ニュース
エアコンに向かって除菌スプレーをかけないで。三菱電機が注意喚起
2021年2月18日 17:30
三菱電機は、除菌スプレーをエアコンに向かって吹きつけた場合の故障トラブル事例などの情報を18日に公開。故障を防ぐための注意点を案内している。
同社は1月22日から24日に、東京・大阪在住の30~59歳の男女600人を対象に、インターネット調査を実施。
調査によると、コロナ禍で頻度が増えたこととして「除菌スプレーを使う」を選んだ人が80.3%だったという。三菱電機は、除菌スプレーの使い方によっては、エアコンの故障トラブルの原因になると説明している。
熱交換器の交換につながる「アリの巣状腐食」
除菌スプレーに含まれる成分によっては、重要な部品を腐食させ、故障のトラブルにつながる可能性がある。代表的な故障の症状は次の3つだ。
1:電子基板が故障し、運転ができなくなる
2:室温を検出する等のセンサー部が故障し、正常な運転ができなくなる
3:熱交換器に「アリの巣状腐食」が起こり、「冷えない」「暖まらない」などの症状が起きる
中でも「アリの巣状腐食」は熱交換器を交換する要因にもなるという。
除菌スプレーなどに含まれるギ酸・酢酸などの成分がエアコンの室内機にある熱交換器の冷媒配管に付着すると、時間をかけて配管を腐食させる。概ね3~7年後には、冷媒管の中にアリの巣のような微細な穴が生じ、これを「アリの巣状腐食」と呼ぶ。最悪の場合、穴が貫通して冷媒ガスが漏れてしまうため、熱交換器が機能しなくなるとしている。
アリの巣状腐食を予防するには
アリの巣状腐食により、冷媒ガスが漏れて冷房や暖房の効きが悪くなり、なかなか設定温度に近づかなくなる。そのため、パワーを出す時間が増えて、電気代が高くなるとする。さらに、熱交換器を交換するとなれば、修理費用が高額になるというのだ。
三菱電機空調冷熱システム事業部の鳥海采さんは「エアコン内部の清潔性が気になる場合でも、直接エアコン内部に除菌スプレーを吹きかけるのはやめてください。また、エアコンはお部屋の空気を吸い込んで冷暖房するので、なるべく運転中の除菌スプレーのご使用はお控えください」とする。
また、同社ではエアコンに直接除菌スプレーをかけてしまった場合の対処法として、冷房シーズンに窓を開けて1時間程度冷房運転をする方法を案内する。
上記作業の際の注意点について、同社は次のように説明する。
屋外が高湿度(80%以上)のときに窓を開けて長時間(1時間以上)運転すると、室内機に露が付き、滴下して家財や床などをぬらし、汚損の原因になることがある。室内機の下にビニールシートなどを設置して防水対策をしてほしいとのこと。
エアコンの冷えや暖まりを点検する手順
「アリの巣状腐食」は時間をかけて発症する。そのため、三菱電機では、冷媒ガスが漏れてエアコンの効きが悪くなっていないかを自宅でチェックする方法を案内している。
手順は次のとおり。まずフィルターをお手入れし、「ピークカット」の設定をオフにする。ピークカットとは、最大電流を約25%抑えた運転方法のこと。
その後、風速を「自動」または「強」に設定。暖房なら設定温度の上限、冷房なら設定温度の下限にし、効き具合を確認する。三菱電気の場合、暖房時の上限は31℃、冷房時の下限は16℃。暖房時には暖かい風、冷房時には冷たい風が出ていれば正常だという。
自己点検をしてエアコンの効きが悪そうな場合は販売店やメーカーの修理窓口に相談するよう案内している。