家電ラボの徹底「本音」レビュー

進化したクックフォーミーは30分で牛すね肉がやわらかく! 選べる圧力で作り比べ

家電プロレビュアー・石井和美が、レビューハウス「家電ラボ」で徹底的に試した「本音」の製品レビューコーナーです。
ティファール「クックフォーミー タッチ ホワイト 3L」はコロンとしたフォルムがかわいい

料理初心者に優しい、レシピ内蔵タイプの電気圧力鍋「クックフォーミー」シリーズ。操作パネルに手順なども表示されるので、間違いが少なく、誰でも簡単に調理できます。そのクックフォーミーシリーズから、スマホと連携してアプリからレシピを送信できる「クックフォーミー タッチ ホワイト 3L」が発売されました。実売価格は75,800円前後です。

見た目はあまり変わっていないのですが機能は大きく進化しており、より使いやすく、調理の幅も広がりました。料理初心者だけでなく、中級者にも便利そうな同製品をさっそく使ってみました。

スマホ対応&タッチ液晶になって使いやすくなった

本体サイズは324×314×268mm(幅×奥行き×高さ)、重さは5.2kg。クックフォーミーシリーズには6Lタイプもありますが、3Lタイプの同製品は、設置スペースが小さく、置きやすいサイズとなっています。

本体のほかに蒸しかご、炊飯用カップ、電源プラグが付属
ふたは外すことができません。ふた開閉ロックを回して開け閉めします

新モデルでは、クックフォーミーシリーズで初めて無線LAN(Wi-Fi)接続でティファールアプリと連携できるようになりました。接続はとても簡単です。

個人的には待ちに待ったスマホ対応。家でもクックフォーミーシリーズを使っていますが、操作パネルからレシピの検索をするのは時間がかかっていました。ティファールアプリで検索をして本体に送信すれば、まったく同じ内容が本体の4.3インチの大きな液晶画面に表示されます。

これまでもスマホで見ながら調理できていましたが、本体の明るく大きな液晶で手順を確認しながら調理できるので便利です。スマホをキッチンに持ち込む必要もなくなりました。

ティファールのアプリ
タッチ液晶画面でレシピを探すこともできますが、スマホで検索してサッと送信できます。ティファールアプリで「お気に入り」に登録したレシピをパネルに表示させることも可能

調理時間を最大1/5まで短縮できる「圧力調理」をはじめ、合計13種類のモードを搭載しており、「炒める」「煮込む」「蒸す」などもできます。ティファールが用意したレシピを検索して手順通りに作れば、自動で設定してくれるのでとてもラク。いちいちモードや火加減、調理時間の設定をする必要はありません。あとはスタートを押すだけです。

液晶は大きくてスマホよりも見やすい

これまではアプリにレシピが増えても本体内蔵レシピはそのままでしたが、インターネットに接続することで常に最新の情報をゲットできるようになりました。現在、本体に内蔵していないレシピもアプリから送信して本体の液晶画面に表示できます。

液晶画面は角度調整ができます

何より便利なのは、キッチンから離れていても手元のスマートフォンで調理の進み具合を確認できること。離れた場所にいても残り時間がわかり、終了時も通知してくれるのですぐに気付けます。

アプリの下の方を見ると残り時間が表示されています。これは便利!

素材に合わせて圧力を選べる

新製品は圧力調理が低圧(40kPa/108℃)、中圧(70kPa/114℃)、高圧(100kPa/119℃)の3段階から選べるようになりました。従来のクックフォーミーは70kPaの圧力で調理をしており、他社も70kPaで圧力をかけるタイプが多いのですが、煮崩れがしやすい野菜は低圧、やわらかくなりにくいブロック肉は高圧といった設定で、食材に合わせた調理が可能となっています。

圧力調理は3段階から選べるようになりました

ただし、レシピ集を見ると高圧で調理するメニューはまだ少ないようです。高圧で調理する数少ないレシピから「牛すね肉の中華風煮込み」を作ってみることにしました。牛すね肉といえば、かたいのでなかなかやわらかくならない部位です。

スマホから「牛すね肉の中華風煮込み」を選び、本体に送信します。赤いマークを押せば本体に表示されます。もちろん、送信しなくてもスマホを見ながら調理できます
材料が本体にも表示されます。スマホでも同じ内容が確認できますが、本体の液晶画面のほうが見やすいです
材料を入れます。終わったら次の画面に移ります
調理時間が表示されます。18分と表示されましたが、好みで時間を変えることができます

高圧で調理する時間は18分ですが、加圧から減圧まで含めてトータルで30分程度でした。なお、本体の「スタート」ボタンを押さないと調理は始まりません。アプリでうっかり手が滑って空焚きしていた、といった事故はないので安心して使えます。

