家電製品レビュー

“あと一品”に困らない日立オーブンレンジ「ヘルシーシェフ」。少量でも調理しやすい!

電子レンジ/オーブン/グリル/スチーム/過熱水蒸気の5種類の調理に対応した多機能な過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-W10X」

製品をじっくり試用してお送りする、日立グローバルライフソリューションズ「ヘルシーシェフ MRO-W10X」の長期レビュー。2月26日に掲載した前編では、本製品が優れている点について解説しました。後編となる本記事では、日常生活でのMRO-W10X(実売価格65,000円前後)の使用感や、調理のしやすさについて、実際に作った料理と合わせて紹介します。

家庭で一番よく利用するであろう電子レンジメニュー

プレミアムオーブンレンジは電子レンジ以外の調理もこなすとはいえ、家庭で一番頻繁に使われるのは電子レンジ機能。実は高機能オーブンレンジを購入したものの「オーブン調理は1年以上していない」という家庭も少なくありません。MRO-W10Xでは「手動」→「レンジ」→「出力ワット数選択」→「調理時間選択」で電子レンジ調理が可能。出力ワット数は100~800Wまで設定できます。

ただし、頻繁に利用する電子レンジなのに、毎回この手順を踏むのは少々面倒。そこで、MRO-W10Xには「簡単レンジ」ボタンも用意されています。これは「簡単レンジ」→「調理時間選択」ですぐに電子レンジが使えるショートカット。なお、簡単レンジでは家庭でよく利用される500Wと600W出力のどちらかを使用することになります(ボタンを押すことで500/600Wを切り替え)。

出力選択や加熱時間選択はダイヤルで行ないますが、少々気になったのが10秒単位でしか選択できないこと。ソースなど少量の食材を温めるときは「あと5秒加熱時間を増やしたい」ということもあるのですが、こういった場合は多めに加熱時間を設定し、加熱途中で運転を停止させるしかありません。もうひとつ、調理中に加熱時間の延長ができないのも細かな不満点。調理時間の追加は、調理が終わったあとにしか設定できません。

調理中に時間を延長しようとダイヤルを回しても反応なし。調理時間の延長は調理後にしか設定できないのは少し不便

手動設定での不満はありますが、自動メニューはかなり優秀です。我が家では冬は毎朝ミルクたっぷりのコーヒー牛乳を作るのですが「003 飲み物・牛乳のあたため」モードなら、どんなカップや量でも、カフェオレをほぼ60℃にきっちり温めてくれます。これ以上温度が低いとぬるく感じるし、これ以上温度が高いと牛乳表面に膜が張ってしまうという絶妙な温度です。

「飲み物・牛乳のあたため」の標準設定で温めた牛乳。この1カ月毎朝飲んでいますが、だいたい仕上がりは60℃±2℃ほど。自動あたためが非常に優秀だと感じる瞬間です

レンジだけでなく蒸し料理も超便利! グリル調理もコツさえつかめば優秀

せっかくなので、電子レンジ以外の調理もしてみます。オーブン機能で気になるのはやはり焼きムラ。そこで、天板いっぱいにクッキーを焼き、場所によって焼きムラがないかチェックしてみました。使用したのはオーブン機能を使った「126 型抜きクッキー」モード。型抜きはちょっと面倒なので、柔らかめの生地をスプーンで落とすドロップクッキーにしました。

微妙に奥側の焼き色が濃いようにも思えますが、とくに大きな焼きムラは見られません
これはなかなか優秀ではないでしょうか?

