e-bike試乗レビュー

電動ファットバイク自転車ほしいなら注目! YADEAは日本の法律もサポートも安心

最近ではさまざまな電動モビリティが登場し、e-bikeってどこからどこまで? という方も多いかもしれません。そして違法モペットのニュースも増えていますが、我々e-bike部は、e-bikeとは「電動アシストユニット(ドライブユニット)が装着されたスポーツ用自転車」と考えています。

そんな状況で知れば知るほどに興味深い電動アシスト自転車が、今回レビューするYADEA「TRP-01」です。世界最大級の電動モビリティブランド「YADEA(ヤディア)」と、創業68年の作業用品トップメーカーの長谷川工業(ハセガワ/HASEGAWA)が共同開発した、非常に本気度の高い電動アシスト自転車です。

ちなみに、YADEAは香港の上場企業です。創業は2001年で、それ以来世界100カ国以上で電動モビリティを販売しています。e-bikeなのか? 電動モビリティなのか? 筆者も悩んだのでここでは電動アシスト自転車と呼ぶことにします。

YADEA「TRP-01」は8月中旬以降発売予定で、価格は297,000円。カラーは写真のブラックのほか、ベージュも用意されています。特にベージュは女性に人気だそう

YADEA「TRP-01」の車体の写真を見て、「……あぁソッチ系ね」とか「なんか胡散臭い気が」なんて思ってしまった方もあると思います。正直を言うと筆者も「なんとなく違法な香りがする車体かも」なんて思ってしまいました。

ですが、まったく違います。たとえばYADEA「TRP-01」は普通自転車と駆動補助機付自転車の型式認定を取得しています。法的に完全に問題のない自転車として安心して乗れるというわけです。ちなみに車体サイズは1,690×600×1,040mm(全長×全幅×全高)で、もちろん普通自転車として認められる範囲内のサイズですので、自転車走行が許可されている歩道を走ることもできます。

ワイルドな雰囲気のYADEA「TRP-01」ですが、歴とした「普通自転車」。わりと多くのMTBは車幅(ハンドル幅)が60cmを超えていることが多く、この場合は普通自転車と見なされないので、自転車走行が許可されている歩道であっても走ると違法になります。YADEA「TRP-01」は「普通自転車」ですので、自転車走行が許可されている歩道を走ることができます

外見はワイルドだけれど、根は至極真面目? みたいな電動アシスト自転車です。

またYADEA「TRP-01」などYADEAブランドの電動モビリティはサポートも充実しています。たとえばYADEA「TRP-01」の場合、電気系統など車体の故障があれば、メーカーが「回収」して修理してくれます。YADEAブランド製品のアフターサポートの詳細は公式サイトにありますが、サポートが手厚い点でも非常に安心して使える車体です。

YADEAブランドの電動モビリティなどは、すでに日本国内でも販売されています。電動キックボードを始めとする各種電動モビリティですが、電動キックボードなどはすべて「国土交通省認定機関による性能等確認制度の適合品」で、安心して乗ることができます。

また今後、YADEAブランドは日本国内でより本格的に展開するようです。たとえば2024年5月3日にはYADEAの日本初となるフラグシップストア「YADEA表参道ショールーム」がグランドオープンしました。

国内初のYADEA直営ショップが東京・南青山(骨董通り)にオープンしました
コンパクトなショールームですが、YADEAの電動モビリティに触れることができます。発売前の車両も見ることができました
手前のグリーンの車体は電動アシスト自転車「HNT-01」(198,000円)で現在販売中です。奥に見えるのは、日本で2025年夏以降に販売が予定されている電動モーターサイクル「K2」です
これは今回レビューするYADEA「TRP-01」のベージュカラー車体。カワイさがありますね

といった感じでイロイロと本気度の高いYADEAブランド。そんなブランドが放つ電動アシスト自転車とはどんなものなんでしょうか? 以下にYADEA「TRP-01」のレビューをお届けします。

YADEA「TRP-01」は、どんな電動アシスト自転車?

