家電製品レビュー
外出自粛を機に「Fitbit Versa 2」で健康管理。AlexaやSpotifyは便利に使えるか!?
2020年6月8日 07:00
体を動かすことが好きではなく、できるなら1日中家にいたいと思っている。しかし、新型コロナウイルスの影響でテレワークが始まり、いざ外出自粛をしてみると、最初は良かったが次第に「外に出たい」と思うようになってきた。というか、「動かなすぎてヤバイ」。
一歩も外に出ない日が増え、気になり出したのが歩数と消費カロリー。この生活で自分の活動状態がどうなっているのかを可視化したく、「Fitbit Versa 2」を使ってみた。Fitbitは5年前に、リストバンド型で心拍センサー付きの「Charge HR」を使っていた。しかしスポーティーなデザインが個人的に好きではなく、充電の際に外したまま使わなくなったという思い出がある。
今回使ったVersa 2は2019年9月に発売されたスマートウォッチタイプで、デザインもかなり進化。特にピンクゴールドの「ペタル/カッパーローズアルミニウム」は好みのカラーリングで、これなら毎日着けられる! と思ったのが選んだ理由だ。バンドも交換できるので、気分に合わせて交換できるのも魅力だった。
メーカー名 | Fitbit |
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製品名 | Fitbit Versa 2 |
実売価格 | 24,991円 |
Fitbitで計測できるデータは、「歩数/距離/登った階段数/消費カロリー/睡眠」などで、スマートフォンの専用アプリでも確認可能。心拍センサーや水深50mまでの防水機能を搭載し、ランニング、サイクリング、スイミング、ゴルフなどのアクティビティも細かく記録できる。
さまざまなラインナップがあるFitbitだが、Versa 2の大きな特徴はAmazon Alexa搭載で音声操作に対応したこと。音声操作でタイマーやアラームを設定できたり、天気やニュースのチェック、食材のカロリーを調べたりできる。音声で質問した回答は、本体の画面上にテキストで表示。スマートウォッチタイプなので、スマホにきた電話やSNSの通知なども受け取り可能だ。
このほか、スマホにインストールした音楽ストリーミングアプリ「Spotify(スポティファイ)」の遠隔操作や、PCに保存している楽曲(最大300曲)の転送・再生などもできる。多機能なので使いこなせるか不安だったが、約2カ月使った今では手放せない存在になっている。今回は、アクティビティ記録、睡眠計測、Alexaの音声操作、Spotify操作、楽曲転送を重点的に使ってみた。接続方法の説明や操作性などの細かい所では、ツッコミどころが多々あったことも先にお伝えしておきたい……。
1歩も外に出なかった日の歩数に危機感を覚える
まず見てもらいたいのが、筆者の1日の活動記録。テレワークで1歩も外に出なかった5月8日の総歩数は1,360歩だった。5年前にアプリをインストールしたときに、1日の目標歩数を「10,000歩」に設定していたのだが遠く及ばない。
また10,000歩の目標を達成するために、アプリは1時間あたり250歩以上、計8時間歩くことを勧めているがこれも1回も達成できていない。
ただ、今回の目的は1日10,000歩を達成することではなく、あくまでも活動状況の可視化。目標は気にしないが、それでも1日に1,360歩しか歩いていないというのは危機感を覚えた。ずっと家にいると何となく気も病んでくるので、外出自粛しつつも、今後は早朝散歩などで歩数を稼ごうと決意した。
決意後は、基本は仕事前か後に近所を散歩。土日は人通りの少ない道を選びながら、歩けるところまで歩いてみた。翌週の歩数をまとめて見てみると、7日間で43,510歩、1日平均6,215歩に変化。5月8日と比較すると、1日の歩数は5,000歩増えた。
普段は歩数など気にしないが、こうして可視化するとやはり意識も結果も変わる。この時点で筆者のFitbit使用目的は80%くらい達成してしまったが、Versa 2ではより細かく散歩データを記録できるのでご紹介しよう。
ウォーキングモードで散歩を細かく記録
さらに詳細を記録するには、本体から「ウォーキング」モードを起動する。Versa 2では約20のエクササイズモードを搭載し、ランニング、サイクリング、スイミング、ハイキング、ゴルフなどを選択でき、各アクティビティに沿った活動を記録できるのだ。
ウォーキングモードを起動させると、「歩いた時間」「距離」「歩数」「1時間あたりのペース」が計測される。GPS機能はデフォルトでONになっており、Bluetoothでペアリングしたスマホ経由で歩いた場所もわかるようになる。なおGPSはVersa 2本体には搭載されていないので、スマホは一緒に持ち歩く必要がある。
ウォーキング終了後にアプリを見てみると、きちんと通った道が記録されている。この日は駅から病院の往復を記録したのでそこまで面白いルートではないが、途中で見つけた気になるお店を、後からこのルートをもとに調べることができてとても良かった。
ちなみにVersa 2では左ボタンを長押しすると、任意のアプリをすぐに起動できるようになっている。初期設定ではAlexaになっているが、よく使うアプリを設定しておけばスムーズに起動できる。今回は散歩メインだったのでウォーキングモードを設定。たまに起動を忘れてしまったが、そういうときでも歩きながらボタンを長押しするだけで良いので便利に使えた。
FitbitでAlexaの音声操作は便利なのか……?
