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節電や食品ロス防止を冷蔵庫が案内する? 中ひろびろの三菱新モデルを見てきた

「中だけひろびろ大容量」が特徴の三菱冷蔵庫「MZシリーズ」

三菱電機が1月に発売した6ドアの大容量冷蔵庫「MZシリーズ」。本体サイズを維持しながら、まとめ買いや作り置きのニーズに対応する広い収納スペースを確保した「中だけひろびろ大容量」が注目の製品だ。

新しい2023年モデルは、さらに節電や食品ロス削減に役立つ新機能を搭載したとのこと。どんな仕組みなのかを取材したところ、ユニークな方法で実現していたことが分かったので紹介したい。

サイズそのままで容量を買い物カゴ1個分拡大

「MZシリーズ」は、野菜室が真ん中のフレンチドア冷蔵庫で、容量602Lの「MR-MZ60J」、同540L「MR-MZ54J」、同485L「MR-MZ49J」の3機種をラインナップする。容量別の目安は、601L以上が5人以上の家庭向け、501~600Lは3~4人、401~500Lは2~3人向けとなっている。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は順に44万円、41万円、39万円(いずれも税別)。

容量485Lの「MR-MZ49J」

2022年のリニューアルで導入されていた改善点は、本体幅や奥行きのサイズを維持しながら大容量化したこと。今回の2023年モデルでは、新たに容量485Lの「MR-MZ49J」がラインナップに加わった。これはほぼ同サイズ(高さのみ7mmアップ)の前モデルMR-MX46H比で30Lの容量拡大となる。

ほぼ同等のサイズながら、買い物カゴ1個分に相当する30Lアップしたのはとても大きい。業務スーパーやコストコなどでまとめ買いをよくする家にも注目のポイントだ。

なお、冷凍室が真ん中の新製品「WZシリーズ」も3月10日に発売。こちらは608L/547L/495Lの3サイズで展開する。詳細は別記事で掲載している

本体サイズをほぼ維持しながら容量を拡大

大容量化を実現したのは、側面や背面に採用したウレタン原液。ウレタンは液体の状態から発泡させて固まるが、新開発の原液はその発泡するタイミングを遅らせることで、狭いスペースに注入できるようになった。結果として仕切り部分を薄型化でき、容積が増えた。

さらに、給水タンクを冷蔵室の床に埋め込み式にした「洗える埋めちゃっタンク」により、冷蔵室を広く使いやすくなった。「氷点下ストッカー」が横幅いっぱいに使えて、まとめ買い派にもうれしいところだ。

自動製氷のタンクを下に埋め込み、氷点下ストッカーを広く使える

時短や節電、食品ロス削減の新機能

もう一つ、2023年のMZ/WZシリーズ共通の注目点は、AIを活用した「時短」「節電」「食品ロス削減」のための新しい機能「A.I.予報」。

一般的に冷蔵庫の節電といえば、ドアの開け閉めを極力少なくしたり、季節で温度調節をするなど、使う人が個別で気を付ける方法はいろいろある。そうした中で、三菱の新製品は、家ごとに異なる冷蔵庫の使い方に合わせて、自動で整理整頓と節電をアシストしてくれる。

新機能のA.I.予報は、冷蔵庫のドアを開けている時間を1~2カ月前と比較し、以降の収納状況を予測して「そろそろ冷蔵室の整頓をした方がいいですよ」ということを、冷蔵庫とアプリでアドバイスしてくれるもの。各家庭の利用状況に応じて最適なタイミングで通知するのがユニークなポイントだ。

その基準となるのは、冷蔵室/野菜室/冷凍室の各部屋に搭載したセンサーからのデータ。それぞれのドアを開けている時間を計測して、過去と現在の平均開放時間の変化(増加/減少)を解析。今後の冷蔵庫内の収納状況を予測して、操作パネルや独自の「つながるアプリ」に整理整頓や手入れを案内する通知を出す。

整理整頓のタイミングは、本体前面パネルに♡(ハート)マークで表示。これを見かけたら、ユーザーは冷蔵庫に貼ってある二次元コードをスマホで読み込めば、整理整頓の方法を動画で確認でき、それに従って正しい整理整頓をすることで、詰め込み過ぎなどを防ぎ、節電や、食品ロス防止に活かせるというわけだ。「整理整頓が大切と知ってはいても、なかなか実行に移せない」という人にも親切な機能となっている。

