家電レビュー

バッテリー付け替えて使えるキッチン家電、かさばらなくて便利!

ツヴィリング「XTEND」シリーズ全ラインナップ

必需品ではないものの、家庭に一台あると便利なハンドブレンダーやフードプロセッサーといった調理家電。お料理の下ごしらえなどの準備が時短でできるうえ、仕上がりのクオリティも爆上がりし、料理がはかどるアイテムだ。

しかし、一方で意外にかさばり、作業スペースや収納場所の制約から導入を見合わせているという家庭もあるだろう。

そんな中、ドイツ発のトータルキッチンウェアブランド「ツヴィリング」が発売したのが「XTEND」シリーズだ。調理家電のシリーズで、いずれもコードレス式であることが特徴。コードレスタイプのキッチン家電はすでに存在しており、さほど珍しくはないものの、「XTEND」シリーズのユニークなポイントはシリーズ共通のバッテリーを採用していること。着脱式のバッテリーで、シリーズの他のアイテムでも付け替えて共用できる。

例えば、バッテリー付きのスターターセットを最初に購入した後は、ツール本体のみを買い足していくことで、さまざまなツールに拡張して使うことができる。まさに製品名の“XTEND(EXTEND)=拡張”が意味するところだ。

今回は、そんな「XTEND」シリーズの全アイテムをお借りして試してみた所感をまとめたい。

まずは、シリーズ共通で使用する「リチウムイオンバッテリー」。繰り返し充電に強いリチウムイオンバッテリーを採用し、重量約200g、片手に収まる軽量コンパクトなサイズだ。セットを買えば付属しているが、単体でも購入可能。単体の場合の価格は9,900円。

重量約200g、手のひらサイズのコンパクトなバッテリー。シリーズ共通で使用できる

充電には、急速充電に対応した「専用チャージャー」を使用する。充電完了までは約90分、1回のフル充電で最大約120分稼働できる。こちらもセットで買った場合に必ず付属するが、単体では3,850円で購入できる。

専用チャージャー。バッテリーをセットして、Type-Cの充電端子をつないで充電を行なう

実は、専用チャージャーでおもしろいのが、充電器としてだけでなく、バッテリーをチャージャーにセットした状態でモバイルバッテリーとしても利用できることだ。2基のUSB Type-Cポートを備え、電子機器を一度に2台充電できる。キッチンツールを使わない時でも外出先に持ち出して使うことができ、災害時など意外なシーンでも役に立ちそうだ。

コードレス家電といっても、充電時は本体にコードを接続する必要があり、その都度場所を取ったりして意外にめんどうだったりする。その点、XTENDシリーズはバッテリーを取り外して単独で充電できるため、充電する場所も選ばず、より手軽だ。

入出力に対応したUSBポート。反対側にもう1口装備しており、USBケーブルで電子機器を2台同時に充電できる

次に、各ツールの使い勝手や特徴をチェックしたい。

まずは「ハンドブレンダー」。単体での価格は15,400円、バッテリーが付属するスターターセットは27,500円。

ハンドブレンダー。専用のカップも付属する。本体にシャフトを取り付けて使用する

フル充電のバッテリーを装着して、最大45分の使用が可能。3段階のスピード調整を備えるほか、運転開始時に食材を飛び散りにくくする“ソフトスタート”機能を搭載している。

ブレンダーシャフト。ポタージュやスムージーの調理はもちろん、冷凍フルーツや氷も砕ける

また、ハンドブレンダー用の付け替え用アタッチメントとして、「チョッパー」(2,970円)と「ウィスク」(1,980円)2種類が用意されている(7月中~8月発売予定)。コンパクトなサイズで、一度に大量の処理はできない反面、機動力よくパッと使えるよさがある。挽き肉もあっという間にできてしまうほどパワフルだが、運転音は意外に控えめだ。ウィスクは、いわゆる泡立て用のツールで、生クリームのホイップや卵の攪拌などに便利だ。

チョッパー。コンパクトで使いやすい
牛こま肉から挽き肉も簡単に
ウィスク
卵の白身を使ってメレンゲを泡立て。アタッチメントが軽くて本体が重いのと意外と長いこともあり長時間使用は少し疲れるが、コードがないのがやはり使いやすい

2つ目は「ハンドミキサー」。単体での価格は13,200円。バッテリーが付属するスターターセットは25,300円。

ハンドミキサー。泡立て用のビーターと生地を練るためのニーダーを付け替えて使える

お菓子やパン作りに便利な泡立て用のビーターと、練り用のニーダーが付属。フル充電のバッテリーで最大2時間の使用が可能。3段階でスピードを調整できる。

スピードは3段階で調整可能。操作部が手元にあり、使いやすい

コードレス仕様に加えて、本体が自立する設計のため、立てた状態でスタンバイできるのが使い勝手がいい。ただし、バッテリーを取り付けた重量(ビーターやニーダーは取り付けない状態)が約990gあり、5分以上の連続使用となると少々しんどい。専用のスタンドなどハンズフリーになるアイテムが今後発売になるとより使いやすくなりそうだ。

