家電ラボの徹底「本音」レビュー

東芝エアコンが2段ベッドの子供部屋に大正解! 風が直撃しないから寝る時も快適

家電プロレビュアー・石井和美が、レビューハウス「家電ラボ」で徹底的に試した「本音」の製品レビューコーナーです。
東芝ライフスタイルの「RAS-K251DR」

ロフトがあり、ハイベッド(2段ベッド)を置いている子供部屋は多いのではないでしょうか。我が家も息子の部屋がまさにそのような状態。夏になると、屋根からの熱が直接室内に降りてきます。そのため上のほうが暑く、足元との温度差が大きくなってしまいます。

そんななか使っていた古いエアコンが壊れたので、悩んだ末に東芝ライフスタイル(以下、東芝)のエアコン「大清快」を導入することに。一番の決め手は、「無風感」気流です。

息子が寝ているハイベッドは高さ170cmほど。ちょうどエアコンの目の前で、風が直接当たる場所となります。寝ている時にエアコンの冷風が当たるのはあまりよくないと考え、「無風感」モードがあるシリーズを選択。そのなかから、最上位モデルに搭載されている業界初の「レーダー」が家電ライターとして気になったので、子供部屋には贅沢かなと思いつつも最新の「大清快 DRシリーズ」にしました。

選ぶときに迷ったのは「何畳タイプを選ぶか」です。息子の部屋は6畳ですが、ロフトがあるため天井が高くなっています。そんな場合の最適な畳数についてメーカーに聞いてみたところ、「基本的に一般的な高さの天井を想定しているので、ロフト付きのように天井が高いお部屋には能力がワンランク上のタイプがおすすめ」との回答。そこで8畳タイプの「RAS-K251DR」を選びました。

こんな場所につけなければならないエアコン。手前の高いベッドに息子が寝ています

エアコン(室内ユニット)の本体サイズは798×386×295mm(幅×奥行き×高さ)で、前にせり出しています。ただ四角い形ではなく、カーブがあり、それほど大きいという印象はありません。室外機は780×290×550mm(同)で、省エネタイプらしい存在感。狭い場所に置く場合は、設置するスペースがあるかどうか、確認しておく必要があります。

冷房の消費電力は500W、暖房は520W。冷暖房だけでなく、電気集じん方式の空気清浄機能(プラズマ空清)も備えています。

少し丸みのあるデザインで圧迫感はありません
こんな感じで省エネタイプは前にせり出しているものが多いです
なかなか大きい室外機。田舎なので何の問題もなく置けましたが、狭い場所は注意が必要です

ルーバーが自動で流れを変えながら冷やす「無風感」が快適

リモコンは以前のモデルよりもサイズが大きくなり、画面も使いやすく進化しています。よく使う「冷房」「除湿」「暖房」、そして温冷感センサーで人や部屋の状況をみてエアコンが快適な運転を行なうおまかせ運転「AI快適」から選ぶことができます。

他にも温度設定のボタンや停止ボタン、急速ボタンなどがあります。他社のエアコンにはない特徴的なボタンは、「無風感」ボタンや「レーダー」ボタンです。ハイベッドで寝る息子の部屋で特に使いたい機能は「無風感」気流なので、目立つところにあるのは便利です。

(左)リモコンの目立つところに「無風感」「レーダー」ボタンがあります。(右)フタを開けると細かい設定が可能

夜、涼しくなった頃に窓を開けて温度を計測したところ、ロフト部分は31.6℃、ベッドの上は24℃と、7℃も差がありました。昼間の熱が屋根に蓄積されており、その熱が上部に溜まっています。

ロフトの上。物置にしているので使っていませんが、夜間でもこの温度。上のほうはかなり暑くなります。昨年、屋根に遮熱塗料を塗ったので、これでもマシになりました……

ベッドで寝るときはルーバーを下向きにして風が当たらないようにする方法もアリですが、それではベッド下の床付近だけが冷えてしまい(ベッドの下に机などがあります)、上のほうは天井からの熱が降りてきて寝苦しい、というとても厄介な状況になっていました。

ベッドの上からエアコンを見たところ。体を起こすとエアコンと同じ高さです

東芝の「無風感」モード搭載エアコンは、ルーバーとは別に、細かい穴がたくさん空いている黒っぽいプレート「無風感ルーバー」が降りてきて、風そのものがやわらぎます。このエアコンを選んだ一番の決め手は、この「無風感」気流。熱帯夜ではエアコンをつけて寝ることになりますが、ハイベッドではエアコンの風が直撃してしまうので、ベッドの上でも風が当たりにくいエアコンを探していたのです。

穴が空いているプレートが「無風感ルーバー」

実際にベッドに上がって風に当たってみました。

ベッドに上がるとエアコンは目の前。通常の「冷房」運転にすると、やはり風が直接当たってしまいます。そこでリモコンにある「無風感」ボタンを押すと、無風感ルーバーが降りてきます。

