家電製品レビュー
まずはこれを作ってみて! 料理男子の息子も納得の「石窯ドーム体感レシピ5選」
2017年6月30日 09:53
昨年12月に東芝の過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム」ER-PD7000を、広尾のアトリエで使い始めて半年ほど経つ。フルモデルチェンジし、奥行39.9cmと薄型でコンパクトになり、カラー液晶タッチパネルも搭載されて、断然使いやすくなったと聞いて、試してみたいという気持ちからだったが、今はすっかりお気に入り。一緒に検証をした“料理男子”の息子も350℃の高火力がすっかり気に入り、それからずっと自宅で使っている。
今回、新モデルとなる「石窯ドーム」ER-RD7000が発表され、さらなるバージョンアップが図られていることを知り、再びアトリエで新モデルの検証をしてみたいと手を挙げた。せっかくなら、この半年間「石窯ドーム」を使ってみてこそわかる『購入したら、ぜひ作ってほしい料理』を紹介しようじゃないかと、息子と意見が一致。石窯ドームの特長を生かした“体感レシピ5選”を詳しくレポートする。
加えて、新開発されたバランスメニュー「一汁三菜レシピ」を作ってみた様子もご紹介したい。
メーカー | 東芝ホームテクノ |
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製品名 | 過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム |
品番 | ER-RD7000 |
実売価格 | 159,180円 |
350℃の高火力で作る「オーブンごはん」と、繊細な「低温スチーム調理」が鍵
まずは新モデルの特徴を確認しておきたい。過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム」ER-RD7000は、前モデル同様、業界最小の奥行き39.9cmという薄型で設置性がよく、丸い天井と四隅の丸みの「ラウンド石窯ドーム構造」が、熱風をムラなく庫内に行き渡らせ、最高350℃の高火力を可能にしているのが魅力だ。立ち上がりが早いため、200℃の予熱にかかる時間が約5分ととてもスピーディ。熱風ファンの回転数が上がったことで、熱風量がアップし、焼き上がり時間も短縮されている。
また、スイングしながら庫内1,024カ所を検知する赤外線センサーと、庫内の中央部を固定して連続的に検知するセンター赤外線センサーに、新しく庫内の温度を検知する「温度センサー」が加わった『高精度トリプルセンサー』にバージョンアップされたことでレンジ性能が向上。もちろん、従来通り、レンジでの温めや少量での解凍でもムラがない。また、新モデルでは、「お急ぎ解凍」というメニューの解凍時間が短くなっている。例えば、冷凍のひき肉100gの解凍が従来モデルでは約3分台だったのが、約2分台になり、スチームも不要で簡単、スピーディ。レンジ性能は、日々の温めなどで多く使われる機能なので、まさに基本。見た目には変わりなくとも、“使ってわかる”うれしさといえるだろう。
そして、今回の本題“体感レシピ5選”だが、実はER-RD7000には470もの自動メニューが搭載されている。どのメニューもよく考えられているとは思うのだが、なにしろ数が多い。石窯ドームはオーブン、レンジ、スチーム機能のほか過熱水蒸気による調理もできるなど、とにかく多機能。その分、特に使い始めは、何を作るか迷ってしまう。そこで、今回は、石窯ドームを買ったらまず作って欲しい、石窯ドームの魅力が十分伝わるようなメニューを5つ選んでみたというわけだ。
メニューを選んだポイントは大きく2つ。350℃の高火力と熱対流を生かした「オーブンごはん」と、サラダの下ごしらえから、低温調理の真髄ともいえるやわらかな肉料理やなめらかなプリンなど、自在に楽しめる「低温蒸し」。5品目にはレンジだけで作る簡単&美味レシピも入れてある。
アトリエに届いたER-RD7000の庫内を空焼きして換気し、庫内が冷めたら準備完了。和食から中華まで何でもこなす“料理男子”の息子と一緒に作った様子をご紹介しよう!
