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【基本の薬膳6】「血虚」「血瘀」を防ぎ、薬膳でエネルギーを満たす
2016年 7月 10日 00:15
寒い季節でもないのに顔色が良くなかったり、肩こりを感じるのは「血」の不足や「血」循環の悪化が考えられるため、薬膳で対処すると体が楽になっていきます。今回は「気」を支える「血」について学んでみませんか。東洋医学や薬膳では、「気」「血」「水」のバランス で健康を考えるため、「気」について、必要な活力が不足する「気虚」やエネルギーの循環が滞る「気滞」 といった不調な状態があると、「血」も同時に滞っていると考えます。この機会に「血」の重要性を知り、「血」を補い、「血」の巡りを良くしながら健康を目指していきましょう。
「血」が足りなくなる「血虚」、流れが悪くなる「血瘀」
東洋医学の「血」は血液の意味以外に、全身に栄養や潤いを届ける役割をするものと考え、エネルギーである「気」を使って吸収した栄養素を体の隅々まで届けます。一方、「血」が足りなくなる状態を「血虚(けっきょ)」、「血」の流れが悪くなる状態を「血瘀(けつお)」と呼び、食べ物で血液の源を補ったり、運動で血流を改善していきます。東洋医学や薬膳では、不足を「虚(きょ)」、滞りを「瘀(お)」という証(しょう・反応や症状のこと)として表現します。
「血虚」の症状
不眠、眠りが浅い、めまい、立ちくらみ、ふらつき、手足のしびれ、顔色が悪い、動悸、記憶力の低下、もの忘れ、眼精疲労、視力の低下、体全体の冷え、月経不順、毛が抜ける など
「血瘀」の症状
頭痛、肩こり、静脈瘤、神経痛、月経痛、月経困難症、唇や爪などの色が良くない、皮膚下にしこりや出血がある(あざ)、舌が青っぽい、肌のくすみ、しみがある など
これらの症状が見られても、食事や運動で改善していけますので過度に心配しないようにしましょう。なお薬膳の効果は絶対ではないため、もし体の症状で強い痛みなどがある場合は、必ず病院を受診するようにします。
「血虚」「血瘀」に効果のある食べ物
「血虚」や「血瘀」になると、前述のような症状が起こって辛さを感じるだけでなく、精神面では不安感やイライラ、不調に伴ってやる気が出にくくなります。そんなときこそ、「血虚」や「血瘀」に効果のある食材を摂り入れてエネルギーを補充しましょう。
「血虚」におすすめする食材
赤味肉、豚肉、レバー、イワシ・サバなどの青魚、黒豆、卵、ウズラの卵、ホウレン草、アボカド、ブロッコリー(血瘀でも) など
「血瘀」におすすめする食材
黒キクラゲ を始めとしたキノコ類、シソ・セロリなど芳香のある葉物食材、パプリカといった皮の色の濃い野菜、玉ネギ、長ネギ、ニンニク、玄米 、ショウガ、シナモン(薄荷)など
「血虚」のときは、苦手でない方は、クコの実や棗(なつめ)、高麗人参もおすすめです。野菜はなるべく炒めたり茹でたりと温めて食べ、冷えが気になるときは飲み物にもすり下ろしたショウガを加え、糖分は白砂糖より黒糖にして少量にしましょう。
「血虚」「血瘀」で避けたほうがいい食べ物
「血虚」「血瘀」の症状があるときは、味が濃かったり、刺激の強いメニューを控えましょう。
「血虚」で避けたほうがいい食べ物
レタス、トマト、キュウリ 、脂肪分の高い食べ物、辛みの強い食べ物、冷たい飲み物(血瘀でも)など
「血瘀」で避けたほうがいい食べ物
ケーキ・アイスなど糖分の多いデザート、塩気・辛みの多い漬け物、エスニック料理 など
「血虚」の状態は、体が冷えていることが多いので生野菜は少な目に、消化の良い食材を摂るようにします。また「血瘀」でも、ケーキなどの嗜好品を全く摂らないとストレスになる方は、食後に少量食べるか、フルーツやナッツで置き換えてみましょう。
夏も体を温めて!「血虚」「血瘀」と冷えの関係
月経痛などの痛みは、原因のひとつに体の「冷え」が考えられます。「冷え」は、女性特有の病(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫)の原因になるだけでなく、せっかく食事をしても消化が悪く、栄養素を吸収しきれないため「血虚」にも繋がります。「血」は栄養素を体内に行き渡らせると同時に老廃物を体外へ運び出す作用があるので、体を温めて血流が体内をより良く巡れば体調が改善されると考えます。体を温めるためにお風呂で湯船に浸かるのが理想ですが、半身浴や足湯でも効果があります。
【プチポイント】
効果のある食べ物のほか、避けたほうがいい食べ物も紹介しているので、「あれもだめ、これもだめ」と、薬膳をやや窮屈に感じるかもしれません。とは言え、意外かもしれませんが、薬膳ではお酒が登場することもあります。特に「血」に関しては、〈少量の〉お酒であれば、「血」の巡りを良くしてくれると考えますので、お酒が好きな方には朗報かもしれませんね!
休息と穏やかな運動で健やかな生活を!
「血虚」や「血瘀」の症状は、日頃の疲れのほか、過労、ストレス、ダイエット、必要なエネルギーに対してそれを補う栄養が足りない、病中病後である、出血などが起因して発生します。ですので、休息を取ったり、体が心地良さを感じる程度の穏やかなウォーキングやストレッチといった体操により「血」を巡らせることでも体が楽になり、健やかに生活できるようになります。