次はVersa 2の特徴であるAlexaによる音声操作を使ってみた。まずアプリ上で自分のAmazonアカウントにログインする必要があるが、連携はかなりスムーズ。すぐに本体でAlexaを使えた。
今回はショートカットを他のアプリに設定してしまったので、通常操作を紹介。といっても本体画面にAlexaアイコンがあるので、それをタップして話しかけるだけだ。スマートスピーカーで使う、ウェイクアップワード「アレクサ」は不要。
料理中、20分のタイマーをお願いしたときにちょっと不満が出てきた。「20分のタイマーを設定して」と話しかけ、「20分のタイマーを開始します」という画面になった後、画面がずっと変わらないのだ。残り時間が表示されることを期待していたのだが、これは自分で操作しなくてはならない模様。
画面に「20分のタイマーを開始します」と出ていれば、それはもうタイマーが始まっている証拠なのだがわかりづらい。上部の青いアイコンをタップし、さらに出てくる時計アイコンをタップしてやっと残り時間が表示されるのだ。できればこの画面に自動で遷移してくれると良いが……。
なので残り時間を把握しながらタイマーを使いたい場合は、Alexaよりも画面上のアプリから手動操作がオススメ。こちらの方が工数が少ない。「タイマーをタップ→タイマー時間を設定してスタート」のみでカウントダウン方式でタイマーが動き、自動的に残り時間が表示される。
この方法で便利だったのは、手を洗うとき。コロナ禍の現在、しっかりとした手洗いをするために時間を測りたかったからだ。手洗いの際はタイマーを1分に設定したことで、残り時間を意識しながら洗うことができた。手洗い前に画面を触るのには少し抵抗があるが、できるだけすぐにアルコールシートで拭くなどで対策している。
本体に触ることなくすべて音声操作で解決できれば手洗いにぴったりな機能だと思うが、これに関してはFitbitだけでなくスマホの音声操作も一度画面に触れる必要があるので仕方ない。どうしても手洗い前に画面などに触れたくないなら、スマートスピーカーが最適解だろう。
Spotifyアプリの操作で新しい発見
今度はSpotifyの操作を試してみた。有料のSpotify Premium会員であれば、スマホなどで起動しているSpotifyアプリを、Versa 2で操作できるようになる。プレミアム会員は初回3カ月無料とのことなので、まずはお試しでプレミアムに登録した。
Versa 2との連携は、スマホのFitbitアプリから行なう。Bluetoothに接続されていることを確認のうえ、アプリホーム画面のプロフィール写真→デバイス画像→アプリの順でタップ。Spotifyの隣にある歯車アイコンをタップして、Spotify PremiumにログインすればOKだ。その状態でスマホ/Versa 2ともに、Spotifyアプリを開くと連動する。
接続方法は、Spotifyのヘルプページがわかりやすい。Fitbitのスマホアプリ内にも「使用方法」という項目があるが、正直これはほぼ機能していない。アプリからでもわかりやすい使い方が載っていたらありがたいと思った。
Versa 2でできるSpotifyの操作は、音楽再生/停止や曲送りなど。再生できる曲は「マイライブラリ」 や 「最近再生した曲」から。
1つ勘違いしていたのだが、筆者はこのアプリをインストールすればVersa 2単独でもSpotifyが使えるようになると思っていた。そうではなく、スマホで起動しているSpotifyアプリをVersa 2でも操作できるようにする、というのが正しい機能のようだ。ランニング時など、スマホをすぐに取り出せない場面で音楽を聞いているときに便利だろう。
余談だがもう1つ新しい発見だったのは、Spotifyでは曲が再生されているときにアーティストによっては動画も流れるということ。映画「ロケットマン」のサウンドトラックを聞いていたら、作中の映像が短く流れてちょっと感動した。Spotifyを使うのは始めてだったが、これは良い収穫だった(笑)。
Versa 2単独で音楽再生するには、PCに保存している楽曲を転送する
Versa 2単独で音楽を再生する方法もある。自分で購入したCDなど、パソコンに保存されている楽曲なら約300曲ほどVersa 2に転送できるのだ。音楽転送方法は、Fitbitのヘルプページにわかりやすく載っていた。
今回は、MacからiTunesに保存している楽曲を転送した。プレイリストごとの転送になるので、Versa 2に転送したい曲であらかじめプレイリストを作っておくのがオススメだ。
また転送するには、Versa 2をペアリングしているスマホとPCが同じWi-Fiネットワーク(2.4GHz)につながっている必要があるので、こちらも設定しておく。音を出力するために、Bluetooth接続できるスピーカーかイヤホンが必要なのでそれも用意しておこう。
手順は以下のとおり。転送するにはPCブラウザのsetupページから、「FITBIT CONNECT」というソフトをインストールする必要がある。
無事にインストールが完了すると、「FITBIT CONNECT」画面上でVersa 2との連携を促してくれる。画面に従うと連携が完了し、ソフトにはiTunesに入っているプレイリストが表示された。ここまで来ればもうちょっと……!