ビーターやニーダーを取り付けた状態でも本体が自立するのが使いやすい
ただし、全体で1kg前後の重量があり、パン生地を15分ほど捏ねるのに使用した際は、捏ねる労力はないものの、ちょっとしたダンベル運動で、専用のスタンドが欲しくなった

3つ目が「ハンディクリーナー」。単体での価格は7,700円。バッテリーが付属するスターターセットは19,800円。

ハンディクリーナー。ブラシ付きノズルと長尺ノズルの2個のアタッチメントが付属する

コンパクトなサイズのため、キッチン専用のクリーナーとして常設しておくのに最適。ハンディ掃除機をすでに所有している家庭も多いと思うが、キッチン周りで使用するのはちょっと抵抗があったりするもの。キッチン専用ならお米や粉類などをこぼしたりというときにも機動力よくサッと使えて便利だ。ブラシ付きノズルと長尺ノズルの2個のアタッチメントが付属しており、使用場所に応じて使い分けられる。

自立するため、キッチンの片隅に立てた状態で常にスタンバイしておき、いつでもサッと使うのに有効

他にも冷蔵庫内の特に汚れがちな野菜室や食器棚など結構ホコリがたまっているキッチン周りの場所を定期的にお掃除する習慣につなげやすくなる。2層式のフィルターを内蔵し衛生的、かつお手入れしやすい構造になっている。

ダストカップもフィルターも簡単に取り外しとセットができてお手入れもラク。ダストカップの容量は少ないので、自然にこまめにゴミ捨てることになり、衛生性を保てる

フル充電のバッテリー使用で、最大約45分間の運転が可能。標準/ターボのモードを搭載し、吸引力を2段階で切り替え可能で、小型ながら粒上の食材もスイスイと吸い取ってくれるパワーがある。

コードレス、そして着脱式バッテリーのメリット

本製品に限らず、コードレスのキッチン家電のメリットは、なんと言ってもさっと取り出してすぐに使えること。コードをほどき、コンセントに挿し、使用後に束ねるといった作業はちょっとしたことではあるものの、結構煩わしい。これらが必要なくなり、使うまでの動作がスムーズになることで、使用するハードルがぐっと下がり、“お蔵入り”を防ぐことにつながる。

もちろん、使用中もコードがどこかに引っかかったり、引き回しを気にする必要がなく、ちょっとしたストレスから解放される。コンセントにつなぐ必要がないということは、単に場所を選ばず使えるという利点に留まらない。コードがないというだけで収納時もスムーズだ。

以上はコードレス式キッチン家電共通の利点だが、本製品に限ってはバッテリーが着脱式であるということが優れたポイントだ。特に昨今の社会課題でもある“エコ”や“サステナブル”という観点では、バッテリーが寿命になった場合にも交換すれば、本体が故障しない限りは使い続けられる。

バッテリー式の調理家電は他にもあるものの、知る限りはバッテリーの寿命によって使えなくなってしまう製品がほとんどで、本体は故障していないのに、廃棄せざるを得ないというのをもどかしく感じていたので、XTENDのような仕様は非常にうれしい。

着脱式のため、バッテリーだけ買い替えることも可能

本シリーズは、共用バッテリーを付け替えるだけで、ユーザーのライフスタイルやニーズに合わせ必要なものを自由に組み合わせられるのも魅力だ。セットで買うとお得なキッチン家電は多いが、意外に使わなかったり不要な付属品もあったりする。その点、本製品群であれば、必要なものだけを選ぶことができ、物はあまり増やしたくないものの、お料理の時短や便利をかなえたい人には魅力的だ。

スターターセットは、基本はバッテリー+ツールの構成。それぞれ単体で購入するよりも少しお得で、最小限のものから揃えて、その後に欲しいものを順次買い足していけるのもうれしい。

個人的には、すでにコードレス式のブレンダーやハンディ掃除機を所有しているので、購入するならまずはハンドミキサー。現在使用しているコードレスキッチン家電がバッテリーの消耗等でいずれ使えなくなったら、他のツールを買い足していき、順次置き換えていくことでリーズナブルかつエコに揃えていける。

その他、いずれのツールもブラシレスDCモーターを採用しているため、ハイパワーでありながら、バッテリーも長持ち。それでいて運転音が控えめなところも優れていると感じた点だ。

ただ、本体とバッテリーを組み合わせて使用するため、重心バランスなどの兼ね合いでツールによってはちょっと重く感じやすかったりもする。今後もツールのラインナップが新たに加わっていくとしたら、設計の工夫により、その点が改善されるとさらに使いやすくなるだろう。

神野 恵美