「無風感」はしっかり冷えるのですが、じんわりと広がるような風で、それほど寒さを感じることがありません。冷えすぎたり、肌が乾燥したりすることを防いでくれます。通常の冷風とは肌への当たり方が全く異なるので、息子も驚いていました。これなら就寝時も安心です。

さらに最新モデルでは、無風感ルーバーを2枚に分け、左右独立した可動式の「セパレート無風感ルーバー」に変更されました。これにより、左方向だけ無風感/右方向だけ無風感/全域に通常の風/全域に無風感の4パターンから状況に合わせて細かく設定できるようになり、日当たりのよい窓側は通常の風、寒がりの人がいる側は無風感の風にするなど、場所によって調整できるようになりました。

右側だけ無風感気流にしてみました

息子の部屋は狭いのですが、娘が遊びにきてベッドに上がり、息子は椅子に座って話をしたりします。そのときは寒がりの娘が当たる右側は無風感あり、しっかり風に当たりたい息子がいる左側は無風感なしといった設定で過ごしています。

この「無風感」モードがあるだけでも、ロフトあり/ハイベッドの部屋では、本機を選んだ価値があると実感しました。

レーダーで風が人を追いかける

このエアコンは、人の位置を検知する「レーダー」を業界で初めて搭載したモデルでもあります。家電のプロとして、試してみたくなる最新技術です。

「レーダー」ボタンを使います

レーダーはカメラとは違い、光でモノを感知するわけではありません。前面パネルの裏側部分にあるレーダーのマイクロ波によって、人の動きをリアルタイムに検知し、1万通り(左右100段階・上下100段階)から、風を当てる/当てないという制御が行なわれています。

検知しているのは一番手前にいる人の上半身。ロックオンされると、驚くほど正確に、スピーディに左右風向ルーバーと上下風向ルーバーがぬるぬる動きます。他社でも「風よけ」「風あて」ができるタイプはありますが、これほど速い反応は見たことがありません。少し動くだけで、確実に気流を変えてくれます。

「風あて」にしておくと間違いなく風が追ってくるので、これは暑がりの私にぴったり。寒がりの方はこのレーダーを使った「風よけ」がおすすめです。レーダーが感知する範囲は約6~8m。息子の部屋のサイズだと、風が届く範囲全体をカバーできます。

「風あて」にしました。人のいる位置に合わせ、ルーバーが細かく動きます。少しの移動でも確実に風を届けてくれました

ただ、ハイベッドが面積の1/3以上を占めているので、レーダーが使える場所はごくわずかに。さすがにベッドの下に入ると人を追えないので、感知できるのは床が見えている部分だけになります。学校から帰ってきて汗だくの息子は風あて機能を使っていますが、リビングなどもう少し広い場所のほうが、よりレーダーの機能を活用できそうです。

なお、「レーダー」と「無風感」を同時に使うことはできません。「AI快適」運転も、全自動で制御を行なうため、オプションの設定を変更することはできませんでした。

「AI快適」運転の場合、どのような制御が行なわれているのか詳細はわかりません(アプリで見ると冷房は水色、暖房はオレンジに変わるのでおおまかにはわかります)が、エアコンが人の体表温度や部屋の状況を検知し、冷暖房の切り替えから風量やパワーの調節まで自動で設定しているとのこと。全自動運転のため操作できず、プラズマ空清の有無だけ選ぶことができます。

私は暑がりなのですが、もう少し温度を下げてほしいといったときに微調整を行なうことはできませんでした。息子にはちょうどいいようで、勉強中は「AI運転」にしているようです。

アプリの設定も簡単、リモコン代わりに使える

最近はアプリで操作できるエアコンも増えてきました。やはり個室のエアコンもアプリで操作できるようになるとラクです。特に子供は何度言っても消し忘れがあるので、常にアプリでエアコンの状況を確認できるのは、親としても安心です。

東芝の場合、専用アプリ「IoLIFE(アイオーライフ)」を使用します。接続は簡単で、エアコン本体にあるQRコードを読み取り、ガイダンスに従って登録するだけですぐにできました。

「IoLIFE」のアプリ画面。右は「AI快適」運転中の画面

アプリでできることは運転の開始や停止、運転モードの切り替え、室温設定などです。エアコンの運転状況、室内の温度や湿度、タイマー設定なども外出先から確認できるのは便利。ペットがいる方も、外出先から「暑くなってきたらONにする」といった使い方ができます。

リモコンだと「無風感」ボタンを押すごとに「全域/右側/左側」と選択できますが、アプリを使えばすぐに選ぶことができて便利です。ただ、例えば電気代の目安を教えてくれたり、高温になると通知が届いたり、省エネモードを設定するといった機能はなく、アプリでできるのは基本的な操作のみとなっています。シンプルで使いやすいのですが、フラッグシップモデルなのでもう少し細かくアプリで設定できるようにしてほしいところです。

ロフトがある部屋ならサーキュレーター併用がおすすめ

我が家の場合、エアコンの吹き出し口の先にベッドがあるため、どのエアコンを使ってもベッドで気流が遮られてしまいます。またロフトがあるので上に熱がこもりやすく、足元は冷えやすい状況です。

そこでロフトの奥にサーキュレーターを置き、少し上に向け、三角形の天井に気流を這わせるように運転してみました。

ロフトの奥に置き、少し上向きにして気流が循環するようにしました。これが効果てきめん!