YADEA「TRP-01」はシングルスピード(変速機なし)で、外見はオートバイのようですが、誰にでも手軽に扱えるよう設計されています。サドルの低さもあり、意外にも女性に人気があるそうです。そんなYADEA「TRP-01」ですが、写真とともに特徴を見ていきましょう。

YADEA「TRP-01」のいちばんの特徴は、この独特の外観でしょう。車体サイズは1,690×600×1,040mm(全長×全幅×全高)で、車体重量は約36kgです。電動アシスト自転車としては(かなり)重い部類です
全体的にゴツくて頑丈。このつくりゆえ重量もあるんですね
シングルスピード仕様でギアチェンジはできません
ドライブユニットはリアハブタイプで、出力は最大500W(も)あります
「YADEA」ロゴがあるのがバッテリー。オートバイのタンクのようです
バッテリーは大容量960Wh(48V/20Ah)です。電動アシスト自転車もe-bikeも含めて、最大級の容量があると思われます。アシストモードは1~3の3段階があり、航続距離はアシスト1モード(弱)で196km、アシスト3モード(強)で125kmとなっています
バッテリーはスライドして外すことができます。もちろん鍵付き。付属ACアダプターでバッテリーに直接充電するので、バッテリーを車体に装着したままでもバッテリーのみ室内に持ち込んでも充電できます
バッテリーの下側にはちょっとしたモノを入れておけるストレージがあります。フタはありません
ハンドル周辺
左側に液晶ディスプレイがあり、そこで電源オン/オフ、アシストモード変更、各種情報表示を行なえます。単色ですが、明るく鮮明なディスプレイです
ハンドル周辺
左側に液晶ディスプレイがあり、そこで電源オンオフ、アシストモード変更、各種情報表示を行なえます。単色ですが、明るく鮮明なディスプレイです
右側にはライトのオンオフスイッチとホーン(警笛)ボタンがあります。ホーンは電気式
ケーブルはかなりキレイにまとめられています
タイヤは20インチで太さは4インチ。非常に太いタイヤです。ブレーキは前後とも油圧式ディスクブレーキ
フロントにサスペンションがあります。倒立サスで、剛性が高く伸縮の動きがスムーズというメリットがあります
リアにもサスペンションがあります。前後のサスペンションで走行中の突き上げや振動を大きく和らげます
サドルも非常に大きいです。また非常に柔らかいので、座り心地がいいです
自転車のサドルとして最大級かもしれません
低めのサドルと高めのハンドルで、アップライトでラクな姿勢で乗ることができます
リアにはYADEAマークのブレーキランプがあります。写真は点灯している状態ですが、肉眼で見るともっと赤く光ります。左右ブレーキレバーのどちらを引いても点灯し、昼間でも非常によく目立ちます
オートバイのようなフロントライト(ヘッドライト)があります
フロントライトもYADEAマーク。夜道を十分明るく照らす光量があります
安定性の高いキックスタンドも装備しています

車体は重いが走りはスムーズ、走り出しも力強く、急坂も得意

試走前にYADEA「TRP-01」について危惧していたのが「車体重量が36kgもあって、アシストはあるけれど、走りが重いのでは?」ということです。筆者は試走時に自転車をミニバンの後部に積んで出かけますが、YADEA「TRP-01」を積むのはそこそこタイヘンでした。なので、たとえば「外階段を上がったところにYADEA「TRP-01」を駐車する」という保管方法は非現実的かもしれません。

ゴツくて頑丈な車体だけに、車体重量が36kgもあります

ただ、走り出してみたらその重さはまったく気になりませんでした。まず走り出しが非常にスムーズでパワフルなこと。それから走り出すとグイグイと加速していけて、スピードに乗るとそのまま速度を維持するのが容易と感じられます。

実際にはスピードは20km/hくらいかそれ以下で走る車体だと思います。アシスト限度の24km/h近くのスピードで巡航しようとすると、その重さからペダルを漕ぐ脚がけっこう疲れます。筆者的な感な感覚では、YADEA「TRP-01」は15km/hくらいのスピードでゆったりラクに走るのがいいのかな、と思います。e-bike部・清水氏が乗った印象も同様で15~19km/hくらいとの印象だったそう。走行中に信号が変わりそうになって抜けようと思ったら苦労したそうです。

