家電製品レビュー
夕食前のバタバタに終止符を。ティファールのコンパクト電気圧力鍋でカレーも低温調理も時短で絶品!
2020年6月4日 07:30
昨年4月に結婚し、1年が経った。慣れないことだらけの生活だったが、一番苦労したのが料理だ。手際が悪いため、簡単なメニューでも何時間もかかってしまい、休日にまとめて作り置きなどしようものなら、1日を料理に費やす覚悟で挑んだものだ。
そんなとき、ネットで「料理 時短」などと検索すると必ずと言っていいほど出てきたのが電気調理鍋。材料を入れてスタートボタンを押すと、あとは待つだけで料理ができあがるらしい。
電気調理鍋には無水調理ができるタイプなど、さまざまな特徴をもった製品がある。今回は、圧力調理ができるティファールの「ラクラ・クッカー コンパクト 電気圧力鍋」を使用してみた。圧力鍋も電気調理鍋も使ったことのない筆者だが、ちゃんと使いこなせるだろうか。
メーカー名 | ティファール |
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製品名 | ラクラ・クッカー コンパクト 電気圧力鍋 CY3501JP |
価格 | 24,000円 |
ティファールは、「Cook4me(クックフォーミー)」という電気圧力鍋シリーズを販売している。まず同シリーズの最新モデル「クックフォーミー エクスプレス CY8521JP」(直販66,000円/税込)と、今回使った「ラクラ・クッカー」との違いを比較してみたい。
製品名 | クックフォーミー エクスプレス | ラクラ・クッカー |
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サイズ(幅×奥行き×高さ) | 380×350×325mm | 260×285×283mm |
容量 | 6L(6人分) | 3L(4人分) |
レシピ数 | 210 | 50 |
調理ナビ | 〇 | × |
無水調理 | 〇 | × |
予約調理 | × | 〇 |
2製品のあいだで大きく異なるのは、サイズ・容量とレシピ数。またクックフォーミーは、本体の液晶画面に調理手順を表示するナビ機能が特徴的だが、ラクラ・クッカーには搭載されていない。クックフォーミーよりもコンパクトに、機能もシンプルにして手ごろな価格なのがラクラ・クッカーだ。
一方でラクラ・クッカーは、クックフォーミーにはない予約調理機能も備えている。設定した時間に調理を開始できる便利な機能だが、スタートするまで食材を常温に置いておくことになるため、生肉や生魚は使用できないので注意が必要だ。
本体は炊飯器と同じくらいの幅で、少し高さがある。内なべ、内フタがセットされており、炊飯用の計量カップと蒸し台が付属する。内なべには最大調理量の目安線が引かれているため、これを越えて食材を入れないよう気を付けたい。
モードはあらかじめプログラムされたレシピモードとして「角煮/カレー/肉じゃが」を用意。このほか、「圧力調理/蒸す/煮る/炒める/低温調理」の5種類の調理モードと、「白米/玄米」の炊飯モードを備える。
角煮は材料を放り込んでボタンを押すだけでOK
まずはレシピモードから、圧力鍋の定番ともいえる豚の角煮に挑戦。普通の鍋で作ると2~3時間ほど下茹でする必要があり、時間と手間がかかる一品だ。
作り方は、食材を鍋に入れスタートボタンを押すだけ。豚バラ肉とネギの青い部分、しょうが、調味料を一気に鍋に入れた。
そしてレシピボタンで「角煮」を選び、スタート。加熱時間は自由に調整できるが、今回はあらかじめ設定された20分にセットした。
しかし、スタートボタンを押してしばらく待ってみても、画面の表示がくるくると回るだけで、うんともすんとも言わない。ちゃんと調理が開始されたのか不安になったが一旦待ってみる。
