e-bike日々徒然

そろそろe-bike専用の変速ギアがほしい!!

先日、ヤマハからついにフルサスのe-MTB「YPJ-MT Pro」が発表されましたね。9月発売とのことですが、早く乗ってみたいです。モーターサイクルのツインチューブフレームを連想させるDual Twinフレームなど、期待の高まるポイントはいろいろありますが、少しだけ残念だったのは変速ギア。普通のMTBと同じ11速になっていました。

昨年の東京モーターショー 2019やサイクルモード2019で展示されていたコンセプトモデルには、SRAM製のe-bike向けの8速ギアが装備されていたので、それが採用されるのでは? と期待していたのですが……。

昨年の「東京モーターショー2019」で「YPJ-YZ」の名称でお披露目されたコンセプトモデル。基本構造は「YPJ-MT Pro」と共通です
変速ギアは8速。ギア比のカバー範囲は11速と変わりませんが、チェーンが太く変速段数は少なくなっていました

このSRAM製の「EX1」というコンポーネントは、トルクの大きいe-bike向けにチェーンが太くなっていて、そのぶん変速の段数は減らされています。アシストのあるe-bikeでは、普通のMTBのように細かい変速をしなくても走れるという設計思想です。

実際、いろいろなシーンでe-bikeに乗っていると、アシストのないスポーツ自転車とは必要なギア数やギア比は少し違うなという印象を持っています。具体的にいうと、アシストの効く領域では多少重いギアでもまったく問題なく走れてしまうので、そこまで細かい変速は必要ないということ。反対に、アシストの切れる24km/h以上の速度域では、こちらの記事でも書いたように、ギア比が接近していたほうが脚への負担を少なく走れます。

つまり低い速度で使うギアは変速段数が少なくて、ギア比も多少離れていても大丈夫だけど、24km/h以上で使うようなギアは細かくなっていてほしいということ。一般のスポーツ自転車とは逆とはいわないまでも、だいぶ違う変速ギアが求められているように思います。

こちらは「サイクルモードインターナショナル2019」で展示されていた「YPJ-MTBフルサスコンセプト(オールマウンテン)」
こちらにも8速ギアが装備されていました

ちなみに、e-MTBはアシストがあるのだから、こんなに大きなギアはいらないんじゃないか? という声も耳にしますが、個人的にはe-MTBには絶対付いていてほしいと思っています。それは、e-MTBだと今までは上ろうとも思わなかったような激坂を上ることができるようになっているから。そういう信じられないような激坂を上るには、大きなギアが必要なのです。

シマノは昨年からグラベルアドベンチャー向けの「GRX」というコンポーネンツをリリースしていて、こちらは従来のロードバイク用とは異なるギア比のスプロケットなどを用意していますが、e-bike用に最適化されたギア比も味わってみたいと思うのは筆者だけではないはずです。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。