ハセガワモビリティが開催したYADEAブランドの電動モビリティ発表・試乗会に参加してきました。電気で動く二輪車、いわゆる「電動バイク」や「電動スクーター」の発表・試乗会です。
筆者はe-bikeに乗ることは多いですが、e-bikeは電動アシスト自転車。電気とモーターの力だけで走る純粋な電動モビリティは未体験ですので、興味津々で臨みました。
YADEAブランドの各種電動モビリティの発表・試乗会です。YADEA(ヤディア)は世界最大級の電動モビリティブランドで、このブランドの電動モビリティの販売・アフターサポートを行なうのがハセガワモビリティです コチラは電動バイク。普通のオートバイのように見えますが、バッテリーとモーターで駆動するフル電動のバイクです コチラはスクータータイプの電動バイク。これらも化石燃料を一切使わず電気だけで走ります こんなにカワイイ電動スクーターも! 中国で非常によく売れているそうです 電気だけで走行する電動サイクルもありました。ほか、電動キックボードなどにも試乗できました YADEAブランドの電動モビリティとしては、2022年に原付一種区分の電動キックボードが、2023年には特定原付区分の電動キックボードが国内展開されています。さらに電動アシスト自転車の販売も始まっています。
国内で急速に電動モビリティを展開するYADEAブランドですが、2025年には各種電動バイクの展開を予定しているそうです。電動モビリティ市場が大きく拡大され、新しいことがいろいろ起きそうですね!
まずは本格的な電動バイクで、スムーズな乗り心地を実感
いくつかの電動モビリティに試乗しましたが、そのレポートの前に「電動モビリティはどういう免許区分になるの?」といった疑問があると思いますので、そのあたりをご説明。わりと簡単に理解できる区分になっています。
定格出力 | 免許の種類 |
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0.6kW以下 | 原動機付自転車免許(原付免許) |
1.0kW以下 | 普通二輪免許(小型限定免許) |
20kW以下 | 普通二輪免許(中型免許) |
20kW超 | 大型二輪免許 |
排気量ではなく電動モビリティの定格出力により、運転に必要な免許が変わってくるというわけです。
定格出力○○kWにおける走行性能のイメージですが、筆者の感覚では「定格出力5.5kW/最大出力11kWの電動スクーター(後述のYADEA F200)の加速は、ちょっと怖くてスロットルを全開にはできない」という感じ。電動モビリティにより最大速度や0-100km/hの加速性能は大きく異なりますが、「速い電動モビリティは未体験級の加速をする」という実感を得ました。
さておき、まずは本格的な電動バイクから。「YADEA K2」という車種です。ちなみに、現状、電動バイクは免許区分・定格出力に関係なく、すべて「軽二輪区分」扱いで「車検は不要」です。ただし回転部分もある車両なので、定期的な点検は必須でしょう。
「YADEA K2」の定格出力は12kWで、免許区分としては20kW以下となるので、普通二輪免許(中型免許)があれば乗れます。0-100km/h加速が9秒となっていますので、十分加速力の高いバイクと言えそうです ハンドル周辺。普通のバイクという感じですが、クラッチレバーや(ギア)チェンジペダルはありません。両足は左右ステップに乗せ、ブレーキ操作は自転車のように左右ハンドル前方のレバーで行ないます 始動はキー式で、普通のバイクの扱いを知っていればすぐ理解できます ガソリンタンクではなく16Lの大型ストレージでした。タンクバッグ不要で荷物を入れられて、鍵もかけられて……このタイプのバイクには有り得なかった便利仕様ですね 走行前に操作を教えていただきましたが、普通のバイクと同様の扱えます。筆者の身長は178cmで、「YADEA K2」にまたがった感じとしては「250ccのバイクよりは少し大きいけれど400ccのバイクほどではない」という印象です。試乗当日、バイクウェア・シューズを自宅に置き忘れてしまったので、半ズボンでの試乗。十分安全な走行を心がけました ちょっと車格のある250ccバイクという印象ですが、加速がスムーズでトルクもあります。「YADEA K2」の車両重量は168kgあり、バイクなら250ccクラスの車重です。ただ、重心が低く加速などがスムーズなので、もっと軽いバイクに乗っているような印象です コーナリングなどもスムーズで安定的。急加速も可能ですが、それ以上に「安定して楽しみながらスポーツ走行ができる車体」だと感じられました。音も静かで振動も少ない。こういう電動バイクで走ると、これまではエンジン音に掻き消されて聞こえなかった音が聞こえて、体に伝わる振動もソフト。静かさと振動の少なさ、それから走行時の安定性も実感できましたので、こういう電動バイクだとよりいっそう楽しいツーリングができそうです 0-100km/h加速が9秒なので「けっこうキビキビした感じの乗り味?」と思っていましたが(そういう走行もできると思いますが)、ゆっくり安定的に走るのが楽しい車体でもありました。また、バイクの操作に足を使わないのは、体重移動やブレーキレバー操作に意識を集中できて「より安全かも」と感じられました。スロットル操作とブレーキ操作と体重移動だけで乗れるので、車体ごとのギアの入り方の違いも意識せず済みますので、より身近な2輪モビリティだとも感じられました 車検が不要で、それからライダーが発火の可能性のある化石燃料を扱わずに済み、自宅で充電可能。電動バイクにはいろいろな便利さ快適さがあります なお、「YADEA K2」の航続可能距離は122km。最高速度は100km/h。1日ツーリングする、となると途中で充電が必須となりますが、満充電までに最大3時間かかりますので、現状では街乗りや通勤などに使うというイメージになるかもしれません。