1、生よりおいしくシャッキリ! 40℃で「低温蒸し」した春菊サラダ
東芝のオーブンレンジの「低温蒸し」は35~95℃まで庫内温度を高精度でコントロールし、食材に適した蒸し料理をしてくれるというもの。10年ほど前のモデルから搭載されているが、高温のオーブンの陰に隠れて、あまり注目されていないのが残念なところ。100℃を超えるパワフルなスチームでのシュウマイや肉まんなども便利でおいしいが、温度コントロールが難しい「低温蒸し」を習得すると、毎日のごはんがぐんと充実する。
とはいっても、別に難しいことはない。例えば、クッキングブックにも掲載されている「春菊のツナサラダ」なら、洗って軸の部分を落とした春菊を角皿に並べて下段にセットし、給水カセットに水を入れて、No.156を選んでスタートボタンを押すだけだ。
庫内温度約40℃という低温だが、調理中の様子を見てみると扉がうっすら曇り、スチームが充満しているのが見て取れる。調理にかかる時間はわずか10分。このひと手間が、春菊のえぐみを取り去り、生の時よりもシャキッとしたみずみずしさを保ってくれるのだからびっくりだ。食べる時間が時間差になってしまう場合も、低温蒸しした春菊をラップして冷蔵庫に入れておけば、シャッキリした食感が保てる。
野菜を50℃のお湯で洗ったりする方法もシャキッとさせるとして知られているが、それと同様にこうした低温蒸しは、水分が補給されて細胞が生き生きとする働きがあるらしい。前モデルを愛用している我が家では、低温蒸しした春菊をゴマ油と塩だけで食べるのがお気に入りだ。ほかにも小松菜やホウレン草、キャベツなど応用が利くのもいい。
2、時間のかかる「豚肉のヒレハム」が30分強の低温蒸しで出来上がる!
続いてもう1つ、低温蒸しならではのメニュー「豚肉のヒレハム(クッキングブックでは「ヒレ肉のミニハム」)を作ってみよう。実はこの料理は以前から息子の得意料理で、我が家ではフライパンと鍋を利用して作っている。たこ糸を巻いた肉に下味をつけて室温に戻しておくところまでは同じだが、石窯ドームの低温蒸しなら、調理時間が驚くほど短縮される。果たして、火の通り具合や、肉のやわらかさなどはどうなのか? 息子も興味しんしんで調理が始まった。
今回の低温蒸しの庫内温度は約95℃。耐熱容器に400mlの熱湯と固形スープの素などで作ったスープを入れ、そこに下味をつけたヒレ肉を浸して、オーブンに入れるやり方だ。自動メニューでNo.147を選んだが、新鮮で上質なヒレ肉が手に入ったこともあり、火の通りを弱めにしたいという息子の提案で「仕上がり弱め」で調理することにした。
スタートから約15分後にブザーが鳴り、「裏返してください」との表示がある。95℃の庫内なので容器も熱々になっており、注意して取り出し、肉をひっくり返してから庫内に戻す。ここで表示にあるように給水カセットに水を補給した。再び加熱を始めてから20分弱で調理が終了。扉を開けるとハーブやコショウの香りがほんのり漂っている。
いつも息子が自宅でやっている方法は、フライパンで肉の表面を焼きつけた後、お湯を沸騰させた鍋の中に入れて冷めるまで5~6時間放っておく作り方だとのこと。今回は、まだ熱いままだったので、余熱で火が通り過ぎないように、急いでたこ糸を外し、お皿に取り出した。熱いうちに中の様子を確認すべく、薄く切ってみると、ほんのりピンク色でちょうどいい仕上がりだ。
さっそく味見をしてみると、やわらかくて美味。ただし、塩の量はやや多めの印象だ。このあたりは作った後の保存期間や家庭の好みに応じて適宜調節するといいだろう。ハーブの種類や量もまたしかり。少量のニンニクのすりおろしと塩、コショウだけのシンプルな味付けもおすすめだ。
3、塩コショウして焼くだけなのに泣きたいほどおいしいローストチキン
さて、次は350℃の高火力と熱風を最大限に生かした「鶏もも肉のロースト」だ。この料理は骨付きの鶏もも肉にフォークで穴を開け、塩コショウをすりこむだけという超簡単な下ごしらえのみ。角皿にのせた後で、表面に薄くサラダ油を塗ってパリッと仕上げるのが、コツといえるかもしれない。
200℃までの立ち上がりが約5分という石窯ドームも、さすがに350℃までの予熱には21分ほどかかった。予熱が進んでいくごとに帯グラフ状の目盛が右に伸びていくのがわかる。予熱終了の合図とともに、急いで角皿を下段にセットし、素早く扉を閉める。
焼き時間は約24分。鶏肉の焼ける香ばしいにおいが部屋にあふれてきて幸せな気分になってくる。焼き上がりを取り出すと、鶏肉がジュージューいっている。テーブルに置いてもまだ脂が飛びはねるほどの熱々さ。皮目がこんがり焼けていて、骨の周りなどもピンと張りつめている。これまで何度も息子が焼いているが、この焼き上がりはフライパンでは難しい。さすが高火力オーブンだと実感できる瞬間だ。
私が写真を撮るのももどかしいようで、待ちきれない息子はエプロン姿のまま「これは焼き立てを食べないとダメでしょ」と、ナイフとフォークを持って待ち構えている。「はい、お待ちどう」の声とともに、一口食べるなり「うまい!!!!」
予熱と合わせると45分ほどかかるが、この焼き上がりはもう言うことなし。皮がパリッと焼けて、中は限りなくジューシー。塩コショウだけで何も余計なものを足していないから、鶏肉のうまみを存分に味わえる。これならたぶん鶏肉は苦手……という人もバクバク食べられるに違いない。これぞオーブンの醍醐味。さすが石窯ドーム!