サーキュレーターなしの場合、ベッド上と勉強机付近の温度差は2℃で、やはりベッド上のほうが高くなります。しかしサーキュレーターの運転をONにすると、20分後には同じ温度に。さらに1時間後には逆転し、机付近のほうが1℃高くなりました。

また、ロフト部分とハイベッドの温度差は最大で7℃近くありましたが、サーキュレーターを回すことで温度差は2℃まで下がりました。我が家ではロフトは使わないのでこれで満足していますが、ロフトも使う場合はもう1つ床にサーキュレーターを置いて上に向けておくと、さらに気流が循環するのでムラがなくなります。サーキュレーターは想像以上に効果があることがわかりました。

なお、ロフトで使うサーキュレーターは音が静かな省エネタイプのDCモーター搭載モデルで、なおかつリモコン付きのタイプがおすすめです。リモコンがあれば下から手を伸ばすだけで操作できるので、わざわざロフトに登ってON/OFFをする必要がありません。

お手入れは付属の専用ツールを使ってあっという間に終わる

本機は連続10分以上運転したあとに停止すると、自動でクリーニングが行なわれます。クリーニングではフィルター掃除も行なわれ、ブラシユニットがエアフィルターのホコリをかき取り、かき取られたホコリがダストボックス内に収集されます(ただしフィルター掃除は累積24時間の運転ごとに行なわれます)。

冷房または除湿の場合はフィルター掃除30分、空清+送風15分、暖房乾燥(最長)15分、送風15分を行なった後に停止します。これは内部のカビなどの発生を抑えるためで、掃除後にしっかり内部を乾燥させています。一方、暖房または空気清浄の場合はフィルター掃除約30分のみとなっています。

カタカタと音はするのですが、おやすみタイマーで停止した場合、自動クリーニングは行なわれないので、眠りの妨げになるようなことはありませんでした。

エアコンのクリーニングランプが橙色になり、ゆっくり点滅した場合はダストボックスのホコリを取る必要があります。その際は、お掃除ノズルが付属しているので、掃除機のヘッドをはずして取り付け、お掃除ノズル挿入口に差し込んで吸い取ってしまえばいいのでとてもラク。脚立なども必要なく、サッと掃除できるので便利です。

付属のお掃除ノズル
丸いところがお掃除ノズル挿入口
掃除機にお掃除ノズルをセットし、挿入口に差し込んでダストボックスのホコリを吸い取ります。日常的なお手入れはこれでOK

長期間使うと、やはりエアフィルターなどは取り切れないホコリが気になってくるのですが、それは手動で外して掃除ができます。ただ、基本的にはお掃除ノズルでダストボックスのホコリを取り除けばいいので、日常的なお手入れはとてもラクです。

前面パネルを開けたところ
ダストボックス
エアフィルターa

ハイベッド/2段ベッドがある子供部屋におすすめ

息子に聞いたところ、友達の部屋へ遊びに行くと「ロフトあり」「2段ベッド」という個室は多いとのこと。娘の部屋もロフトはないもののハイベッドで、エアコンの気流で悩んでおり、このエアコンに興味津々でした(実際に「いいなぁ」と言われました)。

息子は基本的に暑がりですが、ハイベッドの上に寝てエアコンをつけると風が直撃して「寒い」とよく言っていました。このエアコンに変更してから、寝るときは無風感モードにすると風がやわらぐため快適とのこと。ハイベッドと同じ高さにエアコンがあるので、「風を感じない」というのはとても難しいのですが、それができるエアコンでした。

各社のフラッグシップモデルはAIなどの最先端技術を活用して快適性がアップしていますが、本機は上下ルーバー、左右ルーバーにプラスして、物理的な「無風感ルーバー」というプレートでやさしい風を作り出しており、効果をしっかり実感できました。

レーダーについてはリビングなど広い場所のほうがより効果的に使える機能だと感じます。個室であればレーダーがないリーズナブルなタイプ(K-DXシリーズなど)でも十分だと思うので、選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

石井 和美

家電プロレビュアー。白物家電や日用品のお役立ちグッズなどを中心に製品レビューを得意とする。テストスペースとして守谷市に一戸建てタイプの「家電ラボ」開設し、冷蔵庫や洗濯機など、大型家電のレビューも行なっている。レビュー歴10年以上。

http://kaden-blog.net/