オーブン調理はなかなか優秀だったのですが、ちょっとコツがいると感じたのがグリル調理です。MRO-W10Xは庫内上部に平面グリルヒーターが配置されており、素早く焼き色をつけるような料理に利用できます。魚焼きグリルやトースターのような直火調理がしたい場合に便利な機能です。

ただし、グリル調理はヒーターに食材を近づける必要があるので、角皿に焼き網を乗せた状態で調理する必要があります。このため、グリル調理のたびに角皿と焼き網という洗い物ができるのは少々面倒なところ。もうひとつ、グリル単体の調理だと、少々火力が足りないと感じることもありました。たとえば、トーストだと焼き上がるのに7分ほどかかるため、水分がちょっと抜けてしまうように感じます。

グリル調理モード「132 トースト(2枚)」でパンを焼いてみました。焼き色は素晴らしいのですが、食べてみるとちょっと水分が抜けてパサつきを感じます
トーストは専用グリルかトースターを使ったほうがよさそう

とはいえ、MRO-W10Xのグリル機能がダメということはありません。とくに、オーブンとグリルを併用するような料理は非常においしく調理できます。その筆頭ともいえるのが焼き魚。「035 さんまの塩焼き」はグリルのほか、オーブンと過熱水蒸気を利用した複合的な調理をするのですが、過熱水蒸気のおかげか身はふっくらと中心までジューシーに、グリル調理で皮は驚くほどパリパリに仕上がります。

グリル調理ならではのこの皮のパリパリ感! オーブンや過熱水蒸気調理だけだと全体が均一に焼けてしまいがちですが、グリル調理だと写真のようなランダムな焼き色で、焦げの香ばしさまで楽しめます
天板サイズは410×300mmなので、魚焼きグリルなどに入らないサイズの魚も頭を落とさず調理できる点も嬉しいところ

高機能なプレミアムオーブンレンジの多くに搭載されているのがスチーム機能。自宅のIHクッキングヒーターやガスコンロで蒸し料理をしようとすると、大きな蒸し器や鍋が必要になりますが、多機能オーブンレンジの蒸し機能なら手軽に蒸し調理が可能です。なかでも、プリンや茶わん蒸しなどの卵を使った蒸し調理は温度調節が難しい料理。温度が低すぎると固まらず、高すぎると細かな気泡ができる「ス」が入った状態になります。こういった難しいメニューも、MRO-W10X用レシピに沿って調理すれば失敗がありません。

蒸し料理の代表ともいえる「プリン」ですが、MRO-W10Xでは過熱水蒸気を使って調理します。出来上がりは写真の通り!
とにかく滑らかで、もちろん気泡もありません。昔ながらの固めプリンが好きな筆者としては、今まで食べたプリンのなかで一番のおいしさ
過熱水蒸気調理やスチーム調理では、本体下部の給水カセットに水を補給します。フタがちょっと固めなうえ、ギュッとしめると水が飛び出てしまうなど、使い勝手は少々微妙

買い物から調理まで一連の作業をMRO-W10Xでまとめられる便利さ

ここまで記事を読んだ人は、筆者がほとんどの料理を自動メニューで行なっていることに気が付いたかもしれません。MRO-W10Xはとにかく自動調理が優秀で、手動で設定するより自動メニューを利用したほうが美味しく仕上がることが多いのです。また「001 おかずのあたため」「002ごはんのあたため」「003 飲み物・牛乳のあたため」など、よく利用するであろうメニューは、メニュー上位にあるので選択するのも簡単です。

これも我が家でよく利用した機能のひとつ。スーパーなどの総菜で購入した揚げ物を温めなおす「007 揚げ物のあたため」です
大量の油が落ちるうえ、揚げたてのようにカリカリに仕上がります

非常に便利な自動メニューですが、ひとつ問題があるとすればメニュー数の多さ。前編で「ソフトウェアアップデートによりメニュー数も増える」と書きましたが、2020年2月現在、自動メニューの数はなんと219もあります。こうなるとメニューを探したり選択するのもなかなか大変です。

そこで、我が家ではMRO-W10Xと連携させた専用アプリ「ヘルシーシェフ」が大活躍しました。このアプリでありがたいのは「ひき肉」「ブロッコリー」などの食材からレシピを検索できるところ。メニューを選択すると、必要な材料や作り方を確認できるほか「送信」ボタンでメニューをMRO-W10X本体に送ることもできます。MRO-W10Xの液晶画面でメニューを探すよりはるかに簡単です。

ブロッコリーで検索したところ、たくさんのメニューがでてきました。冷蔵庫の残り物を処理したいときに便利
料理の材料から詳しい作り方、さらに専用メニューの送信ボタンまでが一画面にまとめられています

