家電製品ミニレビュー

1膳分の御飯が炊ける5,000円以下のミニクッカーを試してみた

パナソニック「ミニクッカー SR-03GP ホワイト」。1~1.5合炊きの小さくてシンプルな炊飯器だ

 もっちり、アツアツの炊きたての御飯は1つのご馳走だ。今回は、少量でもちゃんと美味しい御飯がバッチリ炊ける、文字通り小さくて、使い方も極々シンプルな炊飯器を紹介しよう。パナソニックの「ミニクッカー SR-03GP」だ。

メーカー名パナソニック
製品名ミニクッカー
品番SR-03GP
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,780円
食パン一斤ほどの大きさ

 ミニクッカー SR-03GPは、少量の御飯を炊く事に専念している、潔いシンプルな炊飯器だ。一度に炊ける量は、1合(180ml)~1.5合(270ml)と、ご飯茶碗2~3膳分とごく少量。操作はたった1つしかないボタンをパチンと押し、炊き上がると自動的にスイッチが切れる。保温機能は無い。

 結論から言うとこの製品は使える! 高機能、高級志向、高額な「圧力IH炊飯器」と対照的なほど“素朴”な炊飯器なのに、炊き上がった御飯は「ぜーんぜん美味しいじゃーんッ!」と驚いてしまったからだ。

 本体は、ミニクッカーという名前の通りとてもコンパクト。大きさは205×155×155mm(幅×奥行き×高さ)で、食パン一斤程度のスペースがあれば置けるほど場所を取らない。重さは950gと軽い。

 構成は、「本体」、「内なべ」、「ふた」とシンプル。内なべはアルミ製でこびり付きにくいフッ素加工が施してあり、載せるだけのフタは中身が見えるガラス製だ。「半合」の計量カップが付属する。

開梱した様子。左奥から、本体、内なべ、計量カップ、ふた
付属する計量カップ(左)のサイズは半合(90ml)。1.5合なら3杯だ。右は一般的な1合カップ

 本体内部に、熱板(発熱ヒーター)とサーモスタットが組み込まれている。炊飯中の消費電力は205W。同社3合炊きの半分以下の消費電力は、炊飯器の中でも特に低い。

熱板(発熱ヒーター)とサーモスタットは本体内部の底にある
調理中の消費電力は実測で205W。炊飯器の中でも消費電力がかなり低い

 カラーはホワイト、シルバー、レッドの3色。今回はホワイトを選んだ。

少量の美味しい御飯が、あっという間に炊ける

 炊飯方法はとても簡単。洗米後、水を入れてふたをし、約30分浸したらスイッチを押すだけ。炊き上がったら自動的に電源が切れる。

 少々残念なのは、取扱説明書にも記載されているが、洗米は内なべでできない。なぜなら、フッ素加工が傷むからだそうだ。内なべは小さい(直径125mm、深さ70mm)ので、別の器のほうが効率良く洗米できる。

洗米は内なべを使わずに、他のボウルなどでする(上)。洗米が済んだら内なべに移し、水を適量入れ、30分はふたをして浸しておく
火入れは、ボタンを押し下げるだけとシンプル

 まず、ミニクッカー最大量の米1.5合を炊いてみた。米はミルキークイーン。個人的に固めの御飯が好きなので、水は少なめで炊いたが、18分で炊けてしまった。これは早い! しかも、炊飯中の蒸気は少なめで吹きこぼれも無いので、周囲はまったく汚れなかった。

 肝心の御飯の出来栄えは、十分美味しい。粘りは少なめかもしれないが、ミルキークイーン特有のモチモチ感、香り、甘さはしっかり引き出された印象だ。炊きあがった御飯はツヤもあり、米の一粒一粒がしっかりとしており、炊きムラも感じない。ほんの少しだが、おこげも楽しめた。

透明のふたなので炊飯中の様子が見える。蒸気は少なめで吹きこぼれも無かった
1.5合がたった18分で炊き上がった。10分以上蒸らしてからフタを取った様子はツヤツヤのピカピカだ(左)。底には少しおこげができた
少量なのに、モッチリと甘い御飯が出来上がった。とても美味しい

 取扱説明書に、炊飯は1合からとなっていたが、試しにその半分の「半合(90ml)」で炊いてみた。ご飯茶碗で言えば1膳分だ。

 1.5合を炊いた時と遜色のない炊き上がりで美味しい。炊きムラも感じず、時間はさらに短く、12分弱で炊けた。

炊飯は1合からとなっていたが、半合炊きを試した。炊き上がりは上々! (下)
ご飯茶碗1膳分のなのに、とても美味しく炊き上がった

 ミニクッカー SR-03GPは、少量しか炊けず、火力は強くなく、保温もできない。ゆえに、1,200Wとハイパワーで、5.5合炊きの圧力IH炊飯ジャーを10年以上愛用する身として、使う前は正直に言ってまったく期待していなかった。ところが、炊き上がった御飯は十分に美味しい。