4、インスタ映えする「ぎゅうぎゅう焼き」は味も絶品
新モデルでは、ならべて焼くだけと簡単なのにごちそうが作れる「オーブンごはん」を全面的に打ち出して力を入れている。店頭のパンフレットやウェブサイトにも「オーブンごはん」の文字が躍る。
ということで、今、インスタ映えすると人気の「ぎゅうぎゅう焼き」もおすすめの1品として作ってみることにした。今回のレシピはABCクッキングスタジオが監修した「豚肉と春野菜のレモンハーブぎゅうぎゅう焼き」。角皿で作る場合は、オーブンシートなどを敷いて立ち上がりを作るようだが、ER-RD7000には付属の「深皿」がある。
この深皿に、下味をつけた根菜や玉ねぎ、パプリカ、ウィンナーや豚肉をぎゅうぎゅうに敷き詰め、オーブンで焼くだけ。
ぎゅうぎゅう焼きは自動メニューにはないので、手動で「オーブン予熱あり」で170℃に設定する。3~4分ほどで予熱が完了したら、深皿を上段に入れて30分ほど加熱。仕上げに200℃で5分焼けば完成だ。鶏もも肉のローストの際にも書いたが、オーブン料理は調理中の何ともいえない、良いにおいが幸せ感を本当に高める。
深皿を取り出した時には一瞬、焼き過ぎたかと心配したが、豚肉に美味しそうな焼き色がついていてちょうどいい焼き加減。深皿ごとテーブルにドーンと並べれば、ご馳走感いっぱいだ。こちらも焼き立てを少々すくって皿に盛り、さっそく試食してみる。豚肉の旨みが野菜にしみ込み、レモンやハーブの香りと混ざり合って、とても奥深い味わいになっている。バラバラにならべてローストしたのとは一味違い、「ぎゅうぎゅう」に敷き詰めたからこその味のハーモニーという感じだ。
やっぱりすごいぞ「オーブンごはん」!!
ちなみにこの日の残りを自宅に持ち帰って翌日に温め直して食べてみたが、レモンの輪切りは焼いた後で取り除いたほうがよかったもよう。焼きたては絶品なのに、苦みが野菜などに移ってしまったのが失敗だった(息子いわく「ぜひ追記しておくように」とのこと)。
5、“巻かないロールキャベツ”はレンジで15分のお助けレシピ
低温蒸し、350℃高火力ロースト、オーブンごはんに続いて最後に紹介するのが、忙しい毎日のお助けレシピとして知っておくと役立つレンジ調理の「巻かないロールキャベツ」。一口大に切ったキャベツと、調味料を混ぜ込んだ合挽き肉、トマトの水煮缶を交互に重ね、400mlの熱湯にコンソメ顆粒を溶かしたものを、キャベツの上から注いだら下ごしらえ終了と、事前の準備もお手軽。
ラップを中に落とし込むようにしてかけたら、庫内の中央において、No.167「巻かないロールキャベツ」を選んでスタートボタンを押すだけ。600Wのレンジ加熱で約15分したら、もう出来上がっている。
熱々の容器を取り出してラップを外した状態では、正直言ってそんなに“ご馳走感”は感じられないのだが、切り分けてお皿に盛りつけ、粉チーズとパセリを振るとぐんと本格的な見栄えになった。
とはいえ、味のほうは食べてみないとわからない。息子と二人で「もしかして味が薄いのでは? 煮込んだような味は出ないはず」とかなり懐疑的になっていたのだが、実際に食べてみると「何これ!? 美味しい!」と二人で大いに盛り上がってしまった。挽き肉に混ぜ込む調味料の中には「フライドオニオン15g」や「中濃ソース大さじ1」などもあり、このあたりが味に深みとコクを出しているようだ。よく考えられたレシピに感激し、作ってみた甲斐があったと大いに納得したのだった。
工夫すべき点といえば、出来上がった後で切り分けるのが少し大変かもしれないが、キャベツを細かく切り過ぎず、なるべく1枚1枚の葉を生かすようにしたほうが仕上がりがきれいだということ。あまり大き過ぎない容器に、少し丸みを持たせて半球状に詰めていったほうが高さも出るし、見た目が美しいはずだ。
