家電製品ミニレビュー

野菜たっぷりの焼きそばも作れる「深皿」が便利! さらにパワーアップした「石窯ドーム」

「深皿」が気になる石窯ドーム ER-ND500

 我が家で愛用しているオーブンレンジは、2年程前に購入し、家電 Watchでも前後編でご紹介させていただいた東芝の「石窯ドーム ER-KD520」だ。ケーキなど、お菓子を焼くのが好きなので、特にオーブン機能には満足している。

 まだ買い替えるタイミングではないのだが、新製品の「石窯ドーム ER-ND500」の"深皿"に惹かれた。焼きそばをや4人分の主菜と副菜を3品同時にできるという、大きくて深いお皿だ。これなら4人家族の我が家でも、色々使い道がありそうだ。さっそく試してみることにした。

メーカー名東芝ホームテクノ
製品名石窯ドーム ER-ND500
購入場所Amazon.co.jp
購入価格117,000円

オーブン機能が得意だった「石窯ドーム」がさらに機能強化

 石窯ドームは、熱風を循環させるために湾曲した天井の「石窯ドーム構造」を採用した過熱水蒸気オーブンレンジだ。新モデルでは、深さ約5cmの深皿と専用の「深皿メニュー」が追加された。この深皿を使って、焼く/煮込む/炊く/茹でる/炒める、5つの調理が手軽にできる。

 深皿は大きく深いので、たくさんの食材を一度に調理でき、汁が出るようなレシピでも安心して使える。3品同時に調理できるセットメニューが搭載されており、主菜1品、副菜2品が、深皿だけで同時に作れるというから驚きだ。

奥行は465mmあるので、一般的なレンジラックでは入らないことも。サイズはきちんと確認しておく
排気口は上部奥にある
庫内は耐熱脱臭コート採用
赤外線センサーは庫内の右上にある
左が給水カセット、右が水受け

 オーブン機能では、業界最高の350℃の高温で焼き上げられる「350℃石窯メニュー」を新しく採用した。予熱温度も従来の250℃から320℃にアップし、短時間で調理可能となった。高温でパリッと焼きたいクリスピーピザも、焼き時間が従来機と比べて約半分となっている。

 これまで使っていたKD520は、多少焼きムラがあったが、新モデルは熱風の向きを交互に変える正逆反転ファンに改良され、加熱時のムラをなくしている。

 操作は基本的にはタッチメニューキーと「あたため」/「スタート」ダイヤルキーを使って設定する。表示部は単色の液晶ディスプレイで、他社のフラグシップモデルと比較すると安っぽく見えるだけでなく、一見不親切に思える。しかし、一目で状態がわかるので、慣れてしまうと使いやすい。

タッチメニューキー
「あたため」/「スタート」ダイヤルキー
液晶パネルはシンプル
角皿は2枚付属
焼網は蒸し、オーブン、グリル調理、カラッとあたためなどに使える

 また、付属のレシピ集にはABCクッキングスタジオ開発のレシピを含めた369レシピが掲載されている。レシピは手に入りやすい食材で簡単にできそうなものばかりだ。

 本体カラーはグランホワイトとグランレッドの2色で、今回選んだのは前回と同じく、白系のグランホワイト。サイズは500×465×412mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約24kg。

深皿はたっぷり4人分! 鶏モモ肉も広げて4枚調理できる

 この製品の他社にはない一番の特徴は、やはり深皿だろう。とてもシンプルで、一言で言ってしまえば「深くて大きなお皿」だ。我が家のように4人家族の場合は、一度に4人分できないと面倒だが、この深皿なら4人分のメニューも余裕をもって作れる。

深皿
深さはなんと5cm

 最初に「鶏肉のグリル フレッシュトマトソース」を作ってみた。下味をつけた1枚250gの大きい鶏もも肉を、4枚広げて並べることができる。トマトをのせて、「ハイブリッド」で250℃に設定し、35分加熱して焼き上げる。

 「ハイブリッド」は、過熱水蒸気と高火力のヒーターで焼き上げ、余分な油脂を落としつつ、おいしさを残す調理方法だ。加熱水蒸気を使うので、あらかじめ給水カセットに水を入れておく。

 鶏もも肉4枚は、我が家で使用している28cmのフライパンでも並べることは難しい。深皿を使って調理すれば、入れっぱなしで手間がかからず、簡単にできる。トマトから水分が出ているが、深さがあるので水分があふれ出ることもなかった。絶妙な火加減で、鶏肉がプリプリだ。

鶏もも肉を広げて4枚一度に調理できる!
鶏もも肉一枚食べられる。ボリューム満点!

