【特別企画】

一番使えるステンレスボトルはコレだ! 前編

~暑い夏をクールに乗り切るアイテムを探せ
by 編集部

ステンレスボトルの保温・保冷効果を一挙に試してみた

 これから日差しが強くなってくる季節。日中の水分補給が欠かせない。出先に飲み物を持ち歩く際、皆さんはどんな容器に入れているだろうか。ペットボトルだろうか、あるいは水筒だろうか。

 水筒といっても、最近は内容器にステンレス素材を採用したステンレスボトルタイプが主流。保冷や保温効果を謳っている点が特徴だ。

 近年、コンビニや自動販売機で手軽に買えるペットボトルの普及に押されてしまった感もあるが、その一方で、繰り返し使えてゴミにならず、経済的であるという水筒のメリットは見直されてきている。

 実際に量販店や雑貨店の店頭では、沢山のステンレスボトルが並んでいる。一体どれを選べばいいのか、わかり辛いというのが正直なところだ。そこで今回は、前編と後編の2回に分けて、ステンレスボトルを選ぶポイントを考えてみたい。

 まず前編では、ステンレスボトル市場のトレンドを踏まえて、実際に編集部が選んだステンレスボトル9製品の保冷・保温効果を調べ、ランキング化した。後編では、その中から編集部員それぞれが「コレだ! 」と選んだ一押しの1本をレビューする。


「ステンレス真空2重構造」など、保温・保冷効果を謳うタイプが主流

【ステンレス真空2重構造のしくみ】内瓶と外瓶の2層から成り、その2層の間を真空状態にしている。空気がないため、内瓶の飲み物の温度が外瓶まで伝わらず、飲み頃の温度を保てる(タイガー魔法瓶のサイトより)

 まずは、ステンレスボトルのトレンドについて押さえよう。はじめに触れたように、最近は保温・保冷効果を謳うタイプが主流だ。代表的なのは、老舗メーカーのタイガー魔法瓶や象印マホービンの「ステンレス真空2重構造」を採用したタイプ。容器の内側にまほうびんと同じ真空構造を採用し、断熱性を高めることで、長時間飲みごろの温度をキープするという。

 より確実に保温・保冷効果を求めるなら、これら真空構造を採用したモデルを選ぶといいだろう。

・暑い夏は、大容量が人気! 季節に合わせた容量を

 店頭に並んでいるステンレスボトルの容量は、250ml前後のコンパクトタイプから、容量1.5Lを超す大容量タイプまでさまざまだ。特に大容量タイプでは、スポーツ仕様となっているものが多い。汗のかきやすい運動時にも、しっかり水分補給できるようにするためだろう。

 象印マホービン広報に話を伺ったところ、特に今の季節に人気なのが、360ml前後。これから暑くなると、より大きな容量が売れ筋になるという。季節によって売れ筋の容量が変わるというのは面白い。

容量250mlで、スープや味噌汁に入れるのに適した、タイガー魔法瓶「nooma MCA-A025」【過去のレビューで紹介】容量520mlの真空断熱スポーツボトル サーモス「FEA-500F」【過去のレビューで紹介】容量800mlのタイガー魔法瓶「サハラクール MMN-A080」【過去のレビューで紹介】

・同容量でも、太さや飲み口の形はさまざま。用途に合わせて選ぼう

 同じ容量でも、ボトルの直径が太いものやスリムなものがあり、フタや飲み口の形状もさまざまだ。たとえばサーモスの製品では、フタをひねって開けるタイプから、ボタンを押してワンタッチで開くタイプ、タンブラー型タイプなどが揃っている。

 卓上で使用することが多いならタンブラータイプ、移動中や運動中に飲みたいなら片手でフタを開けるワンプッシュ オープンタイプなど、用途に応じてチョイスしたい。

フタをひねって開けるサーモス「JMZ-350」ワンプッシュで開く、サーモス「JNE-350N」タンブラー型のサーモス「JND-290」

 このほか飲み口の形状は、飲みやすい中ブタが付いたものや、内容器に直接口を付けて飲むもの、フタがコップ代わりになるものなどがある。細かいパーツまで洗うのは面倒だと感じる方は、中ブタのない、直接口を付けて飲むタイプがオススメだ。

