暮らし
【基本の薬膳20】季節ごとの「身体の変化」に効く薬膳~「秋」「冬」編
2016年 10月 16日 06:30
今日が最終回の【基本の薬膳】は、前回に続き「身体の季節ごとの変化に効く薬膳」の「秋」「冬」編をお送りします。秋や冬の体の変化を見ながら、その季節を過ごすために適した食べ物(薬膳)をご紹介していきますね。これまでもお伝えしてきたように、旬の食材はそれぞれの季節ごとに変化する体へ、必要な効果を与えてくれます。特に冬はエネルギーを補充して、上手に寒さを乗り切ることが大切になってきますよ。それでは順番に見ていきましょうね!
「秋の体」の特徴は?
秋は人体も自然界も、だんだんと下降気流になって、秋分の9月下旬にかけ「陽」が減り、逆に「陰」が増えていく時季に入ります。エネルギーの向きは内向きになり、一般的にも、穏やかに内面を磨いて楽しむ「芸術の秋」の時節ですよね。薬膳では、秋は五臓の「肺」を潤すのが良いと言われています。冬に向けて乾燥が強まるため、肺や喉の粘膜、大腸に優しい食材を摂ってバランスを調整していきましょう。
「秋の体」に適した薬膳(食べ物)とは
まずは「肺」を温めて、体を潤す食材からご紹介します。おろして和えても胃に優しい「ダイコン」(【不調の薬膳11】メニュー紹介)や「レンコン」、和菓子を作っても美味しい「ユリ根」などを取り入れるほか、飲み物では緊張からくるドキドキに効く「牛乳」や「豆乳」、果物では「ナシ」がおすすめですよ。喉が枯れてしまったときは「白キクラゲ」(【不調の薬膳15】食材紹介)や、「ハチミツ」(【不調の薬膳19】まとめ)が効きます。そして「サンマ」「イワシ」「山芋」「サトイモ」「サツマイモ」「銀杏(ギンナン)」「ゴマ」といった食材でエネルギーを補給して、冬の寒さを乗り切っていきましょう。そのほかに、秋の果物なら「柿」や「ぶどう」は栄養素が多く、免疫力が高まりますよ。
「冬の体」の特徴は?
冬は活力を温存する時季で、冷えが強くなるため「血」の流れが悪くなったり、体の機能が低下しやすくなります。また免疫力が落ちると風邪を引くため、注意が必要です。ポイントは、低体温を防ぐために体を温める食材を摂ったり、体力を付けること。必要な活力を蓄える「腎」の機能を補う食材を摂ったり、血流を調えながら「血」を巡らせる、「辛」味も一緒に調理すると過ごしやすくなりますよ!
「冬の体」に適した薬膳(食べ物)とは
冬はエネルギーを蓄えたいので、体を温めて造血作用のある「黒豆」「黒ゴマ」や「赤味肉」「牡蠣」「ホウレン草」などを摂り、「キノコ類」(【不調の薬膳4】メニュー紹介)で腸内環境を改善して代謝を上げます。ほかに「腎」の機能を助ける黒い食材や「エビ」「クリ(栗)」「クルミ」などもいただきましょう。秋冬は「熱性」の「ショウガ」や「ネギ」(【不調の薬膳9】メニュー紹介)、「コショウ」などの「香辛料」を上手に使って体を温めると、寒さをうまく調整でき過ごしやすくなります。ほかに「カボチャ」、「プルーン」、「納豆」(【不調の薬膳7】メニュー紹介)、「高麗人参」(【不調の薬膳3】メニュー紹介)も「血」を補い体を温めるので冬の体におすすめですよ。
「薬膳」を身近に感じて健やかに
【基本の薬膳】は、これまでみなさんに20回の連載にお付き合いいただきました。始めに、心から御礼申し上げます。お読みいただきありがとうございました。「薬膳」というと、馴染みがないように思われたり、あまり美味しそうに感じられなかった方も、「旬の食材」がもつパワーを感じたり、わたしたちの身の周りにある食べ物の作用を知って、少しずつ「薬膳」を身近に感じられるようになって頂けていたらとても嬉しいと思っています。東洋医学や薬膳は、「バランス(中庸)」を大切に考えながら、毎日の食事へ体に合った食べ物(薬膳)を摂り入れて、病気を未然に防ごうと考えます。体調が気になったときはいつでも、継続して連載中の薬膳メニューやレシピなどを参考にしてみてくださいね!