アプリで料理を決めておけば、スーパーなどで必要な食材をすぐチェックできるほか、調理中は調理手順をアプリで確認。下ごしらえが終わったら、アプリの「送信」ボタンで調理メニューを送る……と、料理の買い出しから調理までワンストップで実行できます。

ワンボウル調理は少人数家庭の救世主になるかも

専用レシピでとくに活躍したのが、ボウルひとつで「もう一品」が作れるメニューです。なんと「052 なすのみそいため」や「051 ほうれん草の塩こうじソテー」など、今日は野菜が足りない……と思ったときに材料をボウルに入れてMRO-W10Xで加熱するだけで一品が出来上がります。調理も簡単ですが、ほとんどの場合、料理に使用するのが包丁とまな板、ボウルだけと、料理の後に片付ける器具が少ない点も嬉しいポイントです。

写真は「190 鶏団子とキャベツの絶品汁」。なんと味の素が考えたレシピ
実はMRO-W10Xには日立のオリジナルレシピのほか、味の素やカゴメ、キッコーマン、キユーピーといったメーカーのほか、クックパッドの「殿堂入り」レシピまで搭載されています。このためとにかくメニューが豊富!

さらに、ボウルメニューでとくに便利だと感じたのが煮物の調理です。我が家は小食夫婦2人家庭なのですが、カレーやビーフシチューなどの煮込み料理は鍋で少量で作ると焦げ付くため、どうしても必要量より多く作らざるを得ませんでした。しかし、ボウル調理は少量調理でも焦げ付く心配がなく、しかも火を使わないので調理中は放置できるという安心感があります。

和牛すね肉が安かったので、ガッツリ肉を食べるビーフシチューを調理。野菜と肉を入れて6分レンジで下茹でしたあと、ワインやデミグラスソースなどを追加して「096 ビーフシチュー」で1時間ほど加熱します。大き目のすね肉だったためか、規定時間ではちょっと肉に弾力があったので、加熱時間を30分追加しました
1時間加熱するとちょっと電気代が気になりますが、なんとMRO-W10Xは加熱ごとに電気代の概算を表示してくれます。1時間近く加熱したビーフシチューの電気代は約22.1円。これなら安心して使えます
ガラスボウル内に、2人分のビーフシチューが出来上がりました
お皿2枚にわけたらピッタリ消費できました。ビーフシチューに限らず味噌汁などもメニュー通りに作ると料理が中途半端に余らないのが本当にありがたい!
1時間半ほどの加熱で出来上がったビーフシチューにアスパラと生クリームを追加。あまりにも簡単だったので正直味に期待をしていなかったのですが、驚くほど美味! なんと肉はお箸で簡単にほぐれるほど柔らかくなっていました

最初の1週間が今後機能を活かせるかのカギかも?

MRO-W10Xの導入により、我が家の食レベルはあきらかにアップ。とにかく手軽にできる美味しいレシピが多いため「あと一品」を作るのが苦ではなくなりました。また「ボタンを押せば、賢く調理してくれる」ので、料理の失敗も格段に減りました。

ただし、美味しく調理するためには、揚げ物の再加熱なら焼き網と天板を同時にセットしたり、肉の解凍ならラップなしでテーブルプレートの中央に食材を置くなど、調理ごとにMRO-W10Xの決まり事があります。MRO-W10X導入後1週間ほどは、新しい食材や調理方法を試すたびに説明書やアプリで「この方法で良いのか?」をチェックしていました。とはいえ、調べる必要があったのは最初だけで、慣れれば説明がなくても必要な付属品や食材の置き方などは自然とわかるようになります。

専用アプリで検索したさんまの塩焼きのページ。使用する付属品や魚を置く場所などのアドバイスが掲載されている

もちろん日立のフラッグシップモデルだけあり、MRO-W10Xは手動メニューで「自分流」の方法で調理しても優秀です。ですが、長期試用してMRO-W10Xで強く感じたのが自動メニューの美味しさ。ぜひ、最初の1週間は頑張って「使い方」を覚え、その後の長い美味しい生活を満喫してほしいと思います。

倉本 春