老師オグチの家電カンフー

初老のおっさんが、仕事用にハズキルーペを購入してみたところ

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 CMが話題のハズキルーペ。子供の頃からちょっとひねくれてるので、流行り物を買うのには抵抗がある方ですが、老眼の進行と視力の低下には勝てず、ついに買ってしまいました。

 それまでは仕事のほとんどを、iPadで文字を拡大表示するなどして凌いでいたのですが、どうしても紙でやらないといけない作業が発生したためです。来年出す新書のゲラ(校正用の試し刷り)が紙で、文字が小さすぎて読めなーーい! と叫ぶほど読めないわけじゃないですが、200ページと分量があるので読むのが辛い。読む書籍もすべて電子書籍に移行して、iPadの拡大表示で読むのに慣れちゃったので、なおさらそう感じるのです。

 で、ハズキルーペ。倍率は3種類、レンズの大きさも複数あるので、比べてみるために都内のコンタクトレンズ屋さんに行ってきました(ゲラも持参して)。

倍率は3種類、レンズの大きさも3タイプ、レンズ色はブルーライトのカット率で2タイプあるので、店頭で実際にかけてみて選んだ方がいいです。

 ハズキルーペはメガネではなくルーペ(虫眼鏡)なので、ピントが合う距離が決まっています。

 1.32倍(焦点距離50~70cm)
 1.6倍(焦点距離30~40cm)
 1.85倍(焦点距離22~28cm)

 パンフレットにはこうあるのですが、実際に見え方を店頭で確かめた方がいいです。もっとも焦点距離が長い、つまり離した状態でピントが合う1.32倍を選んだのですが、自分の目には焦点距離50~70cmは長くはなく、40cmぐらいでした。眼鏡をかけた状態でも使えるよう、レンズの大きさは最も大きい「ラージ」を選択しました。

 とりあえず150ページほどゲラを読んだのですが、文字が大きくクッキリ見えるのは助かります。老眼鏡は単にピントが合うだけですが、文字が大きく見えるのが違いです。視力が低下したときにルーペの類もいくつか使ってきましたが、視界が広く書類を広く見渡せ、ハンズフリーなのは楽。メガネオンにしても重さはさほど気になりません。

購入したのは、倍率1.32倍、ラージレンズ、クリアレンズ(ブルーライトカット率35%)。写真ではわかりにくいですが、フレームの色は紫です
オンメガネ状態でも圧迫感は少ない。踏んでも壊れない、さすが日本製! とCMでは謳われているが、素材と構造上丈夫そうではある。踏まないし

 デメリットとしては、ピントが合う距離が限られているので、姿勢が固定されます。手持ちの本などではさほど問題になりませんが、机の上に置いた書類などでは、姿勢の方で調整しなくてはなりません。猫背になって辛いのであれば、机の上に本などを積み重ねて目との距離を近づけるなどの工夫が必要です。

 あと、文字を読んでいて、目線をちょっと遠くに向けてもピントが合わないので、その都度ハズキルーペを着けたり外したりする必要があります。逆にそれが面倒なので、一定時間作業に集中しようとする効果はあります。かけている間は、ちょっと遠くのテレビを見たり、立ち歩くことはできないので、作業に自分を縛り付けられるのです。

ファミレスでハズキルーペかけて校正作業の図。白とかの派手な色でなければ、周囲に気づかれることもなさそう。それにしても、文字が読めるって本当に素晴らしいですね!

 当たり前ですが、CMのように銀座のクラブっぽいところで使うモノじゃありません。ホステスさんの顔もボケボケになりますし、酔っ払いすぎたみたいな視界になるんじゃないでしょうかね。まぁ、あのCMにツッコむのもヤボな話ですが。

 最後に、ハズキルーペを買ったと伝えたとき、「ハズキルーペ、だぁーい好き!」ポーズで写真撮れとか、ミニスカ履いてお尻で踏んで「キャッ!」をやれとか、その手のリクエストをくれたみんな、だぁーい好き! みんなの老眼が早く進みますように。

小口 覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター。日経MJの発表した「2016年上期ヒット商品番付」では、命名した「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」が前頭に選定された。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
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