一緒に煮込んだのは大根、エリンギ、にんにく。牛すね肉はかなりやわらかくなっており、大根も味が染みています。やわらかくなるまで煮込むと数時間はかかる牛すね肉ですが、これなら思い立ったときに作ることができそうです。

30分でやわらかい牛すね肉が食べられるなんて! 家族にも大好評。特に大根のやわらかさに感激していました
やわらかくて美味しい。急いでいる日も作れそう

豚の角煮を3通りの圧力で調理してみた

次に、豚の角煮(2人分)を低圧、中圧、高圧で15分加熱調理して作ってみました。水温などの関係もありますが、時間はすべて22分前後でした。

低圧、中圧、高圧で調理した豚の角煮

低圧で煮込んだ角煮は、箸で持ち上げてみるとピンとしています。箸で切ろうとしても、特に赤身がかたいので箸が入りません。「かたい」という印象です。

低圧ではまだ食べ頃ではありませんでした

中圧は、内蔵レシピと同じです。低圧と比較するとやわらかく、特に赤身は少し箸が入るようになりました。いつも通り、ティファールのレシピで作った角煮です。

十分食べられるかたさ

高圧では、かなりやわらかくなっていました。持ち上げると脂身のところで曲がり、全体的にくたっとしています。煮崩れするようなやわらかさではありませんが、長時間煮込んだような食感でした。

脂部分がかなりやわらかくなっていました

個人的には高圧で煮込んだ豚の角煮がやわらかく美味しかったのですが、自動メニューのレシピを見ると中圧で調理するものがほとんどです。せっかく高圧モードが搭載されたので、かたい肉、骨のある魚などは、高圧のほうが短時間でやわらかくなりそうですが、公式レシピはほぼ中圧で設定されています。

不思議に思ったのでティファールに確認してみたところ、「お肉の種類やサイズによっては高圧の方が向いているものもありますが、クックフォーミーのレシピは基本的に下茹でなどをしないでそのまま調味・加熱するため、高圧調理の方が肉がかたくなってしまうこともあります」とのこと。

高圧の方が時短にはなりますが、仕上がりと調理にかかる時間のバランスを考慮した結果、現在は中圧設定が多くなっているそうです。クックフォーミー タッチは手動で圧力の設定もできるので、料理や好みに合わせて調節してみるのもいいかもしれません。

イワシの梅煮。こちらも内蔵メニューの最初の設定で中圧でした。骨まで食べられますが、もう少しやわらかいと子供も食べやすいかもしれません

野菜は低圧~中圧が最適。高圧だと煮崩れる

高圧は短時間でやわらかくなりそうなので活用したいところですが、一部の野菜には合いません。理由は、やわらかくなりすぎて煮崩れてしまうこと。肉じゃがも低圧、中圧、高圧の3通りで5分間調理してみました。

根菜が中心の肉じゃがでも同じように作ってみました

低圧では玉ねぎがシャリシャリした感じが残っており、じゃがいも、にんじんは火が通っていますが、少しだけかたさが残ります。

食感を残したいならアリ

中圧では全体的にちょうどよく、玉ねぎも少しとろっとした感じ。玉ねぎやにんじんは煮崩れがなく、ちょうどよいかたさでした。

ちょうどよいかたさ。根菜類は中圧が合っているのかもしれません

高圧はじゃがいもの煮崩れはないものの、にんじんはやわらかすぎて箸でつまむと崩れるほど。少々煮込みすぎといった印象でした。玉ねぎはかなりやわらかく、煮込んだ感じがあります。

にんじんがやわらかくなりすぎていました

肉とは異なり煮崩れしやすい野菜は、短時間で調理したいからといって高圧で調理すると、たとえ数分でも煮崩れてしまうことがあります。煮崩れないようにするには、低圧~中圧がおすすめです。

新搭載の「スロークッキング」で作った無水カレーが美味しすぎた

従来の加熱方式に加え、新モデルは「スロークッキング」調理に対応しました。スロークッキングは、長時間かけて低温で煮込む調理法です。同モデルでは最大12時間までの煮込み調理が可能。弱火75℃と中火85℃の2モードで、じっくりと煮込みます。そのため、時短ではないのですが、朝にセットして夕方に食べる、といった予約調理のような使い方もできます。

時間をかけて煮込んだ無水チキンカレーは格別

85℃で9時間煮込んだ無水チキンカレー(内蔵レシピ)は、鶏肉の形はしっかりして見えるのに、ほろほろ。じっくりと煮込んだ美味しさがあふれていて感動しました。短時間で調理した料理には出せない、コクがあります。休日のごちそうとしてもぴったりですね。