深皿ひとつで4人分の主菜と副菜2品が同時にできた

 深皿を使って、3品を同時に作ってみた。鮭ときのこの紙包み焼き、牛肉と春菊のあえサラダ、セロリと人参の焼ききんぴら。バランスのよい和食の献立だ。

 生鮭は一切れ100gと大きめで、野菜も分量は多い。こんなに深皿に入るのかと心配だったが、オーブンシートで区切って入れてみると、まだ余裕があるほどだ。加熱時間はオーブンで約28分。

 春菊は最後にあえてサラダ風にして完成だ。1人分の量は多く、おなかいっぱいになった。この深皿一枚で、4人分の主菜も副菜も同時にできてしまい、支度がとてもラクだった。

こんな風にオーブンシートを使って区切る
3品すべて一度の調理でできた。おなかいっぱいになる分量だ。栄養バランスもよい

具をたっぷり入れた焼きそばも深皿でできる

 モヤシ、キャベツ、ピーマン、豚肉など、野菜をたくさん入れるとフライパンで作るのが面倒になる焼きそばも、深皿におまかせだ。

 先にそばを入れ、キャベツ、にんじん、ピーマン、もやし、豚肉の順に乗せて、自動メニュー「焼きそば」で加熱する。焼きそば機能は過熱水蒸気も使用するため、水タンクには水を入れておく。時間は24分と表示された。最後に添付のソースをからめれば終わりだ。

 家庭で作るやきそばは野菜をたっぷり入れたいところだが、そうするとフライパンでは一杯になってしまい、混ぜるのが難しい。深皿であれば、混ぜる必要もなく、野菜も好みで色々入れられるので助かる。

 いつもかさばる野菜を少なめに、麺を多めにしてしまうが、これなら野菜をたっぷり入れられるので、ヘルシーに作れるのも魅力だ。

焼きそばはそばと野菜と肉を深皿置いて、あとはおまかせ
完成! 過熱水蒸気を使っているので、麺がほぐれている

深皿はテーブルに出してそのまま食器として使える。しかし……

 白菜のミルフィーユ焼きも作ってみた。先にレンジで加熱してやわらかくした白菜と、玉ねぎなどを混ぜた合いびき肉を重ねて層にする。ひき肉の半分はチリパウダーを入れて大人用に、もう半分は粉チーズやにんじんを入れて子供用に味付けした。大容量だからこそ2種類に分けられる。

 そのままテーブルに出して、取り分けていただいた。大人も子供も大満足だ。

左側と右側で味を変えている。こちらもボリューム満点
お好みのほうを取り分けて食べる。テーブルにそのまま出して使える

 しかし残念なのが「電子レンジ不可」という文字が目立つところにデカデカと彫り込んであること。ホーローのような質感で、深いブラウンが食材を引き立ててくれる、かわいい大皿として使えそうなデザインなのに、この文字が台無しにしていて本当にもったいない。

 安全性に配慮することは大事ではあるが、もう少し位置や大きさなどに工夫が欲しいところだ。

サンマ4尾を同時に焼きながら、副菜も同時に作れる

 2品同時調理にも挑戦してみた。

 庫内が広いので、サンマを4尾並べて焼くことができる。サンマの内臓を取り、中にセロリを詰めてにんにく等で味付けし、角皿の上に焼き網を置き、その上にサンマを乗せて上段にセットする。さらに、下段には角皿に直接キャベツとプチトマト、チーズなどを置き、同時に焼く。

 魚は煙が出ることはなく、ニオイも気にならなかった。ふっくら焼きあがって美味しい。焼きキャベチーズは少し焦げ目がついていて、子供たちに好評だった。

 おかずの組み合わせは色々変えられる。グリルを汚すことなく、フライパンなども使わず、オーブンレンジだけで2品作ることができて、後片付けも簡単だ。

魚を焼いても煙が出ることがない
下段では副菜を作る
サンマの塩焼きも美味しいが、たまには洋風の味付けもいいですね!

