老師オグチの家電カンフー

捨てる紙あれば拾う輩あり 〜シュレッダーを更新してゴミ減量〜

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 真の文明は下水道から生まれる。
 古代ローマ時代の賢人か歴史家が発した格言のようですが、いま私が思いつきました。水道の水は誰もが飲みたがるけど、環境を考えてこそ社会。いくら生産効率を高めた工場を持っていても、汚染物質を垂れ流すような企業が糾弾されるように、ゴミの出し方に気をつかってこそ文明人と言えるんじゃないでしょうかね。

 なんて考えたのは、ゴミ捨てに使うための家電、シュレッダーを買い替えたからです。生ゴミ処理機もゴミを減らせるエコな家電ですね。シュレッダーの目的はエコではありませんが、セキュリティやプライバシーを実現するための意識高い家電です。それに、新しいシュレッダーでは結果的にゴミの減量にもつながるんですよ。

 これまで20年以上使っていたシュレッダーから買い替えたのは、アイリスオーヤマの細密シュレッダー「P3GM」。昔のと何が違うかというと細断されるサイズで、より機密保持性が高められます。

アイリスオーヤマ「細密シュレッダー P3GM」の購入価格は4,534円(Amazon.co.jp)。細断できるのは、A4コピー用紙を一度に3枚まで。細断速度を実測したところA4が5秒ほど。ダストボックスはコンパクトだがA4コピー用紙120枚分のゴミを収容できる。音は、「ウィーン、ズゴズゴズゴ……」という感じ

 以前使っていたシュレッダーは細断幅が約4mm、長さ約10cm(ミリじゃなくてセンチ!)で、場合によっては1行の文章がまるまる読めたりします。文章は読めなくとも、元の文書がプリントされた文書なのか、写真なのかというレベルでは一目瞭然でした。

以前に使用していたのは、シュレッダーメーカーとして有名なGBC社の製品。購入したのは20年以上前だろうか。ダストボックスから外すと作動しなくなるはずの安全装置が壊れたこともあって買い替えることにした

 一方の「P3GM」は、約2mm×11mmのマイクロクロスカットを採用。元の文書の種別すら何かわからなくなるぐらい細かくなります。別にわが家で出すゴミに興味のある人はいないでしょうが、世間にはゴミを回収して個人情報を取得するストーカーやマニアがいるようなので、用心に越したことはありません。

A4用紙1枚を細断した後の違い(右が細密シュレッダー)。大きく違わないようにも見えるが何十枚と細断するとその容量の大きさは歴然。ゴミ袋に入れて捨てる手間が大幅に軽減した

 そして、細かく細断されることで、ゴミ袋に移す作業も楽ですし、ゴミの容積も減らせます。そりゃ、紙をリサイクルするのに比べたらかないませんが、ゴミ袋の数も減らせますし、ちょっとはエコです。

 あと、細断した紙くずの入ったごみ箱に、使い終わったお茶やコーヒーのかすを捨てると、水分を吸収してくます。ゴミ袋の底に水がたまるのはイヤな感じじゃないですか。(シュレッダーだけに)細かい話ですけど。

小口 覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター。日経MJの発表した「2016年上期ヒット商品番付」では、命名した「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」が前頭に選定された。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
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