直接口を付けて飲む、タイガー魔法瓶「ステンレスボトル サハラ MMP-M050」【過去のレビューで紹介】飲みやすい中ブタ付きの、象印「TUFF(タフ) SM-DA35」【過去のレビューで紹介】
ペットボトル感覚で飲める、象印マホービン「ステンレス クールボトル タフスリム ST-GB50」【過去のレビューで紹介】その昔は飲み口にストローが付いたモデルも……タイガー魔法瓶「サハラクール MMF-A300」【過去のレビューで紹介】

・日々使うものだから、衛生面や手入れの手間もチェックポイント

象印マホービン「SM-EB型」の取扱説明書。飲み口とせんを外して細かく分解し、すみずみまで洗える点が特徴

 ちなみに、飲み口の形状が複雑だと、衛生面や手入れの手間が気になるという方もいるかもしれない。実際には、ほとんどのステンレスボトルがまるごと水洗いに対応している。

 なかでも、すみずみまで洗えるようこだわっているのが、象印マホービンだ。

  同社のステンレスボトルの多くは、分解してすみずみまで洗える「分解せん」が採用されている。キャップ、キャップパッキン、せんカバー、せん、弁パッキ ン、せんパッキン、飲み口、飲み口パッキン、口がね……これら全てのパーツを、取り外して洗える。「正直、これだけパーツがあると、洗うのが大変では……? 」と広報担当者に伺ったところ、「(手入れしやすいよう)指の入らない隙間は作らない」というこだわりがあって、細かく分解して手洗いできるようにしたのだそうだ。

・入れて良いもの、NGなもの ~炭酸、乳飲料、お酒はダメ!

 最後に、ステンレスボトルに入れて良いものと、ダメなものを確認しておこう。ステンレスボトルは、基本的に水やお茶を入れる目的で作られている。このため、みそ汁やスープ、スポーツドリンクなどの塩分を多く含む飲み物は、内容器が錆びる恐れがあり、メーカーによっては、“使用できない”と明記している。ただし、「スポーツタイプ」と呼ばれるステンレスボトルはスポーツドリンクを入れてもOK。内容器のフッ素加工を強化しているため、塩分によるサビや腐食の発生を抑えるという。

 絶対に入れてはいけないのは、炭酸飲料。本体内の圧力が上がって、内容物が噴出したり、本体が破損する恐れがある。同じ理由から、ドライアイスも危険だ。

 牛乳などの乳酸料も入れてはいけない。乳飲料を入れたまま放置すると、腐敗してガスが発生し、炭酸飲料と同じように、本体内の圧力が上がり、噴出したり、破損の原因になるという。酒などのアルコール類もNG。アルコール類は臭いも取れなくなる恐れがある。

 このほか、果肉やお茶の葉も、詰まりや漏れの原因となるため、控えた方が良い。

保温・保冷効果を確認

 さて、ここまでトレンドを確認してきたが、実際にはどのくらいの保冷・保温効果があるのだろうか。ここからは実際に店頭でステンレスボトルを買ってきて、それぞれの保温・保冷効果を計った結果をお伝えしたい。

 今回選んだのは、容量300ml前後の9製品。容量300ml前後を選んだ理由は、先ほどの象印の話でもあったように、早夏の一番売れ筋の容量だからだ。いずれの製品も、内容器にステンレス素材を採用しており、保温・保冷効果を謳っている。