♡マークのアイコン(右上)で通知

冷蔵室は、一般的に詰め込み過ぎると庫内の冷却効率が悪くなり、電気代が多くかかってしまう。一方で冷凍室はスペースを空けないように詰めた方が、食品自体が保冷剤のような役割を果たすため節電につながる。このように、部屋によって節電に適した使い方は異なる。

そこで、部屋別に異なる整理整頓の方法を、それぞれの動画で用意。例えば野菜室をよく開け閉めする家庭なら、一定のタイミングで野菜室の整理整頓を案内し、それに適した動画が見られる。

整理整頓のタイミングはどうやって判定しているかというと、まずは情報収集として各部屋のドアの開閉時間と回数を収集し、その情報から、対象期間に開いた時間/回数を算出する。

そこから、基準日(前回通知日)と現在(31日以上経過した日)までのデータを分析して、基準日から60日後の、ドアを開いていた時間を予測する。その時間と回数が、前回通知から2倍以上と予測するタイミングで、♡マークとスマホアプリから通知するという仕組みだ。通知の可能性がある期間は、基準日より31~59日後。それ以外は、基準日から60日後に知らせる。

最終的には人の手で整理整頓をする必要はあるものの、そのきっかけを適したタイミングで教えてくれるのが三菱の新機能の良さ。毎回すべての部屋を手入れしなくても、必要な場所だけでOKというのも、長く使う上で、少し気が楽になりそうだ。

「瞬冷凍」活かして時短でおいしい料理

三菱の冷蔵庫の特徴の一つである「切れちゃう瞬冷凍A.I.」を活かした料理の試食も行なった。三菱家電アンバサダーを務め、レシピサイトのNadiaでも様々なレシピを紹介している料理家・ちおりさんが、時短でおいしく食べられるメニューを実演してくれた。

「切れちゃう瞬冷凍A.I.」は、冷凍した食材を解凍なしですぐに使える機能。約-7℃で凍らせることで、ひき肉などを解凍せずに使いたい分だけ切り分けられるほか、魚の切り身も食べる分だけ取り出せて、冷凍前に1つずつラップに包むといった手間がかからない点を特徴とする。

「切れちゃう瞬冷凍A.I.」ひき肉を冷凍庫から出してすぐ切って使える
三菱家電アンバサダーを務める、Nadiaアーティストのちおりさんが実演。ちおりさんの目安としては「切れちゃう瞬冷凍A.I.」で冷凍した肉や野菜は3週間ほどで使い切るようにしているとのこと

「ひき肉とキャベツの回鍋肉」は、冷凍しておいた豚ひき肉とキャベツを使って短時間で1品作れるメニュー。瞬冷凍の豚ひき肉は包丁がサックリと入り、粗く切ってキャベツやピーマンなどの材料、調味料を加えて炒める。肉を解凍しないためドリップが出ず、うまみを維持したまま調理できる点もメリットだという。

野菜の色鮮やかさやシャキッとした食感は保ちつつ、ごま油やニンニクの香りが効いた本格的な味わいが印象的だった。この料理が短時間で作れるのは、忙しい時にもよさそうだ。

サックリ切ったひき肉をフライパンへ
キャベツは、あらかじめ切って瞬冷凍しておいたものを投入
「ひき肉とキャベツの回鍋肉」が時短で完成

「フルーツとナッツのチーズケーキ」はさらに簡単。刻んだクルミやドライフルーツと、レンジで短時間加熱したクリームチーズやバターやメープルシロップを混ぜ合わせて、冷蔵庫で10分おき、ラップやアルミホイルで包んで、瞬冷凍で3時間以上凍らせればできあがった。冷凍庫から出してすぐ包丁で切れるため、急に甘いものが欲しくなった時や、来客時などにもすぐ出せそうな、常にストックしておきたくなるスイーツだった。

「フルーツとナッツのチーズケーキ」冷凍庫から出してすぐ切り分けて出せる

なお、各レシピの分量や手順の詳細は、Nadiaのサイト内で案内されている。

「ひき肉とキャベツの回鍋肉」(左下)、「フルーツとナッツのチーズケーキ」(右)、「いかのマリネサラダ」(左上)