 今まで、御飯は多めに炊いて、炊きたてをいただき、残りは保存して次の食事で温めなおすというのが自分のパターンだった。だが、ミニクッカーは少ない電力であっという間に炊き上がるので、むしろ食べる分だけ炊いて、毎回炊きたてを食べる方が、よほど経済的で豊かかもしれないと感じた。

煮物などの小型調理なべとしても活用できる

 本製品の公式サイトには、「炊飯以外の簡単な煮込み料理も楽しめます」とあり、取扱説明書には「ラタトゥイユ」と「カレー」のレシピも掲載されている。今回はレシピの「ラタトゥイユ」と、レシピにはない「かぼちゃの煮物」にトライした。いずれも失敗せずに、美味しく出来上がった。

・ラタトゥイユ

 材料は、小さめのなす1本、同量のズッキーニ、赤と黄のパプリカ1/4個、ピーマン1個に玉葱1/4個の乱切り、にんにく(1/2かけのみじん切り)。これらを手持ちのフライパンで、オリーブオイルが馴染むまで数分炒める。

 炒めた材料をミニクッカーに移し、市販のミートソース100g(またはトマトソース)、白ワイン(50ml)を入れ、軽く混ぜてふたをしてスイッチオン。15分ほど煮込んだら、塩、こしょうで味を整え、スイッチを手動で切る。予熱で5分置いたら出来上がった。

手持ちのフライパンで野菜を炒め(上)、ミニクッカーに移してから市販のミートソース、ワインを入れる
軽くかき混ぜてフタをし、スイッチを入れる。15分後の様子(下)。野菜から水分が出て出来上がった

 一旦ミニクッカーに移し替えたら火加減は調整しなくて良い。調理中は、ガラスふたから中が確認できるので安心だ。

 ラタトゥイユが完成した。味も大満足だ。材料さえ揃っていれば、30分程度で出来上がるだろう。ラタトゥイユはお肉の付け合せ、パスタソースとして楽しめるのはもちろん、冷やしてもこれまた美味しい。

美味しいラタトゥイユが、火加減を気にせずに完成! 冷蔵庫に入れれば保存も利く
調理中でも、ふた越しに中の様子が見えるので安心だ

・かぼちゃの煮物

 かぼちゃの煮物はさらに簡単だった。小さめのかぼちゃ1/3切れ(230g)を大きめに切り、水100cc、大さじ1の砂糖、しょう油、みりん、日本酒をミニクッカーに放り込み、アルミホイルの落し蓋をして(ふたは使わなかった)スイッチオン。あとは30分放っておくだけで、美味しいかぼちゃの煮物が出来上がる。

 欲を言えば、30分の調理時間でもう少し煮詰まって欲しいところ。だが、優しい火力で調理するため、皮は柔らかく、身はふっくらと上品に仕上がった。このようなシンプルな煮物なら、切った材料と調味料を放り込み、あとはミニクッカーに任せっきりにできる。

1/3にカットされた小ぶりのかぼちゃを買ってきた(上)。かぼちゃを大きめに切り、水と調味料を一度に入れるだけ
ふたは使わずに、アルミホイルで落とし蓋をしてスイッチオン(上)。スイッチを入れて30分で出来上がった
しっかり煮含められたかぼちゃの煮物。皮はやわらかで身はふっくら。上品な仕上がりだ

 ラタトゥイユ、かぼちゃの煮物を実際にミニクッカーで作って「ラクなだぁ」と感じたのは、とにかく火加減を気にしなくていいことだ。もし焦げ付きそうになっても、御飯を炊く時のようにスイッチが勝手に切れるので、少しぐらい目を離しても大丈夫。カレーなどの温めなおしにも重宝しそうだ。さらに、消費電力が低いので、他の電気器具と併用しやすい点も見逃せない。

内なべ、フタは小さい。食器と一緒に洗え、洗いカゴに簡単に収まる

 片付けもかなり手軽だ。というのも、内なべもフタも、食器と同じように洗えるし、単身者や少人数の家庭が使うような小さな洗いかごにも簡単に収まるからだ。どちらも軽いので、かごの中の食器の上にも気兼ねなく乗せられる。

毎回炊きたての御飯を楽しみたい方にオススメ!

 ミニクッカー SR-03GPは、素早くおいしい御飯が炊ける、とてもコンパクトな炊飯器だ。単身者、少人数の家庭はもちろん、少量でも毎回炊きたての御飯を楽しみたい方には特にピッタリだ。

 しかも、煮物などの副菜が気楽に美味しく調理できる。既に炊飯器をお持ちの方にも、場所を取らない強力な“助っ人”として、大いにオススメしたい。

藤原 大蔵