【番外編】新開発「一汁三菜レシピ」のバランスメニューに挑戦
ここからは購入後にすぐに試したい“体感レシピ”ではなく、このモデルで新しく提案されている「一汁三菜レシピ」に挑戦した番外編となる。
深皿と角皿を使って、「主菜」「主食(ごはんの混ぜ物)」「副菜2品」「汁物」を一度に作れるのがポイントで、栄養バランスにも優れているという。3つのレシピが考案されているが、今回試してみたのは中華のメニュー。「さっぱり麻婆なす(主菜)」、焼き豚や卵の入った「混ぜチャーハン(主食)」、「豆腐とえびのしょうがあんかけ(副菜1)」、「にらとトマトの中華あえ(副菜2)」、「しいたけの中華スープ(汁物)」を深皿と角皿を使って一度に作れるというのだからびっくりだ。
とはいえ、クッキングブックの説明が見開きで2ページぎっしり。下ごしらえとしてのレンジ調理を細々と行なってから、角皿や深皿にセットする仕組みで、オーブンシートを使って「囲い」も作らないといけない。かなりの手間暇がかかりそうだが、とにかく作ってみないことには始まらない。
事前に自宅で材料を切って小分けし、調味料なども料理ごとにチャック付きのビニール袋に入れてアトリエに持ち込んだのだが、それでもけっこう下ごしらえに時間がかかってしまった。「豆腐とえびのしょうがあんかけ」用のブロッコリーを500Wのレンジで1分間加熱しておいたり、中華スープ用のしいたけやタケノコを器に入れて、予めレンジ加熱しておいたり、麻婆なすのひき肉のあんを作るために、レンジ加熱「500Wで1分(たまに2分も)」が多発して、息子と二人で笑い出してしまったほどだ。
加熱時間そのものは19分(予熱は5分)なのだが、慣れるまではどうしてもクッキングブックとにらめっこになり、何回もレンジ加熱の下ごしらえが必要になるので、疲弊してしまう。せめてよく使う「500W」「1分」などは独立したボタンがあるとよかったと思う。
そんなこんなで出来上がるまで「面倒なことばかりでいいことが何もない」を連発していた私たちだが、実際に盛り付けて、試食してみるとみんなやさしい味付けでおいしいし、何より食卓が充実しているのがわかる。ひゃー、何という達成感。疲れたけれどおいしい。栄養豊かなメニューにきっと体も喜んでいるに違いない。
そうか、こんなにたくさんの料理をフライパンや鍋を駆使して作るとしても、結局は時間がかかるし、どんな組み合わせで作れば栄養的にバランスが取れているのかもわからない人だって多いだろう。あとは慣れの問題だけなのだろうなと納得したのだった。
購入したら10日以内にこの5品をぜひ!!
どんな家電製品でも同じだが、購入して(届いて)から10日~2週間以内にどんどん触ってみないと結局は使わなくなってしまったり、最初のうちに使った機能だけを繰り返し使うことになりかねない。ましてやオーブンレンジのような調理家電なら、なおさらだ。家電が届いてワクワク感が高まり、気持ちがフレッシュなうちにとにかく触ってみて、その良さを体感してほしいのだ。
今回の石窯ドームER-RD7000“体感レシピ5選”でピックアップしたのは、その特徴を生かした選りすぐりのものばかり。給水カセットに水を入れて、スチーム機能を使ってみたり、350℃の高火力でシンプルに骨付きチキンをローストしてみたり、フォトジェニックなご馳走「ぎゅうぎゅう焼き」を作ってみたり。多忙な日にお役立ちの簡単レンジレシピもセレクトした。
「いずれもアレンジが自在だし、付属のクッキングブックを見て、次なる料理を作ってみたくなること請け合い」だ(息子談)。ぜひ参考にしていただけたらと思う。
協力:東芝ホームテクノ