電動スクーター「YADEA F200」に……路上最速の予感
続いて電動スクーターの「YADEA F200」。定格出力5.5kW/最大出力11kW、最高速度100km/h、航続可能距離120km、登坂角度25度というスペックで、外見的は少しスポーティーな感じの電動スクーターです。
電動スクーター「YADEA F200」は定格出力5.5kWですので、乗るには普通二輪免許(中型免許)が必要です パッと見、ユーティリティ性があって日常使いができて、スタイリングからそこそこ走りもいいのかな? という印象になりそうです。
しかし、試乗した筆者的印象をまず書いてしまいますと……「速い!」「これいま公道に出たら路上最速スクーターかも!」というものです。走り出しから加速まで非常にスムーズでモタつきがない。乱暴な加速という印象ではありませんが、「このままスロットルを開き続けるのは怖い」というイメージ。ちなみにスペック上で0-50km/h加速は2.5秒とありました。
とは言っても走行は安定的で制動力もあり、車体のバランスも低重心で安心感があります。加速しようと思えば自在に加速できるが、スロットルを開かなければ安定したスピードで安心感とともに走れる電動スクーター、という印象です。
車格的には125ccクラスのスクーターより少し大きいというイメージでした。いわゆるビッグスクーターほどは大きくない ハンドル周辺はシンプル。メーターはディスプレイです ビッグスクーターほど大きくないので足付き性も良好。そして0-50km/h加速が2.5秒の実力を秘めています 旋回性も良好。小回りが利きつつ安定性があり、安心感をもって走れます 加速性能が非常に高いので、ときどき急加速をしてみたくなります。そしてそのたびに「速っ!」と声を出した筆者です それから「YADEA F200」は「すごく静か」なのが大きな特徴であり魅力だと感じられました。駆動はサイドマウント一体型モーターで、後輪を直接回しているというイメージ。前出の「YADEA K2」のようなチェーンもないので、走行中に聞こえてくるのはタイヤが発するわずかなロードノイズと、これもまたわずかなモーター回転音くらい。
ガソリンエンジンのスクーターだと、エンジンが動く際の振動もあります。しかし、この電動スクーターにはその振動もありません。
この「YADEA F200」もまた、航続可能距離が120kmであるあたり、少し実用性的にも活用幅的にも物足りない部分があるとは思いました。ですが、電動モビリティならではのメリットが多々。発売を大きく期待したい1台となりました。
ほかにも魅力的な電動モビリティが多々
ほかにもYADEAブランドの電動モビリティが展示されており、試乗できる車種もありました。駆け足でご紹介いたします。
これは「YADEA E8S」という電動スクーターで、定格出力2kW、最高速度60km/h、航続可能距離112kmといったスペックです。定格出力2kWですので、乗るには普通二輪免許(中型免許)が必要です。ただ、車格は原付に近いものだったので、発売時には定格出力が下がるのかもしれません この電動スクーターも非常に静か。また前出の「YADEA F200」のような加速力は感じられませんので、よりユーティリティ性を重視した車体として出てくるのかもしれません これは「YADEA E10」。最高速度50km/h、航続可能距離100km、ほかのスペックは未定でした。これは125ccスクーターくらいの車格感です この電動スクーターもやはり非常に静か。なお、「YADEA E8S」も「YADEA E10」もシート下に30L以上のストレージスペースがあります 「YADEA S-01T」という特定原付(特定小型原動機付自転車)。ペダルがないのにスイスイ進んで不思議な走行感でした。なお特定原付は、定格出力0.6kw以下、車体の長さ1.9m以下、幅0.6m以下、最高速度20km/h以下といった条件を満たした車両です。特定原付は16歳以上であれば運転免許証不要で乗ることができ、ヘルメット着用努力義務があります。詳しくは警察庁Webサイトにあります YADEAブランドの各種電動キックボードもありましたので、全車種試乗してみました。どれもスムーズかつ静かに乗れて楽しめました。ただ、やはりこのタイヤサイズだと、一般路上のギャップが非常に危険なものになりそうです。電動キックボードに乗るときはヘルメットが必須で肘などのプロテクターも必要だと思いました 残念ながら試乗できなかった「レトロ・カワイイ系」の電動スクーター「modern」。現在のスペックでは定格出力が0.4kWなので原動機付自転車免許(原付免許)で乗ることができます。かわいらしい外観ながらもスマートキー(スマートフォンアプリ/NFC)でロック解除できたり、メーターがLEDディスプレイだったり、電動スクーターらしい先進性を備えていました。これも発売を大きく期待したい1台です といった感じのYADEAブランド・電動モビリティ発表・試乗会。筆者は「どんなものだろう?」といった軽い興味で参加しましたが、一度こういう電動モビリティに試乗すると、それまでの電動モビリティに対するイメージが大きく変わりますね。電動であるという良さを多々実感しますし、間近に迫る大きな変化と可能性をよく理解できます。今後も電動モビリティに積極的に触れ、機会があれば鋭意レポートしていこうと思います!