 価格は1,000円台が中心で、3,000円前後の高価格モデルも2製品あった。

aladdin「AVEO Tea Tumbler」クリーンカンティーン「カンティーンボトル ワイド インスレート」サーモス「JMZ-350」
GEL-Design「マグボトルく~ま」象印マホービン「SM-EB30-AB」スケーター「ディズニー SMD3」
タイガー魔法瓶「MMP-A030」ドウシシャ「HALEIWA HGMC350」無印良品「保温保冷携帯マグ」

 


メーカー品番容量価格(Amazon)
aladdinAVEO Tea Tumbler300ml2,940円
クリーンカンティーン
カンティーンボトル ワイド インスレート355ml3,360円
サーモスJMZ-350350ml1,451円
GEL-Designマグボトルく~ま250ml1,680円(楽天)
象印SM-EB30-AB300ml1,982円
スケーターディズニー SMD3350ml2,180円
タイガーMMP-A030300ml1,527円
ドウシシャHALEIWA HGMC350350ml1,980円
無印良品保温保冷携帯マグ300ml1,900円

 

・冷えた水を入れた場合の保冷効果

 まずはじめに、冷えた水を各ステンレスボトルに注いで、1時間後、3時間後、6時間後の温度変化の様子を確認する。水は各ボトルに満タンに注いだ。

 結果は以下の表の通りだ。6時間後、空気にさらしていた水は、室温とほぼ同じ温度まで上昇していたが、象印マホービン「SM-EB30-AB」やタイガー魔法瓶「MMP-A030」、ドウシシャ「HALEIWA HGMC350」などは、水温の上昇を3.5℃以下に抑えていた。ほかのステンレスボトルも、だいたい5度程度の上昇におさまっていたが、スケーターの「ディズニー SMD3」は水温が10℃近く上昇し、残念ながら保冷効果が実感できなった。


順位メーカー開始時の温度(℃)1時間後(℃)3時間後(℃)6時間後(℃)
1象印マホービン10.5111213.2
2タイガー魔法瓶10.512.112.513.5
3ドウシシャ10.511.212.814
4サーモス10.512.513.414.6
5無印良品10.512.213.214.7
6クリーンカンティーン10.512.213.415.3
7aladdin10.511.813.215.7
8GEL-Design10.512.513.915.9
9スケーター10.513.616.820
常温に置いた水10.517.42123.9
※室温24℃±0.5℃

・氷水を入れた場合の保冷効果

 続けて、氷水を入れた際の保冷効果を試してみた。各ステンレスボトルには、冷凍庫で冷やした氷を2個ずつ投入し、水を注いだ。

 当然だが、氷を入れて常温に置いた水は、1時間後、3時間後、6時間後と時間が経つにつれて、温度が上がっていく。

 一方で、約1℃というキンキンに冷えた状態を6時間後にも維持していたのが、サーモス「JMZ-350」とタイガー魔法瓶「MMP-A030」だ。以降、象印マホービン「SM-EB30-AB」、クリーンカンティーン「カンティーンボトル ワイド インスレート」、ドウシシャ「HALEIWA HGMC350」が続く。このほかほとんどのステンレスボトルが5℃以下に抑えていたが、「スケーター ディズニー SMD3」では水温が10℃近く上昇してしまった。


順位メーカー開始時の温度(℃)1時間後(℃)3時間後(℃)6時間後(℃)
1サーモス1.71.11.11.3
2タイガー魔法瓶1.70.911.6
3象印マホービン1.71.21.32.3
4クリーンカンティーン1.71.61.43.1
5ドウシシャ1.72.72.43.5
6無印良品1.72.62.74.2
7GEL-Design1.72.22.94.3
8aladdin1.72.43.15.5
9スケーター1.757.212.9
常温に置いた水1.712.318.421.3
室温24℃±0.5℃

 水と氷の結果から、タイガー魔法瓶「MMP-A030」、象印マホービン「SM-EB30-AB」、サーモス「JMZ-350」、ドウシシャ「HALEIWA HGMC350」あたりが、保冷効果が高いボトルとして挙げられそうだ。