余熱なしでスポンジケーキがふんわりムラなく焼ける

 以前の機種では少々ムラがあったが、今回の新モデルではきれいに焼けて感動したのがスポンジケーキだ。子供の誕生日やクリスマスなどのイベント時にはケーキを手作りしているが、自動メニュー「スポンジケーキ」は過熱水蒸気とオーブンで焼き上げるので、しっとりとした仕上がりだ。

 余熱は必要なく、生地を入れてからボタンを押してできるのも便利だ。新モデルでは熱風の向きを交互に変えているので、庫内ではムラなく熱が回っている。できあがったケーキは、見事なキツネ色に仕上がった。

 石窯ドームは高火力が自慢のオーブン機能が得意なので、パンももちろんふっくら焼ける。シンプルな石窯パンも、皮はパリッと焼けていた。

キツネ色に焼き上がった。ムラなし!
手作りのケーキは、子供たちがとても喜びます
ハードパンもしっかり焼けている

シンプルだけれど面倒で難しい「焼きいも」が簡単で絶品

 我が家の子供たちは焼きいもが大好きなので、新モデルに搭載された自動メニュー「焼きいも」で作ってみることにした。

 さつまいもを洗って水分をふき取り、フォークで数カ所穴をあけて角皿に並べ、下段に入れて「焼きいも」を選んでスタートするだけ。加熱時間は45分でホクホクの焼きいもが出来上がった。

 アルミホイルなども必要なく、火加減を気にすることもなく、焦げ目がついた見事な焼きいもだ。じっくりと焼き上げた焼きいもは、甘味が強く、香ばしく、感激する美味しさで、家族にも大変好評だった。

アルミホイルは必要なし
美味しくてビックリ! 香ばしさと甘さがたまらない

解凍は改良されたのか? 気になる3つの解凍機能

 以前使用していたKD520は、電子レンジ機能がいまひとつで、特に解凍については不満点も多い。買い替えるほどではないので様子を見ていたが、どの程度改良されていたのか気になるところだ。

 解凍方法は3種類で、「スチーム全解凍」「お急ぎ全解凍」「さしみ(半解凍)」となっている。一度に解凍できるのは、お急ぎ全解凍/さしみ(半解凍)では100g~600gで、スチーム全解凍は50gからできる。ラップやふたをはずして、発砲トレイのまま解凍を行なう。

 冷凍したお刺身用のサクをさしみ(半解凍)で解凍したところ、包丁がサクッと入る。こういったお刺身の解凍は、細い部分は煮えて色が変わってしまうことも多いが、色が変わることなく、包丁がスッと入る程度に解凍されている。こちらの機能は、理想的な状況に仕上がっていたので大変満足している。

 スチーム全解凍とお急ぎ全解凍は、300gの挽肉で試した。スチーム全解凍は35分ほどかかったが、ところどころムラがあり、特に右手前は固まっていた。

さしみ(半解凍)はお見事。包丁がスッと入るほどの解凍で、細いところも煮えていない
スチーム全解凍は、このように固まりが……

 お急ぎ全解凍は10分弱だったが、スチーム全解凍に比べて解凍されていない部分が多い。KD520はほとんど解凍できない状態だったので、以前に比べれば改善されているが、もう少しムラなく解凍をしてもらいたいものだ。どちらも全解凍というより、半解凍のような仕上がりだった。

庫内灯はもう少し明るくしてほしい

 レシピの表記も気になった。「玉ねぎ 120g」といった表記が多いが、お菓子作りは別として、一般的な家庭料理であれば「玉ねぎ 小1個」と表記して10g誤差があったとしても、大きく結果が変わることはなさそうだ。細かいところではあるが、家庭で作る簡単レシピに関してはわかりやすくしてもらえるとありがたい。

 また、調理中、暗くて中の状態を確認しづらく、いちいち扉を開けて確認しているため、庫内灯はもう少し明るく見やすくしてほしい。

フライパン代わりになる深皿が便利! 4人家族のおかずもコレ一つでOK

 以前使っていたモデルと外観とほとんと同じように見えるが、たった2年でオーブン機能も焼きムラが大幅に改善されていて驚いた。隅々まできちんと熱が届いているので、火加減が重要なスイーツやパン作りでも安心して使える。

 そして予想外に便利だったのが、大量の食材を一度に調理できる深皿。鶏もも肉を4枚広げて一度に調理できる大きさだけでなく、汁が出てもこぼれない深さがある。我が家では休日の定番メニュー「野菜たっぷり焼きそば」も簡単にできるので手放せない。洗うのも簡単で使い勝手がよく、深皿は大変重宝している。

 以前購入した石窯ドームのオーブンは、どちらかというとお菓子やパン作りなど、オーブン目的で購入したが、ND500はオーブン機能のほかにも深皿によってレパートリーが増え、使用頻度が上がっている。シンプルな深皿はさまざまなメニューで応用できるので、日々の食事作りがラクになりそうだ。

石井 和美