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「服が黄ばんでてショック」を防ぐため衣替えで気を付けることは?

襟袖の皮脂汚れが黄ばみの原因に。衣替えでしまう前に念入りにケアを

夏物から冬物へそろそろ“衣替え”の季節。お気に入りの服はできるだけ長持ちさせたいものですが、大事にしていたはずなのに、久しぶりに出した衣類に虫喰いや黄ばみを発見して残念な思いをした経験が誰しもあるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、衣替えの際に気を付けたい衣類ケアのポイントや方法、お洗濯術をライオンのお洗濯マイスター・大貫和泉さんに解説してもらいました。

ライオンのお洗濯マイスター・大貫和泉さん

しまう前の皮脂ケアが大切

これから衣類をしまう前に必ずケアをしておきたいのは“皮脂汚れ”。その理由を大貫さんは次のように説明します。

「収納後の嫌なニオイや黄ばみの一因は、洗濯で完全に落としきれなかった皮脂汚れです。着用して洗濯を繰り返すたびに、皮脂汚れは徐々に繊維の奥に蓄積されていきます。そして、収納中に残った皮脂汚れが変質し、取り出した際に黄ばみや嫌なニオイとして現れることがあります」

そこで大貫さんが推奨するのは、“しまい洗い”。「黄ばみや嫌なニオイの発生を予防するために大切なのは、衣類をしまう前に、しっかり皮脂汚れを落とすことです」といいます。

具体的に次の2つの方法を紹介してくれました。

・脇の下や襟、袖など黄ばみが出やすい部分
……液体酸素系漂白剤や液体洗剤を直接塗り、前処理してから洗濯する

・機能性インナーやTシャツなど嫌なニオイの発生する可能性がある衣類
……洗剤と液体酸素系漂白剤を活用し、つけ置き洗いで皮脂汚れを落としてからしまう

皮脂汚れのケアに便利なシャープの「超音波ウォッシャー」を筆者は愛用中。先端の超音波振動が引き起こす微細な泡により、衣類の表面や繊維の奥の汚れを剥し落とす

しまう前にケアしたいもう1つの要素は“しわ”。「しまい洗いの時にしわをなるべく少なくすることと、しわを作らない収納方法を実践すること」を2大ポイントとして挙げました。

大貫さんによると、特に夏物の衣類に多い、リネン(麻)はしわになりやすく、一度しわがつくと取れにくい素材の代表格。「ネットに入れてから洗うと洗濯物同士が絡まるのを防げるため、しわが少なく仕上がります」と、お洗濯の際には洗濯ネットの使用を推奨します。

しわ予防の洗濯術としてもう1つ大切なのが脱水と干し方。「脱水じわを軽減するために、“手洗いコース”や“ドライマークコース”などの弱水流コースでやさしく洗い、脱水時間は最短に設定しましょう。脱水後はすぐに取り出し、形を整えて陰干しします」とのことです。

型くずれを防ぐため、サマーニットの場合も、同じように洗濯ネットに入れて弱水流コースでやさしく洗うことがポイント。「洗濯中の色あせや型くずれ、着用中に発生する毛玉を防止する効果があるおしゃれ着用洗剤を使うのがおすすめです」

夏のマストアイテムでありながら、ケアを忘れがちなのが帽子。洋服に比べるとシーズン中も洗う回数が少ないかもしれません。しかし、額が触れる内側や、手で触るツバなどは汗やファンデーションなどで特に汚れやすい部分。忘れずに行なっておきたいのがお洗濯の前の“前処理”です。

「まず、家でお洗濯できる帽子かどうか、洗濯表示を確認したうえで、洗濯前におしゃれ着用洗剤を直接汚れの部分につけてスポンジの柔らかい面で軽く叩きます。洗濯機で洗う場合は洗濯ネットに入れて弱水流コース、手洗いの場合は押し洗いします。干す時は、洗濯ネットを帽子に詰めて形を整え、ペットボトルなどにかぶせると型くずれを防げます」と説明しています。

洗う機会が少ないが、夏の間に活躍してくれた帽子もしまう前にお洗濯を忘れずに
汗や皮脂などで思ったよりも汚れている

冬服は一度洗濯して気持ちよく

一方、これからのシーズンで着用する冬用の衣類。しまう前にケアをしていたはずでも、半年ほどしまっておいた間に、やはりどうしても“たたみじわ”ができてしまっていることが多いです。

もちろん、しわ伸ばしに効果的な王道の方法は、アイロンや衣類スチーマーを使ってしわを伸ばすこと。しかし、家庭で洗えるものであれば、「一度お洗濯をしてしまう“出し洗い”もひとつの手です」と大貫さん。「しわはもちろん、防虫剤などの気になるニオイなどもすっきり落とせて、気持ちよく着られます」としています。

また、しわ同様に、収納前にしっかりケアをしたつもりでも、しまっている間にできてしまった“黄ばみ”。一度できてしまった黄ばみを完全に落とすのは難しくても、ケア次第で緩和させられることもあるそう。大貫さんが紹介してくれた次の方法を試してみましょう。

「衣類全体が黄ばんでしまっている場合は、濃いめの洗濯液につけておく“つけおき洗い”がおすすめです。洗濯おけに衣類が浸かる程度のぬるま湯(40℃くらい、5L程度)を入れて、洗剤(洗濯機水量30Lの使用量)、適量の液体酸素系漂白剤を加えて、濃いめの洗濯液を作ります。ここに30分~2時間衣類をつけ置きした後、縦型洗濯機であれば洗濯機に洗剤液ごと入れてほかの衣類もいっしょに洗濯します。ドラム式の場合、つけ置きした衣類は軽く絞ってから入れます」とのこと。

お湯洗い機能が洗濯機にある場合は活用するのもよさそうだ

ただし、弱水流コースや手洗いが推奨されているおしゃれ着やニットはつけ置きNG。黄ばんでいる部分に液体酸素系漂白剤を直接塗ってから、洗濯機に入れておしゃれ着用洗剤を使って洗濯すればいいそうです。

もちろん、いずれの方法を試す場合にも、一緒に衣類を含めて事前に必ず洗濯表示を確認すること。

「酸素系漂白剤、または液体酸素系漂白剤が使用できるかを確認してください。使用できない場合は、それぞれに適した洗剤を直接塗布してから洗濯を行ないます」としています。

三角形のマークが漂白剤の使用の可否。二重線は酵素系漂白剤の使用はOK、塩素系はNG。三角形に斜線がないマークはどちらも使用可能、×印は漂白剤の使用不可
洗濯表示を確認してみると、つけ置きや漂白剤の使用がNGな衣類は意外に多い。汚れのひどい部分には、使用可能な洗剤を直接塗布してから洗おう

衣替えにあわせて、衣類だけでなく、羽毛布団やタオルケット、敷きパッドなどの寝具の入れ替えも行なうご家庭も少なくないでしょう。洗濯機に“大物洗いコース”があれば、有効に活用して、これからの季節を気持ちよく過ごしたいものです。

神野 恵美