レモン、ナシ、緑茶、菊花茶 など「津液虚」は飲料や水道水を飲めば改善するわけではないので、注意して覚えておくといいですね。また「津液虚」の場合は、長時間湯船に浸からないようにし、睡眠もたっぷりとりましょう。
「水毒」「津液虚」で避けたほうがいい食べ物
水毒」「津液虚」では、冷たいもの全般と刺激の強いメニューを避けるようにしましょう。また、「水毒」は筋肉が落ちても起こるので、特に下半身の筋肉をつけて代謝を上げましょう。
「水毒」で避けたほうがいい食べ物
アルコール類全般、炭酸飲料、冷たい飲み物(津液虚でも)、氷菓、脂肪分の高い食べ物、辛みの強い食べ物 など
「津液虚」で避けたほうがいい食べ物
辛みの強い食べ物、ネギ類、ニンニク、薬味など
「気」「血」「水」のバランスを整え、自分なりの健康法を見つける
お気付きの方もいるかもしれませんが、「気」「血」「水」は、それぞれがはっきり確立したものというよりは、持ちつ持たれつ作用し合って体のバランスを保っています。言ってみれば「気」「血」「水」それぞれが、友人や仕事の仲間のような存在なのかもしれません。「水」に不調を抱えると、顕著なのは冷えの症状ですが、冷えが改善して「血」の動きが良くなってくると、「気」(エネルギー)も巡るようになります。また薬膳(食べ物)だけで補いきれない部分も、体を動かしたり、ストレスが発散されるとエネルギーの巡りが改善します。体調は1人1人違うためバランス崩れを感じる方は、食べ物(薬膳)で不足を補いながら、ほかの人と比較せず自分自身のライフスタイルを見つけて、体調を整えていってくださいね!