ゆっくりめで走るのが楽しいYADEA「TRP-01」。リラックスした乗車姿勢で乗れて、サドルも非常に柔らかいので、「速く走ろうとさえしなければ全体的に非常に快適」という走行感です

ドライブユニットは非常にパワフルで、ペダルを踏んだ分だけしっかりアシストしてくれるという印象です。しかしそういうパワーがあっても、停車時にペダルを踏むと前に出ようとするような挙動はありません。走り出しのときのアシストも、ライダーがペダルを踏んで一瞬の間があって滑らかに出力が上がるというもので、全体的に安心感のあるアシストだと感じられました。

重いから坂道は苦手かな? とも思いましたが、激坂急の上りでもグイグイとアシストしてくれます。急な上り坂でややスピードを出す、というのは苦手という感じですが、低速ならば激坂もラクに上っていけます。

試走前に「シングルスピードというのも……どうなのかな?」とちょっと気にしていました。しかしYADEA「TRP-01」には十分なアシスト力があり、どこでもラクい走れてしまう感じなので、「ギアを気にしないで済んでかえって気軽でいいかも」と思いました。

それから太いタイヤと前後のサスペンション。多少の段差ならその存在に気がつかない程度、振動や突き上げを吸収してくれます。全体的にコンフォートなYADEA「TRP-01」です。

どこまでもラクに行けて、どこでも走れるという楽しさ

YADEA「TRP-01」はアシストのパワーも十分で、乗車姿勢もラクで、太いタイヤと前後サスペンションのおかげで荒れた道も快適に走れる。……ということは、道なき道みたいなところでもラクなのでは? 実際に試してみました。まずは草地を。雑草だらけの地面という感じの場所です。

地面に草が生い茂っている場所です。タイヤが一般的な太さのアシスト自転車だと、タイヤを取られて滑ったりするような状況ですが、YADEA「TRP-01」ではスムーズに走れました。むしろ乗り心地がさらによくなって楽しい感じ
このくらいタイヤが太くてアシスト力もあると、こんな地面もサイクリングルートになっちゃいますね

さらに砂利道で。わりとフラットな砂利道です。

全体的に砂利で覆われていて、ところどころに岩が出ているような地面です。YADEA「TRP-01」だと舗装路と同様に走れました
このくらいの岩の上なら、通過しても跳ねたり滑ったりすることはありませんでした。また、YADEA「TRP-01」はサドル高が低いので、「いつでもすぐ足を着くことができる」という安心感もあって、こういう道を楽しみながら走れてしまいます

もっと凸凹のある路面……? も、走ってみました。

凸凹と溝が連続する場所です。こういう地面でもYADEA「TRP-01」ならフツーに問題なく走れてしまいます
タイヤが溝に取られるかな? と思いましたが、それはなく、どの方向へでも安定して走れました

YADEA「TRP-01」について、筆者だとサドルが低すぎるという印象がありました。筆者の身長は180cmくらいで、YADEA「TRP-01」のサドルだと脚をかなり曲げてペダルを踏む姿勢になります。スポーツ自転車ではアリエナイという低さと脚の曲げ方ですが、YADEA「TRP-01」については「これでもいいかな」と思いました。

というのは、YADEA「TRP-01」ではあまりスピードを出さない(出せない)ことがあります。それに加えてアシスト力が強いので、あまりペダルを回す必要がなく、何度かペダルを踏めばラクに速度を維持して走れるという感じです。

またサドルの低さと乗車姿勢のラクさは、どういう路面を走っても安心感があります。たぶん背が低めの女性でも、「あっ!」と危険を感じたらすぐ両足を地面にペタリと着くことができると思います。スピードをあまり出せず、ブレーキも良く効くので、より安全に急停車することができるのも、YADEA「TRP-01」の良さかも知れません。

車体が重くて安定感があり、スピードをあまり出さないで走るのが好適で、サドルが低いことからくる安心感もある。乗り心地も非常にいいですし、楽しんでラクに、どこへでも走って行けるというのが、YADEA「TRP-01」の楽しさかも知れません。
ただし、車体の重さやゴツさ、それからサドルの高さについては、人によって好みが分かれるところ。なので購入を考える場合、ぜひショールームなどで保管状況も想定して実車に触れてみてください。

スタパ齋藤