・熱湯を入れた場合の保温効果

 保冷効果を確認したところで、今度は保温効果を見ていこう。電気ケトルで沸かした91℃の湯を、各ステンレスボトルに満タンに注いでいく。

 1時間後の湯温は、常温に置いた湯は91℃から34.6℃まで下がったが、どのステンレスボトル内の湯も、70~80℃台をキープしている。

 3時間後は、ステンレスボトルごとに湯温に差が出てきた。80℃台にとどまるものがある一方で、低いものは50℃台まで冷めてしまった。

 6時間後、70℃以上を維持していたのは、象印マホービンの「SM-EB30-AB」。次点は60℃台で、タイガー魔法瓶、無印良品、サーモスが続いた。このほかの5個は50℃以下に下がった。


順位メーカー開始時の温度(℃)1時間後(℃)3時間後(℃)6時間後(℃)
1象印マホービン9187.780.772.8
2
タイガー魔法瓶9184.876.668.7
3無印良品9185.169.465.4
4サーモス9183.974.164.5
5ドウシシャ9179.475.759.6
6GEL-Design9179.766.555.2
7クリーンカンティーン9180.364.251.6
8aladdin9177.363.951.9
9スケーター9174.256.943.5
常温に置いた水9134.624.723.7
室温23.5℃±0.5℃

 ちなみに保温効果がすぐれているということは、そのまま口を付けては「熱い! 」と感じる可能性もあるということだ。特に60℃以上のお湯は、猫舌の方には厳しい。温かい飲み物を飲む時には注意しよう。

保冷・保温効果と共に、季節や使用シーンを判断材料にしよう

 以上の保冷・保温実験の結果から、保冷と保温のバランスが良いと感じた上位5タイプは以下の通り。いずれも真空構造を採用し、保冷・保温効果を高めているモデルだ。

1.タイガー魔法瓶「MMP-A030」……保冷と保温のどちらにおいても、安定した高順位を記録したオールマイティモデル。スリムで持ちやすい形状のため、使い勝手も良い。

2.象印マホービン「SM-EB30-AB」……保冷・保温効果共に十分で、特に保温効果はトップだった。正直、1位のタイガー魔法瓶と大差ないが、せんを分解して洗えるので、衛生面に気を配っている方にオススメ。

3.サーモス「JMZ-350」……保冷効果に特に威力を発揮した。氷水を入れた実験では、6時間経っても0.2℃しか温度が上昇しなかったのはスゴイ。

4.ドウシシャ「HALEIWA HGMC350」……今回の実験でもっとも大穴だったのがコレ。柄はかわいらしい印象だが、保冷・保温効果はしっかりしている。ほかにも色々な柄があり、選ぶ楽しみも◎。

5.無印良品「保温保冷携帯マグ」……保冷・保温効果がスバ抜けてスゴイというわけではないのだが、保温保冷効果は安定していて、十分満足できるレベル。特にフタに付いた便利な取っ手や、シンプルな外見は無印良品らしい。

 このほか、保冷効果のみを重視するなら、クリーンカンティーン「カンティーンボトル ワイド インスレート」も良さそうだ。容器が軽量・薄型で、持ち運びしやすいという側面がある。また、持ち運びを重視するなら、フタにハンドルが付いた無印良品の「保温保冷携帯マグ」と、カラビナを取り付けられるクリーンカンティーン「カンティーンボトル ワイド インスレート」が使いやすい。

※初出時、 クリーンカンティーン「カンティーンボトル ワイド インスレート」には「真空構造を採用していない」とありましたが、誤りです。実際には、「二重真空加工」を施しています。ここにお詫びして訂正いたします。

 以上のように、保冷・保温効果と併せて、季節や使用シーンによって、容量やタイプを選ぶと良いだろう。

 明日の後編では、この中から編集部員それぞれのイチオシのステンレスボトルをご紹介したい。引き続きご愛読いただければ幸いだ。


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2012年6月26日 00:00