10分ほど経って、ほんのりと醤油の香りがしてきたところに「ピピッ」と音がして、画面に「00:20」の表示。説明書を読むと、どうやら今までの時間は予熱をしていたようだ。
20分待つと、完成を知らせる音がした。しかし、このままではフタを開けられないのが圧力鍋の特徴。
まず蒸気排出ボタンを押して、鍋の中の蒸気を出す。これが結構勢いよく出てくるので、蒸気口に顔や手を近づけると火傷のおそれがあるため気を付けたい。
蒸気を出しきったら、圧力表示ピンが下がるのを待つ。約1~2分で下がるので、そうしたらやっとフタを開けられる。付属のレシピブックに調理時間は20分と書かれていたが、実際にスタートボタンを押してから完成までかかった時間は約35分だった。ほかのレシピも同様に「調理時間=完成までの時間」ではないため、注意が必要だ。
食べてみると、しっかりと弾力のある仕上がり。ホロホロにほどけるという感じではないが、パサパサでもなく、これはこれで美味しい。お肉は下茹でするとさらに柔らかくなるらしいので、好みに合わせて工夫するのもいいだろう。
カレー作りも、鍋に入れる順番なんて気にしない
続いてレシピモードからカレーを作ってみた。内なべには材料を入れられる目安の線が描かれているが、カレーやシチューはその線にかかわらず、材料と水を合わせて鍋の深さの半分以下になるようにする。今回は2人前を作ったが、もう少し分量を増やしても大丈夫そうだ。
ルー以外の材料を鍋に入れ、スタートボタンを押すだけ。レシピは牛肉を使用していたが、普段はチキンカレーを食べるので鶏肉に変更した。
レシピブックを見ていて気付いたが、大体のレシピの1行目が「鍋にすべての材料を入れ、全体を混ぜ、フタを閉める」だった。
まずAを炒め、Bを加え……といった工程がないのは、かなり楽。カレーも簡単とはいえ、具材を炒め、煮込みながらアクを取ったりなにかと手が離せないものだが、電気圧力鍋を使えばかき混ぜや火の番をしなくていい。
スタートボタンを押せば後は待つだけなので、洗い物やほかの家事をしたり、休憩したり、好きなことをして過ごせる。これが心にかなり余裕を与えてくれる。
これまで調理と同時進行で洗い物を片付けるのが楽とはわかりつつも、バタバタしてしまったり、片付けているあいだに食材を焦がしてしまったりで、なかなか片付けが進まなかった。そして一気に片付けようとすると、山積みの洗い物に気が遠くなる……そんな経験をしていたため、鍋のことを気にせず落ち着いて片付けられることがとっても快適だった。
「電気圧力鍋は楽」というのはネットの情報からわかっていたが、これは想像以上。調理中にコンロを使用しないため、空いた場所で副菜を作りやすいというメリットもある。
カレーの調理時間は、予熱時間などを合わせると約30分ほど。加熱終了後にルーを入れる。加熱後は自動的に保温されるため、すぐに食べない場合は鍋に入れたままで大丈夫だ。家族で食事のタイミングが異なる場合にも、みんなが常に熱々の状態で食べられる。
また一度冷めてしまったものを再加熱することもできる。この日はお昼に夕食のカレーを準備したので、加熱が終わった時点で一度保温をストップ。しばらくして冷めたら冷蔵庫に入れ、食べる直前に再加熱モードで温めた。
スープは少しシャバシャバかな? と思ったが食べてみるとそこまで気にならなかった。鶏肉はとてもやわらかいし、ジャガイモは大きいものを4等分にしたが、しっかり火が通ってホクホクに。
ニンジンはレシピの通り乱切りにしたが、とてもやわらかくなっていた。筆者はニンジンの独特な香りが苦手で、普段は薄切りにしてその存在感をできる限り消すのだが、圧力をかけて煮込まれたニンジンは甘みがしっかり引き出され、苦手な香りが気にならなくなっていた。
とても手軽に満足のいくカレーができあがった。普段は大きな鍋にルー1箱分をまとめて作るが、こんなに手軽なら食べる都度2人分ずつ作ってもよさそうだ。
短時間で味がしっかりしみた肉じゃがに!