あとは転送したいプレイリストを選択するだけで、自動的に転送が始まる。今回は90曲ほど転送したが、約20分で完了。接続に苦労したので「転送完了」の文字がとても輝いて見えた。
Bluetoothイヤホンとの接続は簡単で、イヤホン側をペアリングモードにした状態でVersa 2の設定画面からBluetoothデバイスを選択する。これでペアリングは完了し、曲を選択し再生すると無事にイヤホンから音楽が流れた。感動。
筆者の場合ではあるが、メインスマホがAndroidでPCがMacという状況で、さまざまな要因からiTunesに入れている曲を聞く機会がなくなってしまっていた。昔使っていたiPhoneを、音楽再生専用のデバイスとして持ち歩いていたこともあったが、充電が面倒でこちらも化石状態に。
最近はメインスマホで使えるという理由から音楽配信サービス頼みになっていたが、配信されていない楽曲というのも当然ある。特に今回、約30年前のミュージカルのサントラを久しぶりに聞けて、とても良い機会となった。
最適なタイミングで起こしてくれる「スマートウェイク」機能も。睡眠データはやはり面白い
AlexaやSpotifyなどは、Versa 2始め一部のFitbit製品でしか使えない。しかし睡眠に関しては、心拍センサー付きモデルであれば睡眠ステージなども細かく計測できるので、こちらもじっくり使ってみた(各モデルの機能比較はこちら)。
アプリですぐ確認できるのは、睡眠スコア、トータル睡眠時間、睡眠ステージ(目覚めた状態/レム睡眠/浅い睡眠/深い睡眠)の遷移。睡眠スコアは、睡眠中の心拍数や寝返りの回数などをもとに、睡眠スコアを1~100点で判定してくれるものだ。
なおトータルの睡眠時間には、「目覚めた状態」の時間は含まれていない。データを細かく見た6月4日は、0時6分入眠、9時11分起床だが睡眠時間は7時間46分と表示。目覚めた状態が1時間19分あるので、そこが省略されているのがわかる。
約2カ月、毎日睡眠を計測したがやはり自分が寝ているときのことがわかるのは面白い。浅い睡眠や深い睡眠などは意識できないが、入眠直後は「深い睡眠」ゾーンに入りやすく、朝が近づくと「レム睡眠/浅い睡眠」が増える、など傾向がわかった。
筆者は割と寝付きが良い方だが、4〜5時に一度起きてしまうことが多い。そういったこともアプリではきちんと「目覚めた状態」としてカウントされていて、正確に計測されているようだ。
また睡眠ステージ項目をタップすると、「目覚めた状態」「レム睡眠」「浅い睡眠」「深い睡眠」がどういう役割を果たしているのかも教えてくれる。睡眠についてあまり詳しくないので、「深い睡眠」時間が長ければ長いほど良いと思っていたが、それぞれきちんと役割があることがわかって勉強になった。
また2019年後半には、すべてのFitbitに「スマートウェイク」機能が追加された。これは、睡眠サイクルの中で起床するのに最適な時間に起こしてくれるというもの。機械学習を利用し、あらかじめ本体で設定した起床時間をもとに、30分間隔で適した時間(浅い睡眠かレム睡眠中)に、振動で起床を促すという仕組みだ。
この機能を使ってみると、9時に設定したアラームが8時35分に振動したり、50分に振動したりと毎日微妙に違いがあった。目覚めはスッキリとしていて、きちんと最適な時間に起こしてくれているようだ。
1週間分の睡眠記録を見てみると、浅い睡眠かレム睡眠で起床していることが多いのがわかる。
バッテリー持ちも十分。お風呂にも対応
ちなみに充電に関しては、以前使っていた「Charge HR」よりはるかに良くなっている。約1時間でフル充電でき、バッテリーも5〜7日は持続する。
防水なので入浴中も着けっぱなしで問題ないが、後で水分を拭くのが面倒なので筆者はいつも入浴中に充電するようにしている。3〜40分の充電でも80%近く充電されるので、今のところ充電切れは起こしていない。
ツッコミどころはあったものの、手放せない相棒になっているVersa 2。最初の接続や設定などをクリアしてしまえば、その後は本当に便利に使える。
このほかにもメールの通知や着信を受け取ったりと、紹介しきれないほど機能はたくさんある。活動状況や睡眠記録だけであれば難しい操作はなく、まずはそこから始めて使いこなすうちにさまざまな機能に手を出してみるのも良い。
ベルトの交換や文字盤の変更などカスタマイズ性も高く、自分だけのFitbitに仕上げていく楽しさがあるのも魅力の1つだろう。