ふたを開けて炒められるので、1台で色々できる

一般的な電気圧力鍋は、ふたを開けたまま炒めたり、煮詰めたりすることができないタイプも多いのですが、クックフォーミー タッチはどちらもできます。

炒め機能を活用して、「ワンポットパスタレシピ」から「きのことツナの和風パスタ」を作ってみました。先に具材を炒めてから、パスタが水に浸かるように全体を混ぜて圧力調理(3分)で完成です。パスタはゆで時間7分のものを半分に折って使用しました。

ふたを開けた状態で炒めます
水やパスタを入れます。パスタは乾燥した状態のままでOK

ふたをあけるとパスタ同士がくっついていましたが、トングでかき混ぜるとバラバラになりました。こういったワンポットの場合、パスタが伸びすぎることがありますが、ちょうどいいかたさです。ザルで湯切りをする必要もなく、そのまま食べることができるのでラク。調理器具の洗い物が内鍋だけというのも助かります。

おそるおそる開けたところ、やはりパスタ同士がくっついていました
トングですばやく混ぜるとほぐれました
パスタの完成! 後片付けもカンタンです

自動排気の蒸気がすごすぎる

クックフォーミーシリーズは、圧力調理が終わると自動で排気してくれる点も魅力です。一般的な電気圧力鍋は、調理後は排気が終わるまでしばらく待たなければなりません。ピンが下がればふたを開けられる、というタイプが多いのですが、それがいつになるのかわからず、気が付いたら終わっている……ということも少なくないのです。排気時間が短く、終わりがわかりやすいというところも、他の一般的な電気圧力鍋と比較すると優秀です。

しかし、この排気がかなり勢いよく出てくるので注意が必要です。特に小さいお子さんがいるご家庭では、本体のまわりにお子さんが近付かないように注意してください。また、上は広く開けておく必要があります。棚の中段などにおいておくと、蒸気があたって棚板を傷める可能性もあります。

蒸気の勢いがすごい

そして、今回驚いたのは黒豆を煮たときでした。黒豆の汁が勢いよく飛び出してしまったようで、まわりが真っ黒に……。砂糖が多い料理で糖度も高いので、素早く拭かなければ固まってベトベトになります。もう少し、排気の勢いは弱めてほしいところです。

黒豆。この上に蒸し台をのせてから調理開始
ふっくらとした黒豆。家族にも大好評でしたが……
煮汁が外に飛び出ていました。他の調理はそれほど汚れませんでしたが、糖度が高いせいか、このような状態に……

また、残念なのは同モデルは低温調理機能がないこと。我が家はサラダチキン、ローストビーフをじっくり低温で作るのが好きなのですが、クックフォーミーシリーズではできません。ただし、マニュアル調理に優れたティファールの「ラクラ・クッカー」シリーズはできます。クックフォーミーシリーズのように丁寧に手順は表示されませんが、中級者であればラクラ・クッカーという選択肢もあります。

お手入れは水受け、蒸気口キャップ、金属ふた、パッキング、バルブカバー、ポールカバー、減圧ポールなど、点数が多いので少々面倒です。慣れてしまうと短時間で外せますが、ふたおさえネジを回して外さなければならないのも、改良してほしいところです。他社は簡単に取り外しができるものが多いのですが、この点は少々不満でした。

パッと外せない内側の金属ふた
外した後も細々と洗うものがあります
水受けは一度料理すると溜まることが多いです。必ず捨てましょう
蒸気口キャップはすぐに外せます

使ってみると便利で手放せなくなる電気圧力鍋

撮影のために本体を移動した際、調理中に電源コードが抜けてしまったことがありました。焦ったのですが、中断したところから再開され、スマホに表示される時間も再開後に修正されていました。こういったイレギュラーなことにも対応しているので、安心して使えます。

4人家族の我が家は、シチューやカレー、煮物などを次の日の分まで作っておきたいため、クックフォーミーの6Lタイプを愛用しています。今回Wi-Fiに対応したモデルは3Lのみ。スマートフォンで検索し、本体に設定を飛ばせるのは想像以上に便利だったので、ぜひ6Lサイズも販売してほしいです。

また、見た目は前モデルとよく似ていますが、スローモードが追加され、圧力を3段階から選べるようになったので、より料理のレパートリーが広がりそうです。ある程度慣れてきたらマニュアルモードに切り替え、色々試してより自分好みの味に調整できるので、長く愛用できますね。使い勝手も含め、クックフォーミー タッチは自信を持っておすすめできる電気圧力鍋です。

石井 和美

家電プロレビュアー。白物家電や日用品のお役立ちグッズなどを中心に製品レビューを得意とする。テストスペースとして守谷市に一戸建てタイプの「家電ラボ」開設し、冷蔵庫や洗濯機など、大型家電のレビューも行なっている。レビュー歴10年以上。

http://kaden-blog.net/