お次は肉じゃが。こちらもレシピモードが用意されているので、選んでスイッチを押すだけ。約25分で完成した。
角煮やカレーと比べて、最初に投入する水分が少なく材料がほとんど浸かっていない状態だったため、ちゃんと全体に味が行きわたるか不安だったが、ひとまず大丈夫そうだ。
試しにジャガイモを何個か並べて味の染み具合を確認。見た目にムラはなく、均一に仕上がっている。味もしっかり染みていて、成功と言えるだろう。
ただ、これは完全に筆者が悪いのだが、材料を投入する際に横着して薄切り肉を1枚ずつはがさずに入れたところ、かたまりになってしまった。いつものように鍋の中でほぐすことはできないので、あらかじめバラバラにしておいたほうがいいかもしれない。しかし、かたまっても美味しいのに変わりはない。
「低温/蒸す/圧力/煮る/炒める」5つの調理モードと炊飯機能を試す
上記のレシピモード以外の、「低温調理/蒸す/圧力調理/煮る/炒める」の5種類の調理モードと、白米/玄米の炊飯モードも使ってみた。すべてのモードで調理時間を自由に設定できるほか、炒める/低温調理モードでは加熱する温度も変更できる。今回は玄米モード以外すべて試したので順に紹介したい。
低温調理
まずは、個人的に一番気になっていた低温調理モードから。豚バラ肉のブロックを買ってきて、塩豚にチャレンジした。
こちらは下準備が必要で、お肉に下味をつけて密閉袋に入れ、冷蔵庫で一晩寝かせる。翌日、密閉袋のまま水と一緒に鍋に入れて、70℃/2時間30分に設定。低温でじっくりと火を通すため、お肉がやわらかく仕上がると人気の低温調理だが、上手くいくだろうか。
できあがったお肉を切ってみると、中心部までちゃんと加熱されているようだ。スライスして薬味や葉野菜と食べるポッサムに。お肉はやわらかくて大成功だった。
「蒸す」モード
続いて蒸すモードで、ジャガイモをふかしてみた。ジャガイモはレンジでも蒸せるが、加熱ムラがあったりして好みの状態にするのが難しい。
30分以上経過して、中までホクホクのジャガイモが完成。サツマイモやカボチャを蒸しても美味しそうだ。時間はかかるが、その間は自由に動けるので、調理のタイミングを考えておけば問題ないだろう。
圧力調理
圧力調理モードではブリ大根を作った。時間は8分に設定。仕上がりの色付きは少し薄く感じたが、美味しくできていた。ブリの煮崩れもない。
少しだけ気になったのは、作った後に魚のニオイがフタに残ってしまったこと。幸い、後に作った料理にニオイが移ることはなかったし、しばらく使っているとニオイもなくなったので、デメリットというほどではない。
「炒める&煮る」モード
炒める&煮るモードの合わせ技で、鷄のレモンクリーム煮も作った。炒めるモードを選び、150℃/15分に設定。予熱が完了したら鶏肉を入れる。
火力は十分で、鶏肉を入れたらジューっと音がした。油はひいていないが、焦げ付きの心配もなさそうだ。残りの材料を入れ煮立たせたら、今度は煮るモードで30分。
美味しくできたが、調理時間は予熱を除いても45分と長い。また鶏肉をひっくり返したり、材料を順に投入したりと、それなりに手間もかかるため、このレシピに限ってはフライパンで作っても変わらない気がする。
炊飯モード
最後は炊飯モード。こちらは加熱する前に、お米を30分吸水させる。調理時間は8分に設定し、加熱終了後は15分蒸らす必要がある。
炊き上がったごはんは、もちもちとした粘り気のある食感。内なべが本体に固定されないため、ごはんをよそう際にくるくると回ってしまうのが難点だ。また、ごはん粒が鍋にこびりついてしまうのも少し残念なポイントだった。
吸水から蒸らしまで53分と、炊飯器の早炊きモードの方が早く炊き上がるが、1人暮らしなどでキッチンのスペースを節約したいときに、本機1台で炊飯器を兼ねられるというのはいいかもしれない。
電気調理鍋というと、手入れが面倒なのではと気になる方も多いだろう。実際、細かいパーツが多く、全く手間がかからないとは言えない。だが個人的には、調理中に使わなかった体力が余っているので、実際の手間よりも楽に感じた。
手入れの手順は炊飯器と似ている。フタから内フタを外し、洗剤とスポンジで洗う。その際、フタに付いている圧力調整おもり、検圧ロッド、ネジカバーを取り外す必要がある。このパーツが小さくて、なくしてしまいそうで気をつかった。
このほか説明書にも記載されているが、調理後にフタを裏返すとお湯が垂れて火傷の危険があるため、裏返さずに置くことが推奨されている。筆者はこのことを忘れており、一度裏返してしまったときに痛い思いをした(火傷には至っていない)。
裏返せないとなると、フタの裏に水滴がついたまま置くことになり置いた場所が汚れてしまうので、フタを置くためのお皿を用意するか、100円ショップなどで購入できる鍋蓋スタンドがあれば便利だ。
想像以上にラク! 長く使えるアイテムに
角煮やカレーなどの定番メニューから、特別な気分を味わえる低温調理まで一通り作ってみたところ、想像以上に手軽で、美味しく仕上がるため満足度が高かった。
実はこれまでも電気調理鍋の購入を検討していたが、作れるメニューが基本的に煮込み料理だけなこともあって躊躇していた。というのも、下ごしらえが大変なのであって、煮込む調理そのものは特に手間がかからないと思っていたからだ。
しかし、調理中にその場を離れられる、途中で手をかけなくていいというのはネットで何度も見た言葉だが、想像以上に精神的な余裕が生まれるものだった。
今回は付属のレシピブックのメニューだけだったが、圧力鍋のレシピは世の中にたくさんあると思うので、応用していろいろと作りながら、今後も長く使っていきたいと思う。